ポケットモンスタースノウホワイト −吹雪の帝王ゴウセツ− ( No.2 ) |
- 日時: 2011/02/10 21:34
- 名前: 夜月光介 ID:Vk0ac.xg
- 参照: http://chiba.cool.ne.jp/kinokohonpo/sirokuro.html
- 第1章 2話 『初戦闘』
ユキナリは立ち竦んだ。 (嘘だろ!?そんな、まさか!) 「驚いてくれたかしら。フフフ……これが科学の力よ。これでポケモンの言葉が私達の言葉に直されたの。 ポケモンの本音が知りたい人達が沢山いたから、研究チームも必死に努力した結果、このシステムもポケギアに搭載したわ」 呆然とする他無かった。ユウスケもびっくりしている。当たり前だろう。ポケモン自身が喋っているワケでは無いが、気持ちがはっきり伝わったのだ。 確かに『コミュニケーション』だ。はっきりしすぎた意志の疎通が出来るだろう。 『宜しくお願いしますね、コエンです。ユキナリ君、これから、ずっと一緒ですよ!』
とにかくユキナリは言葉を返した。 「うん、これからよろしくね!」 「……これって、どんなポケモンとも会話が出来るの?」 「ええ。標準を切り替えれば、1匹1匹の声は聞きづらくなるけど、何匹とでも会話が出来るわよ。勿論、ポケモン同士もね」 ユウスケは緑色のモンスターボールを取り出した。開放ボタンを押す。出てきたのは、彼の相棒であるボタッコだった。すぐさま図鑑が解説する。 『ボタッコ。ゆきわたポケモン。寒い所で何百年も子孫を生み出し続けた結果生まれた変種進化ポケモン。 ハネッコと言うくさタイプのポケモンの最終進化と思われていた、ワタッコの変種からさらにアワッコ、ボタッコと進化する。 性格は極めて穏やかだが、雪の胞子を飛ばし、相手を霜焼けにしてしまう技を持っている為、油断しない方が良い』 「ボタッコ……コミュニケーションっと……」 ユキナリはコエンとボタッコ同士の会話も聞ける様に設定した。方法も簡単でユキナリにとっては非常に有難い。
『ユウスケ、このヒトだーれ?』 「僕の友達の新しい相棒さ。ユキナリ、初めてポケモンを仲間にしたんだ。僕のボタッコと戦ってみないか?」 「えーっ!?む、無理だよ。仲間になったばかりでろくにポケモンバトルの事も知らないのに……それにどう考えたってレベルが違いすぎるじゃないか!!」 『それは関係無いと思いますよ。ユキナリさん』 「そうね。コエンの言う通りよ。最も、私がそれを貴方に使ってたから知ってるんでしょうけど」 『ハハハ、バレました?ユウスケさん。パワーベルト持ってるんでしょ』 「うん。そうなんだ。うちのお母さんが買ってきてくれたゴーリキーお墨付きのパワーベルト。 これでポケモンのレベルを自由に調節出来るんだよ。えーっと、コエンは多分レベルは5だよね。 数字を決定して……よし、これでボタッコも力はレベル5に抑えたよ!」 「で、でも……」 「大丈夫よ。最初は皆戸惑うわ。コエン、とにかく命令の仕方をユキナリ君に教えてあげて」 『何か間違ってませんか?……まあいいか。ユキナリさん、まずは僕の技を覚えてください』 「わざ?」 『僕達は技を習得します。ある一定のレベルに達するか、技マシンと言う装置で覚えさせられるか。 とにかく、僕の場合は〔鬼火〕と〔化かす〕が生まれた時から備わっていた技です』 「それで?」 『野生のモンスターや、ユウスケさんの様なトレーナーと戦う時、何時その技を使うべきかを命令しなければならないんです』 「なるほど……で、それはどんな技なの?」 『うーん。それはさすがに僕が説明するものでは無いですね。僕、ポケモンですから。図鑑を見てください』
