ポケモン不思議のダンジョン〜時空の蒼石 闇の十六夜〜 を読んだ感想 | ||
投稿者:フィーゴン 評価:とても良かった! 2016/10/25(火) 20:39 | ||
[表示] どうも、この投稿場で細々と活動しておりますフィーゴンとかいうフライゴン好きです。拍手メッセで何回か送りました故、おそらく、僕の記憶違いでない限り、面識があるかと存じ上げます。 さて、感想の方に参ります。はっきり言って、ネット小説としては勿体無いくらいの腕でした。特に、地の文。風景描写、心情描写、行動描写が繊細で、尚且つ丁寧にまとめられており、引き込まれ具合は相当でした。僕も、これくらい整った文章を構築したい、というのが本心から思っています。ただ、これは『整った文章』の特徴なのかもしれませんが、幾分、表現にありきたりさ……普遍性を感じました。やはり、小説にも慣用表現は存在し、そのような表現を使って文を書ける、というのは、確かに充分な能力がある証拠ですが、読み込みを進めると、だんだんと、読者としても印象を求めてしまいがちで、『名言』で補完したとしても、やはり何か今ひとつ足りない、というのが読んでいての率直な感想です。勿論、整った文章を書けるというのは技術力ですし、むしろそんな文章で推し進めるのが決して悪手というわけでもなく、普遍性というのは裏を取れば汎用性、完成度、表現の伝達度が非常に高いということでもあり、わざわざそんな捻くれた方向に書き進める必要はありません。奥深く考えてしまえば、僕の感性自体を疑わざるを得ないという結論にも至るレベルの問題ですので、そう深刻な話でもなく、何となく、少し辛味が足りないキムチラーメンのように考えてください。むしろ僕は、文でも食べ物でも甘いものの方が好きなので、この書き方大好きです。 次に、一貫して描かれる雰囲気です。雰囲気の取り出しによく用いられるのは、例えば花、例えば草木、例えば土(戦争などでは砂埃などの描写が多いため)、例えば近代技術、などと、様々なトピックがある中、ポケダンにおいて『石』、特に『宝石』を選択するとは、流石であると少し感心しました。『石』を題材にした統一感は、僕の中ではあまり目にしないのです。『原石も磨けば光り輝く』という表現はあれど、作品全体において統一的に『石』の描写を入れ込む人はそこまで目にしません。宝石とは神秘であり隠された秘密でもあります。不可思議で、何かを隠されたような、そんな“見通し得ない”ロマンは、ポケダンにぴったりと調和し、作品自体どころか、キャラクターの過去にも、煌びやかな光を与えています。 伏線に関しては、あまり言及しません。張られているのであろう伏線がとても多く、この先の展開は、おおよそでも把握できてもまだ考察には値しないからです。強いていうなら、『伏線やトリックのタネは見せつけるものではなく隠すものである』とだけ。自分もうまくできているわけではないので偉そうなことは言えませんが、とりあえずはそれだけ。 キャラクターです。ツンデレ最高ですね。以上……というのは勿論冗談です。初期設定から細やかに組み込まれていることが伺えました。それぞれのキャラの相関関係を重視し、そして、それぞれのキャラの背負った過去を、先述した見通しのきかないロマンで覆い隠す。それだけでも、彼らの魅力は尽きません。シズクの描写も、だんだんと周りに馴染み、素直さを見せていくところは、ツンデレの醍醐味と思われます。明るいキャラほど裏があり、サンとケンジの二匹は異質さと、それの上に立ったことによるやるせない心持ちも、お見事、というのが本心から出ます。クールキャラのフライも、かっこいいですね。そして、この、ポケダン模倣小説において、一作品の主人公が一匹でない、というところも、また特異的なところなのではないでしょうか。 フレーズについては、良いものは多く見受けました。比喩表現も、統一感にそぐわない良いものばかりで、こちらとしても非常に参考になります。しかし、名言、と呼ばれるやつは、言葉自体には重みが存在し、響も良かったのですが、生憎なのは、タイミングでしょうか。例を挙げるならば、例えば、どこにでもいる非正規雇用者が、「働くことは、誰かに贈り物をすることだ」と放っても、誰も相手にはしないでしょう。名言とは、人とその人の功績が伴うことで、初めて重さが生まれます。名言だけでも響きがいいと感じられるのは、あくまで『名言』として紹介されているからであり、小説のように、背景まで描くともなると、裏側がどうしても見えてしまうのです。だから、大企業の社長が、「働くことは、誰かに贈り物をすることだ」と放つと、その裏側の重りも相俟ってさらに強く読者にのしかかるのです。