NEAR◆◇MISS を読んだ感想 | ||
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投稿者:はやめ 2016/08/30(火) 15:51 | |
[表示] こんにちは。 ちゃんとした感想を残すべきと思い書くことにしました。前回は作品を俯瞰的に見た推測が多めでしたので、今回は印象的な文章や表現に触れて、物語自体にもっと踏み込んでみます。本当は逐一表現を取り上げて一行一行長々と語りたいところですが、それをやると多分感想だけで短編一作出来上がるのでやめておきます。それほど敵わぬ悔しさを噛み締めながらも、作品の面白さに夢中で食い入りつつ読んでますってことでw ポケモン二次創作といえば原作設定・小ネタ配置の妙も楽しめるポイントですが、ニアミスは原作ネタを殊更世界観に調和させるアレンジが施し済みで、常にそう来るか、と唸ります。 何と言ってもポケモンと人間の描写が素敵です。台詞回し、挙動、心情、事細かに説明していて、生きた様子が鮮明に浮かび上がります。凄く小説を読んでいるなと世界観に没入する感覚です。厳選された言葉の数々に酔いしれながら読んでおります。いくつもの拘りを感じる作品、自分も見習わせていただきます。 第五章 -2- 手持ちの心得 自分の口からクラッカーを取り出すイチリ=フワンテ。なるほど、よくよく考えれば風船の中に物を収納出来ますね。私はいちいちこういった些細な部分に発想の柔軟さを見つけては勝手に喜んでいます。なんか他の人達と着眼点がずれている気がしないでもありません。でも中に物入れて大丈夫なんだろうか、とか物凄く要らない心配をしてみたり。 ニアミスはファッションにも全力ですよね。興味ある割には詳しくないのですが、ネットで画像検索の手伝いを借りながら読んでます。オン・オフの使い分けが感じられて、とても好きなところです。好きな登場人物の色々な格好は是非とも見てみたいものでして。こうやって具体的に表記されていると自分の中でもがっちりと服装像が固まりますね。レイコさんの溢れるファッションセンスに憧れを抱きます。 「むくむく」と口髭を動かすハーデリア=オハン。「むくむく」……言い得て妙で、字面的にも和むし、確かにむくむく動くんだろうなと妙にツボりました。この後訪れる銀朱との関わりでは、忠犬としての厳格な一面もうかがえましたね。 > 彼女の視線は草葉をつたう雫のように、ふと空中での張力が切れ、(中略)握り、絡め、離す。指先がとても寂しい。感触を欲している」 一連の表現に脱帽しました。 -3- 留守番 > 恋する乙女をいじるのは面白いが、奇行に付き合わされるのもお約束ということで 吹きました。ウルスラのリアクションwwww -4- コーヒーと紅茶 この回、お気に入りです。ポケモン小説でポケモンと人間が仲睦ましげに描かれていると、こちらもほんわかした気持ちになります。日常の一場面を捉えた描写は元々好きなものでして、かつシリアスな空気を纏った作品の中でちょっとした遊び心が見られるとギャップに癒されます。 > 自然な甘味の凝縮されたレーズンや食感のいいクルミ粒が、ほんのりバターの塩気の利いた生地とほどよく引き立て合い、素材を別々に味わうよりも美味しさが十二分に増して感じられる。 なんですかーーこれは……。こちらまで文章を通してクッキーを味わい、咀嚼している感覚になりましたよ。文章から味・匂いを連想させるって凄いことだと思います……。バターと塩味でじゅるりとなったところに置かれた胡椒ミルクの粗悪な沈殿ぶりに吹きました。 前章まで対立が激化していたと思うのですが、この話辺りからアイラがキズミナやアシスタントポケモンたちに寄り添い歩み寄ろうとする変化が起こりますね。しっかり進展してるじゃないですか!w さて、オハンの一件もあり、緩みかけた緊張の糸が張ったかと思いきや、しばらくして今度は「ポケモンスタジアム サン&ムーン」ってサンムーン……すかさず入れてきますね……w を遊びながら楽しむ一行。緩急のバランスが絶妙だなあと思いました。 -5- ファースト・コンタクト 気になったので報告しますが、同じ場面が二回繰り返されていたのは間違いでしょうか? 