ユキナリはポケギアのコエンのデータを開いた。『コエンが覚える技』が載っている。ユキナリは自分で読んでみた。 『鬼火・人魂を敵にぶつけて攻撃する不気味な攻撃方法。威力自体は火の粉程度。しかし恐怖により時々相手は凍ってしまう。 技の属性自体は炎なのだが、氷漬けの判定がある特殊な技』 ユキナリはさらに続きの画面を開いてみた。 『化かす・相手のトレーナーの幻を見せて、相手を必ず混乱させる技。混乱状態になるとかなりの確率で自分にダメージを与えてしまう為、なかなか効果的。 技の属性はゴースト……だが特殊技である為意味は無い。』 「なるほど……」 ユキナリは一応理解したつもりだった。とにかくどう戦うかは承知した。
「リーグの覇者になる為には、まずトーホクに8つあるジムという修練場のリーダー、つまりジムリーダーを倒さなければならないの。 ジムリーダーのポケモンや使ってくる技も見る事が出来るから、それで作戦をたてる事ね」 「じゃあ、戦い方が解った所で、僕のポケモンと訓練してみよう!」 ユウスケに促され、ユキナリはコエンに指示を与える準備をする。 『貴方が命令する最初のバトルですからね!属性的に有利でも、油断してはいけませんよ!』 「属性的に有利……?」 「あら、属性の説明をしていなかったわね。属性というのは、ポケモンに備わっている機能の様な物。 それによってこの技を覚えられるとか覚えられないとか、どの属性のポケモンに大ダメージを与えられるかなどが大体解るの」 『このトーホクに生息しているポケモンは全て氷の属性を持っています。僕もほのお・こおりタイプのポケモンですし、今戦うボタッコさんはくさ・こおりタイプなんです』 「基本的な3種類の属性を見てみましょうか。ユキナリ君。ポケギアのポケモン図鑑で〔属性影響〕という所を選んで頂戴」 ユキナリが項目を選ぶと、矢印が沢山見える画面が出てきた。
「ほのおタイプのコエンは、ボタッコの様なくさタイプに大ダメージを与えられるわ。 ホクオウ君が持っているマッコは、コエンに強いけど、ボタッコと戦うのは避けた方がいい。 この基本属性の3つは、互いに牽制しあっているの」 「基本属性の他にも、色んな属性があるみたいだね。」 『それは後でも説明出来ます。久しぶりに戦えるので、僕もウズウズしてるんです。早く戦いましょう』 ユキナリの新たな疑問は保留の形となった。 ユウスケのボタッコ(パワーベルトの作用でレベル5になっている)とコエン(元フタバ博士のポケモン。たねポケモンなのでレベルは当然5)を戦わせるのが先だ。 「ユキナリ君。ポケギアの機能はまだまだあるわ。〔バトル〕と書いてある項目を選んでみて」 出てきたのは数々のデータ画面。ユキナリは驚嘆した。 「その6つの丸は今貴方が何匹ポケモンを持っているかを表しているの。今1匹しかいないから、当然1つしかランプが点いていないはずよ」 彼女の言う通り、オレンジ色のランプは1つしか点いていない。他の5つのランプは灰色だった。
「コエンのデータという項目を押すと、使える技の回数とHPが解るの。HPが0になったポケモンは瀕死状態で戦えないわ。 その時、丸は瀕死のポケモンの数だけ青く光って……瀕死に近いポケモンがいる時、ランプは赤く光るわよ」 『瀕死状態や、技のポイントが0になった時はポケモンセンターに僕を連れて行ってください。こまめに回復させてもらえると有難いなあ。 無料施設なので、何回利用しても問題はありませんからね』 「バトルの解説は済んだわね。それじゃあ、私が審判役になるから、思う存分戦ってみなさい!」 研究室は不意の事故に備えて恐ろしく丈夫に出来ていた。ポケモン、そして人間同士がスタートを待ち互いに睨みあう。
