月蝕 > 月蝕 > 130 13−10 を読んだ感想 | ||
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投稿者:海 2020/03/07(土) 00:02 | |
[表示] ご無沙汰しております。13-10まで追いつきました。 13-1から一気読みしたのでいろんな事実が明らかになって、たたみかけるような走り抜けるような鬼気迫るような心理描写に感情が追いつかなくてとても整理がつかないんですが……とても面白かったです。 こういう印象を持ったのが果たして良いのかわかりませんが、癒やしの波動で復活したトウヤの右手が心身の破滅へ繋がっていた事実はけっこうな衝撃で、もともと負っていた火傷に加えてどんどん変容していく姿に心苦しさはありますが、これがちょっと前のトウヤや他の子たちの状態だったら絶望に絶望をかけて超絶な泥沼に目の前が真っ暗になりそうなところ、ここまで読み終わった時、何故か今の彼等ならば乗り越えていけるような気が、どこかしています。これは私が甘いだけで、きっと想像を遙か超えて崖下へ叩き落とす展開が待っているんでしょうが、何故かこうして生きてきて、生きようと頑張ろうとしてて、以前より安定してる彼等ならきっと大丈夫なのではないだろうか、と、根拠も無いことを考えたりしていました。その安定も見せかけのものかもしれませんが……サチコのたまごをうまいと言って涙を流して、ビッパの群れを思い出して余計溢れてしまうトウヤとか、不安も好意も思い出も自分の思いを相手に素直に伝えるミソラタケヒロとか、事実を冷静に伝えてくれるハルオミとか(内容はともかくとしてなんて良い奴なんでしょうか)、電話をいれてくれたりレンジャーの道具等をくれて皆を支えてくれているアズサとか、……ここにきて、それぞれ孤独だったのが支え合っている方向に傾いてきているのを実感した印象でした。メグミとのやりとりは……ちょっと前の彼からは想像できないほど前向きでなかなかぐっときましたが……話数を重ねるごとに、トウヤは身が人間離れしていく一方、心は人間性を増していきますね。そうはいっても支えるとは現段階では一種感情論の話で、薬の増量も含めて、感情じゃどうにもならないであろう不穏な問題が山積みで、それを受け止めてこれからどう生きていくのかは、壁の隙間からそっと見守りたいです。 タケヒロは良い奴ですね。殺しだとかを嫌悪してミソラの復讐を否定した彼は彼の身につけてきたピエロとしての自分の武器をフル活用して光を見出したんだな……と13-9を読んでいて思いました。彼は確かに子供だけど、立派な人間ですね。何もできないなんてことはない、立場のまったく違うたくさんの人間を魅了できる凄まじい力を発揮しているのだと、言ってあげたいですが、彼が欲しいのは彼の大好きなものを守れる力、ということになるのでしょうか。この流れは、順当にいくと、タケヒロとの離別、ということになるのでしょうか……そうであれば寂しさは拭えませんが……今は純粋に応援してあげたい所存です。 リューエルサイドも益々深まっていって謎はなおたくさんあり、トウヤたちの精神が上向いていき信頼を深めるほどにミヅキたちの孤独が浮き彫りになって不穏で今後どうなるか気になるだとか、13-5の冒頭の日記でのやりとりが先生と生徒、赤ペン先生みたいなやりとりで可愛らしくてすごく好きとか、シリアスとほんわかさが混ざった展開や文章が良い味とか、イチジョウの本能発言に思わず口元が上がったとか、世界観の説明がしっかりしてて凄いなあとか、御年九つにして闇が深いルリコちゃんが13-9でたくさん笑ってくれているとはいえ不安だとか、気になる点は沢山ありましたが、既に支離滅裂になっていますのでこの辺りで失礼いたします。今後も応援しております。 [95]
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投稿者:とらと 2020/03/10(火) 23:45 | |
