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ポケノベ2010夏企画
日時: 2010/09/06 22:41
名前: 一号

☆あいさつ
 2010年度夏企画の季節がやってきました。今まで企画に興味がない人も是非参加してもらえたらなと思っています。

☆企画概要
 短編小説を書いてその完成度を競います。


☆作品投稿ルール
★守ってね
・基本的に規約や常識を守った文章を書くこと
・他の人が書いた文章のアイディアを無断で使用しないこと
・基本的な投稿の仕方については下記を参照のこと
●投稿するレスに書かなきゃいけないこと
@「タイトル」
A文章
・作品の後のアピールや質問文は付けてもなくても構いません
BAコースかBコースか
・トビ様が分かりづらいんで、タイトルは原則「コメント」のところに書いてください
・AかBかは作品の最初及び最後に分かるようにしていただければいいです
>規約に反している文章とは
・宣伝行為
・度が過ぎて性的な文章
・度が過ぎて暴力的な文章
(度が過ぎて、の判断基準はこちら側で決めさせていただきます)
★してもいいよ
・ネタ・ホラー・ケータイ小説系・推理・パロディなんでもこい><
・エロもいいけどほどほどにな。
・文章形式もHNもこのスレだけは自由です。
・企画なので、ポケモンを扱った文章でなくてもかまいませんし、いくつ投稿してもオッケーです。
※このルールは住人の希望や管理側の意図で変える事が出来ますのでご意見あればこのスレに書き込んでください


★期間
・テーマ発表期間
 7月23日〜7月30日
・作品投稿期間
 7月31日〜8月21日
・人気投票期間
 8月22日〜9月1日
・スレッドロック
 9月2日以降
※管理者とトビ様の都合で変更する場合があります
※テーマ発表期間内ではスレッドをロックさせていただきます。


☆テーマ
Aコース
 「探検」
 夏と言えば……というには遠いけどポケモン大好きクラブ的には夏っぽいので。探検を題材にした話を書いてください。またポケモンを必ず登場させてください。

Bコース
 「祭り:続きが気になる短編」
 夏と言えば定番でしょう。祭りを題材に話の続きが気になるような短編を書いてください。ポケモンの登場は強制しませんが、出来れば登場させてもらいたいです。

 小説の長さは1レスで終わる程度(約一万字)でお願いします。


目次 >>14
AB別の目次 >>39
投票について >>38
投票&感想のレス >>40-
投票結果>>55
メンテ

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Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.1 )
日時: 2010/09/06 22:44
名前: うぱぁ

Bコース「マサゴの灯」

「おせぇぞ、罰金百万円な!」
「何かあったのか?」

息を切らせて到着した私に幼なじみの二人が駆け寄ってくる。遅れたことは悪いと思う。
でも久しぶりに会った二人の姿を見ると顔が自然にほころんでしまう。
「……ううん、別に……ごめんね」
「何にやにやしてんだよ。じゃ、行こうぜ!」
私は慌てて緩んでいた口元を引き締めたけど、指摘した張本人はとっくに背中を向けて歩き出していた。
一瞬でも反応してしまった自分が恥ずかしい。だってあやつの罰金請求も怒った顔も、真に受けるだけ損。分かりきってることなのに。
もう一人の幼なじみは私の方を見てくすっと笑い私の隣につく。後はみんなの位置を線で繋げばお決まりの二等辺三角形が出来上がり。

「一年ぶりか。あっという間だな」
不意にそう話しかけてくる隣の彼。声変わりしてからもう二年くらい経つのかな。
深くて優しいとても素敵な響きのになぜか未だに少し落ち着かない。尤も声の違和感だけなら断然目の前のあやつの方が上だけど。
「そうだね。色々忙しかったし」
一人だけ昔と変わらない声で当たり前の事を言ったつもりがなんだか妙に言い訳がましく聞こえた。
今の自分の言葉、彼の紺の浴衣と同じくらい気持ちよく闇に溶け込んで消えてしまえばいいのに。
そう思うと白地に朝顔を散らした浴衣までもが薄明かりの中で物凄く浮いているように感じて、この場にいることさえ急に居たたまれなくなった。
「みんな、元気にしてるの?」
「まあな。そうそう、ドダイトスが新しい技を覚えたんだ。後でフルバトルしないか?」
「バトルか! のったぜ!」
誘われたのは私なのに、この手の話題になるとホント地獄耳なんだから。私はちょっと反感を込めて相手の橙色の目を見据えた。
「見てろ! オレのゴウカザル今すげえことになってんだ! ん? ああ、お前とのバトルはその後だ!」
ダメだ。相変わらず空気が読めない。深緑のランニングにオレンジの半パンという格好の時点でなんとなく諦めがついてたとはいえ。
「ところでさ、エンペルトはどうしてんだよ?」
「え?」
これまたムードのないランニングシューズを凝視していた私は慌てて目線を上に向ける。確かに流れとしてはエンペルトが話題に上がるのは当然だ。
こいつと彼と私の三人は同じ日にナナカマド研究所で初心者トレーナー推薦ポケモンのナエトル、ヒコザル、ポッチャマの三体の中から好きな子を受け取った。
そして旅に出た。
「うん、まあまあかな」
目的が異なる私達はそれぞれの修業に明け暮れる日々のせいで出会う機会もめっきり減ってしまったけれど、年に一度のこの日だけは必ず集まるようにしている。
一昨年よりは去年、去年よりは今年。私のエンペルトは確実に強化されているけれどそれは他の二人のパートナーだって同じ筈。大きな事は言えない。

「あいつ今でこそ威厳っつーか落ち着いてるけどさ、ポッチャマだった頃はお調子者だったよな」
「何言ってんの。あんたのヒコザルだってお尻の炎でよくボヤを起こしてたじゃない」
「僕のナエトルにも少しは触れてくれよ」

こうやって三人で無心にワイワイ話してるとまるで研究所で初めてポケモンを貰ったあの日に舞い戻ったような気がしてくる。
だけど哀しいくらいはっきりと分かる。数え上げれば切りがない程だ。遠く手放したあの日との相違点は。
最初の頃はみんなボールからポケモンを出してずっと連れ歩いていた。旅に出たばかりの頃は何もかもが不安で押しつぶされそうだったけれど、
そんな時ポケモン達はいつだって私を慰め、支え、傍に居てくれた。でもいつの間にかボールの中に入れて連れ歩くのが自然になった。
理由は進化して大きくなると場所を取ってしまうからだけど、たぶん本当はそれだけじゃないんだという自覚はなんとなくあった。

それにあいつも彼も旅に出た頃とは比べものになら無いほど背が伸びた。私も伸びたけどこの二人の比じゃない。
ちょっとはタワータイクーンのお父さんみたいに締まった顔つきになったけど太陽みたいな金色の癖っ毛もせっかちなところも変わってないし、
あいつに関してはまだまだこの先どうなっていくのか分からない。でも良くも悪くも取り柄の元気は相変わらず人一倍だ。
彼は短かった黒髪を伸ばし、やっぱり顔も大人びているけど一番変わったと思うのは性格だ。元々頭は良かったけど、
以前のちょっと頼りない感じが影を潜め、服も落ち着いた系統が多く今ではすっかり冷静沈着のイメージで固定化されている。

私はお気に入りだった黄色いバレッタを取り外して、おもしろくもなんともないセミロングを維持している。ただそれだけ。

ここ数年、私はこの日が近づくにつれていつも追い詰められるようなせき立てられるような感覚に襲われていた。
向き合うのは恐ろしかったけれど、向き合わないのはもっと辛かった。
だけど不思議な焦りのようなこの気持ちの正体の輪郭がぼんやりと掴めてきたかと思うと、あと一歩の所で取り逃がしてしまう。だから毎年、この救われない苦しみが繰り返されている。
この大切な日を、この嬉しい再会の日を心から楽しみにしている筈なのに。二人に会った瞬間はあんなに幸せになれるのに。どうして時間が経つにつれこの状況を素直に喜べなくなるのだろう。

自分でもよく分からないこの気持ち。表面上はなんでもないように振る舞っていたけれど、私はいよいよ本日の目的であるマサゴ祭りの灯が見え始めると、
そのまま煩わしい下駄を脱ぎ捨てて全てに背を向けて駆けだしてしまいたくなるのだった。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.2 )
日時: 2010/09/06 22:44
名前: 乃響じゅん

 Bコース 『星にまつわるエトセトラ』




 夏にはおとぎ話がつきものだな、とその季節が来るたびに考えている。
 今年もまた、繰り返される。7月7日には七夕祭りで盛り上がり、17日には京都で山鉾巡業がテレビで報道される。
 七夕祭りは大学生らしく、しょうもないようなことを好き放題させてもらった。願い事を好きに書いてください、と書いてあったので、細長い短冊に6行に渡りびっしりと書き込んでやったのだ。最後の方は捻り出す方が難しく、結局ありきたりでそれほど願ってもいないようなことを書いた覚えがある。それを見つけた人が笑いだしそうになるところを見てみたかったが、残念ながら私の短冊に近づく人物は現れなかった。誰かに言って聞かせたとして文句を言われたら、織姫様と彦星様のデートの話題作りに貢献してやったのだ、と答えてやるつもりだ。オヤジくさい、と多くの友達から疎まれる自慢の性格だ。
 祇園祭には、残念ながらあまり興味が湧かない。行ってきた友人がいたが、あまりの人の多さに息がつまりそうだった、と忌々しそうに話すので、私はとうとう行きたいという気持ちを完全にそいでしまったのだ。
 電話がかかってきた。今日は市のお祭りだし、久しぶりに遊びに行こうよと誘われた。今日がその日ということはすっかり忘れていたが、偶然にもとくに用事がなかったので了解した。市民祭りか、久しぶりだな。最後に行ったのはいつだっただろう。確か部活やら受験やらで高校時代を忙しく過ごしていたせいで、結局5年以上行っていないことになる。あの頃は頑張って時間をかけて浴衣を着ていたが、きっと動きにくかったのだと思う。今年は着て行かないことにする。
「市役所前のコンビニ、集合6時だから、よろしく! 何かあったら電話してください!」
 そんなシンプルなメールに返事を返し、出かける準備をする。窓の外を見る。夏らしい夕焼けだ、と思う。もうしばらくしたら、いつの間にか空は真っ暗になっているのだろう。夏のその感覚が急に懐かしくなった。クーラーは室内にしかかからないのは残念だな、ともう一つくだらないことを考えた。