「開始!!」 フタバ博士のその言葉と共に、2匹は一斉に駆け出した。 「コエン、〔化かす〕を使うんだ!」 『解りました!』 コエンが呪文を唱えると、ユウスケの幻が現れた。 「うわ、僕そっくりの幻影だ!」 ユウスケもこの技を見るのは初めてらしい。
『ボタッコ、デンキショックダ!』 『え〜?そんな技覚えてないよー』 『ボタッコ、ニゲルンダ!』 『バトルの最中はそのコマンド使えないよぉ。ああ、なんか頭がクラクラしてきた……』 幻のユウスケの命令は無理な注文ばかりだった。しかも本物の声が幻に邪魔されて頭に入らない。 「しまった。〔こんらん〕状態になっちゃった!」 焦っても仕方が無い。ユウスケは祈りながら命令を出した。もう幻は消えている。 「ボタッコ、冷たい風だ!」 「冷たい風?」 ユキナリは相手の技の項目からそれを選択した。 『冷たい風・名前の通り冷たい風を相手に吹き付ける技。通常のダメージの他に、相手の命中率を下げる効果を持っている』 「うーん。ちょっと嫌な予感が……」 混乱状態にはなっていたものの、ボタッコは自分にダメージを与える事なくその技を出す事が出来た。
『うわっ!』 コエンに刃の様な冷たい風が襲いかかってきた。その突風はコエンの全身を麻痺させ、コエンの手はガチガチにかじかんでしまう。 『さ、寒い……』 コエンの動きも鈍くなってしまっている。ユキナリにとって、これは非常に厄介な出来事であった。 「あ、そうそう。この戦いが終わればコエンの命中率も元に戻るから安心してね」 ユキナリはホッとしたが、今は解説を聞いている場合じゃ無い。 「コエン、鬼火だ!」 コエンは体の近くを飛び回っている青い人魂をボタッコに飛ばした。だが、命中しない。 「今度は僕の番だ。ボタッコ、冷たい風をもう一度だ!」 混乱状態は続いていたが、運が良かった為ボタッコは通常通り技を繰り出した。こおりタイプの技はコエンにはあまり効かないが、その場のみの命中率下げは大きな力となる。 寒さに震えるコエン。ユキナリは鬼火を繰り出させたが、またもや攻撃を避けられてしまった。 『ユウスケさーん。頭がスッキリしてきましたー』 「そ、そんな……」 そう、数ターンで混乱は解けてしまうのである。しかも、今回の場合は混乱しても有利にはならなかった。 「よし、もっとダメージを与えられる技に変更だ!ボタッコ、体当たりしてやれ!」
コエンの腹に突っ込んだボタッコは体全身をコエンにぶつけた。 『グッ!』 これはキツイ。コエンのHPはかなり減ってしまった。HP表示を見ると、緑色だったバーは黄色に変わってしまっている。 「もう一度体当たりをくらったら……」 さっきのダメージからして敗北は確実だ。ターン制なので次はコエンの攻撃となるが、ほぼ絶望的だ。 命中率を半分下げられ、もし当たったとしても一撃で倒せるダメージを与えられるかどうか。属性的には有利なのだが…… 「なかなかいい戦いね。ユキナリ君にも逆転のチャンスはあるわ。同じ5レベルのボタッコ。属性的には通常のダメージよりも効果は大きい。 これでもし急所に当たる攻撃を出せれば……本当の逆転勝利よ!」 命中率を下げられ、次のターンで確実に瀕死……勝つ為にはなんとしても攻撃を当て、なおかつ急所に当てなければならない。 「……コエン、鬼火だ!」 『OK。何があっても絶対当てます!』
