月蝕 を読んだ感想 | ||
投稿者:海 評価:感動した! 2018/01/16(火) 20:29 | ||
[表示] こんにちは。ツイッターではお世話になっております、海です。 しばらく顔を出さず、ようやく10-5から最新話まで拝読いたしました。何から申し上げればいいのか……拙い感想になること、その割に長文になっておりますこと、どうぞご容赦ください。その……14000字くらい……なので……お暇な時にどうぞ……。 10-5。 >それでも、信じていたいと願っているものが、騙していてくれるなら、騙されていてもよかったのだ。 この一文を読んで、初っ端から内容から少し離れる話題になるんですが、私の好きな漫画で、親と離れて暮らす女の子が、何年間も一緒にいて絶対的な信頼を寄せていたひとに裏切られて別れるというシーンがあるんですね。その時、彼女は「傍にいてくれるなら天使でも悪魔でも良かったのに」と叫ぶんです。私はその漫画のことが脳裏に過ぎりました。伝わりづらいたとえから入ってすいません。 後々何度も出る言葉ではありますが、『嘘』だらけの過去、騙していた、ということ、裏切り、ということ。それをずっと前からトウヤはわかっていた。わかっていたうえで何も言わず、ずっと疑いながらトウヤはアンテナを張っていた。だからこうもすらすらとリューエル団員であることに気付いた理由が口から出てくる。ちなみに間抜けな私はこんな伏線だったとは思いもしませんでした。トウヤすごい。他の気付いていた読者さんすごい。そしてとらと先生すごい。 最初は、トウヤはグレンとの関係性が楽そうだから、グレンの誘う手をとった。グレンは、仕事だからトウヤに近付いた。出会いからそれぞれ思惑が渦巻いていた。けれど、その関係を十数年も続けていて、そのお互い偶然利害一致した都合が良かったかりそめのような関係は、どう見てもそんな簡単なものにはなっていないでしょう。グレンは前に「友達のようだと思っている」と零していました。そしてトウヤは地の文の中で、「恋人とか、友達とか、――家族とか。友情だの愛情だの、そんな捉えどころのない、風が吹いたら消えてしまう蝋の火のような絆より、それはずっとさっぱりとしていて、分かりやすい。その分かりやすさは、トウヤにとって好ましかった。」と過去について述べてました。けれどそのすぐ後の現在、グレンのことを『友人』としている。長い年月を超えて、グレンとトウヤは友人になり、それはたとえ嘘の上に成り立った関係性であっても、ちょっとやそっとで瓦解するような友情のレベルではまったくないと思うんです。しかしその後、「『友人面』をして自分を欺き続けた彼」とし、「友人の『ふり』」とまで続いていって、この移ろいが苦しい。でも、トウヤは、騙していたことは許せないしそれを許せるほど甘い関係でもないことは重々承知しているけれど、トウヤはグレンのことを、信頼しているんですね。気を許しているんですね。トウヤはグレンが優しいことを知っている。グレンが騙し続けていることを苦しく思っていることを、解っている。ああ、トウヤは甘ちゃんなんだけど、その甘さもあって、グレンは一緒にいれたし『仕事』とは別でトウヤを弟分として可愛がっていたし、たぶん、一緒にいるのも心地良くて、でも心苦しくて、それを隠していたんですね。トウヤは、それを、ずっと、見ないふりをしていたんですね。ア〜ッ器用なんだか不器用なんだか!なんだこれ(困惑)つらい >刹那、――今にも泣き出しそうに歪んだグレンの表情を、トウヤは、見ずに済んだはずだった。 アーーー!!!!ですよ。アーーーーー!!!!!!(言葉にならない)グレンの苦しみ、が、仮面が剥がれて、もう、もろに、ほんと、もろに表に出た話ですよね……アーー……ッ!つらい しかしメグミってやっぱり、特別とは評されていたし実際伝説級なので特別ではあるんですが、後々11章でも出るものの、ここで悶着がくるんですね。ここでメグミのことについて出てくるとはあまり思っていませんでした。繋がっていく……。 10-6。 いつかは来ると思っていたトウヤとグレンのガチ試合、喧嘩。 男同士の友情というのは拳で殴り合うのがロマンの一つでありますが、そもそも発端も「バトルをしよう」という言葉から始まった二人。彼等がポケモントレーナーである以上こうなるのは必然なんでしょうね。 圧巻、という他ありませんね。とらさん、戦闘描写が、もう……ほんまにお上手だな、と読ませていただくたびに。今回は本気の喧嘩でありグレン側の攻撃がかなり派手ということもあって熾烈な戦闘でしたが、まさしく圧倒されながら読みました。 相手を知り尽くした者同士。グレンの罵倒のような激しい指示。それでなくても攻撃的な彼の戦い方に上乗せされて、荒々しいけれど、なんですかね、この……。 急くような「出せ!」からの「――ノクタスから潰せ!」という捲し立てるようなグレンの様子を読んでいるとただのバトルというより殺し合いのような、ぎゅっと痛々しさすら感じてはらはらしながら、ある種恐怖しながら読んでいたのですが、 「避けろよ、トウヤ!」 という言葉が出た時に、あ、となって。この時点では詳しくは書かれていないけど、わくわくしているような。あ!この戦いは大喧嘩でありお互いに勝たなければならない特別な試合であるけれども、グレンは、楽しんでいるのかもしれない、って思いました。だから読んでいて怖くはなくなりました。ちゃんと楽しんで、この一瞬に全力をかけて、勿論それは本気のものだけど、本気だからこそ彼は楽しんでいる、グレンはそういうタイプの人間で、……ああ、この試合は絶対に彼等にとって必須で、大事な試合なんだなっていうのを感じてました。後々に、「真剣勝負の最中だろうが!」でニッと笑った、それでやはり確信し。苦しいばかりじゃない。これは彼等のコミュニケーションなんですね。この二人の間には真剣勝負をすることでようやく果たされるものがあったんですね。 でも、これ、トウヤやハヤテの成長を色濃く感じた回でした。トウヤに関しては成長といったらいいのかわからないんですが。狭かった彼の視界が広くなったのかもしれません。思い込んでいたものが変わったのかもしれません。トウヤ……後々もそうなんですが、変わりましたよね。危なっかしくて仕方が無いところがあったような印象でしたが……いやこれからもわからないんですけど(疑いの目)。 > ――睨む。拳を握る。ハヤテ、見えるか。あれが倒すべき宿敵だ。ただの試合相手ではない。必ず負かさなければならない、この喧嘩だけは、今日ばかりは。あれは、僕の、確実に乗り越えるべき壁だから。 誰でもない、自分の為だが、自分の感情は、自分だけの感情ではない。 ハリも、ハヤテも、共に背負って、立ち向かってくれているのだ。 霧散しかけていた感情が、腹の真ん中に凝縮していく。立ちあがり、ちらりと窺ってきたハリの背を、どん、と、トウヤは叩いた。 「やるぞ!」 トウヤが……主人公だ……!!!!!!!!!!(失礼)(号泣)(超失礼) このトウヤと一体になっているのが、トウヤの怒りに同調して戦っているのが直接的にはハヤテだというところが個人的にツボなんですよ。もちろんハリもそうなんですけどね。ここはもう、乗ってる分、ハヤテが、もう。ハヤテって、優秀なハリと違って月蝕のかなり序盤でバトルの訓練やらでトウヤに叱られているイメージが色濃いですし、本編でも幕間なんかでもおとぼけた様子だったりが愛くるしかったりで、それはそれで可愛いんですが、どこか頼りなかったりして。その、ハヤテ、あの、ハヤテが。逆鱗を習得し、トウヤと、単なる主従関係ではなく、「共に戦っている」。ドラゴンクローとブレイククローがぶつかって、互角で、……強くなったな……って……感動しながら読んでました……感涙。 この苛烈を極める戦いの中で、厚い雲は晴れて、光が溢れて。楽しそうに、嬉しそうに、笑う男と、目を合わせて、この一瞬が永遠に続けばいいとトウヤが願ってしまうほどの、試合でしか至ることができなかった境地。トウヤも、怒りや哀しみはいつのまにか忘れ、今目の前にいる友人との時間を、楽しんでいて。でも、それが終わってしまうことを、いつか終わりが来ることを、勝負である以上、決着は付けねばならぬことを、わかっていて。グレンは、追いかけていたけれどいつも少し上にいたグレンは、早く来いと言っていたグレンは、太陽のようなその人は待っていて、両腕を広げていて、それは、トウヤにとって、空の方向。空が、いつも鈍色であったのに、晴れていて。 凝縮されたような一瞬。 最高です。 辛いことも多い月蝕ですが、燻ることもそれが良さの月蝕ですが、だからこそ、ぱっと開けた時の、開放感がとんでもなくて。は〜、読み返していても心臓の高鳴りが止まりません。 そして最後の終わらせ方がね〜〜!!ハリがこんな簡単に終わるわけがないと思ったら、やはり!やってくれましたね!!騙し討ち。グレンにも、ききましたね、これは、あらゆる意味で。ああ、もう、おしゃれでもありますね。は〜、狙いますね〜、は〜、最高でした。それにしても背中ごしに右手をあげて去るなんて、主人公らしいけどトウヤがやると、ちょっとふふっと笑ってしまいますね。それがトウヤのいいところなんでしょう。 はあ、グレン。グレンは、本当に今まで辛かったんだな〜〜〜〜、……トウヤもグレンもこの試合がものすごいターニングポイントで、けじめがついて、お互いにお互いを救ったような、そんな様子が…〜〜〜〜〜〜〜〜あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……たまらないです。良かった。グレンにとって、嘘だらけの日常が、楽しいものであったと思ってくれていて。今までのことが無に帰すことは確かになくても、無味乾燥なものにならなくて、本当に良かった。この涙にはいろんな感情が込められてるんだろうな〜……もう別れることはわかってるから、終わる淋しさとか、長く苦しみ続けてきた思い出とか楽しかった思い出とか、喜びとか、安堵とか……。 本当に良かったです。素晴らしいです。感服ですとらと先生。 あ、思い出したのですが、これもどこかで言いたいと思っていたので急に挟むんですが、ここ最近のグレンを見ていると漫画「進撃の巨人」のキャラライナーを思い出します。騙し続けていると自覚していながらも、騙している仲間と時間を過ごすうちに芽生えた仲間意識と本来の自分の使命の間に苛まれたり、その境目がぐちゃぐちゃになっていくあたりが。