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君のいない海 作:レイコ 【★】
 浅瀬の岩影ではじめて君の姿を見つけた時、岩の一部かと思った。
 外見なら背負った殻は綺麗に渦を巻いている方がいいし、目はまんまるでパッチリしてる方がいいし、青い触手はなるたけ長さがそろっている方がいい。
 ちょっと高望みかもしれないけれど、たぶん一族同士だと僕を見て同じことを考えるはずだからね。お相子、お相子。
 もちろん君に向かってこんな理想を語ったところで意味がない。なぜなら君と僕は別の種族だったから。つまり、それと分かるくらい見た目が全く違っていたから。君は僕のような渦巻きの殻なんて背負っていなかった。君の体はつぶれた半月型で下半分が真っ黒、上半分が茶色い甲羅そのものだった。君の目はなんと四つもあって、そのうち二つはちょんと甲羅についたまるで黒い砂粒のように小さい目。もう二つは下側の黒い部分についていて、丸くて赤くてちょっと不気味に輝いていた。触手だってそうだ。君は黄色い爪のような四本足では僕のようにくねらせることなど出来やしないだろう。

 要はあの時、見たこともない姿をした君に僕は好奇心をそそられたわけだ。

「やあ、こんにちは」

 僕は早速君のそばまで泳いでいって挨拶をした。表情はほとんど読み取れなかったけれど、突然ふらりと現れた僕に君は驚いたようだった。

「あの……はじめまして」

 あぁやっぱり女の子か、とそこまでは想定内だったんだけどな。
 別段可愛いとは思わなかった容姿から、どこから出すのかと思うような綺麗な声が返ってきたので実を言うと少し面喰らった。おまけに僕の周りにいる女といえば年齢問わず陽気な性格ばかりだったからこういう控えめな反応には慣れてなかったんだ。
 あれ。なんか邪魔しちゃったかな。そんなつもりじゃなかったのに、と僕はなんだか急に自分がものすごく軽薄な奴に思えてきて、無神経に話しかけたことが恥ずかしくなった。

 にしても困ったぞ。まごついたせいで会話の流れを不自然に止めてしまった。だけど僕を見る君の目は僕よりもっとずっと反応に困っている。
とにかくこの気まずい雰囲気を早くなんとかしないと。声をかけた側としてそれくらいの責任は果たさなきゃいけないと思ったんだ。

「えっと、はじめまして。僕は―――」
 名乗った後で、
「君はここで何してたの?」
 よし。完璧な繋ぎだ。
「私ですか? ……これといった理由は特にありません」
 ……うわぁ、なんかいきなり行き詰まったじゃないか。
 どうしよう。そんな風に返されても困る。一体どんな反応をすればいいっていうんだ。
「ほ、へ−、そうなんだ……」
 僕のバカ。こんな上ずった声じゃ取り繕ったのが見え見えじゃないか。
 だけど、君は。

「でも好きなんです、この浅瀬が」

 みゅっと瞑られた赤い瞳。うわぁいい笑顔。さっきまでの君の顔とは見違えるようだった。なんだか、なんだか変な気分だ。
理由がないのに変でしょう? と続けた君に僕は慌ててそんなことないと言い張った。変な気持ちなのは僕だ。あ、いや、そういうことなら僕だってこの浅瀬が好きだ。
 今日みたいに晴れた日は太陽の光が底の白い砂地まで届いて、水の中が明るく透き通るから随分遠くまでよく見える。そうするとむくむく好奇心が湧いて、もっとずっとその先に続く海に泳いでいきたくなるんだ。もちろんそれだけじゃないさ。この浅瀬を探索してるといつも色んな発見があって物凄く楽しい。それにここは食べ物が豊富だ。
 僕の長い説明を、君は口を挟まずに最後まで辛抱強く聞いてくれたっけ。

