ポケットモンスターダークブラック 〜邪神復活〜 ( No.8 ) |
- 日時: 2010/12/16 21:27
- 名前: 夜月光介 ID:vTC7iqDM
- 参照: http://chiba.cool.ne.jp/kinokohonpo/sirokuro.html
- 第3章 10話 『青龍の警告』
翌朝・・・2人はシャワーを浴び服を着替え宿舎での朝食を済ませると、一路ヤカシティに向かって 出発する事にする。それを知っていたザロクとリリィが道路へ向かう道で待っていてくれた。 「コレアタシのポケギアの電話番号ねー。困った時にはかけて頂戴。すぐに駆けつけるから!」 「色々と世話になったな・・・ん?マスクもう付けねぇのかアンタは。」 「アイが帰ってきたんだ。僕の顔が解らなければアイも戻ってきてはくれないよ。それに・・・ 決めたんだ。もう隠さないで生きるって。コレは証なんだ。僕達の絆の証明になる。」 微笑みながらザロクはそう言って手を振る。最初は少々気持ちが悪かった蛇の目も、 2人にはもう気にはならない。彼がどれだけ優しい人間であるか既に嫌と言う程承知していた。 「じゃあ・・・私達はもう行きます。2人共、また会いましょう!」 自転車を漕ぎ出し、2人はカテナタウンを後にした。この先には60番道路が待っている。
朝からの出発で、ヤカシティに到着するのは午後2時頃になるだろうとナツミは予想していた。 朝の9時。暑いが心地良い潮風も吹いてきている。遠くに広がる海を見ながら自転車を 走らせるのはとても気持ちの良いものだった。 「ヤカシティは港がある大きな街よ。カントーやジョウトのトレーナーも腕試しや観光で 集まってくるらしいわ。腕に自信のあるトレーナー揃いだって言うから楽しみね!」 「ああ。ミズチの戦力に不安がある今、レベルを上げておくのは大事だからな・・・ それに余裕があればテレビ局とかもあるらしいし、見ておくのも悪くねぇ。」 海沿いの道を暫く走りながらとりとめも無く会話を続けていると、遠くに人影が見え 2人は自転車を止めた。黒いフードを被った黒づくめの人物がこちらに向かって歩いてくる。 「チッ・・・ダークの連中か。あの時の2人の内の1人か?」 「ポケモンを出す準備をしておきましょう。無防備に構えているのは危険だわ。」 バッグからモンスターボールを出し臨戦態勢に入る2人を見てその人物は笑った。 「ふうむ・・・油断せぬ所は流石と言った所じゃのう。じゃが・・・」 黒づくめの人物はそう言った瞬間両手を前に突き出し指から水を噴射した。突然の行動に 対応出来ず、2人のモンスターボールはその水によって弾かれボタンを押されずに 道端に転がってしまった。反射的にボールを取りに向かったギンガは、そのまま水のベールに 首の下まで包まれ身動きが取れなくなってしまう。 「危害を加えるつもりは全く無い。時が来るまでワシ等のもとへ大人しくついて来てもらいたいのじゃ。」 「貴方は一体・・・」 ギンガの事を案じながらも迂闊には動けないと考え、ナツミは彼に話し掛ける。 「ワシの名はシオジ。ダーク五殺生の一員で青龍の名も持っておるよ。」 そう言いながら男はフードを取った。長い白髪と顔を覆う髭がかなりの老齢である事を感じさせる。 (こんな高齢の人までダークの幹部だなんて・・・!) ともかくこの状況を打開する為には自分達以外の助けが必要になる。そう思ったナツミは 時間稼ぎをしつつついさっき別れたばかりのリリィにポケギアを使って助けを呼ぼうと考えた。 「何故、ギンガを連れて行くんですか?」 「うむ。その事はワシも御主達に話そうと思っておった。ツバサやガドウはその話を聞いて ついてきてくれるとは思えないと言っておったがな。コモレビに言った方が良いと言われたんじゃ。」 (コレで幹部の名前は4人出たけど・・・あと1人は誰なのかしら。) 勿論ナツミはキツネが幹部であると言う事を知らない。鋭い瞳のまま一挙一動も見逃さぬと 宣言しているかの様に構えているシオジは、ナツミの方を見ながら話を続けた。 「P.O.D.が御主達の事を狙っておると言うのは知っているじゃろう。クロガネ様は その魔の手から御主達を守りたいと言っておる。組織に向けての表向きの話としては 『類稀なる能力を持つギンガを生きたまま捕縛する』と言う名目じゃがな。」 「そんな話信じられるか!!」 ギンガは身動きの取れない状態のままで吼えた。目には怒りの炎が燃えている。 