何が言いたいかというと、何も成し得ていないものの叫びは、上っ面の戯言にしかならず、より重く、より深く、より強さが出ている、その場面において、言葉は一番重たくなるのです。勿論、とても良い言葉でしたし、印象にも残りました。だからこそ、タイミングをもう少し変えてみれば、ひょっとしたらとてつもない破壊力を持っていたのではないでしょうか。 さて、ここまで自分でもゾッとする量を書いたところですが、実際のところ、これらはそこまで心に止めて参考にする必要はまぁありません。文の形は人それぞれ。その人にはその人の美学があるのだから、僕の助言なんて、気にしなければ、よりかは、こう思うやつもいるのか、程度の認識で止めておいてください。この感想は、あくまで僕の美学であって、普遍的な真理ではなく、単純に、僕ならこうした方がいいと思うを連ねただけですし、何しろ、この小説を書いているのは僕ではなく貴方なのですから、貴方らしさを大切にしてください、というのが、最終的な僕の意見です。ならなぜつらつらと長々と感想を書き込んだのかを疑うでしょうが、すみません、こういう書き方でしか、僕は感想をかけないのです。とにかく、貴方の美学を追い求めて、完成形を探して、試行錯誤、悩みに悩むことでしょうが、私はそれを、これもまた細々と応援させていただきます。 これからも、どうぞ頑張ってください。たとえ遅くてもいいので、ゆっくりと、落ち着いた、整った文章を目指してください。長々と失礼しました。 [07]
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投稿者:暁 2016/12/27(火) 17:24 | ||
[表示] フィーゴンさん、この度は感想をくださってありがとうございます。 長い間このサイトにログインすることがなかったので、返信が凄く遅れてしまいました。本当にすみません。 私が投稿し始めから何回か拍手メッセージでアドバイスをくださり、とても有り難く思っています。今回も、沢山のアドバイスを書いてくださって、もう感謝しきれません。 フィーゴンさんが指摘してくださったように、私自身文を書けば書くほど「あれ、この表現前何処かで使った気がする」ということがあったり、周りも使っているような表現ばかり使っているような気がしたり、ということが多々ありました。この感想を読んでからもう一度自分の小説を読み返してみると、「ああ、確かにありきたりだなぁ」と感じました。なんとなく、自分らしい書き方を見失っていたような感じです。これからは、自分らしい表現の仕方を追及できればいいと思っています。 名言のことについては、感想を読んでから気付きました。考えてみれば、私が読んだことのある漫画や本では、名言というものは筆者自身が「この言葉は名言だ」というものではなく、読者がそれを見つけるようなものでした。その名言を言ったキャラクターは、小説に出てきたばっかりでそこまで交流もないまま言葉を放ったので、言葉が軽々しくなってしまったように感じました。あそこで誰か他のキャラクターが言ったら意味が変わったのかな、と思ったり思わなかったり。今更書き直そうとは思いませんが、名言を放つキャラクターやタイミングには注意すべきだと学びました。 そして、伏線ですね。この小説では、仰る通り伏線が見え見えになっているところが結構あると思います。自覚はしてますが、どうやら私は伏線を隠して張るのがどうも苦手なようです。一応まだ気付かれていない……所は……ある…のかな?という感じではあるので、それはこれから先を楽しみにしていてほしいです。 他、石のことに触れてくれたのは嬉しいです。石が登場することが多いのは、私が宝石好きということもありますが、石言葉に物語の中心を担ってほしかったからです。シズクの名前にも「サファイア」というのがありますし、ケンジが持っているのは「オパール」のペンダント、フライとサンはチーム「エメラルド」でケンジとシズクはチーム「ガーネット」と、見た通り主要四匹は皆宝石に関わっています。これから、宝石は所々に出てくると思います。 キャラクターも、シズク、ケンジ、サン、フライの四匹はまだ活躍(?)するところがあります。四匹共謎めいているところだらけなので、これからそれらをどう明かしていくか、ということもまた悩み所であったりします(笑)四匹だけでなく、他にもキーマンとなるキャラクターはまだいます。 私もフィーゴンさんの書く文章は大好きです。また後日じっくり感想を送ろうかと考えています。今回アドバイスしていただいたことを意識しながらも、書いていこうと思います。 改めまして、感想ありがとうございます。お互い、頑張っていきましょう。 [08]
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