(確かとらさん進撃お読みになってた……ような気がするので言ってるんですが凄まじいネタバレだったらマジですいません) 10-7〜10-8(意図あって途中で切られてるとは思うのですが、まとめた方が感想がやりやすい気がしたのでまとめさせてください)。 からの、雪。 ついに降り始めた雪。これからきっと長く(いろんな意味で)寒い冬が続いていくことを予感させる雪。 10-5の最後でタケアズに見つかって逃げ出したミソラがどうなったんだ?というのは10-6でずっと引っかかりながら読んでたんですよね。 ミソラの、二律背反の思いが、ぶつかりあって、それはどちらも本当の思いで、だからこそ痛みが激しい。読んでてきついです。 10-6で追い風に乗り光を見たトウヤとは裏腹に、冷たい北風に向かって走るミソラ。この、彼が恐ろしいと思っている白い穂の海が、後々トウヤによって美しい情景へと変貌するのがまた月蝕トリックなのですが、とにかく、10-7の、ミソラひとりのこのシーンでは、恐ろしいものでしかないんですよね。閉じ込められてしまうこと、どこにも逃げ場がなく、居場所がなくなってしまうこと。思えば、ミソラはいつも、逃げ場所を探していたような……気がしますね……そんなイメージが残っている……そういう意図がなかったらすみません。 なんか……。 知らない方が良かった、と、ここでミソラが独白するじゃないですか。 似たようなことを、トウヤとグレンのやりとりの中で、トウヤが思っていたじゃないですか。知らないでいたらどれだけ幸せだったか、みたいな。知らないまま、騙されたままでも。でも、いつか真実に触れるときをトウヤもグレンもわかっていた。それを恐怖していた。けれど、触れたことで10-6のように、わかりあえたような、そんな、瞬間がやってきた。だから、ミソラがこんな風にいうのが対比のようで哀しい。まあ、仕方の無いことだけど、でも、思い出してしまったことはしょうがないし、そのうえで、進んでいってほしくて。それが、どんな形にしたら幸せに繋がるのか、私には明確な形が見えないんですが。 で。光が差したというじゃないですか。光。これは、10-6との対比なんですか。光、という同じ文字だけれど、その実の、裏腹さ。「忘れてしまえばいい。」…………そうきたかーーーーーー、でした。忘れる、これはミソラがミソラたる、彼にとって切っても切れない事象でしょう。実際のところここでほんまに忘れるんじゃありませんでしたが。一瞬、こうやってミソラには自ら記憶を消去できてしまうなにかがあってだから最初に記憶をなくした状態で砂漠にいたんか……?という展開に持っていくのかと思ったら、流石にそうではありませんでしたね。道化を演じる、忘れたふりをする、元に戻ろうとする、そうして自分の居場所に戻ろうとする、……「トウヤも許してくれるだろうから」と。……ミソラも、哀しいですが、きみもまた、甘いんだろうな。後々トウヤがまさかの(失礼)ポジティブフォローしますが、ここは、ミソラの、純粋な子供ゆえの、単純さが出たというか。リナを、置いてきぼりにして、そして怯えさせてしまうような、自分が出ましたね……。どうせ、この町は、嘘吐きだらけなのだから。かあ。ううん。だから別にいいでしょう、かあ。いや、そりゃあ……リナも怯えますわな……。理解が追いつけないというか。リナとミソラの関係はなかなか難しいものですね。ミソラが、不安定だから。後々、トウヤがハリをこの間をとりもつのに役立つかもしれない、と思いついたこの道筋が、良い方向に傾くといいのですが。 そしてトウヤ。 トウヤ、……作者メッセージでも仰ってますが、ポジティブスタイル……変わりましたね……。なんだか、すごく不思議な感じだ。破顔して、「……嫌だと言ったら?」と言い、最後に「頼りにしてるよ、ハリ」だなんて。ひとりじゃないって、彼は思ったんでしょうか。彼は部屋を整理してたくさんのものを捨てたし諦めたりもしたけれど、でも、トウヤには運命を共有している存在がありひとりで生きているのではないのだと、それを自覚して。 戦い抜く、と、言ったこと。 戦い抜く、ですか。戦って、乗り越えると。えっ、ええ〜〜〜〜うわ〜〜〜……めっちゃポジティブ……すごい……一皮も二皮も剥けましたね……?えっすごくないですか……?虚無感の塊だったような時もあった彼が……未来を見ている……あれだけ弱々しかったのになんだか頼もしいぞ……?なんというかポケモンたちに支えられて、周りに支えられて、ちょっとよろよろとしているような感じだったのが、自分の足でしっかり立って共にいるというか……?うっわあ〜すごい、勝手にめっちゃ感激したんですが……!? >やがて雪は、目の前のすべてを埋め尽くし、この町から何を奪い、そして何をもたらすのか。自分はその時、どうするのか。 アッ不穏ですね。わかってましたが不穏ですね。11章で解ることですがめぐみのこともプッシュされたりミヅキさん到来の伏線が完璧に張られてますもんね。ここからがまた大変なんですね〜〜もう〜〜でもグレンとまた会えるだろうから、なんて。ハ〜ココウを去ったグレンがココウにいないながらもトウヤたちのことをリューエル側からサポートしてくれるそんな未来を期待してます。いやしかし戦い抜くと言い切ったトウヤはなんだか、ちょっと、心強いです。あんまり信用するとまたどこから突き落とされるかわからないのでほどほどに信じます! あずさん。怪しんではいたけど、見抜けなかった人。なんだか、どちらかというとアズサさんも用心深そうな雰囲気をして、意外と、彼女は人のことをよく信用しているんでしょうね。警戒しているようで、でも、ちょっと懐に潜られると、気を許すと、疑わなくなるところがあるのか。記憶にも濃い、トウヤのあのナンパな一言に踊らされたように。トウヤは、もともとあの性格ですしグレンのことを不審がっている体だったからグレンの本性やボロを見抜くことができていました。それは、グレンが10-5でトウヤに言ったように、疑っていなければ気付くことがないだろうレベル。つまり、普通では気付かない。しかも後々アズサ以外のレンジャー面子は今の状況を察していた。今更だ、と11-1でユキが言う。アズサが、甘かったことが出るわけですよね。ううん、そこがあずささんの良さなんですけどね!?そのうえでもアズサさん今ココウにいますしね!?仕事のことを考えると確かに思うところもあるでしょうが、今後あずささんどうするんだろうな〜〜どうするんだろう……。 タケヒロ。そしてグレン。タケヒロのボロ屋だけど宝の家の代わりにどうだ、と部屋を譲るグレン。大きなプレゼントですね……けれどタケヒロはそんなものよりももっとほしいものがあるでしょう。グレンも解っているけれど、もう、グレンはグレンで、受け入れてしまってるといいますか、すっきりしちゃってますもんね……。グレンとトウヤの間ではひとつ完結したけれど、タケヒロにとっては置いてきぼりを食らったような感覚なのだろうな、と読んでいて思います。それは大人同士で話が進んでいって、子供には十分な説明がされぬまま、勝手に物事が進む状態に似ているのかもしれませんね。タケヒロにとっては、トウヤ兄ちゃんと呼んでいた頃、三人で話していて世話を焼いてくれたことだって大切な思い出だから、そりゃあタケヒロにとって納得できないに決まってます。だから、自分には最早どうすることもできないとわかっていても、説得しようとする姿が、健気で、タケヒロ、良い子。戦え、なんて兄貴分のグレンに言われて、そして確かにタケヒロは戦ってもいたのだけれど、でも……諦めなきゃいけないものも当然あるし、すべてが彼の思う幸せにいくことなんて、有り得ないんだよなあ。もう、壊れてしまってきているから。だからといって、タケヒロには、諦めないでほしい……。本音だという「全部、崩れちまえばいいのに」にはものすごく、ものすごくドキッと悪寒が走ったのですが……タケヒロも、疲れてきているんでしょうね。だから11からタケヒロがトウヤの部屋に移り住んでミソラとトウヤを見張ると言った時、ちょっと安心しました。なんだかんだでね!「トウヤとミソラのこと、頼むぞ」とグレンが最後に告げた言葉をタケヒロが守ろうとしているように思えたから。戦え、と言われて戦ったように。まあそこにもただでは安心させてもらえない複雑で屈折した思いが渦巻いていたわけで、それについては後述するとして、グレンがトウヤの兄貴分であるように、タケヒロにとってもグレンはとても大きな存在でしたね。だからこそ、もう一度……タケヒロと、グレンと、トウヤの、三人が揃うところをいつか見たくなるようなひとときでした。 ココウ、この場所に残された日々。 アァッヴェル……近いですね……。ココウには医者がいない、という一文でふとココウのお医者さんを思い出しました。 歪な空気、矛盾した雰囲気を作るのがお上手で。ハギさんは、どこまで理解しているんだろうな、とふと思ったりします。この話のことだって、トウヤのことだって、ミソラのことだって。後々11-2でハギさんの目の前でいつものように当たり前のように嘘を堂々と、しかも嘘だとわかる嘘をついたトウヤが焦ってましたが、これ、トウヤが考えている以上にハギさんには筒抜けなんじゃないんですかね……うーん。 アズサパート。短い場面ながらも、儚い。ここ、情景描写がめっっっっちゃ好きです。声に出して読みたい日本語。賞味期限が切れてしまったケーキに、枯れてしまった花。それらを諦めるように捨てるアズサ。ケーキは、かつて写真を撮った時のひとときの穏やかさの時のもの。花は、タケヒロが足繁く通って渡してくれたもの。ああ、タケヒロも日常を守ろうと必死になっていたけど、アズサもまた、あの日常を愛していて、そして当たり前にやってくることをどこかで当然のように思っていて、そして諦めきれなかったゆえのこの場面、これらのモチーフなのかな……。 タケヒロパート、彼の本音。タケヒロは結局グレンを引き留めることができなかったし、ミソラはおかしいことになってしまって、彼の追い求めた日常というのは瓦解してしまっている。守るために戦おうとしたけど、戦ったことで彼は自分の力の無さを知った。でも、タケヒロは。文句を言っても、なんで自分がと思っていても、あほらしいと思っていても、なんだかんだ、やる子なんだよなあ……。ロマンチストであるから現実直視は辛いけど、でもそれは誰だってそうで。本当は逃げ出したいのに、許されないから、逃げ出さない。 それがまさしくタケヒロの強さだと思うんですけどね。だからグレンはタケヒロに「頼む」と言ったし、アズサは「あんたは諦めない」と言った。買いかぶりとかではなくて、ちゃんと見て、評価されているのだと思います。 