コエンは手の痛み、腹の痛みを堪え、人魂を放った。2つの人魂がボタッコに向かって飛んでくる。 「ボタッコ、命中率は低い!当たったとしてもよほどの事が無い限り負ける事は無いさ!」 『次のターンでボクの勝ち〜♪』 だが、ボタッコに人魂がまとわりついた。攻撃が当たったのだ。 『うわ〜!』 青い炎がボタッコを焦がす。不気味にグルグル回り続ける。熱いのか寒いのかよく解らない攻撃だ。体は炎に巻かれ、心は恐怖に凍りつく。 顔の無い人魂がボタッコに噛み付いてくるようだった。 『こ、怖いよぉ〜。』 ユキナリは祈りながら相手に与えたダメージを確認した。 『通常ダメージ。効果は抜群』 「ああ、ダメか……」 ユキナリは落胆した。効果は抜群だとしても、半分以上HPを減らしただけだ。次のターンでこっちが瀕死になるのだから意味が無い。 人魂がコエンの元に帰ってきた。コエンは痛みをこらえ、相手を見た。 ユキナリはポケギアの情報にうちのめされ、うつむいていた。いきなり負けるなんて…… 「おめでとうユキナリ君。初戦としては危なっかしい戦いだったけど、終わり良ければ全て良し、かな」 「え?」 ユキナリは自分の耳を疑った。博士は、僕の勝ちだと言っている。顔を上げると、そこには頭をかいているユウスケの姿があった。 「土壇場で大逆転だよユキナリ君。こんな白熱した戦いはなかなか出来ない。諦めちゃいけないって事だね」 『ユキナリさん!ほら、ボタッコさん戦闘不能になっちゃったんです』 コエンも、まだ自分が勝ったという気分では無い様だ。ユキナリはボタッコがいた所に目を向けた。 そこには、恐怖の表情のまま氷の中に閉じ込められているボタッコの姿があった。
「氷漬けの状態=戦闘不能と考えてもいいわ」 ユキナリとユウスケは互いのポケモンをボールに戻した後、博士の研究室にある回復用ポッドにそのままの状態で入れた。 ポケモンは回復用ポッドにより数秒でその力を取り戻す。人間より遥かに優れた治癒力を持っているのだ。 いや、科学の力なのか?それはともかく、2人はコエンとボタッコを休ませ、フタバ博士の説明を聞いていた。 「トーホクでは最も強い力を持っている氷漬けの状態。このエリアではそれに適応した技を持っているポケモンしか氷から抜け出せない。 だから、ユウスケ君は戦闘不能。ジョウトやカントーでは試合続行らしいけど、ここは極寒の地。自然に氷が溶ける事は無いから……」 「氷から抜け出す技って、何ですか?」 「このトーホクでは、『聖なる炎』や『熱湯シャワー』。あと『マグニチュード』位かしら……あ、そうそう。 ゴーストタイプのポケモンには氷漬けそのものが成立しないから、覚えておいて。簡単に言うと、効かないって事よ」 「ユキナリ君!君のポケモン、その氷から抜け出せる技を覚えられるのかなあ?」 「うん。一寸調べてみる……」
ユキナリはポケギアを操作して、〔コエンが覚える技〕の続きを読んでみた。 『聖なる炎・コエンが覚えられる技としては最高クラスの技。コエンの場合は光の炎を体から放出し、敵をその炎に巻き込んで攻撃する。 氷漬けの状態でもこの技を使え、氷を溶かす事が出来る為、この技を覚えられるポケモンは恵まれている』 「へえ、やっぱり覚えられるんだ。羨ましいな、ユキナリ君……」 ユウスケはすこし凹んでいた。現時点では彼の持ちポケモンは3匹。ボタッコ・カレッキー・マッドだけだ。 最高進化という形で成長している。(変種進化)ボタッコに比べて、トーホクのポケモンであるカレッキーとマッドは未だ種ポケモン。 ユキナリよりも先にトレーナーになったのだから少し目上態度をとっても許されるはずなのだが、 彼は気が弱かったし、他人の成功の方が大きく見えてしまうタイプの人間だった為、何時もこうなってしまうのだった。
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