「やぁ」
 私は手を挙げて、山本に挨拶する。今どきの男、という言葉が似合いそうな、青いチェックのカッターシャツをラフに着こなしていた。細めの体つきと、長めの足、顔の形まで、その一言で片づけられてしまいそうな外見をしている。それは昔から変わらない。
 彼は高校の同級生だった。バンドに誘われ、一度だけボーカルとして参加したことがある。ギターを弾いていた姿を思い出す。その頃から彼は「らしさ」を前面に押し出すファッションをしていた。
「早かったんだ」
「佳世ちゃんも早いよ」
 山本は時計を見ながらお世辞を言う。周りを見渡すと、屋台は出ているが人はまだ少ない。
「ピークになる前に、混みそうなとこから行こうよ」
 と立ち上がると、すたすたと歩き出した。私は横に並んで歩く。頭一個分、彼の方が背は高い。その点において、彼は少し頼りになりそうに見える。
 片側一車線で歩道が広い、その程度の幅しかない橋の両側には、所狭しと屋台が並んでいた。布製の看板はどれも使い古されたような赤、黄色、ピンク、白。裏側にちらりと自治会の名前が書いてあったりして、多くの人の手で作られているなのだな、と人情が湧く。頑張って盛り上ようとするその姿勢は買わねば、申し訳ない気がした。
 さて、何からしようか。ふと目についたのは、深紅の丸い大きな飴だった。
「りんごあめっておいしいの? 私食べたことないんだけど」
「マジで? とりあえず食べて見ればいいじゃん。おごろうか?」
 山本はいそいそと財布を取り出そうとする。
「いいよ。自分で買う」
 彼がそう言い出す機会はまだあるだろうから、その時に彼の好意に甘んじたい。私は彼にお金を払う余地を与えないように、千円札を払う。大きい方が美味しそうに見えたので、そっちを選んだ。
 第一印象は、思っていた味と全然違う、という事だ。
「なんていうか、もっと中まで甘い飴みたいだと思ってた」
「ちょっと貰っていい?」
 私は彼に渡す。彼は堅そうに歯を立てた。
「うわ、ただの乾いたリンゴじゃん」
「うん、それは思った」
 と私も指をさして、声を荒げる。期待はずれ、と言うほど不味いとも思わなかったので、ぼそぼそした感触を味わいながらまた次の店を探す。
「相変わらず優しいね、山本君は。お金のことに関しては特に」
「あながち間違ってもないけど、ラストの一言は余計じゃない? でも、俺は小さい頃から優しいんだぞ」
 妙に弾んだ声で語りかけてくる。私もそれに乗ってみる。
「ほーぉ、どう優しかったのか聞かせてごらんなさいよ」
 しばらく考え込んだようなポーズをとり、顔を上げる。
「じゃあ行くぞ、エピソード1」
 彼は指を立てて数字を見せつけてくる。子供が出来たら親バカぶりを披露するためにエピソード4を語るのだろうか。指を二本立てて、ぶつけあうジェスチャーをする。
「ある子供とある子供が喧嘩をしていました。その間に俺は割って入って、喧嘩を止めようとしました」
「うん、よくある話だね」
「そしたら逆に泣かされて、幼稚園の先生によしよししてもらいました。終わり」
「何だ、最後までよくある話じゃん」
「なんてこと言うんだ。こんないたいけな子を目の前にして」
 むちゃくちゃだ、と私は思う。ここにいるのはいたいけな子供じゃなくて背の高い二十歳すぎの男と二本の指じゃないか。話すことがヘンテコな分、金銭面には非常に気を回してくれる人間だ。
「面白くないこと言った罰ゲーム。腕出しな」
 私は少し強い口調を作る。山本はあからさまに嫌な顔をして、えーと文句をたれて腕を出す。私は人差し指と中指を伸ばし、息を吹きかける。
「食らえ、ライトセーバー」
 腕に鋭い一撃を加える。
「痛っ」
「フォースの力をあなどるでない」
 この一撃が男子顔負けの上手さだったことで、小学生時代は名を馳せていたのだ。本気で痛そうにしている山本の姿を見ると、まだまだ衰えてはいないようだ。私は少しにやけてしまう。
「佳世ちゃん……あんたドS過ぎるよ……暗黒面に引きずり込まれるしかないんじゃないの」
「いやー、そんなことはないよ」
 いや、その話はもういいから。

 空は大分暗くなってきて、人の量も増えて来た。下手すれば、ぶつかってこけてしまう。中途半端に人が行きかう時が一番危ない。容赦ないスピードで、無数の足が地面を動く。足元に気をつけながら、何とか歩く。
「気をつけなよ……ぐはぁ」
 先にやらかしたのは山本の方だった。奇妙な声を出して、身体がねじれて倒れそうになる。私は手を伸ばそうとしたが、時すでに遅し、だった。周囲の人が避けてくれたおかげで、ぶつからずにただ倒れるだけで済んだが、地面についた両手は痛そうだ。起き上がって、はたきながらまた進む。その足取りはかなり重い。
「大丈夫?」
 気をつけるのはそっちだったね、という皮肉を思いつくが、口には出さない。
「何か、肩に思いっきり誰かにぶつけられた気がする」
「気のせいじゃない? わざとやるような人なんていないと思うけどなぁ」
「うーん」
 山本は少し視線を落とした。とうとう足は止まりかけている。落ち込んでいるのだろうかと、私は焦りを感じる。皮肉を言いかけたことを少し悔いた。慰めなくては。
「そんなしょげなくてもいいじゃん。ラムネ飲もうよ」
「そうだな」
 豪快な氷水に浸けてある、さまざまな種類の大量のボトルが気持ちよさそうに浮いている。2本下さい、と私はラムネのボトルを買う。
 ピンク色のプラスチック製の道具で、ふたのガラス玉を押し込んでやる。この何とも言えない感覚が好きだった。山本はしゅわしゅわと音を立てて噴き出すサイダーを、あわてて口でおさえていた。
「ねぇ、佳世ちゃん、この中に入ってる玉って何か知ってる?」
 ゲップを抑えながら、山本は言う。カラカラと瓶をゆすって、中の玉を揺らす。
「さぁ、ビー玉じゃないの」
 それを聞いた途端、山本の顔に満面の笑みを浮かび上がった。
「はずれ! 違うんだなぁこれが」
 さすがに私も、それは知らなかった。目からうろこが落ちる、というのはこういうことを言うのだと分かった。ビー玉じゃなかったら何なんだ。
「エー玉」
「はぁ?」
「エー玉。ビー玉はBだろ。だからAだ」
「また訳のわからないことを」
「ラムネに入れるサイズの玉がエー玉で、その規格から外れたのがビー玉さ」
 なるほど、と納得しそうになったところで、
「嘘だよ」
 なんて言われたので思わず、嘘かい、と叫んでしまった。山本が思いっきり笑っているから、私もつられて笑う。結局正解は何だったのか、教えてもらうのを忘れてしまった。

「よう、山本」
 後ろから声をかけられた。
「お、ニッシーじゃん」
 山本にそう呼ばれた男は、スポーツ刈りで、背は低いが肩幅の広い、屈強そうな人物だった。横を見れば、それより更に背の低い女の子を連れていた。彼女は浴衣を着ているのが目につく。ニッシーはこちらに目をやる。
「その子、彼女?」
「紹介しよう、She name is Kayo」
 と気取った風に英語で紹介した。何だそれ、とニッシー君は言う。私もそう思う。彼女らしき女性も笑った。カヨちゃんって言うんだ、と彼は続ける。顔の割に意外と品のある声質と態度で、思わず身が引き締まる。
「よろしく」
 と愛想よく笑った。山本は手をニッシー君の方に向けて、紹介する。
「こっちが西田くん、んで、この子が牧原さん。ニッシーはもしかしたら知ってるんじゃない? 高校俺たちと一緒だから」
 よろしく、と牧原さんは丁寧にお辞儀をした。こちらもお辞儀を返す。小さく丸い顔の中にある細いパーツのためか、洗練された印象を受ける。きっとしっかり者なんだろうな、と自分に無い部分を想像する。反対に西田くんの顔を見て、なるほど何処かで見たような顔だと思った。頼りがいのあるシルエットは安定していて、彼女とよく似合っている。
 男二人は、お前も祭りに来てたのか、何年振りだ、という話を少しして、お互いの進路先を言い合っていた。私も牧原さんも、それに付き合う形で会話に加わっていた。西田くんは予想通り、アメフトをやっているそうだ。高校時代もそうだったらしい。対して山本の口から出た現在の状況は、西田くんはおろか牧原さんをも驚かせていた。山本はそういう顔を見るのがたまらなく面白いのだ、と言っていた。
 少し話をしたあと、デートの邪魔をしちゃ悪いから、と別れる間際に言われた。

「もう真っ暗だな」
「ホントだね」
 二人で空を見上げて、そんなことを呟いた。雲もしっかり除去された、非常にクリーンな空だ。
 ふいに、私は歌を歌いたくなった。口ずさむのは、『星に願いを』。
「When Wish I upon a star」
 山本の好きな女性歌手が、有名な楽曲をジャズアレンジしたヴァージョンが印象に残っていて、そのテイクの真似をする。しかし、何かがおかしい。メロディは乗るのだが、歌詞はめちゃくちゃだ。違和感がある。
「それ、なんか違ってない?」
 山本が問いただす。すぐ感付かれるとは、さすがに好きなだけある。むしろ彼はこの曲が映画で使われていたことを知らないんじゃないかと思っている。
「うん、何かがおかしいと思った」
「だってさ、英文法考えてみてよ。動詞の後に主語があったじゃん」
「そりゃどうも、悪うございましたね」
 山本の熱弁が少し鬱陶しくなってきたので、皮肉交じりに返事する。
「紙とペンもってない?」
 と手のひらをこっちに向けて差し出す。ないことはない。かばんの中からボールペンとメモ用紙を取り出し、渡す。近くにあった明るいスペースに立ち止まり、彼は文字を書く。When wish I upon a star。これを不用意とは言え、自分が言ったことだと思うと見てて恥ずかしくなる。まがりなりにも10年間英語を勉強してきた身だ。忘れてどうする。それに、もう過ぎたことをあれこれ言われるのが好きな人間はよほどの変人ぐらいだろう。どうせ彼は人のささやかな恥辱など気にしないだろうから、その気持ちはあえて抑え込むように努めた。WishとIも丸で囲み、反転を示す矢印を書く。
「これ逆でしょ。ついでに、正しくはIじゃなくてYou」
「When you wish upon a star」
「そう」
 満面の笑みをこっちに向けて、親指を上げる。
「ウザっ」
 私は怪訝な顔をする。
「で、その続きは?」
 と訊いてみると、彼は言葉に詰まった。すると彼はわざとらしく頷き、拳と手のひらを叩いた。
 すると、最初のワンフレーズをしっかり歌いきり、私を感心させた。しかし、その後の部分はすべてふんふんと鼻歌でごまかしていた。
「馬鹿」
 呆れたものだ。
「そもそもこれ何の映画の曲だか知ってんの?」
 彼は首を振る。映画の名前を言うと、国外のアニメ映画より国内のアニメ映画を見て育ってきたから、と言い訳する。
「知らないものは知らない。じゃあこれは知ってるか?」
 彼はジブリ映画の曲を歌う。急に裏声を使いだし、声量のコントロールもせず辺りに乱暴に音が散らばる。もののけ姫、と私はそっけなく答える。高校時代、吹奏楽部がよっぽど気に入っていたのか毎年演奏していた上に、それを見た山本が冗談半分にギターで弾き語りしていたではないか。山本が一人で披露する曲は、「あぁ、そんなのもあったな」と笑わせるようなものばかりだった。
「もの知りだな」
「常識でしょ。ねぇ、焼きそば買ってくれたら嬉しいんだけど」
 クイズに正解したところで、交渉してみる。正解者には商品があってもいいんじゃない、と彼に揺さぶりをかける。苦し紛れに、彼はまた語り出す。
「では第二問。織姫と彦星、二人の関係は何でしょう」
「夫婦」
 私は即答する。うわああ、と山本は奇声を上げながら、頭を抱えてのけぞる。
「どうせ携帯のニュースとかで読んだんでしょ。覚えてるよそれくらい」
「くそー、君も読んでたのかぁ」
 と、山本は悔しがった。
「仕方がない、正解者には焼きそばをひと箱、プレゼントでーす」
「やった。ありがとう」
 本心からやった、と思う。ありがたい。金銭面では優しい男だが、トラブルを起こす話を聞かないところをみると、援助する人間はちゃんと選んでいると思われる。その意味で、私も彼の目にかなった人間なのだと思うと、少し嬉しくなる。

「いたっ」
 私は不意に、バランスを崩した。誰かが思いっきりぶつかってきたのだ。振り返っても、もう人ごみにまぎれて誰の仕業かはわからない。山本は手を伸ばして、私の腕を掴んで引きもどしてくれた。
「今日はよくこけるねぇ」
「うん、まったくだよ」
「さすがに人が多いと、こけやすいしねぇ。今日はヒール?」
「ううん」
 こいつ、見てないな。山本を疑いつつ、少し背中に汗が噴き出るのを感じた。ただこけそうになっただけじゃない、得体の知れない恐怖を感じた。あまりよくない感情を、卑怯な方法でぶつけられている。そんな感じだ。私は運よく、女子のグループからはみ出された経験を持たずに、あるいはそういうことをするような陰険な人間とあまり関わりを持たずに育ってきたが、世の中の現実はきっとそれがはびこっているのだろう。ただ、そういうのに会わないことが逆に自慢でもある。