[表示] 海さん、読了&ご感想ありがとうございます!13章イッキお疲れさまでした長かったでしょう……!!笑 プロット組むまではサーカスやるだけだからな〜と思ってたのに思わぬ長さになって作者は大変困惑しました。心理描写中心でシナリオは殆ど動かさなかった12章と比較したらシナリオメインで心理描写は結構さらっと進めていった印象でした。詰め込んだ感は否めず読み手さんにとってはちょっと難しい章だったろうなとは思いつつも、「一度落ち着くところに纏め上げた」という感じの12章とは違って「次の段階へ進んでいく」章だったという意味で、感情が追い付かないというご感想を頂けるのは、確かにそういう章だったのだろうな〜という気がしています。どうあれこうも長いお話にお付き合いいただける読者様がおられるというのは本当にありがたいことです。ありがとうございます!! どういうテンションで返すか悩んだのですがトウヤの右手については「私の大好きなワンワン化の奇病ないし幼児化の奇病(外見は変わらず中身だけ変化するタイプ)を合法的に本編でやれるおいしい設定なんですよ!!」ということは主張しておきたいと思います(どういうテンションなのか)。ワンワン化の奇病シチュやりたいこといっぱいありすぎて大変です。人の色でないのは左手なのに人のものでないのは右手であるというチグハグさも大変不気味でお気に入りです(ちなみにトウヤの痣は実は火傷ではないのです(*'▽')!)。トウヤのような安いプライドを持っているやつが崩壊していく自我とどう向き合うのかその葛藤をぜひお楽しみいただければと思います(うきうき)。 ……というのは作者側からの観点なのですが、キャラクタ側から見てみると、メグミはよかれと思ってトウヤの右腕を生やしたわけで、こんなことになるなんて両者露ほども思っていなくて、しかも治療をしたことで重篤な損傷を負っている。だからトウヤの怒りも悲しみもどこにもやり場がありません。多分前の彼だったら一人で背負いこんでしまえたんだと思うんですけど(9章までミソラという明らかにヤバい奴のことを一人で背負いこんでいたように)、12章を経て、彼はもう、寄るべき仲間を得てしまっているから、自分が誰かと繋がっていることをもう知ってしまっているから、だめなんですよね。逆にね。でもそれでいいと思うんですよね。 >トウヤは身が人間離れしていく一方、心は人間性を増していきますね。 私もそう思います! ずっと死んだような人生だと思っていたトウヤが、9章以降何度も死に瀕して(何度も死に瀕して……?な、なんてひどい……誰がそんなことを……)、死というものを肌で感じるごとに、彼は生きていることを実感して、生きていたいと思うんだよなあ!! 生にしがみつける泥臭いキャラクタが大好きです。そうあって欲しいなと思います。 >ここまで読み終わった時、何故か今の彼等ならば乗り越えていけるような気が、どこかしています。 きっと彼らもそう願っているはずなので(少なくとも13−9までは)、そういう風に感じていただけることは本当にありがたいことです。ありがとうございます。 ちょっと13−11の話にも掛かってしまうのですが、13−9ではタケヒロにめいっぱいいい思いをさせてやりたいという気持ちがありました。彼がずっと、人を傷つけない、人から奪わない方法でお金を稼いで自立して生きてきて、その方法を正しいと信じて極めてきた、そのことを皆に(特に「力こそパワー」と言ってタケヒロを否定したミソラに、そしてタケヒロを孤児にした人たちに)認められ称えられて、祝福される、そういうシーンでこそ、タケヒロという戦う力のない存在を肯定できると考えます。仰る通り、タケヒロがほしいと願っていたのは(彼から見た)トウヤとかグレンみたいに強いものと戦って倒せる大人の力だったのだけれど、そんなものを持っていなくても、たくさんの人の間を取り持つようにちょろまかと動き回っていたタケヒロは、十分すぎるほどの力を持っていたのだと思います。「この街ならできることがある」と言い始め、胸を張って公演を成功させ、タケヒロ自身も、自分の持てる力、影響の与えられる場所に気付いたという一面もあったのかもしれません。 イチジョウくんの本能発言を取り上げていただけるとは流石です!!!!!!!私もお気に入りです。お気に入りなだけで特に深い意味とかはありませんがお気に入りです。赤ペン先生もお気に入りです!!!ありがとう!!!!私も小学校の連絡帳みたいだなって思ってました!! >きっと想像を遙か超えて崖下へ叩き落とす展開が待っているんでしょうが、 流石海さんだなあ!!!!!!!(しろめ!!! * 続けて返信します。 