「ところで君はどこから来たの?」
「あ、はい……デコボコ入り江です」
「そりゃ遠いね。僕はこの近くのトゲトゲ洞窟に住んでるんだ」

 ちょっと慌てがちに話す僕。しっとりと語る君。互いの雰囲気に慣れてきたところでようやく会話も流れ出した。君の事。僕の事。この浅瀬の事。君の事。僕の事。きみの事。キミの事。そして気がつくとすっかり夕方になっていた。君は帰らなくちゃと言い出した。デコボコ入り江はここから遠いから無理もないと思った。だけどなんだか物足りない。せっかく君と仲良くなれたのに。
 このまま、さよならなんて言いたくない。もう一度会いたい。
 だから言った。
「楽しかったよ。今度いつ会えるかな?」
「では……また明日」
 その返事がたまらなく嬉しかった。あの時はそんなに自覚がなかったけど、今ではその意味がよく分かるよ。


 君と僕は“友達”になった。そうしてちょくちょく顔を合わせるようになった。
 今度いつ会おうか。と別れ際に切り出すのはいつも僕だった。
 横に並んでのんびりと泳ぐ日もあった。岩の数を数えて回ったこともあった。君が物凄く綺麗な石を見つけたことがあった。僕がおもしろい形の海草を見つけたこともあった。  

 きっとくだらないことで笑った。たぶんつまらないことで怒った。もしかしたら馬鹿馬鹿しいことで哀しんでいた。ひょっとしたら面白くないことも楽しかった。
 不思議だった。どんな些細なことも、一つ一つが君といれば輝いて見えたことが。
 君が僕より早く「今度いつ会えますか」と言ってくれたあの日。その理由がうっすらとわかったような気がした。


 ある日こんな事があった。天気が良かったのでなんとなく浅瀬に出掛けると、黒い岩の上に登っている君の半月型の後ろ姿が目に止まった。声をかけようとした途端、僕は君への挨拶の言葉をごくんと飲み下す羽目になった。
 突然岩陰から現れた知らない奴。そいつが親しげに君に話しかけている。驚いたことになんと君はそいつに微笑みを返し、とぷんと水に潜るとそいつと並んで浅瀬から深みへ向かい出したんだ。僕はまるで触手一に本残らず吸盤が生えたかのようにその場に釘付けになった。君がこの浅瀬で僕以外の誰かとあんな風に歩いている姿を今まで一度だって見たことなかったから。

 一体何者だろう。僕はどきどきしながら近くの岩に身を隠して、君と連れだって歩くそいつを観察することにした。そいつはこの辺の水中じゃ珍しい二足歩行をする奴だった。そのせいで背がぐんと高くて、ひょろりと細いくせに全身茶色い殻に覆われて頑丈そうに見えた。両手はそれぞれ切れ味の良さそうな鎌型で角度によってぎらりと輝いた。あれならどんな敵もばっさり一刀両断出来そうだった。ただしあの平ぺったくてでかい頭だけはいまいちだと思った。だけど馬鹿にしようものならあの鋭い眼で一睨みされるだろう。そうなれば僕を含めて大抵の奴は怖じ気づくに違いない。
 なのに、あんなに恐そうな奴とどうして楽しそうにしていられるんだい、君は。

 その瞬間、僕は自分が勝手に彼を悪者にしようとしていることに気がついた。
 僕は背負った殻ごと頭を左右に振ってねじ曲がった考えを吹き飛ばそうとした。違う、そうじゃない。あの君が。あの君が仲良く話せる相手だぞ。厳つい見た目と違ってきっと凄くいい奴に決まってる。よく見るとでかいのに君の歩幅に合わせてゆっくり歩いていたりしててさ。すごく親切じゃないか。なんでも見た目から勝手に決めつけるのは僕の悪いくせだ。
 ―――でも。
 ―――だけど。
 一見恐いそいつの鋭い目が君に向けられる度。大切なものを見るかのように優しくなるのがどうしてだか許せない。
「あの!」
 僕は岩陰から飛び出して叫んだ。子どもじみた行動なのは分かってる。でも君の笑顔もそいつの笑顔も、何もかも全部……
君とそいつは振り返って僕を見た。君は僕の名を呼んだ。顔にはいつものように優しい笑みが浮かべて。一方君の隣のそいつはなぜか僕を見てニヤリとした。
 そして。
「お前がそうか。俺の妹が世話になってるとかないとか」

