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アルカナム
日時: 2010/09/07 00:35
名前: Pause

Pause、ポーズと申します。
この作品は、某掲示板でAltという原作者が諸事情により作品をPauseに委託し、以降Pauseが執筆するものです。
この小説にはポケモンの擬人化要素が含まれます。ポケモン達が人間同様に世界を形成し動き回っています。
閲覧の際はご注意ください。

オリジナル連載開始 07.9.11
移転・連載再開 10.3.5
ポケノベ移転 10.9.7

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物語早引き

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登場人物一覧
>>1

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新たなる地で、物語が動き始めます。
メンテ

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9. わたしとあなたは ( No.10 )
日時: 2010/09/07 00:52
名前: Pause

「これは?」
「それは世界の歴史」
 ルーナが掌を差し出した。ページを開いたまま本を返すと、彼女は慎重にそれを閉じてテーブルに置く。
「そして、この中にある神話というのは、昔、この世界に二十二の神々がいて――」
 あ、とジャスティスが素っ頓狂な声を上げた。身を乗り出す。
「それって、二十二の神々が、魔法を使って世界を治めたっていうやつでしょ!?」
「知っているの?」
「長老に聞いたんだ」
 ジャスティスの声が弾む。ルーナはさほど驚いた様子を見せなかった。何事もないように続ける。

「それなら話が早いわ。あなたは、その神々の末裔なのよ」

「え……?」
「だからここに連れてこられた」
 ジャスティスは瞳を見開き、しばらく口も閉じることができなかった。聞き返すことも、その口から言葉を吐き出すことも。遥かに続くような沈黙。何時間も経ったようなその後、やっとジャスティスは小さな声を絞り出した。
「本当に……?」
「名前が示しているわ。ジャスティスというのは、正義の女神のことよ」
 ルーナの言葉は淀みなく、ジャスティスはまた言葉をなくす。
「そして、世界の歴史には続きがあるの」

「太陽の魔法は血を選び、種族の中で生き続けてきた。月の魔法は何者かが設計図を残していた。それを知った人々は、魔法戦争が再び起こることを恐れた。月の魔法の設計図を探すとともに、魔法を持つとみられる者たちを見つけては次々と処刑したわ」
 ジャスティスが頭を抱える。ルーナの低い声は部屋に響き続ける。
「それは今でも続いているのよ。ディアネイルという組織、その過激派たちが、魔女を探し続けてる。そしてここは――ディアネイルの、ひとつの拠点」
 そして一呼吸を置き、ルーナはきっぱりと言い切った。
「わたしとあなたは、ここで心中するの」
 その声は至極ゆっくりと消えた。空気の濃さに潰されそうになりながら、ジャスティスは問いを絞り出す。
「しんじゅう……?」
「そう。わたしとあなたはここで死ぬの」
 ルーナの声には諦めた色があった。ジャスティスは火がついたように立ち上がる。何かが切れた感覚だった。
「嫌だ!!」
 ジャスティスは叫ぶと、扉のノブを激しく回す。乾いた音がするばかりで、押しても引いても扉は動く気配がない。それに気がつくと、扉を拳で叩き始めた。がん、がん、がん、と響く音は空しい。
「やめなさい」
 先より大きな声がして、強い力で右腕を掴まれる。ルーナが厳しい目をしていた。
「離して!! 僕は死にたくな――」
「静かにして。大きな声を出すと守衛が来るわ。すぐに処刑されてしまうわよ」
 その声にも揺らぎはほとんどなかった。ジャスティスはもがきながら叫んだ。焦り、悲しみ、怒り、恐怖、それらに突き動かされている。
「あなたはっ、なんで静かでいられるの!? 死ぬんならあなたがひとりで死ねばいい、僕はまだ死にたくないっ!!」
 刹那、空気が唸る。パンと音が響き、その勢いにジャスティスは倒れ込んだ。左の頬が熱く、じわじわと痛みを伴ってくる。
「ひどい……わたしだって――わたしだって生きていたいわよ!」
 あまり地声は大きくないのだろう。それを絞り出して掠れた大声を上げるルーナを、ジャスティスは見上げることしかできなかった。
メンテ

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