「もうすぐ、邪神復活の儀式も始まるじゃろう。その復活に必要な駒も揃った。邪神が 復活した時にはクロガネ様も御主も苦しみから解放される事になる。その時まで ワシ等幹部が全力で匿おうとしておるのじゃ。下手をすれば奴等は御主達の命も 奪おうとしてくるかもしれん。冒険を止めろとは言わん。ただ待ってほしいのじゃ。 今だけは危険じゃからな。今だけは・・・」 「苦しみからの解放?」 「今はそれだけしか言えん。何処で誰が聞いているか解らんからな。本当は正直な所 御主達を連れて行く理由を話すだけで危ないのじゃ。大人しく、ワシを信じて ついてきてもらえんかのう。絶対に後悔はさせんと誓うぞ。」 真剣な眼差しで訴えるシオジの言葉から嘘は感じなかった。しかしはいそうですかと ついていくには相手があまりにも危険過ぎる。ナツミはシオジに気付かれぬ様に 後ろに手を回したままポケギアの番号を押そうとした。 「・・・クロガネ様もあの方も、今は籠の鳥じゃ。ワシ等だけがクロガネ様を・・・ そしてあの方を籠から解き放つ事が出来る。いや、もう少し言えば御主達こそが その役目を担っているとも言えるじゃろう。」 (話が見えない・・・でも、何かを隠している事は確かだわ。) 「あの方に会えばナツミ殿、御主の考えも変わると思うんじゃがのう・・・」 少々俯きながら考え事をしているのか、髭をいじくりながらシオジはナツミから 少し目を逸らした。その時、小刀が彼に向かって飛んできた為、シオジは 掌から水を放ち小刀を弾き落とす。 「邪魔が入りおったか・・・ワシの言う事に嘘偽りは無い!社の者達には迷惑こそ かけておるが、もう少しでそちらにもワシ等の成そうとしている事が解るハズじゃ!」 「そもそも成してはならんのだ。邪神を復活させる事自体がな。それに彼等にも 彼等の生きる道がある。彼等を助ける役目はこの私に任せてもらおう。」 反対側の小高い丘の様になっている場所から小刀を投げてきたのはナユタだった。 動きを封じる為シオジは再び手から巨大な水の塊を生み出し放ったが、ナユタは それを避け凄まじい速度で近付き小刀をシオジの喉元に突きつける。 「守民の力を見くびらぬ事だ。」 「成程、噂には聞いておったが御主が社の忍か。なかなかの力を持っておる様じゃのう。 じゃが、ワシも引き下がるワケにはいかぬのじゃ!」 シオジはナユタを突き飛ばすと、水を浴びせ彼女の動きを鈍らせようとした。 その間にナツミはギンガに駆け寄り水のベールに触れ元の水に戻し、ずぶ濡れになった ギンガと共に再び自転車に乗り込むとその場から逃げ出そうとしていた。ボールは既に バッグの中に戻っている。シオジはそれに気付いたが彼女を相手にしている為 彼等の動きを見逃す他無い。 「御主が邪神復活を阻止したい気持ちも解るが、こちらにはこちらの理由があって それを果たそうとしておるのじゃ!今回は要らぬ争い故に引くが、今度は捕縛してでも 御主を止めるぞ。あの者達を守る為にもな!」 「P.O.D.とお前達ダークの処理は私とアソウギに一任されている。我々2人で、 リョウ様から託された任務を必ず遂行するだけだ・・・」 シオジはそのまま水の竜巻と共に姿を消し、後にはナユタだけが残された。 (お前達がどんな甘言を用いようと、私だけは騙されぬ。危険があの2人に忍び寄りつつ ある事は私が一番知っている事だ。必ず守らなければな・・・)
ギンガとナツミはその場から立ち去りたい一心で自転車を漕ぎ続けた為、予定よりも若干早く ヤカシティに到着した。疲れ切ったナツミがポケギアで時刻を確認すると時計は午後1時半を指している。 「毎回コレじゃあ身が持たないわね・・・ギンガの服も濡れてるし着替えないと。」 「まずは宿舎だな。幾ら暑いとは言えこの格好のままじゃ風邪を引いちまう。」 ヤカシティは港がある為チネンタウンやオウリタウン、カテナタウンとは比べ物にならぬ程発展している 街だ。ビル街の中で一際目立つ高い建物はリューキューの観光名所でもあるテレビタワーである。 服が水浸しの為人々に奇異の目で見られたものの、それを無視してジムの裏手にある宿舎に辿り着いた。 濡れた服を取り付けられている洗濯機に入れ着替えを済ませると、椅子に座って暫し相談をする。 「P.O.D.もダークも俺をよっぽど必要としてるみてぇだな。」 「恐らくアンタの力・・・ダークエフォートを利用しようとしてるんだと思うの。これからはより一層の 警戒が必要になりそうね。私達が旅を続ける為にも。」 「そうだな・・・ともかくこの街は人の目も多いから奴等も下手に手出しする事は無ぇだろう。多分・・・ 注意するに越した事は無ぇが動かねぇワケにはいかねぇさ。センターに寄った後野試合を済ませようぜ。」 「そうね。アンタのポケモンも大分レベルに差が付き始めてるでしょうし、この辺りで平らにしておく 必要があるわ。まずは情報を集めましょう。強い人達が集まってる場所を探さないと・・・」
