10. 諦めない ( No.11 ) |
- 日時: 2010/09/15 21:54
- 名前: Pause
- 「でも、一体どうすればいいの? 何が出来るの? ねえ? あなたは知っているの? この絶望を生き抜く方法があるの? ねえ? 答えてごらんなさい、あなたが言ったのでしょう、黙ってないで答えてごらんなさいよ、」
ルーナはジャスティスを立たせると、その肩を揺さぶりながら掠れた声で叫び続ける。鬼気迫った表情の、赤い目は潤んでいた。ジャスティスはまだ、それを見上げることしかできない。口を開けても、言葉が出てこない。 淀んだ沈黙が落ちる。ジャスティスが答えないのを見ると、ひどく疲れたように溜息をつき、ルーナはジャスティスの肩を離すと再びソファに腰を落とした。 「……」 「……ごめんなさい」 ルーナは両手で顔を覆っている。今にも泣きそうなその格好にジャスティスはやっとのことで小さく言った。 「どうにもならないわ」 顔を覆った手の隙間から小さな声がこぼれる。狭い部屋で、それはジャスティスにもよく届いた。ジャスティスは物言わぬ扉を見上げる。重い扉。誰かが外から回してくれれば、簡単に扉を開けられる金のノブ。ジャスティスはここに入れられたとき、扉が開くのを見た。 ――本当にどうにもならないの。 「本当にどうにもならないの」 ルーナが顔を上げた。 「なんですって……?」 「僕、このまま死にたくないよ。ルーナさん……、えっと、ルーナだってそうでしょ。僕はどうにかしたいよ。どうにもならなくったって……どうにかしたいよ」 扉を見上げたまま、ゆっくりとジャスティスは言葉を探す。ルーナはそれを聞いても、やはり動じなかった。鼻で笑うように息を吐いただけだった。 「わたしが何もしなかったと思っているの?」 「え、ううん、違うけど……」 「この部屋では技を撃てないのよ。隠し窓の類もなかったわ」 ルーナが指を差す。倣ってジャスティスが見上げる。白い天井に、丸いセンサーが据え付けられている。 「技による波動や衝撃を感知するとブザーが鳴るの。わたしは一度この部屋を破壊しようとして、見つかったことがある」 それから先は言いたくないと顔を背ける。ふとアニマを燃やす炎が思い起こされた。ここは、あれほどの力を持つものの懐の中だ。 「わたしはルカリオだから、ひときわ波動が強い。彼等はそこに目をつけたんだわ」 ルーナは恨めしげに言ってから、何かに弾かれたように顔を上げた。ジャスティスを見つめ、そうよ、と呟く。 「あなた、ジャスティス、種族は?」 「モルフォンだけど……」 突然顔を上げたルーナに先のことが思い起こされ、ジャスティスはやや構えて言った。それだけを聞くと、ルーナは何ごとか一人ごちる。 「何……?」 「わたしの波動が察知されてしまうなら、わたしでない者がごく弱い技を撃った場合、感知されないということが有り得るかも知れない」 「ってことは……」 ルーナが声を潜める。 「何か糸口があるかも知れないわ。手伝ってもらうわよ」 脱出できるかも知れない。 ジャスティスの顔が一瞬で明るくなった。 「僕、やるよ!」 「静かにして」 「うん……」
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