「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる。先に食べて待ってて」
 焼きそばの二つ入った袋を私に預け、近くの建物のドアを開ける。駆け足だったので、相当我慢していたのだろう。まぁ、食事前に考えることではない。
 その時、足に激痛が走った。何者かがわざとらしい力で強く踏みつけたのだ。歯を食いしばったまま、無意識につぶってしまった目を開ける。目の前にいる女が、座っている私を見下ろして、うすら寒い微笑を浮かべている。
「いい気味だわ。たっくんにあんたみたいなのが近づくからこうなるのよ」
 たっくん……山本のことだ。そういうあんたは誰なんだと問いただそうとしたが、足の痛みで言葉が上手に声にならない。まずい、本当に痛い。
「気持ち悪いのよ、あんた。彼女でもないのにベタベタして」
 女は私に悪態をつく。白状すると、山本と私は実はそういう関係ではない。でも、それでも。言い返したい気持ちでいっぱいになる。だが、それをしたら最後、自分で怒りを抑えきれなくなる。凄い剣幕でまくし立てるだろうが、そこに説得力のかけらもないことは、経験的に知っていた。私はそういう人間なのだ。ここで同じ過ちを犯さないためにも、相手の目を見つめ、口をしっかりと開かないようにした。
 暗くて、彼女の顔はよくわからない。肩ほどの長さの髪と、力仕事を人に任せてきたような可弱いシルエットだけが、印象に残る。踏まれたせいか、彼女の瞳は痛々しくさえ思えるほど陰湿な邪念が渦巻いているように思えた。あるいは、何も考えることもなく、誠実さのかけらも育んで来なかった卑しさが宿っている。
 しばらく睨みあっていると、山本がお手洗いから出て来た。彼女がそれに気付くと、舌打ちをして去っていく。一瞬の出来事だった。
「あれ、まだ食べてないのか」
「うん」
 少し遅れて返事を返した。女が闇と人ごみに消えた方角を、ぼんやり見つめる。
「どうしたの、顔が暗いよ」
「いや、何でもない」

 それから射的やらスーパーボールすくいなど、少ない移動距離の中で遊びを繰り返し、川沿いで打ち上げられる花火を発射台間近で見物した。足を踏まれたことは伝え、山本は様子を見るなどしてそれなりに気を使ってくれた。ふがいなくてごめん、と言うと、謝らなくていいよ、と返された。
「本当に大丈夫? 疲れちゃった?」
 山本は更に問いただす。私は黙った。今が言う時なのかもしれない。
「踏まれたときさ、踏んだ女に悪口言われたんだ。付き合ってもいないのに、二人で一緒に遊んでるのはおかしい、って」
 可能な限り、感情を込めず事実だけを伝えるように努める。迷惑はかけられない。
「そんなことない、とはさすがに言いきれない、けど、だからって」
 しかし、山本は明らかな嫌悪感を示していた。あとに続く言葉をためらうように、首を振る。
「いや、何でもないよ」
 私はこの話をここで終わらそうとして、そう言った。枝垂れ柳が、頭上から落ちてくる。見たこともない流星群を連想させる。
「おかしいんだったらさ、」
 あたかも最初から存在していたかのように、出来る限り自然に発せられた言葉であるかのように、山本は切り出そうとした。私はその話はもうしようとは思っていなかったから、思わず顔を背けた。
「あ」
 顔を上げると、西田夫妻が立っていた。
「お、山本たちもここにいたか。いい場所とってんじゃん」
 と西田くんは豪快な声を上げる。
「お邪魔虫だなお前は」
 と山本は笑って悪態をつく。一発上がった花火を見て、奇麗だね、と言い合う。私はふと思いつき、口に出してみる。
「折角だし、花火四人で見るのもいいんじゃない? どうですか、西田さんも」
「タメ語でいいよ、同い年なんだし。うん、皆で見るか。いいよな、梨奈ちゃん」
 後ろで牧原さんがいいよ、頷く。彼女は頭に黄色いお面をつけていた。何かと思って見せてもらうと、ピカチュウのお面だった。
「これ、どうしたの?」
「ふふふ、買ってもらったんだ」
 彼女ははにかんだような笑みを見せた。可愛らしさを褒めると、彼女はお面を顔につけ、ピカチュウの鳴き真似をした。私は驚く。
「上手いね」
「ありがとう」
 きっと彼女は多才なのだろう。また一つ、空中で光が弾ける。
「うわぁ、きれい。星みたいだね」
 私は素直に感動する。
「うん。でも、ちょっと怖いなぁ。もしこれが隕石だったら、落ちてきて私たち危険どころじゃ済まないんだよ」
「それ、さすがに考え過ぎじゃないの」
 牧原梨奈は少しズレている、のかもしれない。
 それからすぐに私と牧原さんは打ち解け、花火を見上げながら色々と盛り上がっていた。
 後になって思えば、この時山本にも、ちゃんと「4人で一緒に花火見物をしてもいいよね」と了解を取るべきだったのだと思う。
 牧原さんの横で、山本が西田くんに何を話していたか、少しでも耳を傾ければよかったのだ。







 文字数約8000字。結構ギリギリまで書き込みました。
 掲示板の形式を全く考慮せずにかいたので、ワードなり何なりに移して読んでいただいた方が読みやすいかもしれません(。・_・。)ノ
 ポケモンが申し訳程度にしか登場しないですみません;
 
8/21 笹→短冊に修正。笹じゃおかしいよなぁ……やっぱり。どこかはいいません。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.3 )
日時: 2010/09/06 22:45
名前: 挽きたて珈琲豆

Aコース「暗闇は人を……」


ああ、いつからこうなっただろう、私の腕の中にいる彼女も血色を悪くして、その栗色の瞳を細め、がたがたと体を震わせる。
それは暗い、暗い洞窟の中のこと、私は足場を確認すると、そこには石ころ一つも見えない、私の靴さえもだ。
彼女はひたすらに震えている、肌触りのよい彼女の尻尾も体もこんなにも温かなのに、この空気はどうだろう、震え上がるようだ。

日光の遮断されたこの場所では外気の気温はあまり関係ないも等しい、今この肌で感じ取っている駆け抜けるような寒気がそれを物語っている。
ただ、外気ばかりではない、こんなにも恐ろしいほどに寒気を感じ取る要因はきっと……。

聞こえるのだ、彼女にも、あの音が。
彼女は私の腕の中で、震える声で小さく「ぶい」とないた、彼女のいつもの可愛らしい声がまるでライターの灯のようだ、ともってはいるが、ちょいとした風ですぐに消えてしまうあの火とどこか似ている。

ゆっくり、歩を進める、もう一歩、足音を出さないように歩を進めた。
ひやりとした空気を目いっぱいに吸い込むと、胸の辺りがまるで毒に侵されたように苦しくなる。
あまりの寒気に振るえあがった、蝙蝠であるが蝙蝠でない生き物が頭上をかすって飛んでいく、あいつは超音波で私の位置がわかるのだ、きっとあの音の位置も。
しかし私と彼女にはわからない、彼女はその栗色の毛が覆う長い耳をたれ下げ、音を聴くことを意識的に拒んでいる。
私はどうすることもできない、こんな洞窟の中にいたらいずれ餓死してしまう、私はあいにく石ころの怪物のように岩や土を食べて暮らすことはできない。

音は止まない、明かりを灯す術もない、さっきあの音に彼女以外のものはいわゆる瀕死の常態にされてしまった、もてる道具もすべて使った、彼女も気力をなくしてしまった、あいつには勝てない。
それならば逃げるしかない、あの音に気づかれず、この洞窟の中から。

元は遊び半分だった、興味本位とも言い返しても間違いではない、私とて弱くともトレーナーの端くれ、このような場所に来てもいいではないかと立ち入っては見たものの、このような状況に置かれると後悔しかあるものはない。
興味も失せた、それでもこの洞窟を探検せざるを得ないのは、出口がわからないからだ、あの音に襲撃され、散々逃げ惑い、出口を失った。
あの音はまだ止まない、あいつはこちらの位置がわかっているのだろうか。

一歩、二歩、一つ、二つ、私と私以外の岩を削る音、少ししか音を立てていない私のものとは違い、やつの足音は大きく、爪で引っかくようなバリバリとした音がついて回る。
ごつごつした壁に二の腕を軽く擦りつけて一歩、二歩、すりすりと擦られる音も僅かばかり響く。
足元を確認しつつ、また一歩、突然がけが現れることだってあるかもしれない、音に襲われたら終わりでも、死にたくはない、うるさいばかりになり続ける鼓動は私がまた生きているのだと言うことを思い出させる。

強烈な外気の冷えと、私の額に流れる冷や汗、呼吸も荒く息苦しい、彼女は私にしがみついた。
絶えられない足音、絶えない心音、絶えない緊張感。
地図が見えない、磁針もない、あったとしても見えない、取り出せない。
ただ歩く、生き残りたくて、私は今生きるために探検をしている、それもだ、

「洞窟」ではなく「生死の境」を

洞窟探検に力を注ぐ暇はない、そんな精神状態の余裕もない、走馬灯が繰り返される、冗談じゃない。
恐怖はやがて怒りへと姿を変えていく、しかしここで叫びたくっても意味はない。
感情がせめぎあい、新たなる感情を生み出す絶えない足音への焦燥。

身が震え上がり情けない声が口から出た。
突然早まる足音、なりふりかまわず、気づかれることも考慮に入れず突然私も走り出した。
足下は不安定だ所々躓きそうになるが足を止めるわけにもいかない。
彼女はパニックを起こした私の腕の中で暴れる、そんなに暴れないでくれ君を落としてしまう。
石を蹴る音奴の爪が石を引っかく音、奴だこっちに迫ってくる気配奴の荒い呼吸絶好の餌を逃がさんとする熱い呼吸だ。
楽しそうでもある、目の前が滲む脚も疲労がたまってきたしかし止まるわけにはいかない。

服を引っかかれた体が宙を泳ぐ。
動きが止まったことで私の中の臓物が骨にたたきつけられたようだ、吐き気にも似た気持ちの悪さがこみ上げ、それすら許されないくらいに急速に血の気が引き始めた。
彼女は私の腕から滑り落ちていった、僅かな衝突音と彼女の悲痛な「ぶい」という声が聞こえた。
私の体はくるりと走ってきた方向へ向かされ、獣の口から吐き出された息が顔にかかる、太く力強い腕だ、振り解けもしない。
相手の顔も見えない、ただ光を灯す術を施行していた際に奴の姿は見た。
腹に円を描いた模様のある巨大な熊だった。

体が揺れる、わかる、牙が近づいている、動悸は酷くなる。

いろんな意味をもった、嗚呼、なんて短い手段の少ない「探検」


暗闇は人を……

絶望的にさせる


end

夏と言えばホラー、題材は「探検」
煮えたぎる物語のある夏ではなくこういう夏もいいのではと試行した結果なんとも稚拙な文章の完成。
ちなみに彼女はイーブイ、蝙蝠でない生き物はズバット、石ころの怪物はイシツブテ、足音はリングマとなっております、文章中であまり描写がなかったしポケモンとも言わなかったので何人が気がついたでしょう?
探検と言っても実際に見て歩くことだけが探検とは言わないのでまた違ったほうの探検も入れてみたり。
ひやりとしたものを感じていただけたら大変喜びます。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.4 )
日時: 2010/09/06 22:46
名前: Rという名の作者