タケヒロがミソラを見て失望するのは、飛んで帰ってしまいたくても投げ出してしまいたくてもそれはできないと耐えるタケヒロと違って、ミソラは現実を直視するのをやめて、逃げ出し、空虚で自分以上に滑稽な道化になっているのを感じ取ってしまったからでもあるかもしれないですね。この場面。私もまた、タケヒロに期待しているんだと思います。 トウヤパート。トウヤとヴェル、のことは11章でも描かれていますし11-1に繋がる部分でもあるので、そちらで書くとして。ここはミソラパートも合わせて書きたいのですが、もう、ハリにしろハヤテにしろ、ミソラへの警戒心が本当、ね……辛くなりますね。殺人未遂になったとはいえ、一度本気で手をかけようとした人ですもんね……トウヤに死ぬ気が無いと判断した以上、余計に彼を阻む者は許さないと、迷うこと無くミソラに対して牙を向けるのでしょうか。非情というか、いや、ある種主人に対する情が厚い故というか……。でも11でハリが間に挟まりそうな予感もしたし、ポケモン達が完全にミソラのことを敵視しているとは思いたくないですね。 知らなかったとはいえ、毒をもつヤヒの実を食べさせようとするミソラと、それが毒であるとわかっていて食べられずにいるリナ。そのリナを見て、リナが自分を嫌いだから、自分を責めるから、だと、断言してしまうミソラ。ミソラは誰のことも信じられなくなっているのでしょうか。追い込まれて、思い込んで、それともいっそ責めてほしいんでしょうか。 ココウ、この場所に残された日々、と題されたこの一話で、最後「――僕は、ひとりぼっちになったのだと。」とされて、前々からココウって漢字だと「孤高」と表せるなとも思ってたんですが(以前どこかでココウの漢字をツイッターかなにかで言っておられたような気もするんですが、すいません忘れてしまいました)、孤高というには強く芯のある様子ではありませんが、それぞれで点々と、孤独になっている様が明らかになった、そんな一話で、胸が痛い、と思っていると、11-1で若干救われたのが次なんですが。 11-1。 >リナがミソラを嫌っていることに、いよいよ、トウヤは気付いただろう。 もしもこれまでで書かれていたなら大変申し訳ないのですが、リナとミソラについて、微妙な関係性を描かれてきたことは多かれど、リナがミソラを嫌っているとはっきり書かれたのって、これが初めてでは……?勘違いなら本当にすみません。 私はリナがミソラに対して苦手意識はもっているものの、嫌っているとまではいっていないと考えていたんですね。だからこの一文で、そうか、リナってミソラのこと嫌いなのか……って目から鱗気分というか、はっと目が覚めた気分というか、残念というか。 月蝕は人間は勿論のこと、ポケモンたちもみんな情緒豊かで繊細な感情をもっているので、動物本能的な単純な「好き」「嫌い」とは別の「好きでもないけれど嫌いとも言切れない」人間味のある「間」の気持ちで、リナはミソラを見ているような気がしていました。そう思いたかった。どこで完全にそうなってしまった……ミソラが記憶を取り戻して変貌したり今回また自棄に走ったことで、ミソラのことがわからなくなって恐ろしくなって、嫌いの方に傾いてしまったのかもしれない。一度嫌いと断定したり気付いてしまうと、好きの方に傾くのはなかなか難しかったりするから、ことのほかショックでした。偶然出会ったもの同士だから意気が合う合わないの運はあれど、少なくとも読者的には仲良くいてほしいというのが本音ですから。一方トウヤの方はポケモンからトウヤへの、またその逆の愛情が確固たるものとして描かれているので、余計に苦しくなるんですよね。ううん、どうにか、良いところに落ち着くといいんですが。11-2や以前にも、リナがトウヤを主人としているのかのような、でもトウヤは主人ではないと言い聞かせたり、主人じゃないから叱らなかったり……トウヤが相当気遣ってるのは覗えます。リナは迷ってるんでしょうか。ミソラのことを嫌っていて、いっそトウヤのポケモンになりたいんでしょうか。そうであれば、或いはそうに似たものであるとすれば寂しい。11-1後半からミソラが吹っ切れた様子も見せていたので、いつかこのペアの息苦しい雰囲気に風穴があいたら良いのですが。 >あの頃と違うことと言えば、ミソラは小走りにならなくてもトウヤについていくことができた。ミソラが逞しくなっただけではない。ミソラの歩調に合わせる速度を、トウヤはちゃんと弁えている。また、トウヤが歩調を合わせていることを、ミソラはちゃんと知っている。 この部分に限った話ではないですが、季節の移り変わりや時間の流れを大切にしていらっしゃる月蝕ならではの、移ろいを感じさせる描写だなと思います。このあたりから、キャラクターだけではなくてココウの町全体も含め、町が大きく変わっているわけではないけれど、でも何かが変化していき、今までのことをふと思い出させて懐かしい気持ちとあたたかい気持ちと、寂しい気持ちになります。 最初の頃、トウヤはミソラのことを疎ましく思っていた。ミソラはトウヤについて行くことだけで必死だった。彼等はココウで同じ時間を過ごすうちに自然と距離が近付き、そして離れ、でも今また隣で歩いている。少し前までは触れれば傷がつくような緊張が二人の間にはあったのに。いろんなことがあったな、と思わせる場面ですね。そして、ココウはそんな彼等を受け入れてくれていた町で、これから冬がきて。でも、きっと、ココウを、出るんですよね。これは。11-2でもココウを出ることを予感させる描写がありましたが、だからこそ、「嫌いにならないで欲しい」って、嫌な思い出が詰まった町にしてしまわぬように、トウヤは言うんですかね。正直トウヤもココウのことを好きかと言われるとそうでもないのかな?という印象を(勝手に)抱いてるんですが、でも、黙ってトウヤたちを受け入れてくれた町であることには変わりがないんですよね……。きれいな情景だなあ。ミソラをおぶるところも含めて、この、景色を眺めるところは、シンプルながらも涼やかでうっとりとした時間が過ぎている、きれいな余白が感じられて、すごく好きです。 トウヤの変貌ぶりは前述しましたが、本当……最近の暗さを思い返すと人が変わったような……w狙ってなんですけどね。ミソラ、完全に掌の上で転がされてますね。可愛いです。アズサさんも言ってますが、こんな器用なことができる人だったんですね、トウヤ。元々嘘をついたり、演技のような真似をしたり、というところは挟まれていましたが……。ハリの殺気を見せつけ、自分の方が圧倒的に上手であることを見せつけ、極めつけに「殺せるもんなら、殺してみな」……w面白い人ですねトウヤ。かつての「許してくれ」の意味がいまいち掴めなかったし、「お前をだしに死のうとする俺を許せ」的なものかと思ってたんですが、ここの彼の言葉を信じるのならば違ったんですね。緻密だ……。ミソラはまだ子供で、そしてトウヤは大人なんだな……と実感する場面。ここのトウヤめっちゃ楽しそうですよね。読んでても楽しかったんですけど。トウヤ、吹っ切れたなあ。いや、きっと彼のことだから、完全に人が変わったわけではないと思うのです。そんな急に変われるものならばもっと器用に楽に生きてこれていると思うから。ただ、ちょっと視界が広がって、やはりあのグレンとの一戦で確実に何かは変わったのでしょう。見えるようになった、というか。グレンとの試合で逆鱗後のハヤテを見て「自分だ」と思ったり、11-1でミソラを見て「自分だ」と思ったり、トウヤは見えるようになったものが増えた、ような。でもそれが彼にとって大きな一歩であることを信じたいです。長くて恐らく一筋縄でも二筋縄でもいかないであろう冬のスタートが少しでも上向いたものであって良かったです。 アズサもね……トウヤが前を向いたのなら、自分も前を向こう、なんて。すごい。なんか……いい意味で月蝕らしくない(失礼)ですね!?王道らしいというか……決して月蝕を邪道な小説だと思っているわけではないのですが……勝手なイメージなのですが、前を向こう!と思って顔を上げるというのはどちらかというとタケヒロや以前のミソラのイメージが先行していました。後ろめたいものがある人ほど、前を向けないような、そんな雰囲気があったので。しかしこの、新たなる仮面期間は意外にとても短かったですが、仮面を外したミソラのこの面白さ、アズサが言うように、やはり素直なのが一番ですね。ミソラは長い間ずっと辛い顔をしていましたから、元気なミソラを見ることができてこちらまで嬉しい。 >良い方向に動き出すかもしれない。子供の力強さを見ていると、そんな予感が湧いてくる。 常に疑念をもつタイプの読者なのでこれがどういうタイプのフラグなのかはかりあぐねますね……ただ、このアズサの予感、子供の力強さに励まされるというのは、よくわかります。大人がしっかりしないといけないけれど、子供が元気でいることが、一番ですよね。しかしまあ、このアズサとのやりとり、彼氏について愚痴りまくる女の子同士の会話みたいですね(語弊を招く言い方)。 しかしまあ〜私もとら先生の掌の上で転がしてもらってる気分です。辛い展開で苦しくなったり、でもこうやってちょっと明るくなっただけで、ぱっときらきらが見えたり。まああげて落としてくるんですよね、知ってます! タケヒロのトランシーバー、これ、どう考えてもグレンがあえて置いていったやつですね!!!!やっぱりそう!そういう人なんだよな!!ハアア〜〜〜背中で語る男としてはトウヤより断然グレンの方が似合いますね(ごめんトウヤ)これが11-2以降でも使われますし、キーアイテムになるんですね。まあ、思ってもいない聞いてはいけないことも聞いてしまうような予感もしますが! 11-2。 既に布石として出されていたリューエル。遂に、ですね。ココウにくるのはロッキーの件以来でしょうか?あ、いやグレンは置いておいて。 >超実力主義のキノシタはその腕前だけでなく、冷酷非道のエゴイストとしても組織で名を馳せている。 あ、嫌な予感しかしないやつじゃないですか(白目)待ってください、ココウの田舎にこんなガチな人が来るんですか。や、やばいじゃないですか。嫌な予感はそりゃしてましたがちょっと高を括ってました。 アヤノさんに関しては再度読み返しをしたいところでもありますが、若宮父とは何か因縁というか、深いものがありそうですね。仕事とは別の、私的な意志。