第二十二話 もっとあつくなれよ!
翌日、
「ううっ・・・・・頭痛い・・・・」
「飲みすぎやっちゅうねん・・・・」
スパークが頭を抱えていた。と、言うのも昨日スパークは結局飲んだくれになっていたのだ。
(ちなみにスパーク以外のメンバーが彼の暴走を止めていた)
「うう・・・・」
「スパークさんっていつもあんな感じ?」
「まぁ、飲むときは大体こうなるんですよね・・・(汗)」
リーフの質問にファイアが苦笑いを浮かべながら答える。
「そう言えば、昨日の手紙って二通きてましたよね?」
ズルズキンは昨日とは別の手紙を取り出した。
「ん〜と、???????
プ・プクリンのギルド!!?」
ズルズキンが驚きの声をあげる、その声にウォーターも思わず同じような声を出しそうになった。
「ほんな凄いとこから何の用やねん!!」
「落ち着いてください」
「うっ・・・(汗)」
いつになくあわてるウォーターをズルズキンが軽く止める。
「う〜ん、成程成程・・・・」
「で、なんて書いてあったの?」
リーフはズルズキンの顔を覗き込みながら尋ねる。
「まぁ、早い話が遠征するから、助っ人に来て頂戴♪ってことです」
「あ〜あ〜助っ人ね・・・
ってええ〜っ!!!」
「そんな感じいらんから・・・」
その手紙の内容を見て全員の目が輝く。
・・・・・ある一人を除いては・・・・・・
「うっ、それはいつなのだ・・・?」
スパークだ。無論彼は二日酔いに苦しんでる為しばらくは寝ていたい気持ちでいっぱいだった。
「え〜と、また探検隊連盟の方も呼んでいる為、この場所で合流お願いします
って書いてありますね」
「・・・・・・・・」
ほとんどのメンバーはヤル気マンマンである。勿論、一人を除いて・・・・
「日付は三日後で、ここからだと結構時間かかりますから、今からでも行った方がいいんじゃないですか?」
「そうね。じゃあ準備できたら行きますか♪」
「(ううっ・・・・・・・)」
こうして遠征の準備をすることになった。スパークは大丈夫なのか・・・・
「ところでプクリンのギルドって何?」
「え〜っ!!知らないんですか!?嘘でしょ〜っ!!」
リーフの問いにファイアが信じられないと言わんばかりの言葉を言い放つ。
「まぁ、僕も知らないんですけどね!!」
「じゃあ、偉そうに言わないでよ!!」
ファイアにリーフが突っ込む。
「プクリンのギルドはこの辺じゃよく知られてないようですけど、近くの地方ではかなり有名みたいですよ。なんでもそのギルドを卒業できれば、一流探検家の道が約束されてるといっても過言ではないですからね」
「へぇ〜っ」
ズルズキンの説明に全員が納得の表情を浮かべる。
「この辺に、連盟の方が待ってるらしいんですけど・・・・」
ズルズキンが辺りを見渡すと、一人のポケモンの影があった。
「もしかして、あの人じゃないの?」
「そうみたいですね」
リーフとファイアがそのポケモンのもとへ向かった。遅れてウォーター、ズルズキンも向かう。
(スパークは足を引きずってます)
「(ううっ・・・待ってくれ・・・・)」
小声で(彼にしては全力で)叫んでも聞こえるわけない。
「あの〜、探検隊連盟の方ですか?」
リーフがそのポケモンに尋ねる。
「いかにも、もしかして君達が探検隊リーファイか?」
呼ばれたポケモンが振り返りながら答える。
「はい、遠征の助っ人と呼ばれたチームリーファイで、わたしがリーダーのリーフです。よろしくおねがいします」
「僕はファイアです」
「ウォーターです」
「ズルズキンです」
順に自己紹介していく。
「ん、もしかして彼もメンバーなのか?」
ポケモンは遅れているスパークを指しながら尋ねる。スパークは吐き気を我慢しながらも歩いてきている。
「ま、まぁ一応・・・・」
リーフが苦笑いを浮かべながら答える。
すると・・・・
「ふぅ〜
走ってこい〜っ!!!!!!!」←超大声
そのポケモンが思わず耳をふさぎたくなるような大声で叫ぶ。その叫び声に思わずスパークも背筋が伸びる。スパークは吐き気を忘れて走ってきた。
「何をしとるんじゃ〜っ!!!!」
しつこいようですが超大声です(笑)
「全く、シャキッとせい!!シャキッと!!!」
「は、はい!!!」
大声で叫んでいるポケモン、エンブオーはスパークに説教を入れる。
「全く・・・・楽しみなのはわかるが、ちゃんと調整はせんといかんぞ!!」
「は、はい?」
エンブオーの説教はどこか(というかかなり)的を外していた。二日酔いをまるで遠足が楽しみで寝られない子供と同じように思っている。
「まぁ、楽しみならよしとしよう、それで君は?」
「す、スパークです」
「そうか、わしは探検隊連盟のエンブオーだ!!よろしくな!!