『とある秘境での出会い』


 世に秘境と呼ばれる場所がある。理由は様々あれど、何か大きな力がその場を支配し、その場へと足を運んだ者は二度と帰ってくる事はない等と言う事が大半を占める。
 そんな場所にも進んで足を運ぶ者がいる。世に探検隊と呼ばれる者達。探検隊と言ってもピンキリで、駆け出しの者たちもいればそれこそ世界を救ったという程の実力者たち、悪名轟く者や名前だけを残し消えていった者達も存在する。
 探検隊とは文字通り、まだ見ぬ新天地や光り輝く金銀財宝等を求め、光指さぬダンジョンを捜索する者たちを指す。ダンジョンとは時間や空間がねじ曲がった事により産まれてしまった謎が満ちる場所で、入る度にその形を変えていくという摩訶不思議な場所の総称。ポケモン達は畏怖の念を込め、正式名称を不思議なダンジョンと名付けた。
 ダンジョンに長時間滞在したポケモンは自我を失い、とても攻撃的になる。特によそから入ってきた者達に攻撃するようになるなどとても危険な場所ではあるが、メリットもある。何故だかダンジョンでは冒険に役立つ各種道具なども生み出しているらしく、そういったお宝を求めて探検をする者も少なくない。
 そんな不思議のダンジョンの中でも特に危険なのが、秘境とよばれる場所と言う訳だ。だがしかし、そのような場所だからこそ出来る出会いがあるのもまた然り……。

 とある秘境、正確に言うと熱帯雨林とも言うべきジャングルの奥地にて、爆音が響く。霊力を固めて作られたシャドーボールをまともに食らったラフレシアは上空へとブッ飛ばされ、そのまま落ちていく。グシャッと嫌な音が響くが、死んではいないだろう。
 ふうっと大きくため息をついたのは、もふもふとした茶色と部分部分白い毛、ピンとたった大きな耳が特徴のイーブイだった。特徴としては首に青色のスカーフを巻いており、スカーフに付いてるきらりと輝くマスターランクバッジが、イーブイの強さを物語っている。

「ふぅ、危なかった。えっと今が29階位だったはずだから……そろそろ一番奥のはずなんだけどなぁ」

 圧倒的な筈だったのに、危なかったと言うイーブイ。この事からイーブイの性格が少しだけ分かるかもしれない。
 そんな彼女に近づく影が一つ。大きなボストンバックを肩に下げ、少し疲れたようにため息を吐くポケモンもまた、首に青いスカーフを巻き、イーブイと同じマスターランクバッジを付けている。どうやらイーブイの仲間のようだ。

「リオルぅ、もうこの近辺に敵はいない?」
「うん、遠くの方にまだ数匹いるけど、暫くは休めると思うよ」

 青と黒の色合いと、頭にある二つの房が特徴のリオルが、ゴーグルを付けながら辺りを見回している。このゴーグルは見通しメガネを改良した物で、性能はそのままに使いやすいようにしたものである。
 彼らもまた、探検隊として名をあげる者達。詳しい事は言わぬが、マスターランクと言う称号を持つという時点でかなり名の上げた探検隊だと言う事は分かる。……この際二匹の体の小ささは度外視しよう。
 バックから手書きの地図を取り出し、辺りを見回すリオル。進むたびに地形が変わり続けるダンジョンではそのたびに地図を書かねばならないが、長年捜索を続け地図を何度も書いた賜物か、走り書きとはいえなかなか分かりやすい地図に仕上がっている。

「よし、もうすぐ階段があるから、このまま降りちゃおう。多分次が最奥……このジャングルのボスが待っている場所だよ」

 リオルが言うと同時に、イーブイの顔もキッと引き締まる。秘境と呼ばれる場所が秘境と呼ばれる所以にはもうひとつ特徴がある。それは、世に伝説や幻と位置付けられる力を持ったポケモンの住処である可能性が高いという事だ。
 しかもこのダンジョン「ミステリージャングル」には秘宝と呼ばれる宝物が眠っているという話もある。その秘宝を守る為に力の持った者が守っているという話は珍しくはない。寧ろ当然の話である。
 かつて彼らは伝説の宝が眠ると言うダンジョンに潜った事もあるが、その時もレジロック、レジアイス、レジスチルと言った聞けば誰もがひっくり返る荘厳たる顔ぶれと戦う羽目になった。このダンジョンでもまたそうなる可能性は十分高い。

 既に見つけてあった下り階段(森に階段と言うのもおかしな話だがこれもまた不思議のダンジョンの特徴の一つ)を登り、30階へと進むと、少し開けた場所へと出た。
 警戒し辺りを見回すが、秘宝の類やそれを守る番人の姿もない。隠れているのかと気配を探るも、そのような気は感じない。
 少しだけ警戒を解き、息を吐きだそうとした瞬間……突如、バァンという炸裂音が響いた。
 一気に戦闘態勢を取る二匹。リオルは拳を固め何時でも瓦割りを発動できるように、そしてイーブイもまた霊力を高めてシャドーボールを撃つ準備をする。
 二匹が捉えた姿は、宙に浮いていた。全身淡いピンク色でとても長い尻尾、青いクリっとした目がとても可愛らしく、手には爆音の原因であろうクラッカーが握られていた。

「オメデトー! いやぁこんな所まで来てくれる探検隊なんて滅多にいないからほーんと嬉しい、あ、驚かせちゃった? ゴメンナサーイ本当ひっさしぶりのお客様だからつい羽目外しちゃってあでもでも普段はもうちょっと真面目に取り組んでるんだよ? ホントだよ? 漏れでも私真面目なキャラで今まで生きて来たんだからってそんなの聞いてない? あふぅゴメンナサーイ」

 満面の笑みで足早に話すピンク色のポケモンに、リオルとイーブイはそろって口をアングリと開け言葉を失った。
 一体どんな屈強なポケモンが待っているかと思いきや、現れたのが自分達と同年齢ぐらいの小さなポケモンという結果に、つい拍子抜けしてしまったのだ。
 苦笑しつつ戦闘態勢を解きかけ、しかし瞬間的な殺気にリオルは反応し、イーブイを抱えて大きく横に跳び逃げる。
 
「ひゃぁ!?」という彼女の声と同時に聞こえて来たのはまるで巨大な重りを乗せられたかのようなミシミシという大地の悲鳴。しかもその悲鳴はどんどんと大きく、悲惨な音へと化す。
 サイコキネシスによる、空間自体にGを加えた事による重力攻撃。ほんのコンマ数秒単位で気付くのが遅れたら、大きすぎるGに押しつぶされ、下手したら押しつぶされて絶命していたかもしれない。
 キッとピンク色のポケモンを睨むリオル。当の本人は攻撃が当たらなかった事にムスッとした表情ではあったが、すぐにコロッと表情を変える。喜怒哀楽が非常に分かりやすいが、敵に対しての情けはどうやらあまりないらしい。

「自己紹介がまだだったね? 私の名前はミュウ。このミステリージャングルで暮らす、草のラッパの守護者。ここまで来た事は嬉しいけど、ラッパが目当てなのは分かってるよ。そういう人達は、残念だけど倒さなきゃならないんだ」

 ミュウは右手に力を溜めた状態で少し怖い顔で睨みつつ自己紹介する。キィンキィンと音が鳴っている程高密度に煉られた念エネルギーにリオルとイーブイはおもわず唾をゴクリと呑み込む。生半可な防御ではまず太刀打ちできないだろう。
 イーブイの態勢を整えた後、リオルはまっすぐな瞳でミュウを睨み返す。その瞳はとても透き通っており、だがその瞳の奥にある闘争心は、歴戦の戦士にしか宿らない熱きもの。
 イーブイもまた、ミュウを力強く見据える。ほんの少しだけ体が震えているが、これは恐怖か、はたまた武者震いか? いずれにしろ、逃げるという選択肢ははなから度外視しているようだ。

「俺の名前はリオル。チームグリムゾンのリーダーをさせてもらってる」
「私はイーブイ、同じくチームグリムゾン副リーダーです」

 ミュウはニッコリと微笑み、力を、技を生成する。リオルはグッと電光石火の構えを取り、近づき攻撃するチャンスを狙う。
 イーブイは霊力を高めシャドーボールの構えを取る。今までの技からエスパータイプと思われるミュウには効果抜群であるが、どんな攻撃も当たらなければ意味がない。
 「ヒュッ」と漏れたリオルの声が、開戦の合図となった。サイコキネシスが、シャドーボールが、リオルの拳が、交錯する。

 とても戦闘音とは言えないほどの爆音が、辺りを駆け巡っていく――。







 大陸の西端に存在する街、トレジャータウン。プクリンのギルドのお膝元とも言えるこの街には、沢山の探検隊達が冒険への準備を整える為に訪れる。
 夏の日差しが少しだけ緩んだ頃、救助依頼を終え帰路についていたドゴームがふと出入り口付近を見ると、全身ズタボロになって帰ってきたリオルとイーブイの姿を捉えた。
 思わずギョッとして急いで近寄る。話を聞くと、七つの秘宝の番人との戦闘にて深手を負ったが、辛うじて戦闘に勝利し、秘宝を譲り受けたとのことだった。

「しっかしお前らがそこまで苦戦する相手とは、一体どんなおっそろしいバケモノなんだ? まぁ無事に帰ってこれたからよかったけどな! ガッハッハ!!」
「御免ドゴーム、流石にその大きな声今の僕達には辛過ぎる……」
「か、体にミシミシ響いてくるよぉ……」
「おぉわりぃわりぃ!! ところでよぉ」

 全然下がらぬ音量に肩を落としつつ、ドゴームの疑問に耳を傾ける。

「その後ろの子は、新しい仲間かなにかかい?」
「「はい?」」

 二匹はくるっと後ろを向いて、そのまま……絶句した。

「コンチワー!」

 つい今しがた激闘を繰り広げた秘宝の番人が、満面の笑みで右手をビシッと上げ、しかも傷をあらかた治した状態でそこにいたのだから……。






 後日、ミュウはチームグリムゾンの正式なメンバーとして仲間に入る事になるのだが、それはまた別のお話。


〜to be continued?〜


〜あとがき〜

Aコースにて、ポケダンをテーマに書きました。……うん、書いて無くてすいませんでした;;
ポケモン+探検=ポケダン! ……うわぁ我ながら安直な……どうもRです。
ちなみに今回でた組み合わせとチーム名は自分とこのだったりします。まぁあまりお気になさらずに。
さて、今回はどうなるかなぁ……でわ!
メンテ
あなたのおなまえなんですか? ( No.5 )
日時: 2010/09/06 22:46
名前: 夏花火ロリコン仕立て