ミヅキもメグミもそうですが、今まで散らばっていたものが一気に集結するこれから、こうも人もポケモンも思念も目的も流れ込んでカオスな予感をさせられると(勿論混濁していてもとらさんの力量で見事書き切られる安心感はあっても)、一体着地点がどうなってしまうのか、恐ろしいんですよね……どう捌かれていくのか……しかし特に目玉はミヅキとトウヤですね……続きをお待ちしております。 トウヤパート、濃密ですね。どこに触れたものか。トウヤが、多くの懸念材料を呈示してくれているけれど、私もトウヤ同様グレンがどういう意図だったかも今掴むことができずにいて、ただひとつ怪しんでるのは、「大丈夫、なんとかなる。」は危険フラグでは?ということです。いや、なんとかはなるかもしれませんが、良い方向のなんとかなる、とは限らなくて。このトウヤの前向き思考は褒め称えたいものですが、どうにも足を掬われてしまうのではないかという懸念が……基本的に彼が一人でなんとかやろうとすると誰かが悲しむ予感がするので……。いや、現在のトウヤは一人でなんとかするのではなく「誰かと」「共に」いることを自覚しているのだから。以前はヨシくんのスニーカーを愛しんでいたヴェルの姿が嫌で仕方が無かったけれど、今は受け入れている。それだって、時間の移ろいとトウヤの心に余裕ができた証であってほしい。すこしだけ変わったトウヤの今後、なんとかなった、に繋がるといいのですが……そもそも何がどうなったら「なんとかなる」になるのか……メグミが、哀しい目に遭わないことですかね。それを祈っています。メグミもまだ謎多きポケモンなのですが、健気でたまらないので。 > 「悪い、後でな」 >再び立ち上がって背を向けた男に、うんざりした顔をして、ヴェルがまた目を閉じる。と、目を開けて、毛布以外のものが自分に掛けられていることを確認する。すると表情を一層穏やかにして、幸せそうに眠りにつく――その過程を、トウヤは見ていなかった。 これ、ヴェルがヨシくんのことばかりでなくトウヤもまた大切に思っている一瞬で、幕間読むと更に涙、なのですが……ヴェルとの今生の別れは確定事項ではあるし、恐らく、もう、タイムリミットは近いでしょうが……それゆえにこのあたりの微妙なすれ違いが致命的なものになりそうな気がしてなりません。あんなにトウヤは片時も離れようとしなかったのに。 > 「躾って、人懐っこいがすぎるでしょ、ちょ、っと! あっやめっ」 >執拗に腋の下を攻撃されて呼吸がままならなくなる。転げまわった末に背後を取られたあたりでようやくボールにしまってくれた。 狙ってるとわかってるうえで言いたいんですが、ちょっっっっっとだいぶ可愛すぎやしませんかね。も、もえ…………。 >戻りかかった日常を、あざやかにひっくり返す一言が、スピーカーから放たれた。 『ともかく、そのラティアスは盗品だ。殺してでも、取り返せ!』 これ、メグミがラティアスってこと、この三人知ってましたっけ。メタモンみたいだけどメタモンじゃないみたいな謎の存在な立ち位置じゃなかったですっけ(もし明かしてたらすいません)。アズサなら察していたか……?とにもかくにも、物騒なことになってきましたね。とらさん、穏やかなほのぼの日常を書くのがとてもお上手なんですが、なかなかそればかりはいかないんですよね、それが月蝕。ああ、どうやって「戦い抜く」のでしょう。楽しみにしています。 すいません明らかに11-2駆け足になりました!!!これからだな、というところなのでひとつお許しを。長くなりました。頭おかしい文字数になりながらも止めなかった愚行をお許しください。ちらかした文章に対して返信されるのもめちゃくちゃ大変だと思うのでどうぞご無理なさらず。すべては月蝕が面白いからです。無理せずとらさんのペースで次を読むことができれば幸いです。引き続きこれからも応援しております。それでは失礼します! 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投稿者:とらと 2018/02/04(日) 00:02 | ||
[表示] へっへっ返信が遅くなり申し訳ありません! ありがとうございました、こんなに長い感想文を頂いたのは勿論初めてで、ここまで語り尽くしていただいていたこと、時間を割いていただいたこと、本当に本当に恐縮です。こんなに語れる人いる……??? 才能かなって思います、本当に凄い……。「ま、まだある……まだ続きがある……自作の話してある文章がこんなに読める……すごい……」って呆然としていました。感謝してもしきれません……。 10章、11章頭もなんですが、ずっと書きたいと思って目指してきたシーンであり、自分でもかなり満足度の高い仕上がりになっています。ので、そう言う所をこうやって語っていただけ、何を言えばいいのか分かりませんが、本当に万感の思いであります。どう報いることもできないのですが(ご容赦ください)、せっかくなので沢山語らせていただきました。語ったんですが、本当にブログで反省会やってるくらいの自己満作文で感想に返信しているとは言い難い出来になっていますので、本当に、これ本当なんですけど、別に読まなくても大丈夫です。失礼な奴め!って思わないでください、マジで、頂いた時からずっと頑張って返信内容考えていたんですが、マジであんまり読む価値のない内容になっています。あんまり読む価値のない文章を2万字も読ます方が失礼ですから!!2万字ですよ!?逃げてください!!ここは俺が食い止める!!早く!! ●10−5 >彼女は「傍にいてくれるなら天使でも悪魔でも良かったのに」と叫ぶんです これを見てふと思いましたがトウヤの思考回路は引くほど女々しいですね。「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」みたいなのが嫌なのでキャラの女々しさ等についてはあまり考えないようにしているんですが、それにしたって女々しいですね。いやあ女々しい。そういうとこ好き。 >私はこんな伏線だったとは思いもしませんでした。 いやどうなんでしょう、気付いてた人いたんですかね。グレンのことを「良い奴だけど胡散臭い」と酌んでいただけてる方はきっと多く(希望的観測)、作者は8章でグレンの仕事の話(どんな仕事してるんってトウヤが聞いたらはぐらかされたとかそういう流れの)をしたあたりで「読者さんにはバレるだろうな」と思っていました。グレンが「トウヤを監視する名目でココウに駐留していた」とまではいかなくとも、「多分リューエル団員なんだろうな」と思ってた人は少なくないと信じてます。ただ煙草とか諸々の失言に関する伏線については、当回でトウヤがグレンを追及するためだけに用意していたようなもので、汲み取ってもらえるようにはあまり作っていませんでした。私は「嫌な予感が的中して『やっぱりな〜』ってなる」系展開を面白いと感じるので、ミソラ関連はそうしたのですが、グレン関連は「思わぬことが判明して『マジか』ってなる」系の展開にできたらいいなあと思いながら作っていました(煙草あたりを)。成功したのかはよく分かりませんが、皆さんに面白がっていただけたので一安心です。 章で言うと2章の段階からトウヤはグレンを怪しんでおり、5章のチラーミィ騒動の段階ではほぼ「グレンはリューエル団員」と断定しています(脱線しますが、6−5で「騙すなら、もっと上手に騙してくれよ」というトウヤの台詞がある、アレは文の流れを素直に読めばリューエルと両親の話をしているように見えますが、実はトウヤは半分くらいはグレンのことを言っていました)。トウヤは「騙されているふり」をすることで、自分を騙しているつもりになっているグレンのことを騙していた。そうすることはトウヤがグレンの前で対等な立場を保つ・自尊心を保つためのマウント行為である一方で、自分も相手も傷つかないための目隠し、『見て見ぬフリ』でもありました。10−4でトウヤがグレンに真相を問う直前、 > これから自分がしようとしているのは、その馬鹿正直な彼が、自分に目を掛けてくれた、そのすべてを、踏み躙るような、背徳行為だ。 > これが、裏切り、それ以外の、何物であろうか。 こう語っているように、『グレンが良心で騙そうとしていたことを暴く行為は悪』とトウヤは認識している。『友人面』、『友人のふり』、という言葉がトウヤの思考から出てくるのは、グレンがくれた恩に仇で返そうとしている自分の行為の惨たらしさを、なんとか正当化しようとする、自己防衛反応の成り損ないでしかありません(そして防衛しきれていない)。グレンがトウヤのことを本当に任務対象としてだけ見ていたはずなどないことは、トウヤも認めざるをえないところです。認めざるをえないのだけれど、認めてしまえば、事態は一層苦しくなる。だから認めがたい。その思いはグレンも一緒です。 >アーーー!!!! 分かる!!(??)ありがとうございます!! ベラベラベラベラ喋りまくるトウヤに煽られても100%語ることができなくて弁明すら許されないグレンの立場可哀想!! 作者はその後の >「――黙って言うことを聞けッ!!」 これが推しメンです!! グレンがトウヤに対して本心を剥き出した瞬間なのだ!! >ここでメグミのことについて出てくるとはあまり思っていませんでした。繋がっていく……。 各所で言い過ぎてどこで言ったのかも分かりませんがメグミに関しては伏線撒き不足しすぎていたと反省している次第です……次の連載に生かします! あるのか!? ●10−6 口喧嘩では上手く感情を伝えられず、10−2では胸倉を掴み上げても殴ることができなかった二人です。友人、と言いますが、二人とも、子供の頃から「適度な距離感が心地良い」と言い訳しながら深きに踏み込むのを避け続けて大人になりましたので、面と向かって言葉や拳で殴りあって分かりあうような真似は実はしたことがありません。喧嘩で勝敗を決める時、代わりにポケモンに殴り合わせることしかできない。これはポケモントレーナーの業であると考えています。 トウヤは勿論、グレンも最初は、試合を楽しむなどという気は更々なかったんだと思います。聞きわけの悪い弟分を叩きのめしてラティアスを強奪して帰るくらいの気持ちでいたかもしれません。でも、おそらく、その気持ちは物凄く早い段階で、バトルする楽しさが上回って彼方へ弾き飛ばされたのだろうと思います。彼は生粋のバトル狂です。グレンってのは、バトルできればいいんですよ。良い相手と良いバトルが出来ればいいんです。本当は、他のことなんか別にどうだってよかったんです。トウヤが良いバトル相手でさえあれば。 グレンがトウヤを煽って開戦して、トウヤはめちゃくちゃ本気になっていて、この試合の意味とか考えながら絶対に勝ちたいと思っている。