 忘れもしない、あの言葉。
 結局あれ以降、僕は君のお兄さんに一度も頭が上がらなかったな。


 僕と君が“友達”じゃなくなった。それはある星の綺麗な夜のことだった。
 その日、いつも調子で浅瀬で一緒に過ごしていたらなぜか夕方になっても君は帰ると言い出さなかった。不思議に思ったけれど僕は少しでも長く君といる時間が欲しかったからあえて何も言わなかった。
 その間にも太陽は空を真っ赤に焼き尽くし、気が済んだ様子で水平線に隠れてしまった。そして薄い色から濃い色へ順に塗り重ねていくかのようにもどんどん夜が深まっていく。
 それでも君は僕の隣にいた。岩の上の僕らは顔を見合わせることもなく、横に並んだままじっとしていた。言葉も交わさなかった。
 ただ黙って、少しずつ増えていく星を見ていた。
 そのうちに夜空が星で溢れてしまいそうになった。
 さすがに気が引けて僕は君に声を掛けた。
「もう真っ暗だ……帰り、大丈夫?」
「……」
「……あのさ、送ってくよ」
 君は僕の方を向いた。僕も君の方を向いた。
君は僕の目をじっと見つめた。僕も君を見つめ返した。
 君の赤くて丸い目は暗い闇の中で仄かな光を放っていた。
 どんな星より綺麗に輝いて見えた。
「―――ありがとうございます」
 不意に名前を呼ばれ、礼を言われた。
「そんな、送ってくのなんて大したことじゃ……」
 照れてそっぽを向いた僕に君はしっかりとした声で続けた。
「いいえ。いつも、いつも……ありがとうございました」
 そんなにしょっちゅう感謝されるようなことしたかな。記憶にはなかった。
君と一緒にいるのが楽しかったし笑顔を見たかったから。嫌がることは絶対しないように気をつけていたけれど。
 そろりと振り返った僕は、
 君の目の端にきらりと光る雫を見てひっくり返りそうになった。

「ど、どうしたんだ!?」
 ななな、な、泣いてる! 泣いてる! 僕が泣かせたのか!?
「……このままでは……もう、あなたと会えなくなるのです」

 君の言葉の意味が分からなくて。頭の中が真っ白になった。

「ど…いうこと?」
「これ以上、あなたと親しくしてはいけないと……」
 そんなバカな……
「誰がそんな事言ったんだ!」
「一族の者達が……私の兄を除いて、皆あなたと会うことに反対しているのです」
 一体理由はなんなんだ。納得がいかない。
「どうしてだよ……」
「……異性と親密な関係を築くのは、同じ一族の者だけにしろと……」
「……! でも……僕と君は友―――」
「ただの友達……ですか?」

 すがるような君の瞳。“友達”。――――いい言葉だよな。
でも。

「……やっぱり、少し違う……かもしれない」
「私達は親友……でしょうか?」
…… ……
…… ……
…… ……
…… ……

「……ごめん。好き」
「……はい」

 辺りが暗くて本当に良かった。


 その数日後。運命の日がやって来た。君は一族を捨て僕と一緒に来ることを決めた。あの優しい君がこんな親不孝な決断をしたのは身を切られるような思いだったろう。あの時僕は有頂天になって気が回らなかった。ふたりで誰も知らない遠い海へ行こう。それしか考えていなかったんだ。
出発は夜だった。いつもの浅瀬で待ち合わせをした僕の元へ君がやって来た。驚いたことにあの背の高いお兄さんを連れて。
「ごめんなさい……兄にだけ打ち明けたのですが、見送るといって聞かなくて……」
「よお。お前ら駆け落ちするそうだな」
 僕はしれっと言ってのけたお兄さんになんと答えればいいのか分からなかった。
「あれだ、俺も似たような経験してっから……失敗したらぶっ飛ばすぞ」
「あ……はい」
 お兄さんはびくつく僕の殻を鎌で傷つけないようにそっと叩き、君には聞こえないように囁いた。
「まあなんだ、妹をよろしくな」