Bコース『あなたのおなまえなんですか?』


 祭囃子が聞こえてくる。賑やかな喧騒。子供の笑い声。そのどれもが、今は自分を嘲笑っているかのようで不快だった。
 思いの外美味しかった林檎飴、一匹も掬えなかった金魚掬いも楽しかった。なのに、なぜ、今はこんなに惨めで心細いのであろうか。
 分かり切っている。全部おにーちゃんがいけないのだ。
 家族で来た夏祭り。おにーちゃんに手を引かれ走り回っていると、いつの間にかおとーさんもおかーさんもいなくなっていた。はぐれてしまったのだ。
「真由! おまえはここで待っていろ! お兄ちゃんが必ずお父さん達を見つけだしてやるぜ!」
 かっこよく、なのかどうかはよくわからないが、とても良い顔でそう言ったおにーちゃんはまだ戻ってこない。もう一時間以上前のことだ。きっとおにーちゃんのことだ、どこか明後日の方向目指して突っ走っているに違いない。まったくもってあてにならないおにーちゃんだ。
 そんなことを考えていると、なんだかムカムカしてくる。全部おにーちゃんがいけないのに、なんで私がこんなめに合わなければいけないのだろうか。
「そこのお嬢さん」
「……ぁによ」
 無意味に爽やかな声が目の前からして、私は顔を上げた。歳はたぶん十五、六。おにーちゃんより少し上。声に負けじと無駄に爽やかな顔。まるで太陽のように爽やかに、否、うざったく笑う。
「迷子かい?」
「……知らないお兄さんとは話すなって言われた、子供相手に声掛けてくるお兄さんはみんな幼女性愛者(ロリコン)だから気を付けろって」
 彼は一瞬、キョトンとして私を見つめていたが、次の瞬間には大きな笑い声を上げる。
「これは教育熱心な親御さんがいたもんだ、知らないお兄さんからは物を貰うな、とか言われてるのかい?」
「……それは言われてない」
「物を貰うな付いていくなを先に教えるべきじゃないのか」
 そういってまたお兄さんが笑う。たしかにそれもそうだ。
「まあいいや、食べるか?」
 いつの間に持っていたのか、ずっと目の前にいたのだから、きっと最初から持っていたのだろう、バナナチョコを私に差し出す。私も素直に受け取ると、一言呟いた。
「……バナナ……嫌いなのに」
 悪態を付きながらそれを一口頬張る。
「でも、おいしい」
 その言葉を聞いてショックを受けていた彼が微笑む。
「それは良かった」
「で、何の用?」
 まさか見ず知らずの女の子にバナナチョコを食べさせる為に話し掛けてきた訳ではあるまい。
「そりゃあ、お兄さんは幼女愛好者(ロリコン)だからな、小さな女の子が寂しそうにしていたら声を掛けるさ」
 あくまでも爽やかに問題発言を口にする。爽やかな笑顔……やっぱりウザイ笑顔も崩さない。
「お兄さん、携帯持ってる?」
「お父さんの携帯の番号とかわかるかい?」
 私はふるふると首を横に振る。十一ケタもの電話番号はさすがに暗記出来ていない。
「警察に電話するの、お菓子で釣って幼女をたらしこもうとする犯罪者がいるって」
「いやいやいやいや、ちょっと待てゐ」
 さすがにお兄さんもこれには笑顔を崩した。
「お兄さん、ただの好青年だよ、悪い人じゃないから」
「悪い人は自分を悪いなんて言わないと思うけど」
 小さく呻くお兄さん。それに自分でロリコンて言ったし。
「ところでお嬢さんのお名前は?」
「坂下真由、八歳」
「八歳か、ところで、知らないお兄さんとは話しちゃいけないんじゃなかったの?」
 すっかり忘れていた。慌てて言い訳を考える。
「バナナチョコ貰ったからもう知らないお兄さんじゃない」
 なんてダメな言い訳だろう。お兄さんがくすりと笑うのがムカつくから、一言付け足してやる。
「今はロリコンバナナのお兄さん」
 微笑んだ姿のまま硬直するお兄さん。うん、中々反応が面白いお兄さんだ。
「……まあ、それは置いておこう」
 お兄さんは言いながら、誰かに電話を掛け始める。
「警察?」
「違うって、ちょっと静かにしててね……もしもし、今祭来てるよ、うん、今本部? あー、それは悪かった」
 本部ってなんの本部だろうか。まさか幼女性愛者(ロリコン)協会の本部……そんなわけはないか。
「うん、迷子、坂下真由ちゃん、八歳、あ、今来てる? おー、良いタイミングだった、じゃあそっち連れてく? うん、わかった、じゃあ待っててもらって、うん、今行くから」
 お兄さんが携帯を切る。
「うちの親が祭の実行委員なんだ、本部に問い合わせたら、今お父さん迷子センターに来てたって」
「本当に?」
「うん、嘘吐いてるように見えるかい?」
「うん、幼女性愛者(ロリコン)協会本部に連れていこうとしてるように見える」
 さすがに慣れてきたのか、今度は笑顔で返してくる。
「そんな協会があるなら行ってみたいな」
「幼女性愛者(ロリコン)はビョーキです、適切な施設で隔離とか矯正とかしてもらえば治ります、たぶん」
「どこでそんな言葉覚えるの?」
「マンガ」
 明らかに、この子はどんなマンガを読んでいるのだろう? と言う顔をしているお兄さん。私は立ち上がると、お兄さんの手を取る。
「早く行こう、ロリ協本部」
「そうだね、行こうか」
 彼は苦笑いしながら、私の手を引いて歩きだす。
 ロリコンバナナのお兄さんから、優しいロリコンお兄さんにランクアップしてあげよう。でもそれは教えてあげない。
「そうだ、お兄さんの名前聞いてないよ」
「うん? 俺?」
「そう、私教えたもん、お兄さんも教えてくれないと不公平」
「そういうもんか? まぁいいや、俺は――」



 また、会えるだろうか?

 少し変で、でも優しそうで、ちょっと頼りになるお兄さんに。




あとがき

まだおにーちゃんは両親を探しています。
おにーちゃんは一回真由ちゃんの元に戻りました。
今度は真由ちゃんがいません。
おにーちゃん「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.6 )
日時: 2010/09/06 22:48
名前:

Bコース「哀色の魂」

ああ、酒気と熱気に体を預け、声にならない叫びを上げると、私を見つめる村人達が今がその時かと眼を煌々と輝かせる。
川が渇き、田畑も枯れしまったこの村は、残された希望を私に賭け、飢えた目をしていた。日照りの中、私の両の手で踊る炎と同じ色をしていた。
私は弾けんばかりに体を躍動させる。神をこの身に降ろし、雨を祈る祭りの巫女の様とはこういうものだと、村人達の眼に焼きつけるよう、必死に踊った。
舞に見られる優雅さなどかけらもなく、狂った人間が暴れているようで、両手の松明から火の粉が散り、その中心にいる私はゆらめく炎だった。

祭りが失敗したら殺される、村人達の希望の分だけ、対極にある絶望は激しい怒りと変わるだろう。
原始に近い鼓動のリズムに夢中で体をゆだねながら、私の心には黒い不安がたたずんでいた。危うげな楽しい夢を見ている気分だった。いつ目が覚めるのかも分からない。

祈りを続けるうちに、黒い不安は消えていった。私の心は神のものになった。
私が願うのは、雨ではない。殺されないことでもない。ただ踊り続けることだ。
村人達の目が、意識が、全てが私に注がれている。私という炎に魅入られている。この高揚感をなんと言い表せばいいだろう。服がはだけても気にもならなかった。真の祭りとはこういうものだ。
ああ、どうかこの夢がいつまでも続きますように。

優れた雨乞い師の魂はどこにも還ることができない。
雨を降らせることに成功し、その挙句殺された私の魂は、皮肉にも、全ての魂が還るという霊山に安置された。
束の間の雨に満足しなかった村人達は、神が宿ったと見えた私をちぎり殺し、髪、骨、肌を、御神体の水晶の中に封じ込めた。こうすればいつでも雨が呼べると考えたのだ。人々は私のことを「あいいろのたま」と呼ぶようになった。

私には家族がいた。片思いだが、恋した人もいた。
村で一番踊りが上手かったというだけで巫女に選ばれ、雨が降ったという空のきまぐれで、私の命を失う形で全てを奪われてしまった。
雨を支配したいという幻想で、私のささやかな願いも、踏みにじられたのだ。
ああ、私の願いは、たった一つだけだったのに……

これから語るのは、現人神として生涯を終えた私の人生だ。
私を手にする人がいるならば、よく聞いて欲しい。
人は決して神に成れない。

私の始まりは、生まれて初めて海を見た日のことだった……


あとがき

ホウエン地方のアイテム「あいいろのたま」を題材に、神事としての祭りを書きました。

せっかくの企画ですので、皆さんの力作が読めると楽しみにしています!
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.7 )
日時: 2010/09/06 22:49
名前: Rという名の作者

『旅立ちは潮風と共に』


 くぁ、くぁ、というキャモメ達の声が聞こえる。鼻をくすぐる潮風は独特な匂いを放っている。……ずっと嗅いできたこの匂いとも、もうすぐお別れかと思うと、とたんに寂しいと思うのは何故だろうか?
 朝日が眩しい島の港。連絡船に乗り込み荷物を下ろし、船の後ろへと出た。ずっと暮らしてきた島が一望でき、少しだけセンチメンタルな気分になった。
 海はどこまでも続く。だからこの潮風は道中何度も嗅ぐ事になる。……だけどこの地この島の潮風は、もう暫くは嗅ぐ事は出来ない。
 ……つい、うすら笑いを浮かべてしまう。何を言ってるんだ俺は。もう振り向かないと決めたじゃないか。

「ぶぃー、ぶいぶぅ」

 俺の頭の上でペシペシと叩いてくるのは、これから相棒となるイーブイ。二日三日前に貰ったというだけの間柄ながら相性が良かったのかすぐに懐いてくれた。……まぁ頭の上にすぐ登りたがる癖を除けば、良いパートナーである。

「分かってるよイーブイ。お前のこれからの人生、良いものにしてやるから安心しろ」
「ぶ〜い〜?」

 「ほんと〜?」という口調で鳴くイーブイに、俺は頭をワシャワシャとさせる事によって答えた。
 どうも頭を撫でられるのは嫌いらしく、ブィィィっと唸られてしまった。まぁ後で美味いもん食わせてやればいいか。……いいのかそれで? まぁいいか。



 その時、ブォォォォ……っと汽笛がなった。どうやらもうすぐ出港するらしい。
 大きく息を吐き、肺に空気を一気に入れる。また嗅ぐ事が出来るか分からない島の空気を、出来るだけ吸い込みたかった。
 また、ハァァァァァ、っと吐き出す。それだけで、何となくだけど気持ちが晴れ晴れとした。……大丈夫。
 ふと上の方でもブゥゥゥゥゥゥ、とイーブイが息を吐き出したのが聞こえた。こいつ俺の真似しやがった……まぁいいか。

 これから行くのは、イッシュ地方。何でもイーブイ種の新しい進化先が発見されたと噂されているらしい、とてもとても遠い地方だ。暫くは船旅三昧を味あわなければならないだろう。
 でも、俺は行く。折角イーブイを手に入れたんだ、折角だからその新しい進化とやらを拝んでみたい。そして、イーブイも同じ気持ちらしい。
 正直不安もある。遠い地方でたった一人、やっていけるのかと。だけど、旅立ちっていうのはこれぐらい壮大な方がいいと母も言ってくれた。

「……絶対、強くなって帰ってきてやる」
「ブィ!」

 冒険の、旅立ち。これからどんな事がおきるのだろうか? それを知っているのは、多分セレビィかディアルガぐらいなんだろうなぁ。
 そんな事を考えつつも、ゆっくりと離れていく島を、何とも言えない気持ちの中で俺は旅立っていったのだった。



〜後書き〜

Aコースにて、冒険への旅立ち。ちょっと短すぎるけど気にしないで!!
今回A少ないよぉ、皆もっと平等に書いてこうよ!!