13−10まででご感想頂いたとき、正直ちょっとホッとしていたところはありまして笑、というのも「13−11の内容は13章の内容をすべて破壊するものである」と思ってたとのと、「こんなとんでもない回にリアクションいただくのすごい忍びない」というのと「あと怖い(何を言われるのか)」という感じで。起きたら13−11にも感想を頂いていて本当にたまげました。たまげたなあ! ありがとうございます。こんな語りづらい回をご丁寧に語っていただき本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。申し訳ねえ!! ありがとうございます。神かな???? >前話まで、何故こんなにも明るく未来について書かれるんだろうという気は、していて。 くっ……!!!www13−9がタケヒロを幸せにする回だったという話を上でしたんですが、夢の金持ちライフについて語らせたのも(実際夜のうちに契約金を手に入れさせて一瞬でも金持ちにしたのも)タケヒロ幸せ計画の一環ではありました。捨て子のタケヒロが理想とする幸せ要件の中に住居と金というものは絶対優先度高めで入ってくると思うんですよね。なんの話なんですかね。フラグだった……まあフラグ……でしたかね……フラグですね……はい…… あとがきのについて触れてくださっているので少しその話をしてみます、書いているようにタケヒロは死ぬシーンから始まったキャラでした。連載を書いているとき、私は基本ノンフィクションドキュメンタリーを撮って編集するカメラマン兼監督なので、キャラクターとか展開に役割や意図というものを強く付与して制作をしていることはほぼないのですが(何も考えてないとも言います)、このタケヒロというキャラクタにだけは確固たる役割がありました。ひとつはミソラに復讐を諦めさせることで、もうひとつが死ぬことです。タケヒロの役割の話をしはじめるとすごいサイコパスみたいな感じになってしまうのですが、私あまりキャラクタを痛めつけて喜ぶタイプではありませんので、サイコパスではないんですが(?)、ミソラにバトルで勝利した時点で、メタ的に言えば、タケヒロは役割を終えるときがきたのだということになります。メタ的に言えばね。でも私ノンフィクションのドキュメンタリーのカメラマンですし、タケヒロも私の頭の中でメタ的に最初に生まれ持った役割以上に、彼自身の足で生きていたことは、決して物語の単なるピースではなかったことは、きっと理解していただけるのではないかと思っています。だから、もしトウヤがタケヒロを抱きしめていなくて、タケヒロがやめろ!!!っつってあっち側に逃げていなければ、真っ先に死んでいたのは普通にトウヤだったかもしれませんし、ミソラだったかもしれません。そこに明確な理由があったのかどうかは、14章を見ていただければ、分かっていただける……かな……と思います。 タケヒロ自身も死んだことに気付いていないと仰られていて、そうかも……と思いました。私、「え?」って言いながら死んでいくキャラクタが好きなんです……絶対最後の一言は「え?」にしようってずっと決めてたんです……くっ……どう足掻いてもサイコパスみたいだな……語れば語るだけ墓穴を掘りそうだ……。せっかく悼んでいただいているのにコメ返が歪んでいて本当にすみません。私も本当に昨日まではこの世の終わりか?ってくらいものすごいしんどくなっていたんですが、結局のところ本編もパラレルワールドのひとつでしかない私の頭の中では、今日も元気にタケヒロがぴょんぴょんしています。完全に現実逃避だなこれは……( 私の拙い筆力でどれだけ読み取っていただけるのかは果てしなく疑問ですが、書くべきことはすべて書けているつもりです。それを読者様がどう受け取っていただけるかは、やはりもう読者様にお任せするしかないという状況で、いつもは「こんな風な読み方もあるのか!」と楽しめるものが、今回ばかりはちょっと、どんな反応をされるのか怖いなという思いが強くありました。こうやって海さんに丁寧に感想を頂いて、今、少しホッとしているような気持ちです。感謝感謝です。 13章おつありがとうございました!!去年の7月からやっている……企画休みがあったとはいえ長い戦いでした。次章以降はあんまり長い章ないはず(フラグ)なのでサクサクと進めていければと思います。月蝕もやっと佳境に入ったと言えるようになりました笑、このままラストまで突っ走って参ります!! [97]