 深く、深く。出来るだけ深く。暗い海底をめざしたのには顔見知りに会うのを出来るだけ避けるためだった。僕は触手を君の爪のような足に巻き付けて、はぐれないようにして泳いでいった。聞いたことはあって実際見るのは初めてという場所をいくつも通り過ぎた。辺りはますます暗くなり、寂しい光景が延々と続く。途中ですれ違う者もぽつぽついたのについには誰もいなくなった。恐いくらい静かだ。
 やがて目の前に行く手を塞ぐ壁のような高い山が見えてきた。海底火山のようだ。ずっとこうして海底を辿ってきたというのに今から上を目指して泳ぐのも骨が折れる。さすがにあれを越えるのは根気がいりそうだったので、今夜はこれくらいにして明日この山を越えようと僕は君に持ちかけた。君が賛成したので僕らは山の麓に岩陰を見つけると身を寄せ合って眠った。

 しばらくして目が醒めた。でも朝が来たからじゃない。

 不気味な地鳴り。周りの水温がやけ高い。何か変だ。嫌な予感がした。ぐーらぐーらゆっさゆっさと大きく揺れ出す海底。振動に耐えきれなかった大地に次々と走る雷のような亀裂。君が僕にすがりつく。まさか火山が噴――――
 その瞬間、頭を内側から吹っ飛ばすような爆音がした。
上から下から右から左から押し寄せた岩石と土砂と熱水が何が何だか分からないうちに僕に襲いかかってぐるんぐるんと流れにまかせて回転する僕の体がいろんな障害物にどたんばたんとぶつかって鋭い何かが殻や触手は斬り付けて熱水が舐めるように目を焼いて耳を焼いて触手を焼いてどかんと何かにぶつかってただれた触手が千切れたような気がしてどこか知らないうちに遠くまで運ばれてでも回転は止まらなくて熱も下がらなくて痛みがなくなって意識が消えた。だけど最後まで君のことは離さなかった。

 忍び寄るように意識が戻った時、とにかく体が重かった。積もった土砂で身動きが出来なかったんだと思う。真っ暗だったのはなぜだろう。目が焼けてしまったからか、まだ夜だったからか、やっぱり土砂のせいだったのか。声を出そうとした。
 君の名前を呼ぼうとしたけどどんなに頑張っても無理だった。だけどせめて君の存在を確かめたかった。どこにいるのかはっきり分かるまで諦めたくなかった。かろうじて動く触手の一本を辺りに這わせた。こつん、と触手の先端が何か突き当たった。君の甲羅なのか、つるんとした岩なのか。期待と不安で胸が潰れそうだった。
 小さな小さな、消えそうな声が聞こえた。僕の目から血か涙か分からないものが溢れた。
 君が僕の名を呼んだんでくれた。やっぱり君だったんだ。傍にいるんだ。
 ごめん。でも僕は君の名を呼び返すことはできない。ごめん、ごめんよ。
 自分の体がみるみる末端から冷たくなっていく。この感覚を止めようにもどうすることもできなかった。傷の痛みは薄れていくと言うより、どんな痛みだったか忘れてしまった。どんなに気力を保とうとしても四方八方から意識が削りとられていく。意識の最後の片鱗が融けていく氷のように……

 僕はどこかへ行ってしまった。




 (――――かいのカセキにしますか?) 
 (――――こうらのカセキにしますか?)