違っていたら申し訳ありません。 > オルデン・レインウィングスは暗い路地裏に回り、肩のチルットに耳打ちした〜 のところからです。 第六章 -1- 化石騒動 章も変わり、早速任務色全開ですね。緊迫した冒頭説明、ハッと襟を正す気分になります。 アクアジェット〜なみのりまでの流れるような攻勢の格好よさに惚れ惚れします。作者様ごとに技描写の違いを見るのも密かな楽しみなのですが、いやーードラゴンテール格好いいですねえ……。鱗の一枚一枚、光輝と色を帯びる様子が浮かんできます。参考にしたい。 毎回思いますけど会話もウィットに富んでいて切り返しが秀逸です。ですから会話だけ読んでいても楽しいんですよね。 -4- 押しかけ ウルスラとゴチムの別離の挨拶だけで隣人背景まで見えて来るのは技ですね。 まさか「Pz」が出て来るとは。Pzってあの宗教団体の……あの……? 確かに伏線は再三張られていましたが、驚きました。イッシュ方面と地理的な繋がりがあるみたいですね。 更にアイラが隣人に!w これは嬉しい。 > 「という訳で、今日からしばらく監視させてもらいます。よろしくね、お隣さん」 章が進むにつれアイラがどんどん可愛くなっていきますね。段々とチーム内の距離が縮まっていくプロセスに感慨深さがあります。 -5- パーティー サーナイトの登場。やたら格好良くて厳かで気品を保ち、テレパシーの演出も強者兼大物臭を放っていますね。下体を翻しながら消える様にも余裕が見て取れて格好良い。『ドルミール』という人物の続報に期待したいところです。鍵を握るキャラでしょうね。 P2ラボまで出てきましたし、ポケモンの子、夢の煙、ハイリンク、ドリームボールなど諸々の設定含め、よくよく考えるとかなりBW要素を重視・採用されているのかなとお見受けします。 -6- 炎のパンチ 後半のハーフヒットバトルは、「デッドロックバトル」を想起させる懐かしい雰囲気がありました。 ここでもレイコさんのセンスが炸裂。ふたりの夏服最高です。いやホント憧れますわ。 バトル描写は、さすがレイコさん……の一言に尽きます。デッドロックバトル読んだときは息を呑んだものです。クラウvs留紺、ここで出すのは留紺なんですね。留紺って出来る奴ってイメージがあります。ヌオーという種族が対戦相手であることから、バトルも重量感漂っていました。 > 「てめえを信じて『岩石封じ』!」 技だけ指示するのもストイックさが現れてかっこいいですけど、こうやって何かポケモンに言葉を添えてやるのも一興ですよね。 炎のパンチvs冷凍パンチのぶつかり合いはこちらも手に汗握りました。 -9- 特別顧問 客船!!!! 私事ですが自分も描きましたので親近感が……。ロマンとアダルティに溢れて、社交の場では皆が一段大人の階段を登ります。この話も客船ならではのお洒落さがあって、これまでの中でもかなり好きな一話です。 ドレスアップのイヤリングなどアクセサリ系がポケモンを模しており、ヒールボールピンクパールverという発想も素敵です。 アイラとキズミ、ピンクパールのくだりで少し距離を縮めるかと思いきや、いやそんなことはなかった。お互いを気にかけ繋がりそうだけども簡単には通させてくれない距離感がむず痒いです。どうか仲良くなりますように! 第七章 -1- 夏のから騒ぎ ミナト中心の片時も気を抜けない展開突入前の癒したる一話。これもまた雰囲気が好みです。 ラッシュガードはラッシュガードでまた魅力があると思うのですがね(真剣)。 ブルンゲルの紹介も重々しい語彙の連続で貫禄あり、気合入ってる……と思ったら失恋がきっかけだったのは、ただ駆除されるだけではない生き物としてのポケモンがうかがえる一幕でした。 しかし麹塵……こいつは、こいつは一体何がしたいんだ!? -2- 古城 > 弱い日照に気を許したコロモリたちが鳴き交う、濃い霧の中。鬱蒼とした森の奥深くにレストロイの居城はそびえていた。手つかずの自然を砦とする壮観は、霊能界隈きっての有力一族の邸宅にして古き要塞の威厳をうかがわせる。左右に立つ門衛のゴルーグたちが無言の重圧で誰何したその時、堅牢な扉が内部からの念動力によってひらかれた。