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投稿者:海 2020/03/10(火) 01:20 | |
[表示] 前回分のツリーに連投の形で失礼します。13-11を読了しました。 なんか、一言でいえば「辛い」に繋がるんですが……。何を考えても最後には「辛い」に終わります。 前話まで、何故こんなにも明るく未来について書かれるんだろうという気は、していて。タケヒロは、もともと明るいキャラクターではありましたが、13-9までで光り輝く未来について描かれて、その未来を願う一方で、彼のこれまでのいきさつとどこかちぐはぐというか、彼が夢を持って語った金持ち人生を彼が享受するイメージがどうもできないでいたんですが、まあ、それは終わったから言ったところでどうというものでもないんですが、あの違和感は、ネットスラングでいうところのフラグそのものだったんだな……と普通にへこんでいます。もしかしてこれはヴェル同様そうと見せかけた文章なのではないか?と願いながら終盤を読んでいたんですが、何度見ても間違いなく彼の胸には穴が開いているし、イズと同じように炎に焼かれているし、最後ポッポと併走しているし、あとがきがとどめとなって本当に彼は死んだのだと、それは揺るがぬ事実なのだと現実を突き付けられて軽く途方に暮れています。長くその成長を見てきたキャラクターの喪失はなかなか簡単に受け入れられるものではありませんね……。本当は読み返すべきなのですが……。タケヒロは小さな身体で大きな存在感を示していたのだなあとしみじみ思うばかりです。 なんでしょうね……タケヒロは、トウヤやミソラたちへ与えた影響としては大きなものはあるものの、一連の騒ぎでいえば主要キャラクターの中では最も一連のリューエルやレンジャー含んだ物語の中枢からは遠のいた位置にいるとは思うんですが、そのある種関係なさそう(関係ないわけではないとは思うんですが、たぶん一番遠い)な彼が的確に死んだっていうのは……彼が無力だったゆえなのか、それこそ、13-11バトルシーンで見せた運の悪さもあるでしょうし(ポケモンバトルだったら運が悪かったどんまいで済むんですが、現実は無情なのを一話で見せつけられるという鬼展開)、なんといいますか……読み手の胸にも穴が開いた思いですね。ここに明確な理由があるのか、彼は単に巻き込まれただけなのか……。なんでレジェラがアサギを乗せてきた?とか、そもそもあれはレジェラなのか?アサギがきたということはリューエルによるものだろうけども……?とか、この場面だけでもふつふつ解ってない部分があり、伏線張っておられたのかもしれませんが、読解力と記憶力が不足しているのでまた読み返します。 とはいえ、彼の死は初めから決まっていたことということですので、このシーンに持っていくまでに積み重ねてきたものを顧みると、作者様の凄まじさを感じます。展開に対し一喜一憂してしまう脳天気な読者ですが、長く大きな物語の中でいえば一端に過ぎない出来事でもあるのだな、と……。でも一端と言いきってしまうにはなかなかの破壊力があり……恐らくそれなりに大きな転換期であり……。みんな心配ですが、特にミソラが心配です。でもタケヒロの手から渡された餞別品がきっとこれからどこかで彼等を救ってくれるんだろうと、その時を今から既に夢見ています。 唯一少し救われるのは、最後のシーンが眩く笑顔で終わっていて、あまりに呆気なく訪れた出来事でタケヒロ自身も死んだことに気付いていないレベルだからなのかもしれませんが、煉獄に焼かれる惨たらしい死に方であるにも関わらず、彼自身には大きな苦しみは伴わなかったのかな……そうであるといいな、と思える書き方であったということです。まあ、救われたかというと決して救われてはいないんですが、絶望一色で突き落とされるばかりではないといいますか。辛いんですけどね。 脳直で感想を打鍵していれば気持ちも落ち着くかと思いましたが、相変わらずショックを拭いきれない一読者でした。これからどうしていくのか、見守りながら、暫くは小さく勇敢な道化の彼に思い馳せます。お目汚し失礼致しました。最後まで濃密な13章、お疲れ様でした。 [96]
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