一方グレンは、トウヤがそう本気になってるから、もうめちゃくちゃ楽しくなる。もっと楽しいバトルにするために、トウヤの持ってる雑念を吹き飛ばしたくて、最後の応酬のあたりで本当に吹き飛ばして、そんで「お互いスッキリする」という意図せぬ結果が後からついてきた。最初は叩きのめすことを考えてたのに。この、「戦うの楽しい」っていう感情が(この回の)ハッピーエンドを連れてくる感じが、すげぇ王道のトレーナー小説っぽくてお気に入りです。 > でも、これ、トウヤやハヤテの成長を色濃く感じた回でした。 嬉しい! 良かったです。ハヤテの一連の成長物語(?)の終着点はたちまちこの回にありました。ハヤテが出来が悪い(言い方も悪い)のが露呈したのは1章のグレン戦が最初だったので、対比としても良い終着点だったなあと思います。 8−4で、トウヤが「相棒はハヤテ、ハリは家族みたいなもの」って話をするシーンがあります。トウヤ家三人衆の中で、ハヤテっていうのはまさしくトウヤと一緒に成長していく存在なんです。トウヤの意識として自分と同化しているのはどちらかというとハヤテなんですね。ハリは背中合わせであるし、似ているとこもある、『傍らにいる存在』ではあるけれど、決して『共に成長する存在』ではない(そもそも『僕のポケモンじゃない』という話もあります)。トウヤが怒ってると、ハヤテは怒るけど、ハリはどっちかっていうと逆に冷静になっていたりする。どっちにしろ、『共に戦って』はいるんですけれど、一緒に殴りに行くのはハヤテなんだ。そして後からクールにトドメを刺すのが頼れるエースのハリなんです。 > トウヤが……主人公だ……!!!!!!!!!!(失礼)(号泣)(超失礼) いやこれめっちゃ分かります(めっちゃ分かります) >立ちあがり、ちらりと窺ってきたハリの背を、どん、と、トウヤは叩いた。 >「やるぞ!」 ここ書いたとき「えっ誰……うそ……トウヤ……?」って一瞬なりそうになりました(背中どんは試合後のハリからの背中ぽんぽん仕返しを書きたいが為に入れたのですが) バトルっていいですね。バトルって良い。気取らない本物が露わになりますね。 ハリもハヤテも、トウヤはタマゴから育ててます。月蝕の世界観において、トレーナーと手持ちポケモンの関係っていうのは、トウヤとポケモンたちくらいの密接さで結構普通だったりします(タケヒロのポッポたちもタケヒロがガチで怒ったら状況に応じて一緒に怒ります)。だから当たり前すぎて、ポケモンを「連れてる」んじゃなくて「一緒にいてくれてる」んだってこと、その得難さを、結構見失ってしまう。トレーナーたちはポケモンと本気で大事なバトルをするとき、そういうことをふと思い出したりするんじゃないかと思います。 >試合でしか至ることができなかった境地。 > 凝縮されたような一瞬。 > 辛いことも多い月蝕ですが、燻ることもそれが良さの月蝕ですが、だからこそ、ぱっと開けた時の、開放感がとんでもなくて。 あ〜良かったです、ありがとうございます、これ以上ない褒め言葉です。グレンの「来い!」が、この刹那が書きたくて書きたくて書きたくてって感じでした。ハヤテの『逆鱗』――トウヤの『怒り』を受け止めるように上空で両手を広げて光の中で笑うグレンへ、怒りすらもう無くなって、がむしゃらに殴りかかっていくトウヤ、っていうこの一瞬を、ずっと目指していました。いやもうずっと目指してたんですよ。こうやって喋っていただけるのも本当に感慨深いです。9−1で『逆鱗』を出した時には逆鱗で決着を付けに行くはイメージしていて、7−4でハリが影分身の練習を始める時点から、「ハリが倒れたと見せかけて影分身で本体は逃れてて最後にトドメを刺す」ことも決めていました。トウヤが影分身を教えようとしたのは無論グレン戦を意識してのことではありませんが、7−6のクオン(ルカリオ)戦でトウヤがハリに「『アレ』は使うな」と指示している『アレ』は影分身のことで、これは「グレンと試合になったときに影分身を切り札にできるよう、覚えていることを悟らせないため」の指示です。作者が、という以前にトウヤ自身が、グレンといつかこうなってこうやって試合で決着をつけることになるとこまで、ずっと意識していたのでした。 いやしかし、色々と、奇跡的と言いたいくらい、我ながら綺麗に決まりました。もうこれ以上の試合シーンは二度と書けなくてもいいくらいです。 >それにしても背中ごしに右手をあげて去るなんて、主人公らしいけどトウヤがやると、ちょっとふふっと笑ってしまいますね。 こういう恥ずかしいことをサラッとして笑われてくれるところが彼の良いところです! >お互いにお互いを救ったような そうですね……グレンもきっと結果的にはこの試合は負けるのが正解だったんじゃないかと思います。グレンは逆切れしたりはぐらかそうとしたりしつつも、やっぱり罪悪感というのはめちゃくちゃ抱えてここまで来ていました。勝ったら勝ったで、グレンの中に、ずっとしこりが残っていたかもしれません。トウヤパートの終わりに >僕は、――僕らは、ちゃんと、グレンに勝ってみせたのだから。 っていう語りがあるんですが、これは自分たちのためだけでなく、グレンのためにも、ちゃんと、勝ってやったっていう、そういうアレだったんやろうなと思ってます。乗り越えるべき壁。今後行き先の暗闇を見るにつけ、今のうちに、乗り越えられるべき壁。 >ライナー あ〜! 正直10巻のアレ以降の記憶が曖昧なのでライナーが葛藤している様子については詳しく知らないのですが、はえ〜……そうなんですか。私はベルトルトが好きでした(名前曖昧)。 決定的に違うのは、グレンが彼のように強い使命感によって動いていた訳ではないという点ですね。どこまで喋っていいのかよく分かりませんので黙りますが、グレンは彼の二千倍くらいフワフワしている普通のバトル大好きおじさんです。 ●10−7〜8 >意図あって途中で切られてるとは思うのですが、まとめた方が感想がやりやすい気がしたのでまとめさせてください 余談ですが、いやはや恐れ入りました、海さんさすがの洞察力です。この回は元々一話だったのを分割したんですよ(褒める所が違う) >雪 9章前の『雨の行方』という更新分の終盤にミソラが雪を語るポエムがあって、 > そしたら、もっともっと、雪が降って、ずっとずっと降り続けて、うずたかく積もって、家が、雪に埋もれてしまえば。いや、町の外まで、埋もれてしまえば。世界中が、深い雪に埋もれてしまえば。 > トウヤは、外に出られない。少なくとも、冬の間は。そうやってココウに閉じ込めておけば、彼がココウから消えてしまうこともない。 という感じで、『トウヤがミソラの前から消えないように閉じ込める・ミソラに味方する存在としての雪』だったものが、『ミソラがトウヤの前から消えられないように閉じ込める・ミソラを害する雪』に変貌するのが、ミソラの物の見方が9−10章で一変しているのを如実に表していてお気に入りです(自己満足)。先の話になりますが11−1の二人で歩いていくシーンでも、ミソラ視点で描写するココウの町は(ミソラ視点としては)かつてないくらい汚らしいものとして描かれる。 それはそれとして、 >ミソラはいつも、逃げ場所を探していたような 心理描写は部分部分としてはその場きりの感覚に委ねて書いていることが多いので、「いつも」逃げ場所を探していたのかは私も読み返してみないとよく分からないところなのですが(この作者フワフワだ……!ww)、読者目線でそういうイメージが残っているならそうなのかもしれません……みちょらかわいちょう…… ミソラを書く上で長いこと意識してきたことなのですが、ミソラはまっすぐな良い子である一方、子供の子供らしい『残酷さ』というのをしっかり持っている子供でもあります。カエルに爆竹をつっこんだりバッタの足をもいだりするような、大人がぞっとするようなことを興味本位で平気で行える、年甲斐の無邪気な残酷さを、お利口なお人形さんの顔の中に持っている。9章10章は、ミソラのそういう子供らしさ――幼さが、表面化して現れてくる、そういう章でありました。傍から見れば明らかに誤っている『都合のいいこと』で自分を正当化して、逃避することで自己防衛を図れる。忘れてしまえばいい、という閃きで解決したような気になっているのは、仰るようにミソラの幼さの最たるものだと考えます。かわいい。愚かでかわいいよね。ただ、「トウヤも許してくれるだろう」とミソラが考えてしまうのは、しょうがないかなとも思います。それはトウヤが悪いし……今まで許してきたんだし……そういうキャラ性に読者さんにも見えていて、11−1でミソラと一緒に「は?」ってなってもらえたなら作者としては僥倖です(? >10-6で追い風に乗り光を見たトウヤとは裏腹に、冷たい北風に向かって走るミソラ。 >似たようなことを、トウヤとグレンのやりとりの中で、トウヤが思っていたじゃないですか。 >光。これは、10-6との対比なんですか。 この作者もビックリの洞察力ですよ いやあ流石は海さんですね……(明言は避ける >「忘れてしまえばいい。」…………そうきたかーーーーーー >こうやってミソラには自ら記憶を消去できてしまうなにかがあってだから最初に記憶をなくした状態で砂漠にいたんか……?という展開に持っていくのかと思ったら 10章〜11章間でこういう風に予想してドキドキしていて貰えてたら嬉しいな〜と思ってた部分なのでよかったです! 11−1の突然の俗展開との落差にズコーしてほのぼのして欲しかったのです 余談も余談です。ミソラが原因不明の記憶喪失キャラである以上、「忘れてしまえばいい」「忘れちゃった!」と言わせる展開は小ネタとしても面白いからどっかで入れたいな〜と思っていました。元々入れる予定ではなく、ぶっちゃけ進行的に無くてもよかったんですが、その方が10章の引きが圧倒的に映えるなってのと、ミソラに最後に「嘘を吐かせる」ことで「ココウ組全員嘘吐き」というオチが綺麗にしまるなって感じで。結果としては読者の期待のハードルを盛大に潜り抜ける11−1になってしまってる気もしますが、11−1で作品の雰囲気を一変させる展開を作る上で「ミソラの嘘がバレる」という要素がうまく生きたかなあと思ってます。ミソラが忘れたフリをしている不気味な日常は「ココウ、〜」の一話にしか突っ込めなかったんですが、物語のテンポ感を無視すれば3話分くらい書きたかったな〜。忘れちゃいました!って報告された時の各々の反応とか、作者は見たかったです。各々の「えええお前マジか……えええ……」って顔見たかったです。