にわかに脚光を浴びる人ならざる開門者。五線譜に置きかえられる筋入りの萌黄色の髪をもつ音楽の精は喜色をたたえて、突撃訪問を敢行した一行を迎え入れた。 出だし六行、一気に引き込まれました。いやはや洗練の極み。今までの情景描写でも、かなり好きかもしれません。 > (なんという言いぐさですの! キズミ様に救われておきながら!) この台詞が好きですね。アイラに心こそ許せど、差し迫る場面において発露される本音といいますか。その後すぐ反省しているのも、相手に対する信頼あってこそ為せる言動なのかなと思いました。 > 「黙れ。セレビィ」 眼の焦点が止まりました。 えっ……。え、え、え……????? マジで??????(素の反応) -5- 激突 もう凄い気合ですよね! レイコさんがここを書きたかったんだろうなという強い想いが迸っていて、文章越しに深々と突き刺さるが如く伝わってきます。よもやキズミvsミナトがこんな形で訪れるとは思いもしませんでした。レストロイ宅潜入の辺りから薄々予感はしていましたが。 > 詳しい動機は知らないが、肉親への殺意を聞かされて黙っていられるほど友情に盲目していない。職務を果たす。 はぁー(感嘆)。格好いいったらもう……。友情に盲目していない、ですか。表現の良さもさることながら二人の関係性を端的に表した言葉でもあるのかなと受け取りました。 ヒトツキを用いた剣戟はやはり絵になりますね。何と言っても一番熱いのは、ニダンギルが葛藤の末分かれるところ。ニダンギルが二本で一本なのを逆手に利用した演出で、激しく燃えました。いやもうこれは敬服です。上手い褒め言葉が見つからないのでテンションも高いです。 > 激しく、斬り結ぶ。ニダンギルはテレパシーでつながっている。動きを読める片剣のリードにキズミが呼吸を合わせる。ひっきりなしに鳴り響く、金属音。和洋の型を自在にくり出すミナトの剣さばきに、どこまでも食い下がる。飛び散る火花が間近で他人の容貌を強調しなければ、一糸乱れぬ鏡像を相手取っているかのような錯乱に飲みこまれそうだった。 表現の幸せな波に溺れて死ねそうだ(本音)。 しかし、勿論ミナトは殺すはずもなく。そこでキズミの取った行動に、驚き困惑というか、おまえそこで死んでどうする……。と突っ込みたくなりました。説得法が壮絶ですが、キズミ精一杯の決断なんでしょうね。自分の命など取るに足らないと考えていそうですし。その辺も含めて、これからどう展開していくのか、しっかり見届けたいと思います。多分この後キズミ、アイラ中心の展開も来ると思うので。 いよいよ作品の終盤に近付いて来てるんですかね? ようやく更新に追いつけたので、また追っていきますね! [28]
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投稿者:レイコ 2016/09/09(金) 08:40 | |
[表示] こんにちは。 ご感想ありがとうございます! [表示]を開けて、拙作には勿体ないほどのボリュームに驚嘆しました……! 短編一作に届く文量とは、おそれ多いです。そのように読み込んでいただけて嬉しい限りです。文章面は特に自信のない部分なので、丁寧に取り上げてもらえると恥ずかしくて顔から火が出ます(笑) 原作設定・小ネタは世界観を構築するうえで欠かせないです。盛り込みすぎかな〜と迷うときもあるのですが、名作を世に送り出してきたはやめさんを唸らせたとあらば御の字です。 人間とポケモンの描写は最も書きたい要素の一つなので、これからも誠心誠意励んでまいります。 ・5章-2- フワンテ=イチリの収納描写はちょっとだけこだわりました。なぜなら( おじいさんのような口髭がチャームポイントのハーデリアなので、擬態語で特徴づけたかったです。むくむく。 オハンの忠犬像をこの回に入れたかった理由は、なぜなら( ファッションチェック、ありがとうございます♪ 衣装替えは映像的に楽しいですし、生活感やキャラの趣味嗜好が些細なところに表れている演出が好きでして。 ・5章-3- ((ノェ`*)っ))タシタシ ・5章-4- 気に入っていただけて万々歳です。