ということで、次こそはBを書きたい。でわ!!
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.8 )
日時: 2010/09/06 22:49
名前: さささ

Aコース[未開見たいテレポート]

【一】
  人間ってえのはえてしてポケモンの迷惑にしかならねえ。あいつらは俺達をふるさとから強引に引っぺがし、わけのわかんねえ球にぶち込んで連れ去っちまう。そんでもってひたすらこき使ってあっちこっち連れ回すってんだからそら迷惑でしかねえだろう。ふざけんじゃねえってんだこんにゃろう。
 というのもよ、いつもこの辺の森に餌を取りに来るもんで仲良くなったヤミカラスってえのが最近来なくなったもんだから、どうしたもんかと同じ場所に住んでいるピカチュウっていうのに聞いてみると、人間に捕まったってえ話じゃねえか。正直言うと、俺は恐い。その突然襲いかかってくる人間ってえのがもの凄く恐い。ああああ情けねえ。あんなひょろっこい人間をびびるなんて情けねえ。けどよ、あいつらの連れて歩くポケモンってえのがめっぽう強い。そらあもう闘うお人形のように、人間達の言う事を聞いて攻撃してくんだ。というと恐いのは人間じゃなくてポケモンだろう? なんてことを言われるかもしれねえが、それは違う。そのめっぽう強いポケモンに命令できる人間の力ってえのが、きっと一番おっそろしい。歯向かえば絶対に倒せるのに、あのめっぽう強いポケモン共は、人間を攻撃しやがらねえ。それどころかはいほいと言うことを聞いて、俺達をぼかすかと攻撃してきやがる。こりゃあ一体どういうこった。
「あ、ケーシイいた!」
 そんな風にボンヤリ考えながら森の中をブラブラしていると、俺の前にのこのこと現れやがった奴がいた。黒い短髪頭のそのガキは、俺を見つけたことにあたふたしながらも、腰についたあのいまいましい球を俺の前に投げやがる。
「お願い、スリープ!」
 中から出てきたのは、何考えてんだかよくわかんねえ、鼻のなげえ二足歩行のエスパーポケモン。っへ。俺の敵じゃないさ。今まで幾度となく人間に攻められながら、一度たりとも捕まってねえどころか、一度たりとも攻撃を受けていない。そんな俺を捕まえようなんざ百年はええ。なんたって俺には、伝家の宝刀テレポートっちゅう技がある。それがある限り、一生人間なんかに捕まるわけがねえ。はは、残念だったな。この間抜けそうなスリープは捕まえられても、この俺は捕まえられないぜ!
「ようし、スリープ! 金縛りだ!」
 ん? んん? あれれ? や、やべえやべえ、テレポートが出来ねえよ。ああ、やべえやべえ。逃げられないんじゃ俺には勝ち目なんてねえ。実を言うと、生まれてこの方バトルなんてほとんどしてねえ。誰かと喋ってるか、寝てるか、飯食ってるかだけだ。だから、本当は連戦無敗なだけであって、連戦連勝なわけじゃねえ。
「今度ははたくだよ!」
 スリープは、またも人間の言いなりになってとことこ向かってきやがる。でもやべえ、俺ったら逃げられねえ。おたおたしているうちに、そのまま俺はスリープにはたかれる。ああ、いってえ。こんにゃろ、思いっきりやりやがって。
「おいおいおい! いてえじゃねえか!」
「そらあバトルなんだから当たり前ですわ」
 ……なんだよ、その語尾。
「なんだっててめえは俺を殴ってきやがる。何か恨みでもあんのかい!」
「恨みなんかないですわ。ただ、うちのご主人がそう命令するんで」
「あんなのに従っていて楽しいか? 俺にゃあまったくわかんねえ」
「じゃあ、あんたもどうだい? 同じような力を持つ者同士一緒に旅をするっていうのも中々いいんでないかい? 外に出りゃ楽しいし、楽しい理由がわかるってもんですわ。それに、こんな森ん中にずっといるんじゃ、頭がくさっちまいますわ」
「スリープ! もう一度はたくだよ!」
「俺はこの森が好きでここにいるんでえ。お前らなんかと一緒にいけ、ぶぁ! お前こんにゃろ、話し合ってる途中なんだから叩くんじゃねえやい! 舌かんじまっただろ!」
「いやあ、ご主人からの指示だったもんで。ほんで、なんだっけ? 嫌だって話だっけ? なら、一度一緒に来てみっといいですわ。うちの主人は、他の人間とはちっと違うんですわ」
「どこが違うんでえ! あのいまいましいボールをこっちに投げて無理やり押し込むだけだろう!」
「ほう、あんたはあれが気に入らんのかい。じゃあ、ちょっと待ってな」
 何か妙なことを言い出したスリープは、俺に背を向けボウズの方へ何か身振り手振りバタバタし出した。自分のポケモンが何やってんだかまったくわかんねえ様子のボウズだったが、スリープがモンスターボールを指差すとどうやら気付いたらしく、それを手にとって「これ?」なんて言いだしやがる。こいつ、本当に俺を捕まえる気があるのか。
「え? モンスターボールはだめってこと?」
 スリープは何度も首を縦に振り、再び俺の方へ振り返る。へへ、と得意げな顔をしてその間抜け面をこっちに向けやがった。
「ほうら、後はあんた次第だ。一度旅っつうのを経験してみるのもいい。気に入らなかったら勝手に逃げちまえばいいさ。どうだ? 来るかい?」
 森は好きだ。生まれた場所だから好きだ。当たり前だ。ただ、俺にだって外の世界がどうなってんのかくらい、見てみてえ気持ちも少しはある。少しだ。ほんの少し。だからって一人で行くのは危ねえし、人間に従うってえのも癪だし、あのボールも嫌だ。
「うちの主人、前からあんたのこと気に入っていて、一緒に旅がしたいってうるせえんだ。ここはこっちの顔を立てると思って、一つ乗ってみないかい? 気にらなかったら逃げていいし、逃げるんだったら協力しますわ。それに、あんたにとったら外は未開の地だろう? ぼくらと一緒にそこを探検するっていうのも悪くない話かもしれんですわ」
 へ。間抜け面しやがって、中々口は達者でやがる。この俺の心を揺り動かすたあなかなかやるじゃあねえか。ちっとボウズの方を見てみると、目をキラキラさせてこっちを見ていやがる。ボールはもう腰にしまっちまって、それを投げてくる様子もねえ。人間は嫌いだ。ついていくポケモンだって嫌いだ。俺はこの森が好きだ。ここにいる奴らが好きだ。りんごが好きだ。でも。
「し、しっかたねえ、このケーシィが、ちっとだけ、ちっとだけお前のそのまったく面白そうでもなんでもねえ提案に乗ってやろうじゃねえか!」
 スリープは、不気味に笑みを浮かべながらボウズの方に二人で向かい合うように並んできて、俺の肩に手を回してくる。なんでえ、気持ち悪い。
「まあ、よろしく頼ますわ」
「ちっとだけだぞ、ちっとだ」
 俺とスリープとのやり取りをわかっていないながらも、それを了承と理解したらしいボウズが、すぐさま走ってきて俺を抱き上げやがった。ぐお、苦しい。この、こうなったらテレポート! って、そうだ、金縛りがまだ効いてる……。
「うわあ、かわいい! よろしくね、ケーシィ!」
 人間のくせに、なんてえ奴だ。痛くない抱擁なんかしやがって。まったく、わけのわかんねえ奴らだ。

【二】
  俺はこの世界の中の砂粒のほどの存在、いてもいなくてもそれほど変わらない小さなものだってえことに気付いたのは、ぐるぐるといろんな場所を旅した後たどり着いた、とんでもねえ数の人間がうじゃうじゃしてやがる、ポケモンリーグセキエイ大会でのことだった。人間達がポケモンを戦わせ始め、やれハイドロポンプだの雷だのとんでもねえ技を繰り出しながら喧嘩を始める。人間の言いなりになっているだけのくせして、誰も彼もが俺より強い。なんだってあいつらはあんなに強いんだ。
「いやあ、強いねえどっちも。あんたはどっちが勝つと思う?」
 俺がボウズの膝の上で我慢してやっているというのに、のうのうと席一つ分を使って座るスリープは、その野太い声でたずねてきた。
「知らねえやい。俺には全く興味がねえ」
「これ決勝ですぜ。見なきゃそんですわ。この試合が、最高のポケモンと人間を決めるっていうのに」
「この世界の頂点の人間だろう。あのポケモンはお人形だ」
「はあ、でもきっとあの連中はトレーナーについていきたくてついて行ってるんでしょうよ。じゃなきゃあそこまで強くなれませんわ」
 いんや。と、俺が反論してみると、スリープの興味はすでに再び動きだしたバトルへと移っていた。こんにゃろう、相変わらずマイペースな奴だ。
 バトルを見てみっと、カメックスというでっけえ亀がちっこい電気野朗のピカチュウにやられ、交代するところだった。やっぱり興味ねえやい、と居眠りでも始めようとすると、カメックスを出していた方、元世界の頂点、そして次期トキワシティジムリーダー候補らしいグリーンとやらが、フーディンを出しやがった。その姿は、俺がいつかそうなるかもしれねえ姿だ。
「あんたもやっぱりトップレベルの同属とあれば、見ずにはいられんでしょう」
 スリープの声を無視した。俺はあのもの凄く厳かな、誰が何をしても動かないような、どっしりと直立した姿に目を奪われていた。
 強いだろうな。
 俺がそう思った瞬間、奴はまったく目に追えない速度で移動し、ピカチュウの目の前まで迫りやがる。そのまま一瞬の動作でピカチュウをスプーンで殴り飛ばし、宙に浮いたそいつはそのまま静止した。あれは、サイコキネシスだ。俺がずっと小さいとき、おやじ(フーディン)が俺を人間から守るときに使っていた技で、初めてみたときそれは驚いた。自分も似たような力を使えるってえのに、そのあまりの力の差を不思議に思った。きっと、あのレベルのサイコキネシスに捕まっちまうと、指一本も動かねえだろう。その通り、ピカチュウは先ほどのあのカメックスとのバトルの消耗もあってか、体をピクリとも動かせないままさらに宙に放られ、そのまま地面に落下させられる。あの勢いで受身もとれず落下したとなればもう無理だ。フーディンはサイコキネシスを解くが、やはりピカチュウは動けなかった。
「わあっ、あのフーディン強い!」
「おほっ。すんげえ力だ」
 ボウズとスリープが感嘆の声を上げていた。無理もないぜこりゃ。くそ。なんだって人間に従っているだけのくせしてあんなに強いんだ。
「……むかつく。なんで、あんなに強いんだ」
 思わずボソっと漏れた俺の言葉を聞いていたのか、スリープがニヤっと笑った。こいつ後でシメる。
「ケーシイもあんな風になれたら格好いいね!」
「…………」
 なんだかしらんがチクっとした。

  その夜、興奮気味なボウズと、ケツいたいですわあの椅子かたいですわと呟くスリープと、トキワポケモンセンターの宿舎へ戻ってきた。夜寝るときはモンスターボールの中がいいんですわ、とスリープは自分からあの狭っくるしそうなボールの中に入っていき、俺はいつも通りベッドの上、ボウズの横で寝ることとなる。しかしいつも通りには眠れねえ。くそ。何か今日はむしゃくしゃする。どうしたってんだこの野朗。スリープに言われた言葉やボウズに言われた言葉が妙に頭にはっついて離れない。なんだよ。俺が間違っているっていうのか? お人形じゃなくて、本当にあいつらはあのトレーナーにくっついてるっていうのか? ああ、むかつく。むかつく。こんなこと、あの森にいたときにはなかった。だらしなくいつも寝てやがるピカチュウや、ピタピタと地面に絵を書くことが好きなドーブル。えさをとりに来てはやれあそこのニドランがあっちのニドランとくっついたとか、そんなくだらないことを喋ってやがったヤミカラス。ああ、森が懐かしい。帰りてえ、そろそろ帰りてえ。
「んん、むにゃ」
 めちゃくちゃ気持ち良さそうに眠っている坊主を見て、俺はむくりと起き上がる。
「……ちょっと散歩してくるだけでえ」
 その顔から目を背け、俺はテレポートした。

【四】
  夜の町をふわふわと浮かんでいると、ジムやトレーナーハウスといった、強い奴らが集まるらしい建物が見える。ぼんやりそれらを何も考えずに見ていると、トキワシティには凄く強いトレーナーがたくさんいるんだって! といつかボウズが言っていたのを思い出した。……俺もあんなところに入って頑張ってみれば、なんてことが一瞬だけ頭がよぎっちまって、ぶるぶると顔を横に振ってそれをかき消す。俺はバトルなんて嫌いだ。それに、あのボウズもスリープも、申し訳程度にしかバトルなんてやったことがねえ。あいつらは本当にただ世界を見て周ることが目的らしく、ジムにだって入ったことがなければなるったけバトルは断ってきた。それを馬鹿した奴もいた。笑った奴もいた。それはいいねと言った奴もいた。頑張れよと言った奴もいた。いろんな人間が、いた。俺が思った以上に人間っていうのはいろんな種類がいて、俺の思った以上にいろんなポケモンもいた。タマムシシティにゃ、イーブイとかいう巷じゃ人気らしいが、やたらと性格の悪いポケモンがいた。サイクリングロード(自転車とやらは貸し出しだった)に入ろうとしたところにでーんと寝ていたカビゴン。ありゃあ、すげえ。今まで見た中じゃ一番でかいポケモンだった。セキチクシティのサファリパークで見たウツボットの群れに近づいちまったときは、死ぬかと思った。ああ、そういやあそこには歯のない人間もいたな。
「……なんだ。俺、何考えてんだ」
 とんでもねえことを考えている気がして、俺は戻ることにした。