 ……マブシイ。ナンダ。マブシイナンダ。マブシイッテナンダ。
アタタカイ。ナニ。カンジル。ミズ。ミドリイロ。ドコ。ダレ。ボク。キミ。
ココどこ。ここはドコ?
ここはどこ……?
「Yattazo,Seikouda! Omunaitogahukkatsusita!」
「Yarimasitane!Kasekiwoteikyousitekuretaanoshounennnisassokutsutaemashou!」
 だれ? なにをいってるの? みたことないいきものだ。
 このみどりのみずはなに? とうめいなかべはなに?
 あなたたちがぼくをとじこめたの? だしてよ。ぼくは……僕は――――

 海底火山の噴火に巻き込まれて、死んだはずなのに。

 ぶるぶるぶるぶる体が勝手に震え出した。嘘だ。嘘だろ。
 死んだんだぞ、僕は。なのに今、僕は生きてるとしか思えない。
 嘘だ。こんなのあり得ない。現実じゃない。
 じゃあここにいる僕は一体なんなんだ? やっぱり生き帰ったとしか考えられない。
 一体僕の身に何が起きたんだ? 僕が死んでからどれくらい経つんだ?

君は?

 君はどこだ? 僕がここにいるってことは君もどこかにいるんだろう?
 どこ? どこ! お願い、返事をしてくれ! どこにいるんだ!?
「Omunaitogaabaredashitazo! 」
「Daijoubuda.Sououchiochitsukusa.Doredore,Yoisho!」
 わっ、さ、触るな! お前達が僕と彼女を引き離したのか!? あの子をどこへやったんだ!

 連中は僕を捕まえた。抵抗しようにも体が上手く動かない。彼らは僕を緑色の水の中から引っ張り出すと今度は空っぽの四角い透明な入れ物へ移し替えた。
 僕がそこから目を皿のようにして君の姿を探したけれど、薄暗い部屋の中は緑の水でいっぱいの入れ物がずらりと並んでいる他に何も見つからなかった。
僕の入れられた箱が何かに乗せられて僕は箱ごとどこかへ連れて行かれた。喋っていたのも僕を連れ出したのも君のお兄さんのように二本足で歩く生き物だった。だけど君のお兄さんのように殻も無ければ鎌もなかった。
 薄暗い部屋を抜け出すとふわっと辺りが明るくなった。なぜか空が真っ白で小さな太陽がいくつも昇っていた。ここもやっぱり知らない場所だった。
 だけど嬉しいことがあった。白い壁に開いた四角い穴から見えたんだ。
 海が。真っ青な海が。きらきらと光る海が。
「Yaa,Omatase! Kasekiwohukugendekitayo!」
 僕は二本足の見知らぬ生き物に抱え上げられ箱から出された。そして向かい側にいる小柄な方の二本足へ手渡された。今まで白い奴らばかりだったのに対してその小柄な奴は赤い色をしていた。

 僕は死んだ。なのになぜか目覚めてしまった。だけど隣に君はいない。君がいないというのに僕は甦ってしまった。この先僕だけひとり生きてなんの意味があるのだろう。寂しいよ。苦しいよ。君がいないのに生きていかなければならないなんて。誰だ? 僕と君を引き離したのは誰なんだ?
 こんな事なら君の傍でずっと死んでいたかった。
 君の傍から離れることなくずっと眠っていたかった。
 今君はどこにいる? まだ眠っている? それとも僕のように目覚めている?
 ねぇ海が見えるよ。綺麗な海が。海は何も変わっていないよ。だけど君は隣にいないよ。
 そんなの嫌だ。会いたい。君に会いたい。
 もう一度会えたなら。もう二度と離さない。

 赤い奴は上半分が赤く下半分が灰色の玉のような物を掴み僕の殻に押し当てた。
 意識が遠ざかる最中、僕は誓った。どんなに時間がかかっても。どんな手を使っても。
 必ず行くよ。
 君のいる海へ。
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