服装とともに食事は生活感に欠かせないと考えているので、団らんの場面などで活用するようにしています。胡椒ミルクは実在する飲み方なので、よかったら試してみてください(※お味の保証はいたしかねます♪) クッキーは出来るだけおいしそうに書けるべく、レシピを調べるのが楽しかったです。ポケモンたちがテレビゲームで盛り上がるのは最初どうかと思いましたが、亜人制度もありますし、人間との暮らしが長ければ遊び方も覚えるだろうと考えたので強行しました(^-^; サン&ムーンのまさかの時事ネタ化は感慨深かったです(?) ・5章-5- 完全にミスです。ご報告ありがとうございました。大変失礼しました…… ・6章-1- 疾走感は読むのも書くのも大好きです。エンペルトのホームは水中なので、陸上は先制技であるアクアジェットで速さを補うとかっこいいだろうと想像しました。フライゴンのドラゴンテールもですし、技エフェクトやバトルの展開はアニメのコンテストバトルを念頭に置いているので、文章が装飾的になりやすいです。 会話を褒めていただき、ありがとうございます! ・6章-4-&-5- 隣人関係は5章-4-に出てきた会話の補完ともいえる急ぎ足でしたが、そういって頂けて安心しました。 アイラに可愛げが出てきましたか! よかったです!! 『ドルミール』の遣いのサーナイトは騎士(ナイト)らしく、気高い雰囲気を持たせたかったです。♂です。 PzはあのPzですかね……?(とぼけ BW要素はたしかに重視・採用していますね…… ・6章-6- 懐かしいです、デッドロックバトルw 季節の服装は楽しいです。 留紺は二足歩行でパンチ技も得意なので、クラウと拳を突き合わせる対戦相手に抜擢しました。 軽やかなバレエのステップを踏めるキルリアと、とろーいヌオーの動きの対比をさせたかったというのもあります。 ミナトは普段から台詞が軽い分、どんな時もスッと言葉が出てくるのがある種強みだと思います。 ・6章-9- 客船です!!!!! 当社比によるオルデンの素性が明かされる重要回ということで、服飾も特に気合いが入りました。 が、気合いが空回りしてデザイン決定が難航したので、あの方にご助力頂いた次第です。感謝しております。 船が好きですし、ポケモンといえば乗船イベントが多いので。「特別顧問」は丸ごと全体、長い間温めた甲斐がありました。 叛骨の強奪者のサント・アンヌ号編はこちらも読み耽りました。あれは素晴らしかったです。 ・7章-1-&-2- 夏らしさを全開にしたかったです。海の描写も好きです。 オフの描写が続きましたからね。たまに任務回を挟まないと、主人公らが刑事である事を失念しそうです(苦笑) といいつつ、古城はさっそく任務外ですけれど……掴みを厳かにしたかったので、良い評価をたまわりガッツポーズです。 ウルスラはアイラより、無茶ばかりするキズミに直接怒りをぶつけたほうがスカッとしそうです。でも出来ないのでしょう。 麹塵は、詳細をお楽しみに。 ・7章-5- おっしゃるとおり、念願だった展開の一つです。剣戟はニダンギルの設定の魅力に尽きます。 もし相手がウルスラやアイラ、クラウだったら、キズミもギリギリまで話し合いで粘ったろうと思います。 二人は互いに対等な存在で信頼も厚いので、隠し事があってもそれを尊重できる反面、ここは譲れないと感じたら全力で相手をぶっ飛ばせるみたいです。鏡像の部分の引用、ありがとうございます。調子にのって語ってしまいますと、最初キズミがミナトを止める立場と最後ミナトがキズミを止める立場の逆転も、人やポケモンの命を守る条件反射的な“警官の人格”を含ませています。他人を映し己を映す、「鏡」は6章のちょっとしたキーワードですね。 そこで死んでどうするつもりだったでしょうね、本当に…… この辺のキズミの心理はこのまま散らかっててかまわない気もしますが、のちに回想で補足するかもしれないです。 一歩ずつですが、終盤に近付きつつあります。ご精読ありがとうございました! [30]
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