【五】
「おや、ケーシイさんじゃないですか。こんなところで会うなんて、こりゃ驚きました」
 テレポートを使わずだらだら飛んでセンターへ戻ろうとしていると、突然横から声をかけられた。
「……お? お前、ヤミカラスか?」
「ええ、そうです、ヤミカラスですよ。覚えていますか? 久しぶりですねえ。ああ、懐かしい。あの森でよく喋りましたよねえ」
「本当久しぶりだなあ。お前、今何やってるんだ?」
 そういやこいつも人間についていったんだった。つーことはこいつ、バトルやって、ジム行って、もしかして、そうとう強いのか。うわっ、森にいたときはただの軟弱やろうだったのにそれはむかつく。でも、懐かしい。久しぶりに森の仲間に会えてうれしい。森での生活を思い出す。ああ、もの凄くのんびりしてたよなあ。
「私ですか? 私はあのクズトレーナーに捨てられたんで、森に戻ろうかと思ってるんです」
「……捨てられたあ?」
 思わず、素っ頓狂な声を出しちまった。ヤミカラスの言葉は、俺の頭ん中を驚き一色に染めあげるには十分だった。
「私のような弱くて格好悪いポケモンは、いらないそうですよ。最初しぶいとか言われて気に入られたのをいいことに、調子に乗った私も悪いんですけどねえ。ニューラとかいうやたらキザな野朗を仲間にしてから、私なんてもうクズ扱いですよ。でもだからってすぐ抜けては癪なんで、私も嫌嫌ここまでついてきたんですけど、とうとうお払い箱になっちゃいました。ああ、本当人間ってクズですよねえ。こんなに連れまわしておいて、お前は弱いからいらないだって。ああ、本当にゴミ。ありゃあ世界のゴミですよ……」
 ヤミカラスは最後はもう、顔をしかめながらゴニョゴニョと恨み言を呟いていた。
「……後悔は?」
「なんのですか? ……ああ、ついていったことにですか? しているに決まってるじゃないですか。バトルばかりさせられて、あちこち連れまわされて、まあ無駄に力はつきましたが、それだけですよ」
「……そうか」
 ヤミカラスのトレーナと、ボウズを重ねる。そんなことを考えたとき、俺は自分に驚いた。不思議と、きっと怒ったり恨んだりしねえなあ、と思った。いや、むしろ――。
「ねえケーシイさん。あなたもトレーナーに捕まってここまで来たんでしょう? だったら、この辺でそんなのやめにして森へ帰りましょうよ。どうせ人間なんて私らのことをバトルの道具としか思ってませんって。ちょっと好みが変わったり強いのが手に入ると、途端に態度が変わるんですから」
 人間はクズ。ヤミカラスの言葉が、俺の頭をつんざくように刺さってきた。ボウズと旅した記憶が、切り取られた絵のように頭にたくさん浮かんだ。ボウズは笑っていた。いつでも楽しそうに、笑っていやがった。スリープもそんなボウズを見るのが好きらしく、ニヤっと間抜け面を歪めて笑っていた。……じゃあ、俺は? 俺は? ――俺は?
「何ぼうっとしてるんですか。もしかして、人間についていくなんて言うんじゃないでしょうね。あんなのについていっても損するだけですって。ケーシイさん、いつもそう言っていたじゃないですか」
「あ、ああ。わかってる」
「うーん、じゃあ明日の昼、朝は眠いんで昼です。北の森の前で待ってますから、来てくださいね。……ああ、ケーシイさんと話していたら、早く戻りたくなっちゃいましたよ」
 そう言って、ヤミカラスはパタパタと去っていった。今日は、トキワの森の木にでもとまって眠るつもりだろう。
「明日、ねえ」
 小さくなっていくヤミカラスを見ていると、考えるのが億劫だった。

【六】
  翌日。太陽の光を浴びながら、一睡もできなかったようなダルさを覚える体を起こす。ボウズは、すうすうと寝息を立てて眠っている。スリープも、多分起きない。それが何故かとても残念なことのように感じる。……だめだだめだ。俺はもう、帰るんだから。
「じゃあなボウズ。ついでに、スリープも」
 ボウズの顔をもう一度見ておこうと思ったが、それをやってはいけない気がして、それをやったら何かがどうにかなる気がして、俺はすぐテレポートした。
 俺のテレポート範囲なんてたかが知れている。案の定森まで一気に移ることは出来ず、森から大分離れたところに移り、そのままふわふわと浮かんで森へと移動する。だんだんと、森が鮮明になってくる。森への入り口となる木の上に立つ、ヤミカラスが見える。ああ、俺は帰るのか。なんとなく躊躇する自分がいる。このまま、このまま行っていいのか? 結構な期間、俺をひたすら仲間だと信じたあいつらと一緒に旅をしてきたその終わりが、これでいいのか? なあ、おい。俺。どうなんだよ。そんなんでいいわけ? あいつら、クズだったか? 外の世界の探検は、つまらなかったか? 足りなくはないのか?
「あ」
 もう、森に着いてしまった。ヤミカラスは、まだ木の上で眠っていた。あいつらが寝ているうちに飛び出してくるのはいいが、くそ、昼までは少し時間がありすぎる。
「……仕方ねえ。こいつ元々夜行性だし、今は寝かしておいてやるか」

【七】
「あんな馬鹿な奴らの顔を一生拝まないで済むなんて、本当せいせいしますよね」
  ヤミカラスが起きるのを待とうと木に寄りかかっているといつの間にか寝てしまったらしく、昼近くになって起きだしたヤミカラスが俺を起こしにきた。なんだかやたら元気に、嬉しそうにしていた。
「……一生会えない、か」
「なにぼそぼそ言ってるんですか。さ、行きましょう」
「ああ」
 ヤミカラスはぱたぱたと空へ羽ばたき、俺も一緒に浮かび上がる。
「ああ、本当楽しみだ。皆、僕らのこと覚えてますかねえ」
 ヤミカラスの後ろについていきながら、ちらっと後ろをふり向くと、トキワシティがどんどん遠くなっていく。
 おい俺。どうなんだよ俺。探検は、つまらなかったか? ディグダの穴、面白かっただろう? ポケモンタワー、恐かっただろう? ヤマブキシティ、凄かっただろう? リニアモーなんとかってやつ、乗りたいだろう? まだ行ってないところがたくさんあるよなあ。まだ面白いポケモンがきっといるよなあ。あいつらと一緒に、まだ、旅したいよなあ。今まで旅をしてきて、楽しかったよなあ。あいつらのこと、好きだよなあ。なあ、俺。どうなんだよ。
「……ケーシイさん?」
 突然止まった俺に気付いて振り返ったヤミカラスは、怪訝そうにこっちを見た。
「何、やってんですか? 早く行きましょうよ」
「……なあ、ヤミカラス。知ってるか? この世界にゃさ、いろんな人間がいて、いろんなポケモンがいる。中にはクズみてえな奴もいるし、とびっきり楽しい奴だっているんだ。いつも間抜け面してるくせに変なところ鋭い奴や、いつもにこにこしてて世界を探検するのが大好きな奴とか。そいつら、本当に本気で俺のこと信用してやがってよ、隣にいる俺がなぜかいっつも悪者みてえなんだ。その間抜けの奴なんか、最初の条件なんかぜってえ忘れてるぜ」
「へ? 何、言ってるんですか?」
「悪い。俺、森は好きだけど、あいつらのことも好きだ」
 まだ、探検したりねえよ。まだ見てないことばっかりだ。なあ、俺。
「なに言ってんですかケーシイさん! そんなのやめたほうがいいですって! 無駄ですって!」
「無駄じゃねえよ。楽しいぜ、探検。森以外に、こんな楽しい場所があるなんて、俺、知らなかったもんな。俺にとっちゃ、この世界はまだまだ未開の地ばかりだ。まだまだ足らねえよ」
「な、なにを……なにを馬鹿なこと言ってんですか!」
「馬鹿か。俺も、昔はこんなことする奴は馬鹿だと思ってたけど、でもさあ、馬鹿でいいじゃん。馬鹿、楽しいぜ」
「なっ!」
「悪いヤミカラス。先、戻っててくれよ」
 わーわーと反論するヤミカラスに背を向け、俺は、すぐにテレポートをした。体が軽い。ああ、俺のくせして、なんてざまだ。あんな奴らが大好きなんて、本当、どうかしてるぜ。

【八】
  人間ってえのはえてしてポケモンの邪魔にしかならねえ。修正。人間ってえのはポケモンの邪魔にも人間自身の邪魔にもなる。そう確信したのはいつごろだったか、もう、大分前だったように思える。でも、それを再確認したのは、たった今だった。俺が急いでトキワへ戻るとすでにポケモンセンターにはおらず、一体どこに行ったかと思えば、そのまま次の目的地のマサラへ向かおうと南下していた。南下していて、柄の悪い頭がおっ立ったトレーナーに絡まれていた。セキエイ大会一回戦でグリーンとかいうあのアホみたいに強い奴に負けたことにまだむしゃくしゃしていて、ボウズで憂さ晴らしなんつうアホな真似をするつもりらしく、そんな様子を上空から見ていた俺は、バトルなんかからっきしなくせして、迷わずボウズの盾になるスリープの隣に突っ込んだ。迷うはずがなかった。
「あ、ケ、ケーシイ! どこ行ってたんだよ! 探したんだぞ!」
 震えた声で騒ぐボウズにすまんと一鳴き入れ、俺はすぐさまスリープの横に並び、へらへらと笑いながらモンスターボールを構えるトレーナーとにらみ合う。ああ、俺達、もうちょっと強くなったほうがいいよなあ。旅とか探検っつっても、ボウズを守れなきゃ話になんねえ。洞窟とか山でいつもいつも逃げてるばかりじゃまずいよなあ。こりゃあやっぱり、あのグリーンとかいう奴のとこ乗り込んでみた方がいいかもなあ。
「お、もういいんかい? ヤミカラスとのお話は済んだんかい?」
俺が戻って来たのがまるで当たりめえかのように、スリープは俺の方を一つも見ずに喋りだした。
「……なんだよ、おめえ、知ってたのかよ」
「ぼかぁ、ゆめくいが使えるんですわ」
「……朝やたら体が重かったのって、もしかして寝不足じゃなくておめえのせいか」
「へっへへ。まあ、硬いこといいっこなしですぜ。今は、こいつをどうにかしないと」
 そういえば、いつの間にかこいつの変な語尾も気にならなくなってる。
「一つだけ、提案してやる。俺をもう一度入れてくれるってなら、俺がこの場をどうにかしてもいい」
 俺のその提案に、くつくつとスリープは笑った。いつも通りの展開。俺達の自然体。探検仲間の自然体。ああ、いい。こいつら、やっぱり好きだ。
スリープは、今度はちゃんとこっちをふり向いて、口を開く。
「ま、一つよろしく頼んますわ。いつもの通り、やって頂戴」
「がってんしょうち!」
 相手はライチュウ。どうひっくり返っても勝てっこねえ。というわけで、いつもの通りやってやらあ!
 選択肢は、未だ一つ。スリープの手をとり後ろへ逃走。そのままボウズの手をとって、あらよと発動伝家の宝刀テレポート!