絶対面白い。 >トウヤ、……作者メッセージでも仰ってますが、ポジティブスタイル……変わりましたね……。 よく見てください! ポガティブです! ポ『ガ』ティブです!! ポジティブとネガティブの融合体です、私は『ヤケクソ』とも読み替えます 元来トウヤは卑屈で自己評価が低く、特に6章〜10章くらいの状態でハリが「従者をやめたい」と言ったら「嫌われた」とすぐに考えそうなものです。グレンとのあれこれを経てトウヤが変化したことを書きたかった回なので読み取っていただけて安心しました。グレン戦を通じて、トウヤが得たものは、手持ちのポケモン達が「従者」である以上に「自分の味方だ」という『信頼』なのかなあと思っています、作者は。ハリもハヤテ(もメグミ)も、トウヤの考えていることを分かっているようないないような感じで、トウヤとしても手持ち達は身内ではあるけど相談相手とかではなく。ここまでは「僕がなんとかしなければ」って感じでしたが、試合を通じて、100%こちらの肩を持って行動してくれる味方がいる実感を得られた。これからミソラ問題や諸々の課題へ対決姿勢を取る上で、手持ちの存在は今まで以上にトウヤの心の拠り所に……な……なるかな。なると思いますね(目逸らし >いやしかし戦い抜くと言い切ったトウヤはなんだか、ちょっと、心強いです。 私としてもこの文章は感慨深いところでした。トウヤはこれまでの人生としても全体的に流されるままという感じの楽な生き方をしてきた人物であります。8−2では、 > 冬が来る前に、雪が降る前に。ミソラは念願を果たすだろうな、と思う。十連勝をして、ご褒美をもらい、そのうちに、仇の『誰か』を殺すのだろう。あの子の望む通りに。それまで、僕はやはり、今までそうしてきたように、押し流されて、添い遂げるのだろうか。夢を叶える、ミソラの横に? > リナが、殺すのだろうな。おそらく。あの鈍い牙で、喉元を掻っ捌くのだろう。あるいは―― こういう文章があります。流れのなすがままにされるなら、それが最善、仕方ないとも思っていたかもしれない。だけど結果としては、トウヤの予想は外れ、初雪が降るまで彼は自分の意思で生き延びて、11章ではミソラに「思い通りにはさせない」宣戦布告を果たした。最悪の状況まで持ち込んでからやっと能動的になったような彼の変化が、今後何をもたらすか。 この章、トウヤだけは上がって終わるんですけれど、他の三人は全員下がって終わるんですよ。だから余計心強く見えるのかなあと思います。そろそろ頑張って欲しいところ。いやまあ作者は彼にしては既に結構頑張ってる方だと思ってるんですけどね。でももうちょっと頑張ってほしいよね。 >アズサパート ここ、実は、まったくもって確信に触れずに進行しています。作者も「フワッフワすぎてどういう風に読まれるか全然分からないし多分理解してもらえないのでは」と思ってたんですが、申し訳ねえ、感想を見る限りおそらく読み違えられていますね! ここ含め、「アズサが何なのか」という話は少し前から小出しにしているのですが、ちょっと誤魔化すあまり表現が難解になりすぎて(進行中のお話の芯からかなり外れていることもあり)誰にも触れられたことがないので、誰ひとり理解していないかもしれない。遅くとも12章中には意味を理解してもらえる部分のハズなんですが、せっかく触れていただいたので、このシーンについてちょっと解説を入れさせてください。 ■■■■もしノーヒントで推理楽しみたい派だとしたら暫く読み飛ばして欲しい■■■■ > グレンがリューエルの団員だったとトウヤが言った。 > 彼の言葉(※上記)がアズサの中で『別の事象』と繋がったとき、一斉に血の気が引いていった。 グレンがリューエル団員かもしれないということは、アズサは薄々勘付いていました。「血の気が引いた」のは『グレンが団員だったこと』に対してではありません。繋がった『別の事象』に関してです。それが何なのかと言うと、 >〜トウヤが、知らぬ存ぜぬのふりをして、長いこと彼を泳がせていた。 > では、――自分は。 ここです。『グレンがリューエル団員だと知りながらトウヤが彼を泳がせていたこと』、と繋がった、『自分に関する』ある事象。 この直後、「トウヤがアズサに『君のことを信用していいのか』と聞き、信用していいとアズサが答えられなかった場面」の回想(6−2です)が入ります。それから、アズサが『トウヤとの関係性を真実だと感じていたこと』に対して後悔しているような描写が入る。これは『トウヤからの信用に対する信用』が揺らいでいる様を書いています。そして、 >だからあの日、皆で笑いあって、一緒に写真を撮って、アズサはあの時、なんだか本当に幸せなような気がして、この空間の幸福さが、本当の本当に、『本物』なんだと感じてしまって――、その間、もしかしたら自分はずっと。 『泳がされていた』のだとしたら。 『泳がされていたのかもしれない』と、考えて、怯える。誰に泳がされていたのかというと、つまり、トウヤにです。グレンがトウヤに泳がされていたのと同様に、自分も泳がされていたのだとしたら。 何か仕事を失敗したというようなこと、11−1ではユキがそれに対して「今更だよ」と笑う場面がありますが、実はこれは「グレンがリューエル団員だと気付いていなかった」ことに関してではありません。……わ……わ……分かっていただけたでしょうか。分からなくてもいいんですけど、せっかくなのでもう一つすぺしゃるひんとを出すとすると、9−のリュエール第七部隊のシーンまで戻るんですけれど、ミヅキの台詞に >「ココウってど田舎だから、駐在レンジャーいなかったんですよ。いたんだけど、駐在所自体が十年以上前に撤退してる。けど三年前になって、突然戻って来てる」 「三年前……件のバンギラスの事故の時期か」 「そうです、そして」イチジョウが出したポケモンの名前に、ミヅキはあからさまに渋面を浮かべた。けれど退かなかった。「ワタツミでラティアスを取り逃した時期とも重なってる」 >「『サダモリ アズサ』。現在のココウ駐在レンジャーの名前、なんと十八歳の女の子! しかもサダモリ教育長官の娘ですよ? レンジャー訓練学校をトップ成績で修了した金の卵を、本部やその周辺でなく、何故あんな田舎の駐在に? ねえ、これって変じゃない?」 というのがありました。なんとなく分かっていただけたでしょうか。いや分からなくてもいいんですけどね。アズサ関連については情報が後出しになりすぎるので書きづらくて弱っています。遅くとも12章くらいにはマトモに話せるようにな……なると……なると思います。 ■■■■ここまで■■■■ 自己満語り失礼しました。まあここまで全部自己満語りなんですけどね。語らせていただいてどうもありがとうございます。もうちょっと語ります。 >タケヒロ >グレンとトウヤの間ではひとつ完結したけれど、タケヒロにとっては置いてきぼりを食らったような感覚なのだろうな、と読んでいて思います。 まさしく仰る通りです。二人がすっきりしようが、タケヒロの守りたがった日常が崩壊してしまっている事、そうさせた一因が二人にも多大にあることには、変わりがない訳です。 グレンは自分のことを悪い奴だと思っています。グレンが騙していたのはトウヤだけではなく、言ってしまえばこの町の全ての人でありました。タケヒロがリューエルを嫌っていることも知っていて、知りながら隠して兄貴面を続けてきていました。当事者のトウヤとは同じ立ち位置で戦って、和解と言うか、敗北したことで許されたような気もしているけれど、タケヒロに対する自分自身はグレンにとっては許されざる存在なんです。グレンがこの場面でタケヒロにもっと優しく誤魔化していれば、タケヒロの気持ちは少し違ったかもしれませんが、グレンはここで良い奴ぶることを自分に許さなかった。グレンの態度は彼なりの不器用なけじめではあったのですが、グレンが『良い奴』の仮面をつけなかったことが、結果としてタケヒロを叩きのめした。 タケヒロが、それでも、それでも、と頑張ろうとするところも、また子供らしさだと思うんです。諦め方が分からない。希望の捨て方が分からない。人の期待、また自分で自分に賭けてきた期待を、裏切る勇気もない。諦めないでほしい、と読者様に言われると、ウワ〜……(感動)となるんですが、それはそれとして、「全部崩れてしまえばいい」という真っ黒な本音を抱えながらまだ『良い子』を続けてしまうタケヒロは、諦められないことが、強さでもあるけど、そのまま弱さでもあると思うのです。タケヒロがグレン家ではなくトウヤの部屋に居候することを決めたのは、きっと、ただの惰性です。ポジティブに『ミソラを止める』と猛進し続けるだけの力は、もうタケヒロには残っていない。でもやる。タケヒロにはそうするしかないですからね。今後のタケヒロにご期待ください!!(?? ●ココウ、この場所に残された日々 前述したミソラが演技をしている間の日々の説明と「最後の一文が次話タイトルに繋がる」というのをやりたくて作った一話でした。どこもかしこもですがご丁寧に感想を書いてくださって本当に恐縮です。ありがとうございます。 >アァッヴェル……近いですね……。 11−2でちょっと元気になってる! 元気になってるから!! >トウヤが考えている以上にハギさんには筒抜けなんじゃないんですかね そう思いますよね。私も薄々そんな気がしています。気付いていないのも不自然かなと。でも一体、気付くってハギさんは何に気付くんだろうとも思います。 >アズサパート 前述したようにアズサの病みは他三者とはかなり毛色が違う(全員違うと言えば違うんですが)上にまだ説明できない部分が多く、どう書いていいものかと思案した末モノに頼ってみましたが、良い感じになっていたようで何よりです。彼女もなんだかんだで厄介者たちがもたらしていた賑やかな日常を大切に思っていて、それが失われた時に初めて、大切だったことに気付いたんじゃないかなと思います。 >タケヒロパート この辺まで来て、タケヒロという子が、ようやく自分の創作キャラらしくなってきたなと感じています。明るくて前向きで一生懸命で、自分の正しいと思ったことをとことん正しいと信じて突き進んで、っていうど光属性のキャラクターをずっと描いてきたんですけど、拗れはじめてやっと肌馴染みしてくるというのは皮肉なものです。今までも、同じ捨て子?の身でありながらハギ家でぬくぬくと生活しているミソラといるとき、惨めさのようなものを滲ませるシーンは何度か描いてきました。