第三十一話:ブースターと日照り石
「僕の荷物!!」
「泥棒!!いやコソ泥!!」
『コソ泥じゃない!こそこそして無いし!!』
「エネコロロはこの前泥棒やめるって言ったよな!」
「泥棒をやめると言ったけれど盗賊の手伝いをやめるといった覚えは無いわ!!」
「返せ!!龍の舞連続!水鉄砲!」
「なら、変身!カイリュー!龍の舞!」
「電光石火!スピードスター!!」
「チャージビーム!」
「…………火炎放射」
ビシャ!バリッ!…ドッカーン!
エレメントと
ブースターの技が決まり、吹き飛んで行く三匹。
『……覚えてろ〜!!』
「でた。ヤラレキャラの
常等文句」
ハヤシガメは荷物と日照り石を拾う。
「え〜と、誰?」
「……グラエナ」
「さっきはどうもありがとう」
「………………」
「あ、そういえばセルシーフが盗む前に紅い石を持ってたのって……」
「………………(冷汗」
『何故?』
「………………(どうしようか)」
『何故?』
「…その紅い石……日照り石を俺にくれ。俺にはその日照り石が必要なんだ」
「え?何故必要なの?」
「それは言えない。(言ったらくれないし)だけど俺にその日照り石をくれ」
「……だめだろ。理由も言えねえ奴になんか渡すなよ。只でさえあのパッチール達がなぜか狙っているしな。悪用されるかも知れねえぞ」
「う〜ん……ごめんね。理由が言えなきゃ日照り石を渡すのは無理だよ」
「………なら!!力ずくで奪うまでだ!!」
ブースターはハヤシガメとの距離を一気に縮め、日照り石を奪おうとする。
「させるか!放電!」
「邪魔だ。悪の波動、火炎放射」
「ぐぁっ」
「連続竜の舞」
レントラーの攻撃を余裕で打ち破り、レントラーを焼く
ブースター。
「この!火炎放射!スピードスター!フレイムボール!」
マグマラシの火炎放射を避けようともせずに当たる
ブースターグラエナ版。
「え?火炎放射が当たったのになんとも無い!?」
「オーバーヒート」
スピードスターは炎に負けて届かず、フレームボールもあっさりと力負けして跳ね返される。
「オーバーヒート!?グラエナってオーバーヒート使えないよね!?エナジーボール!」
「火炎放射。体当たり」
ブースターグラエナ版はレントラーをさらに焼き、マグマラシに体当たりをする。
「アクアテール!!」
「……オーバーヒート」
アリゲイツは
ブースターに攻撃するもこれまたあっさりと跳ね返されて炎がアリゲイツを焼く。
「このっ!火炎放射!スピードスター!」
ふたたび火炎放射に当たりに行く
ブースター。スピードスターは最小限のチョップで壊される。
「光合成…」
「充電…」
「遠吠え…」
「おまえは何なんだ!」
「なにって、俺はイーブイの頃遊んだ仲なのに忘れたのか?マグマラシにアリゲイツ」
「イーブイ!?グラエナってイーブイから進化しないだろ!!」
ブースターはトゥルーファルスを解き、ブースターの姿に戻る。
「ちなみに今は我等のボスの望みを叶えんが為に動いている組織“グランド”の幹部の一匹だ。この前は下っ端…パッチール達が世話になったらしいが」
「あいつらの仲間なのかよ!!」
「……まぁ、否定はしないなオーバーヒート」
「チャージビーム!」
「ソーラービーム!」
「穴を掘る!」
二匹のビームをオーバーヒートで難なく防ぎ、自分の周囲の土を焼き固めてマグマラシが下から出てこれないようにする。
「お遊びはここまでだ。噴煙」
地面から出てきたマグマラシは避けきれずに当たり、レントラーを巻き込んで木にぶつかる。
ハヤシガメはとっさに逃げていたので技の範囲には入っていない。アリゲイツも噴煙にあたり、吹き飛ぶ。
「電光石火。白火炎放射」
ブースターはレントラーを追いかけ、マグマラシとレントラーに白火炎放射を決める。
「ガッ!」
「ゲェ……(このままじゃぁ負けてしまうし……グランドに日照り石が悪用されるかもしれない……逃げるしか…)」
レントラーは気絶し、マグマラシも戦闘不能になってしまう。
「この!アクアテール!」
「何度も無駄なことよくやるね。そりゃ!」
ブースターは避けることをせず、向かってきたアリゲイツのシッポを
銜え、投げ飛ばす。
マグマラシは荷物の中から何かを取り出す。
「みんな、逃げるぞ!“煙玉”!!」
マグマラシの投げたそれは地面に着くと同時に煙を発生させ、あたりを見えなくしてしまう。
ハヤシガメはレントラーを、アリゲイツは待ってましたと言わんばかりにマグマラシを御姫様抱っこし、走っていく。
「……やられた」
煙が晴れるとそこにいたのはブースター一匹。
ブースターはエレメントの後を追わずにどこかへ消え去っていく。
マグマラシ達はブースターから逃げてきた後、新たな町のポケモンセンターにきた。
「なぁ、マグマラシやレントラーって大丈夫か?」
アリゲイツはポケモンセンターの医師と話かけている。
「あなたもマグマラシさんも比較的軽傷ですが、レントラーさんはやけどが酷く、一ヶ月は安静が必要でしょう」
「そんなに!?ボールの中に入れて機械にかけるだけで治るんじゃねぇのか?」
「そうそう。ポンポンポポポン!ってあっと驚くくらいの速さで回復……するかぁ!!」
「しないのか……」
「しねえよ!!それにこんなことやらせるんじゃねぇ!ポンポンポポポン!って回復するのはゲームの中だけだ!!」
「……アリゲイツはレントラーの心配してないのか……?」
「…してると思うよ。多分。頑張って早く直して欲しいね」
「いや、どう頑張ったら早く治るのか聞きたいんだが」
「あ、そうだね」