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一方、ハルキとリコはというと。
「おーいドゴーム、大丈夫かー?」
「死んでないよね? 死んでないよね?」
「勝手に人を殺すなよ、リコ」
ヒトカゲにぼこぼこにされてしまったドゴームの安否を確認していた。
そこへ、ディグダがやってくる。
「はじめまして。ボクはディグダです」
ドゴームに気づいていないのか、それともあえて無視をしているのか、そのまま二人に自己紹介をした。
「ボクはこのギルドの見張り番をしています」
「あ、お姉ちゃんが言ってたよ! どんなポケモンでも百発百中だって!」
ヒトカゲの足跡がわからなかったので、百発百中ではなかったことになる。
リコが姉の話を出すと、ディグダはそれにかじりついた。
「もしかして、ウォリーさんの妹さんですか!?」
驚きが隠せないらしい。
「もしかしなくてもウォリーさんの妹ですっ」
その反応に満足したらしく、思い切りドヤ顔をするリコ。しかしハルキにとっては、そんなことより、ドゴームの安否と仕事の内容の方が大事だった。
「あのー、雑談のところ申し訳ないんですけどー」
「ウォリーさんは元気にしてますか?」
「うん! 毎日朝五時に起きて夜九時に寝てるから、風邪もひかないよ!」
「ギルドの生活が習慣になってるんですね」
「かもねー」
――ああ、だめだこいつら。ハルキはそう直感した。
☆☆☆☆
一方、カイとヒトカゲは、冒険の準備をしていた。
「仕事もろたくらいで泣くなや、自分……」
「ひっぐ……だってっ……うえぇ……」
カイが感動して涙を流し準備どころではないらしく、一向に進んでいないようだが。
数分後。ようやくカイは泣き止んだ。
「目え腫れてるで」
「うん……ごめん」
「もうええわ。さっさ準備すんで」
ヒトカゲはトレジャーバッグの中を見る。
「まあ準備言うても、こんだけあれば十分やな」
「そうなの?」
「昨日は
使てへんやろ」
「ちょっと見せてー」
カイはヒトカゲの手の中にあったトレジャーバックをひっつかみ、中を確認する。どう見ても昨日より減っている。
「ほらヒトカゲ、オレンのみとか足りないよー」
「そんないっぱいいらん」
「じゃあリンゴは? ひとつしかないけど」
「ひとつあれば十分や」
「『復活のタネ』はひとつもないけど」
「いらんわ」
カイの「持ち物を足そう」という案をバッサリ切っていくヒトカゲ。
「昨日もらったモンもあるし、大丈夫やって」
「じゃあせめてお金くらい預けに」
「いかんでええ。倒れへんし」
すごい自信だ。
「……わかったよ。今回はヒトカゲを信じてこのまま行こう」
カイもこの自信に折れ、このまま行くことになった。
「えっと、滝? だっけ」
地図を広げ、場所を確認する。
「ここだったよね」
「そない遠くないし、さっさ行こか」
ヒトカゲはカイを置いて、さっさと滝に出発してしまった。
「ちょっ、待ってよヒトカゲ! また置いてったりしないでよ!?」