2. anima ( No.3 ) |
- 日時: 2010/09/07 00:39
- 名前: Pause
- 東の町ディスティントの外れに、アニマという森がある。
細く急な川が流れ、雨が多い。生き生きと枝を伸ばした木々の間を虫ポケモンや鳥ポケモンが飛んでゆき、色とりどりに咲く花々の中を小さな草ポケモンが駆けてゆく。 ときに地面や岩のポケモンが、大地から顔を出しては棲む者たちを驚かせる。 乾期でここ数日雨の降らないアニマは、今日も雲ひとつない快晴である。森のほぼ中央に高くそびえるシーヤの樹の根元では、子供たちが集まってヨルノズクの長老の語りをせがんでいた。 その最前列に陣取る、モルフォンの少年――ジャスティスもそのひとりである。長老の語る世界の不思議や冒険に憧れ、自分もいつかと世界を旅することを夢見る少年であった。 ふと場が静かになる。長老は集まった子供たちを見回し、重々しく口を開いた。 「今日は、神々の話をしよう」 何それ? 十を数えぬ子供たちがざわめく。十一歳になったばかりのジャスティスは、得意げに子供たちに囁いた。 「神様はね、お空のとおーいところで、世界を見てるんだって」 その様子に目を細め、再び長老が口を開く。 「この世界を創り出し、我ら種族を創り出し、豊かなる自然を創り出した二十二の神がいたそうだ」
二十二の神々は様々な世界の心を司っていた。 道化は夢想、魔術師は意志、女教皇は神秘なるもの、女帝は豊穣の実り、皇帝は世界の支配と安定、皇帝は慈悲、恋人は愛、征服者は勝利と独立、剛毅は力と勇気、隠者は深き導き、運命の輪は運命、 裁判の女神は平等と正しさ、吊し人は忍耐、死神は死と再生、節制は調和、悪魔は激情、塔は災いと悲しみ、星は希望、月は失敗、太陽は成功と満足、審判は復活、そして世界は世界の完成。 神々は絶大なる力“魔法”と呼ばれる技を持ち、その力で世界を治めたという。 そして今でも神々は世界に降り立ち、魔法によって様々な世界の出来事を起こしてゆくのだ……
「魔法……」 世界を変える力。子供たちの瞳が輝く。ジャスティスが身を乗り出した。 「長老、魔法ってまだこの世界にもあるの!?」 「これはあくまで神話ぢゃからな。おまえが旅に出たときに、探してみればよい」 長老の言葉に、ジャスティスは思わず立ち上がり拳をつくる。 「じゃあ僕、旅に出たら魔法を探しにいくよ! それで、世界を変える瞬間を見るんだ!」 すごい、連れてって、などと子供たちから声が上がる。ジャスティスはえへへと頭をかいて、頑張るよ、と笑う。 そうして浮き立つ子供たちの輪の外から、ジャスティスを呼ぶ女性の声が聴こえた。
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