ギンガとナツミはポケモンセンターに立ち寄った後、野試合に適した場所を見つけ次第合流すると言う 意見で一致した。ポケモンを回復し、ナツミはジム戦の手続きに、ギンガの方は真っ直ぐテレビタワー 付近の方へと向かう。大通りの方を歩くと様々な店が軒を連ねていた。 「大分賑わってんな。イベントでもやってんのか?」 テレビタワーは観光名所となっている為、一部の階を除くフロアや展望台が一般公開されている。 付近での撮影も頻繁に行なわれているので、人が集まってくる場所と言う条件は満たしていた。 「フィールドのスペースとかは無ぇのかな?」 開けた広場の様な場所が無いので右往左往していると、人混みにぶつかり人にぶつかってしまう。 「わ、悪ぃ!・・・ん?アンタハルミさんじゃねぇか。」 「アラ?久しぶりですネェ!ワタシもギンガ君の事を探してたんですヨォ♪」 漆黒の長髪を手で払いのけながら眼鏡をかけた女性はキンキン声を出し周囲をざわつかせた。 「もうちっとトーン落としてくれよ。皆こっち見てっから。」 「あ、ゴメンナサイ・・・2人の図鑑完成度を確かめてくれと博士に頼まれマシテ・・・」 (そういや図鑑全然埋まってねぇな。ポケモンの捕獲に集中してねぇから当たり前なんだが。) 屈託の無い笑みを浮かべるハルミに対して、後ろめたさを感じつつもギンガはチャンピオンを目指す為に 図鑑完成を二の次にしている事を告げた。 「そうでしタカ・・・ワタシも、それだけの為にココに来たワケじゃ無いんですけどネ。博士からコレを渡してくれと 頼まれまシテ・・・それも今渡しておきマス。」 ハルミ助手はショルダーバッグの中からリモコンの様な機械と純金で出来たボールを手渡した。 「この機械はダウジングマシンと言うものでシテ・・・道端に落ちている様な貴金属を手軽に探す事が 出来マス。付属の説明書はココにありますので後で読んでおいてくだサイ。このボールはギフト用とも なっているものデショップで売れば5万円にはなると思いマスヨォ♪」 (しかしどっから出てんだこの凄まじい高音は。まるでガラスを引っ掻いてる音みてぇだ・・・) 昔から彼女の声を聞いていると気が滅入ってくる。ギンガは物を受け取ると即座に彼女から 離れる事にした。折角来たのだから2、3日観光すると言っていたので、どちらにせよまた 会わなければならない予感はしたのだが。
ナツミの方はジムの中にいた女性と話をしていた。 「アタシも昔は色々な所を回って自分の肉体を鍛えたよ。その時ダンナと出会ってね。意気投合 しちゃったってワケ。今はジムリーダーの代理を務められる程強くなれたし・・・」 金髪のショートカット、褐色の肌・・・リリィにどことなく似ていたが腹回りや腕に付いている 筋肉は遥かに多い。夏物で露出の多いスポーツウェアを着込んでいる。 「ジムリーダーのゴスさんは貴方に代理を任せて別の仕事をしたりもするんですか?」 「アタシと一緒にね。だからバトルは午後以降の受付にさせてもらってるんだ。トレーナーには 悪いとは思ってるんだけど。月曜〜土曜日の午前中はテレビに出てるからね。」 「あ、『マッスル会』関係ですね。」 「へぇ、意外とアタシ達の活動も知られてきてるんだね。日本全国の人達を元気にするプロジェクトの 一環として朝の子供向け番組に出てるんだよ。最近は会員も増えてきてね・・・ちなみに アタシがそのマッスル会のナンバー2なんだけど。」 ゴスの妻だと名乗った女性、カナタはそれを誇りに思っている様だった。 「オウリタウンでナンバー3の方に会ったので・・・ギンガとポケモンバトルをしたんですが 何とか勝ちましたよ。勧誘が結構しつこかったですけどね。」 「あー、ヒライはマッスル会の会員集めに奔走してるからノルマ達成に必死になってるんだよね。 アタシもあんまりしつこくするなって言ってるんだけど治りそうも無い・・・困ったモンだよ。」 カナタは自分がした様なものだとナツミに謝り、申し訳なさそうにしている。 ナツミは彼女とジム戦の日程の調整等を話し合い、その後彼女と別れギンガに合流する事にした。