が、それでも不貞腐れずに、置かれた境遇の中で一生懸命輝こうとしてきた少年のことを、グレンもアズサも認めていた。そういうタケヒロのことを読者さんにも認めてもらえてよかったねとタケヒロと言ってやりたい。でもタケヒロは、彼らの発言を受けて、自分の人間性を評価されて頼まれたとは全く思えていないのが悲しい。タケヒロは強くあったことが彼の中で当たり前になっているので、自分の卑屈さを認識し始めた今、そちらにばかり目が入って益々沼に嵌りかけている状況です。ミソラの道化を見て彼が失望した理由、海さんの考察を見て、ほわ〜となりました。このシーンは、タケヒロが守りたがっているきらきらした日常の光景のひとつであった例の呪文まで、「忘れちゃった」と至極簡単に無下にするミソラの対しての失望でした。なるほど。そうかもしれない。逃げられずにいるタケヒロの前で、ミソラは逃げていますね。酷だな〜。 >ハリにしろハヤテにしろ、ミソラへの警戒心が本当、ね……辛くなりますね。 本作の世界観では、ポケモンと言うのは人間よりももう少し思考が単純な生き物であります。ハリもハヤテも生まれた時から人間と共に暮らしてきて、特にハリくらい長年(14年くらい)人間と共に過ごしてくると人間の思考の煩雑さをだいぶ理解するようにはなってくるのですが、彼らはボールの中で、主人へ本気でナイフを向けたミソラをしっかり目撃しており、その印象ははっきり頭に刷り込まれています。現在は自分を警護しろと言うトウヤの指示に忠実に従っている状態です。が、半年間トウヤと仲良くしていたミソラの姿をきれいさっぱり忘れた訳ではありませんし、その印象が完全に覆ってしまった訳でもありません。ミソラがまたトウヤに手を掛けようとしたら、全力で守ろうとはするでしょうが、ミソラを躊躇なく殺せるかと言うと、かなり微妙です。 >ミソラは誰のことも信じられなくなっているのでしょうか。 ミソラが一番信じられなくなっているのは、多分自分自身でしょうね。 >前々からココウって漢字だと「孤高」と表せるなとも思ってたんですが そう……孤高とも表せる……糊口とも表せる……虎口とも表せる まあ後付けなんですけどね 今回タイトルでも意識はしましたが完全に後付けなんですけどね 後付けすぎて何もまともなことが言えません 孤独ではあり、孤高と言えるほどかっこいい状態のキャラはいませんね。はぐれもの、としてのアズサやタケヒロは、孤高と言えるような気高さに憧れはありました。過去形です。 ●11−1 >>リナがミソラを嫌っていることに、いよいよ、トウヤは気付いただろう。 > もしもこれまでで書かれていたなら大変申し訳ないのですが、リナとミソラについて、微妙な関係性を描かれてきたことは多かれど、リナがミソラを嫌っているとはっきり書かれたのって、これが初めてでは……? あ〜ごめんなさい! 書き方が悪かったかもしれません、この文章はミソラ視点の語りになってますので、神様視点にすると リナがミソラを嫌っていることに、いよいよ、トウヤは気付いただろう(とミソラは思った)。 という文章です。『ミソラが思った』は『トウヤは気付いただろう』だけでなく『リナがミソラを嫌っていること』にもかかっているので、リナがミソラを嫌っていると断定している文章ではありません。大変失礼いたしました! ちょっと今すぐには思いつきませんがなんか考えて訂正しておきます。 ミソラは『リナに嫌われている』と思い込んでいますし、『リナに嫌われているかもしれない』ではなくて『完全に嫌われている』と考えています(トウヤの手持ちが完璧にトウヤに寄っているので、自分とリナの状況を比較して余計そう感じてしまっている)。リナがミソラのことをどう思っているかについては、ここで断言するのもどうかなとは思いますが、『毒があると分かっている食べ物をミソラに食えと言われて食おうとした』という行動の時点で、ミソラの機嫌を取ろうとしているようにも取れ、完膚なきまでに嫌っているとは言えないのではないかなと。10章末でココウから走って出ていこうとしたミソラを、リナは追いかけている。理解しがたいミソラの行動を前にして、それでもハギ家に滞在し続けている。モンスターボールは収納している状態では拘束具ですが、ボールから解放されている状態で行動を制限するものではありません。ミソラの元から逃げようと思えば、リナはいつでも逃げられる状況です。 リナは一番最初はミソラの言う事をあんまり聞きませんでした。2章で捕獲し、4章ではミソラの指示を無視して勝手にバトルしたしります(章中で若干言うことを聞かせられるようにもなる)。5−1裏ではミソラのことを『家来』と評しながら、ミソラに悲しい思いをさせたトウヤに対して怒ったりして、なんだかんだミソラのことを気に入っている様子です。そして8章に入って、本格的にミソラとリナがスタジアムで特訓をし始める。ミソラはリナのことを相棒だなんて呼ぶ。ミソリナの関係がおかしくなったのは8−11(ミソラとタケヒロの試合回)の冒頭で、正確には8−10ラストです。8−10ラストで、タケヒロがミソラに「俺が勝ったらお前は復讐をやめろ」と言われて、ミソラが激しく動揺する。リナはミソラの機微を敏感に感じ取るポケモンなので、『タケヒロに負けたら復讐をやめる』という条件を提示されたミソラが動揺している、つまり『復讐するということについて確固たる自信を持っている訳ではなかったこと』に、リナは気付いてしまう。そしてミソラの内心を鏡写しにするようにバトルすることを戸惑う姿を見せる(8−11冒頭)。リナ自身は好戦的な性格ですが、主人であるミソラの戸惑いを感じ取って、バトルするのを躊躇したのです。だが、ミソラの為に戸惑っているリナに対して、ミソラは >「馬鹿だよね。タケヒロさ。あんなこと言って」 呟く。抑揚がない。声に力がない。込める力がどこにもない。 「僕たちに、勝てる訳ないよね。余裕でしょ、ねえ、リナ」 違う。しゃがみこんで、抱き寄せたほうがいい。大丈夫だと嘘でも伝えたほうがいい。理解しているのに、それができない。だって大丈夫なんかじゃない。心はとっくに八つ裂きにされて、もうばらばらになっている。 自分がそうなっていることに、リナがこうでなければ、気付かなくてよかったのだ。 「リナはさ、今までさ、ずっと知らん顔だったじゃない。戦うの、好きでしょ。好きなように、戦ってたでしょ。ねえ、いいんだよ。それだけでいいんだよ。……なのにさあ……」 こんなことを言ってはいけない。分かっている。でも止まらなかった。胸の破れた部分から、涙の代わりに、震えながら声が漏れた。 「なのに、なんで、今になって、いまさら、そんな風にするの?」 ひくりとリナの右耳が揺れる。 僕はなんと身勝手で、わるい主人なのだろう。 戦ってよ。倒そう、リナ。振り絞る声が、遠い歓声に、呑まれる。小さく頷いた相棒へ、ミソラはまっすぐにボールを向けた。 こういうことを言って、自分のことを思ってくれるリナを、突き放してしまった(長い引用ですいません)。 9−1後半で二人のわだかまりが表面化します。ミソラはこの頃から自分自身に対する不信を抱き続けていて、リナに対する感情も何が本当の気持ちなのか自分で分からなくなっているし、『嫌われた』と思い込み始めます。が、8−11で突き放されたことで『嫌われた』と思い込んだのはリナだって同じですし、リナだってどう接していいのか分からないのです。まして10章の諸々です。リナは、ずっと懐いて甘ちゃんしていたトウヤに対してミソラが突然刃を向けたことに普通に困惑していますし、それが突然(ココウ、〜のあたりのように)またヘラヘラしはじめた意味も全然理解できていません。でも完全にヤバイことになってる主人の元を去ろうとはしていません。それはハギ家の他のポケモン達と築いた関係性もあるのかもしれませんが、ミソラに対する愛着もあります。ミソラとリナの問題は、こう見ると、ミソラの態度次第な気もしてきます。新米トレーナーならではというレベルのわだかまりではなくなっていますが、新米トレーナーらしく(?)主人思いのポケモンとすれ違ってしまうような場面も書きたいんやって感じです。リナは作中でもトップレベルで憐れで私も申し訳なく思っているので、早く仲良くなってほしいです……う〜ん(目逸らし >11-2や以前にも、リナがトウヤを主人としているのかのような、でもトウヤは主人ではないと言い聞かせたり、主人じゃないから叱らなかったり……トウヤが相当気遣ってるのは覗えます。リナは迷ってるんでしょうか。ミソラのことを嫌っていて、いっそトウヤのポケモンになりたいんでしょうか。 以前にもトウヤがリナに主人云々の話をしたことがあるのを覚えててくださって嬉しいです(10−3ですね)。これも余談にはなりますが、ミソラはトウヤのことをポケモン扱いの名手だと思っているしポケモンのことなら何でもお見通しだと思っているので、『リナがミソラを嫌っていることに気付いている』『その原因(8−11→9−1)にも気付いている』と考えていますが、トウヤはミソラが思っているほどエスパーではないので、実はよく分かっていません。「なんとなくうまくいってないっぽい」くらいで、具体的な原因が何なのかは全く特定できていません。リナとミソラが仲良くなればミソラが落ち着くんじゃないかと考えてる(この考えはトウヤ自身の体験談によります)ので仲良くなってほしい、二人を仲良くするためにはリナの主人面をするのを避けなきゃいけないと思っています。リナがそんなトウヤをどう思ってるかですが、主人であるとはこれっぽっちも思っていません。4−7末、5−1裏とかに書いてるんですが、リナは本来はトウヤのことが嫌いで(嫌いになったタイミングはチャンバラ(1)なのですが……自HPにしか掲載してない糞乱文(http://nekoanizya.hishaku.com/text/gessyoku/chanbara.htm クソ乱文なのでマジで読まなくていいです)なので……これでリナが嫌ってる理由を説明していると思い込んでいた作者浅はかすぎて無理……恥ずかしい……)、7章8章あたりでミソラと共にトウヤに稽古をつけられるようになってからトウヤを認めはじめ、「主人の上司」みたいなイメージで認識するようになりました。トウヤの手持ちになりたいっていうよりは、直属の上司がおかしくなってるのでもっと上の上司に指示を仰ぎたい、みたいな感じですね。 >この部分に限った話ではないですが、季節の移り変わりや時間の流れを大切にしていらっしゃる月蝕ならではの、移ろいを感じさせる描写だなと思います。 ありがとうございます。