ガハハハハハハハハ!!!」
エンブオーは豪快な笑い声をあげる。
「いや〜、それにしても探検はいつになってもいいものだな!!
今もこうして心躍っているよ!!」
エンブオーがまるで子供のような笑みを浮かべる。その笑みにはリーフ達もわかる気がしている。
「よし!!じゃあ早速向かうとするか!!!
う〜ん、燃えてきた!!!!行くぞ!!!!」
「ま、まってください!!」
目を燃やしながらエンブオーは走り出した。あわててリーフ達も追いかける。
「ははははははは!!!来れるものなら来てみろ!!!」
「はい」
エンブオーの隣にはすでにリーフ姿が。
「うぬぬぬぬぬぬ・・・・・
なかなかやりおるな・・・・・こうなったら・・・
ニトロチャージ!!!」
エンブオーは炎を纏いながら走って行った。そのスピードは先ほどよりも速くなっていた。
「ははははははは!!!これでもう負けんぞ!!!」
「(なんでこんなに必死なんだ・・・・?)」
猛スピードで走っていくエンブオーをしり目に他のメンバーはただ唖然となっていた。
「はぁ・・・はぁ・・・・やっとついたぞ・・・・」
息を切らしながらそう言ったのはエンブオーだった、見ると彼が一番疲労している。
「大丈夫ですか、エンブオーさん?」
ズルズキンが心配そうにのぞきこむ。
「う〜ん、無理しすぎたか・・・・
とにかく中に入るか・・・」
エンブオーがプクリンの形をした建物の前にある格子に足を乗せる。ここがギルドなのだ。
「(大丈夫あれ?)」
「(たぶんミシっとやぶれそうな気がするんですけど・・・・)」
エンブオーの体型を見たリーフ達が格子が破壊されるのではないかと危惧する。確かにエンブオーという種族はかなり体重が重い。
「「ポケモン発見!発見・・・・」」
足場から突如声が聞こえたが、声がすぐに止んだ。と、言うのも・・・・・
「ん?」
どこからかミシッという音が聞こえた。全員がその音の音源がすぐに分かった。
「えっ・・・・(大汗)」
エンブオーの足元の格子だった。リーフ達が危惧したとおりに今にも壊れそうである。
そして・・・・・
「ぬわあああああああああぁぁぁぁっ!!!!」
格子が破壊されて、エンブオーは穴に落ち・・・・・
てはなく、穴につっかえてしまった。体型上穴に落ちずにはすんだが、つっかえてしまって抜けなくなってしまったようだ。それを見たエンブオー以外の全員が笑いかけていた。しかし、本人《エンブオー 》の目の前では到底そんなことできない。
そしてギルドの扉が開き一人のポケモンが飛び出してきた。そのポケモンは頭が音符の形をした小柄な鳥ポケモン、ペラップだった。ペラップは穴につっかえた状態のエンブオーを見て
「・・・・・・ぷっ・・・
アハハハッハハハッハハハハハ!!!!なんじゃこりゃ〜っ!!!かっこ悪〜っ!!」
ペラップは耐えようとしたが、耐えきれず腹を抱えて大笑いしていた。
するとまた違うポケモンが現れる。そのポケモンはギルドと同じような風体のポケモン、プクリンだった。
「あれ?探検隊連盟のエンブオーさんじゃないの?どうしたの?」
「どうしたもこうしたも・・・見ての通りだ・・・(怒)」
「(え、エンブオーさんって、まさか・・・・・)」
エンブオーの声は怒りで震えていた。ちなみに最後のはペラップである。
「ご、ごめんね・・・皆〜っ!!ちょっと来て〜っ!!!」
プクリンがそう言うと多くのポケモンが集まってきた。ほとんど全員エンブオーの姿を見て笑いそうになるが、かろうじて耐えていた。
「早くエンブオーさんを抜いてあげるよ!!」
「「了解!!」」
全員でエンブオーを抜こうとした。しかしそう簡単に抜けるはずがない。
「痛たたたたたた!!!もっと優しくできんのか!!」
「ふう・・・やっと終わった・・・」
かろうじてエンブオーを穴から抜けださせることができたのだが・・・・・
「・・・・・・・・・(激怒)」
エンブオーの怒りは完全にペラップに向いていた。当然自分の不幸をいいように笑われたからである。
そしてプクリン以外の全員が手を合わせていた。意味はおわかりだろう。」
「問答無用!!!ヒートスタンプ!!!」
「むぎゅっ!!!」
エンブオーはペラップをヒートスタンプで押しつぶした。ヒートスタンプを食らったペラップは、まるでペラペラの紙のようになってしまった。