ギンガはテレビタワーの中に入りバトルフィールドを探す事にした。 トレーナーが集まる場所には大抵バトルする為の場所が確保されているハズだったが、 タワーの中にはそれらしいものは何処にも無く、全くの無駄足となってしまう。 「クソッ、収穫ゼロかよ・・・」 午前中の疲れもあり、廊下の端にあったベンチに座り自販機で購入したサイコソーダを飲み 一息ついた。このまま1日を無駄にしてしまう事だけは何としても避けなければならない。 「おっとそこのトレーナー、随分疲れてるみたいじゃねぇか。」 声をかけられ顔を上げると、そこには背の高い筋肉質の男性が立っていた。色白だが 逆三角形の肉体は異性で無くとも少しは憧れるものがある。 「おおかたバトルする相手でも探してたんだろ?ココじゃあバトルフィールドは 見つからねぇからな。立ち入り禁止区域の中に1個あるんだが。」 「何!?そんな所にあるのか・・・テレビ局の施設の中じゃあ手が出ねぇな。」 「まぁ任せとけよ。育成で困ったトレーナーに力を貸す。それも俺達の仕事だからな。」 そう言うと男性は先程から首にかかっていたステッカーをギンガに見せた。 ステッカーの中には『マッスルお兄さん・ヤカシティジムリーダー ゴス』と書かれた 名刺が入っている。彼は胸を張りながらギンガの肩に手を回した。 「マッスル会ナンバー1。現リーダーのゴスだ。仲良くやろうぜ!」 高笑いしながらそのままギンガを立たせて奥の方へと連れていく。 (コイツが4番目のジムリーダーか・・・) 通路の奥にあるエレベーターに向かいながらギンガはずっと彼を見ていた。
展望台のフロアから立ち入り禁止区域のフロアへ足を踏み入れると、すぐさま 社員が彼等の姿を見てこちらに向かってきた。だがゴスがステッカーを見せ 事情を説明すると、頷いて2人をバトルフィールドがある方へと案内する。 「ココは俺とカナタが毎日朝8時から10時まで生放送を行っている番組 『マッスルお兄さん・お姉さんといっしょ』のスタジオだ。番組放映中以外は そこのバトルフィールドで空いた時間を利用してスタッフがバトルを楽しんでいる。」 天井と背景は青空のセットで、森を意識した様な切り株、キノコ等の小道具が置かれていた。 「ココで待ってれば誰かが休憩がてらバトルを楽しむ為にやってくるさ。」 リーグ規定により野試合を行なう事が出来ないゴスは近くの椅子に座ると大欠伸をしながら ポケギアを見ていた。ギンガが後ろからそれとなく覗き見ると施設の中が映っている。 「誰が何時来ても良い様にチェックしてるのさ。カナタもどっかに行ってるみてぇだしな。」 ジムリーダーとしての責務は怠らない。その姿勢にギンガが感心していると部屋のドアが開き 眼鏡をかけた髭面の男性が入ってきた。カップラーメンと箸をそれぞれ手に持っている。 「あれ、スダさんもう休憩だったんスか。」 「ゴス君こそジムに帰っていなかったのかい。・・・あれ、その子は?」 「野試合したいって言ってたんで連れてきたんスよ。今使ってないこのスタジオだけなら 居させてやっても構わないスかね?」 「クダさんに聞いておいた方が良いと思うよ。あの人結構そういうのに五月蝿いからね・・・ まぁ良いや。まだ時間があるからバトルを楽しむとしよう。君の名前は?」 スダと呼ばれていた男性はギンガの方を向いて名前を尋ねた。 「ギンガだ。宜しく頼む。」 「随分良い目をしてるじゃないか。私の名前はスダ。音響監督の職に就いているよ。 それじゃ、時間もあまり無いしそろそろ始めるとしよう。」 ゴスはクダと言う人物に許可を求めに行くのか一旦その場から席を外し、スダはスタジオの隅に 置いてあった椅子を持ってきて座る。ラーメンを食べながらモンスターボールを投げた。 「このバトルフィールドはウチのスタッフの憩いの場なんだよ。のんびりと勝ち負けを気にせずに バトルを楽しむ。ココのモットーさ。」 フィールドに出現した下半身が馬の少女は、背中の翼をはためかせながらはにかんでみせる。 『私、アリアって言います。宜しくお願いしますね!』 耳が尖っていたりはするが上半身は普通の人間の様に見えた。肌の色が人間とは違うミズチと 比べれば遥かに人間よりの姿をしている。ギンガは様子見も兼ねてミズチを出す事にした。
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