作り上げていく日常、そして崩壊する日常の物語です。壊れて、戻ってきて、回想して哀愁に浸る。書いていて、随分遠くに来たなあというような気がしました。作中では8か月くらいの出来事なんですけれど、まあ9年ほどかけてここまでやってきて、9年かけて育てたミソラをボロボロにして、これからなんだよなあ。ツーが飛んでいる様を見ている前後の部分の描写は自分でもとても気に入っています。 トウヤはココウのことが好きではありませんが、嫌いとはもう言えません。グレンはよそ者という言葉を頻繁に使い、俺とお前はよそ者だからこの町の人間とは違う、という選民意識のようなものをずっと持ち続けていたのですが、トウヤはココウの俗さに染まってしまっていると自分で考えています。この町のことを薄汚れて醜いと思いつつ、そこで育まれた自分もまた、薄汚れて醜い。そういう意味で愛着は結構ありますね(7−1、7−8とか)。そしてミソラが育まれたのもまた、ココウという町ではあるから、ミソラ自身を育んだこの町を嫌いにならないでほしい、ミソラ自身を否定しないで欲しいと。 > トウヤの変貌ぶりは前述しましたが、本当……最近の暗さを思い返すと人が変わったような……w 9章10章の文量がアレなんですが8章末から11章まで半月も経ってないのでまあ一瞬なんですが、最近のと言わなくても1章から10章まで思い返してまあ「誰だ……?」ってなりま……なり……なりますよね! 分かります!(目を逸らす トウヤの本物がどこにあるのかという話です。個人のキャラクタというものが子供のうちに形成されるものであるならば、10歳までのトウヤは『イタズラ好きの明るいヤンチャ者』でありましたから、そのキャラクタの上にあらゆる性質を上塗りしているということになります。トウヤが今のどっちかというと根暗で大人しい卑屈なキャラクタを形成したのはココウに来てからの10歳以降の話になり、一番最初は(ハギさんに気に入られないための)演技でした。演技はいつのまにか演技じゃなくなりましたが、ポケモンと接している時、グレンに対してムキになってる時、また酒を飲んでる時、そうでない個性は頻繁に顔を出します。トウヤは相手によって自分のキャラクターを自在に変化させて対応する人です。大人しくて健気ちゃんなミソラの前では、トウヤは「大人である自分」を強く意識しているので、大人げない意地悪なことはあまり言わないようにしてきました(ただただ口は滑る)。ですが自分につっかかってくるタケヒロやアズサになんかは、結構大人げない意地の悪さをあえて見せています。11−1のトウヤは、傾向としては、5−10のエトとのシーン、8章のタケヒロに対するシーン、特に8−10後半のアズサに対するシーン(チリーンを投げられた後喧嘩してるとこ)に通じるところがあると考えます。よって私としては豹変したとまでは思わず、ミソラの前で避けていた態度を取り始めた→ミソラとの相対し方が対等に近づいたくらいに思うのですが、いろんな人にツッコまれたので突飛だったんだと思います(反省)キャラぶれ面白おじさんの今後にご期待ください!! >いや、きっと彼のことだから、完全に人が変わったわけではないと思うのです。そんな急に変われるものならばもっと器用に楽に生きてこれていると思うから。ただ、ちょっと視界が広がって、やはりあのグレンとの一戦で確実に何かは変わったのでしょう。見えるようになった、というか。グレンとの試合で逆鱗後のハヤテを見て「自分だ」と思ったり、11-1でミソラを見て「自分だ」と思ったり、トウヤは見えるようになったものが増えた、ような。でもそれが彼にとって大きな一歩であることを信じたいです。 20回くらい「そうです」って言いたい……ありがとうございます 変わるのはいいんですが調子に乗り過ぎないか作者は心配です。子供とはいえ、同居人とはいえ、傍にハリがいるとはいえ、寝込みに本物のナイフを首元に触れさせた相手に対して、「殺せるもんなら殺してみな」と煽ることができる精神状態が、正常であるとは、流石にちょっと思えません。 >アズサもね……トウヤが前を向いたのなら、自分も前を向こう、なんて。すごい。なんか……いい意味で月蝕らしくない(失礼)ですね!? なるほどwwwwwwそうかな!? 結構クサいことを言ってきた自覚があるのでそういう印象で見られているとは思いませんでした、驚きです……!! アズサは「舐められない為に捻くれている自分を演じているけど内面は素直で等身大の18歳女子」というイメージで書いています。彼女は登場人物の中では群を抜いて育ちが良く(ミソラを除く)、彼女が青春を過ごしたポケモンレンジャーの養成学校にも(レンジャー志望生が集まるだけあって)結構純粋で前向きな感じの学生が集まってきます、アズサは学校では浮いた存在ではありましたが、性質に関してそこまで例外と言う訳でもありません。○○が頑張ってるから頑張る、という風に相手の影響を素直に受けるのは、私の印象としてはアズサが一番それっぽいですね。四人組で言えば年長だけど、まだ18歳の子供という。 >このアズサとのやりとり、彼氏について愚痴りまくる女の子同士の会話みたいですね(語弊を招く言い方)。 うお……めっちゃいいやんけ…… >タケヒロのトランシーバー、これ、どう考えてもグレンがあえて置いていったやつですね!!!! そう!!!!!!!!!そう!!!!!!!!!!グレンはそういう奴なんですよ!!!!!!!!!!!!!!!背中で語れてるのかどうかはちょっとよく分かんないですけどね!!いないところでも仕事をさせます グレンの今後にご期待ください!!(なお出番 ●11−2 やってきました! 楽しいことになりそうです! リューエルがココウに来るのはロッキー以来です! >待ってください、ココウの田舎にこんなガチな人が来るんですか。 ところで「冷酷非道のエゴイスト」って響きめっちゃよくないですか? 冷酷非道のエゴイスト。リズムも響きも字面もイイ! 冷酷非道のエゴイストって思いついた瞬間に書かざるを得なかっただけなので実はあまり意味がないです。すいません。キノシタって名前の時点で既に弱そうなので大丈夫です。 >アヤノ スグルとアヤノさんがどういう関係だったのか書いたのか書いてないのかよく分からない(フワフワ作者並)のですが、アヤノさんは若宮家が存在したホウガという町で研究者として働いていた人で、家もご近所でした。スグルは確かアヤノの後輩にあたるポジションだった気がします(スグルの方が実績は上げている)。違ったらすいません。私的な意志……どうでしょう。アヤノさんはスグルの研究者としての腕前を高く評価していました。 グレン絡みの話は、10章時点ではシリアスまっしぐらで演出していたのですが、結局は「何がしたかったのかよく分からない」という状態に置くことで面白おじさんみを感じてもらいたいと思っています。11−1の部屋の掃除とかの話もそうなんですが、いなくなったからこそ弄り甲斐があるというものですね。9〜10章で激重シリアスはとりあえず終わらせて、11章はポップなジェットコースターにしたいのでこういう構成になってます……ちょっと自分でも何を言っているのかよく分からなくなってきました…… >このトウヤの前向き思考は褒め称えたいものですが、どうにも足を掬われてしまうのではないかという懸念が…… いやめっちゃ分かる……今ふと思ったんですが、9章の宿でリューエルの部屋に侵入してやらかした時の浮つきにちょっと似てますね。今ふと思っただけなのでこの発言は別にフラグとかではありません。あの時よりは地に足付いてるはずなんですけど、地に足ついてる方が、掬った時のダメージ大きそうですよね。いや今ふと思っただけなのであんまり意味はないです。本当です。すいません。コメ返書きすぎて訳分からなくなってきました。今何文字だ??? >そもそも何がどうなったら「なんとかなる」になるのか…… そもそもトウヤはついこの間まで『ラティアス』という名前さえ知らず、メグミの希少価値もあんまり理解していません。グレンの忠告は聞いてはいるつもりですが、グレンが伝えたがったほどの深刻さは感じておらず、自分がラティアスを連れている事の重大さにてんで気付いていないのです(リューエルがラティアスにどれほどの価値を感じているのかも謎ですが)。 >これ、ヴェルがヨシくんのことばかりでなくトウヤもまた大切に思っている一瞬で、 けれどトウヤは気付いていないんだよなあ どこもかしこも間の悪いすれ違いばかりです >狙ってるとわかってるうえで言いたいんですが、ちょっっっっっとだいぶ可愛すぎやしませんかね。も、もえ…………。 狙 っ て な い ん で す よ !!!!!!!! この描写必要なんですどうしても必要だったんです仕方なく!!仕方なく書いたんです!!こんなの書きたくなかったんです!!あと3話くらいで分かります!!!本当なんです信じてください!!アアッ苦しい!!何も言い逃れが出来ない!! >これ、メグミがラティアスってこと、この三人知ってましたっけ。 少なくとも、トウヤは、三人の誰にも話していません! 10章までで壊すべきものは粗方破壊し終えて、本章からはどんどんお話を進めていく感じになります。そうなるとほのぼの日常とはなかなかいかないんですが、激重鬱どシリアスよりは動きのあるポップでライトなジェットコースター展開になるんじゃないかなと思っている……の……で……なるかな……したい! したいと思っているので、ジェットコースターにしがみついて「ああああああ!!」ってなってるキャラ達の様子を楽しんでいただければと思います……楽しんでいただけるように頑張ります! すいません我ながら本当にとんでもない自分語り返信文になりました 返信出来ているとは言い難い……何かこうしっかり語っていただいた分報いなければ!と思ってこんなことになったことをお許しください……何故許しを乞うているのかもよく分からない しかし本当に凄いです、感想を書くのってすごいパワーがいることだから、海さんのパワーのすごさも実感したし、なんていうか……実感しました……ちょっと語彙が いっぱい語れて楽しかったです、しばらく本編から気持ちが離れていましたが、ここ数日何返信しよっかな〜と考え返信を綴っているうちに、だんだん、そろそろ本編に戻りたいなあという気持ちになってきました。感謝! また続きもがんばりやすので、お暇な時に読んでいただけたら幸いです。ありがとうございました! 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