[了]
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.9 )
日時: 2010/09/06 22:49
名前: ギルガメッシュ月光

Course A 『リスタート』

 冒険……その単語に憧れて旅に出て、明日何が待ち受けているのか楽しみながら過ごせる輝かしい時期は、どこに過ぎ去ってしまったのか。
 ポケモンリーグチャンピオン……逃げることができない、まるで囚われた牢獄のような場所だ。
 深くため息をつくと同時に、部屋の扉がノックされる。
 適当に入るよう促すと、入って来た相手は態々律儀に深く腰を曲げ、頭を下げる。

「堅苦しいぞ、年下相手にそんな気を使わないでくれ。で、用は?」
「はい。理事長が、チャンピオンロードF-2エリアの調査をと」
「あのエリアはもう二十七回も行ってるじゃないか。あの爺はどれだけ俺を同じ場所に送って、調査すれば気が済むんだ。ワタルでも行かせておけよ」
「それが、ワタルさんは現在フスベシティに帰還しておりまして」
「じゃあキクコの婆は? 筋肉馬鹿のシバは? 水ポケラブのカンナは?」
「皆さん、諸事情があるそうです」

 溜息が出る。
 諸事情なんてどうせ私事だろう、四天王は基本的にポケモンリーグが開催されるかバッジを全て集めた者が勝ち抜きを申請して来るまで自由奔放だ。
 対して俺みたいなチャンピオンは基本的に常にポケモンリーグに、いや、正確にはセキエイ広原にいなければいけない。
 聞くところによればホウエンやシンオウのチャンピオン共は割合自由に動き回っているらしいが、何でカントー地方のチャンピオンである俺はこうまで自由を束縛されているんだ、納得がいかない。
 一度理事長の爺に問い詰めてみる必要がありそうだ。最悪チャンピオンなんてすぐ辞めちまえるが、俺が止めることで悲しむ奴だって少なからずいる。喜ぶ奴もいるだろうけど。

「分かった、じゃあ俺は支度があるからもう下がって良いぞ」
「はい……あの、つかぬことを窺ってよろしいですか?」
「何?」
「チャンピオンになられてから、その……覇気と言うか、輝きが感じられません。いえ、バトルの時はそれはそれは素晴らしく輝いておりますが、日常生活において元気が無いと言うか、その……」
「気のせいだろう。俺は今でも十分輝いてるぜ。ほら、右の奥歯とか金歯だし」
「そう言う意味では――」
「ほらほらさっさと出て行ってくれ。さっさと仕事終わらせたいから」
「あ、し、失礼しました」

 また頭を深く下げて、スタッフが下がっていく。どうやら他の人間に簡単にばれてしまうぐらい、今の俺は輝きが足りていないようだ。
 ボールから相棒のプテラを出して、その背中に乗る。
 チャンピオンロードはもはや俺の庭同然の場所で、監視カメラのある場所も把握している。
 セキエイ広原方面からチャンピオンロードに入ると、一瞬視界が暗くなるがすぐに目が慣れる。もはや眼を瞑っていてもどこに何があるのか分かるほど、この空間には慣れたものだ。
 ポケモンリーグが近づいてることもあってか、チャンピオンロードには所々にトレーナーの姿が見える。
 俺には、皆が輝いて見える。ポケモンリーグと言う未知なる強豪と戦える場所、その場所に向かってポケモンと一緒に進む姿。

「……俺には、もう無理なのか?」

 自問してもどうにもならないことぐらいわかっている。
 俺がまた冒険に出れるとしたら、俺以上のトレーナーが現れて、俺を正面から正々堂々とした戦術を使って叩き潰してくれることを祈るしかない。
 もしくは……俺が何らかの原因で死ぬことだけだ。
 前者も後者も多分長いことありえないだろう。俺は俺が強いことを自負しているし、それを傲慢だとも思わない。仕方ないんだ、強いものは強いのだから。
 非公式に俺に試合を申し込んで来てくれる各地の強敵はいくらでもいるが、何故か俺の心が盛り上がらない。
 言っては悪いが、勝って当たり前なほど実力が違い過ぎるんだ。

「これを傲慢って言わずして、何が傲慢なんだろうな……なぁ、プテラ」

 他愛も無い会話が、今の俺が自由を感じられる数少ない行動の一つだ。何とさびしいことか。



 チャンピオンロードF-2エリア……あの伝説の鳥ポケモンであるファイヤーが巣を構えている場所としても知られている。
 そんな場所を普通の調査隊が行けばどうなるかなんて火を見るより明らかだ。ファイヤーなだけに……自分で言ってて恥ずかしくなってきた。
 幸いなことにどうやらファイヤーは現在お出かけ中らしい。写真撮って石ころ拾ってさっさと帰るか。
 落ちている石を適当に拾う。この辺の石はファイヤーの放つ炎の影響を受けて、特殊な炎の石の効果を持っているものがあるらしい。別にどうでもいいけど。

「……す……て」
「ん? プテラ、今何か聞こえたか?」

 気のせい?……いや、確かに聞こえる。
 耳を澄まして良く聞いてみれば少しずつだが方角がわかる。真後ろ、天井が崩れたらしく、岩が山のようになっている場所が一ヶ所。
 嫌な予感ってのは当たるものだ。近づいて問い掛けてみれば、もはや耳を澄ませなくても聞こえるぐらいの声は聞こえて来た。

「おい、大丈夫か?」
「ひ、人!? お願い助けて! ファイヤーが近くに!」
「落ち着けよ、ファイヤーは今はいない。それにしてもこの落石に巻き込まれて助かるとは強運だな。動くなよ、岩を退かし……おい、冗談悪いにもほどがあるぞ」

 地の底から聞こえて来る、腹の底を揺らすようなおぞましく怒気に満ち溢れた複数の咆哮。
 嫌な予感しかしない……嫌だけど振り返ってみれば、視界に入って来たのは三匹のファイヤー。
 しかもそのうち一匹は考えられないほどでかい。他の二匹に比べれはその個体としての大きさはおよそ2倍強、ファイヤーが複数現れることがある情報は聞いていたが、これほどとは。
 どこかの馬鹿が中途半端に攻撃したせいで傷を負っているし、そのせいで怒っている。
 最悪の状況だ、大したバトルなんて想定して無かったからプテラとガブリアスしか連れてきていない。さらには負傷者がいる。

「まぁ、普通に考えればこれが適切だよな……プテラ!」

 俺の意志を感じ取ってくれたプテラが、破壊光線で一気に岩の山を粉々に吹き飛ばす。
 中に居たトレーナーはいきなりの攻撃に驚いて腰を抜かしているらしく、俺が手を差し伸べてもしばらく動かなかったので無理やり引っ張りだしてやった。
 多少荒かっただろうか? まあいいだろう。

「プテラ、このお譲ちゃんを運べ。俺は後から追い付く、絶対にこの子をこれ以上傷つけるな」

 頷いたプテラの背中に少女を載せると彼女が何か言っていたようだが、そんなもの聞いている余裕はない。
 逃げるその姿をファイヤーが追おうとしたらしいが、俺がもう一個のボールからガブリアスを出してそれを止める。
 不思議な気分だ。絶体絶命の状況、恐怖が体を支配する状況なのに、何故かこう、懐かしい。
 そうだ、これが……冒険じゃないのか?

「そうか……ありがとうよ、三匹のファイヤー。俺はまだまだ、世界を知らな過ぎたようだ!」





 セキエイ広原のポケモンセンター、ポケモンリーグに参加する予定……後にチャンピオンとなる少年は、複数のテレビから流れるニュースを見る。

『――つまりチャンピオンリーグのF-2エリアと呼ばれる場所で、現在のポケモンリーグチャンピオンが消息を絶ち、未だに手掛かりが見つかっていない状況が続いており』
『助けられた少女の話によると、三匹のファイヤーに対したった一匹のポケモンで挑んだことが分かっており、その後の消息は』
『さらに後日そのチャンピオンの事務所に何者かが侵入し、ボールといくつかの物品を盗んだことが分かっており』
『ポケモン協会は彼の能力を過信し、必要以上に依存していたことを明らかにしました。さらにチャンピオンの日記には自由意志が少なかったことへの意見が多く書かれ』





 セキエイ広原から遥か離れた大陸、その桟橋のベンチに腰掛ける青年は、大空を見上げながら薄ら笑う。

「何だい、なんかいいことでもあったのかい?」
「ん? いーや、別に」
「そうかい。それより船の準備が出来たぞ、乗っておくれ」
「おう、ありがとうおじさん」
「ところ悪魔が棲むって有名なあの島に、何しに行くんだい?」

 迷わず答えられる。俺は、このために故郷を出たんだ。

「ん? 冒険」
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.10 )
日時: 2010/09/06 22:50
名前: ギルガメッシュ月光

Course B 『上辺とやる気は反比例』

 日差しがぎらぎらと熱い……一月前まで白かった肌は真っ黒に染まり、上着とズボンを脱げば、パンダの仲間入りをするほど面白いぐらいのツートンカラー。
 なのは外で遊んでいる子どもたちであり、家の中で引き籠ってエアコンで冷えた部屋の中に居てパソコンいじっているこの少年とは関係ない。
 近場で祭りのせいか浴衣をつけている人やピカチュウのお面をつけている子どもたちが行き交い、水ポケモンが水を発射しては子どもたちが騒ぐ。
 五月蠅いことこの上ない。今の時代は海よりネットでサーフィンする方が楽しい。
 涼しく適度に乾燥した空間の中でディスプレイを目の前にキーボードを打つことが何と快感なことか。
 長々と書いていたとある小説板の企画に投稿する作品がようやく出来上がり、満足げに息をついた少年が Enter ボタンに手を伸ばした瞬間、部屋のドアが猛烈な勢いで開く。

「エルク!」
「くぁwせdrftgyふじこlp;@:!?……あっ」

 突然の訪問者に思わずエルクと呼ばれた少年はブラウザを閉じてしまい、三時間かけて書いた小説は一瞬にしてメモリ上から消えてしまった。

「お、おまっ! 俺がアレでこうしてこれまで一生懸命書いて来た何と言うかアレが!」
「っるっさいわね! 一日中部屋で引き籠ってないで少しは外に出なさいよ。晴れ渡る空、輝く太陽、透き通る風……素晴らしい世界が外で待ってるわよ」
「日陰を作る雲すらいない空、紫外線と赤外線を撒き散らす太陽、落ち葉を巻き上げて打ちつけて来る風……なるほど、確かに素晴らしい世界だ」

 もうどうでもいいや――エルクはパソコンの電源を切ると、気だるそうに机の横から小さなウェストポーチを取り出す。

「相変わらずネガティブねあんた」
「相変わらずポジティブねあんた」
「兎に角、エルクは今日私と一緒に祭りに出掛ける約束してくれたんだから、約束は守ってよね」
「はいはい守りますよ守りますとも。このエルク、約束を破ったことなど一度も……あるな」
「何度もあるわね」
「シェイナはもう少し約束を守ってほしいな。まだ三分も前じゃないか」
「早く来たんだから良いじゃない」
「この野郎……」
「野郎じゃなくて、乙女です」
「この野郎……」
「野郎じゃなくて、淑女です」
「もう良いよ。ほら、行くんだろ」

 半ばやけくそになっているエルクの言葉にシェイナは内心呆れているが、どうやら一応出かける意思はあるらしいので、その点に関しては安心していいだろう。
 ベッドの上で寝ていたイーブイが大きく欠伸をするとゆっくりと起き上がり、いつの間にか訪問していたシェイナを見ると、嬉しそうにベッドから降りて擦り寄っていく。
 普段自分にすら擦り寄ってこない癖にシェイナには擦り寄りに行くイーブイを見てエルクは小さく舌打ちし、それを聞いたシェイナが悪戯な笑みを浮かべる。

「もしかして、エルクも私に抱きつきたいの?」
「イール、てめー今日の晩飯覚悟してろよ」

 イールと呼ばれたイーブイは「俺にはそれぐらいの覚悟はある!」っと言わんばかりの顔をしてエルクの方を見返すと、再びシェイナの足に擦り寄る。
 今すぐボールに戻して外に居る子どもたちにバットとセットにして渡したい気分になったが、動物虐待はエルクとしても気分が悪くなるし、何より唯一のポケモンなのだからさすがにバットと一緒はよろしくない。
 せめてグローブと一緒が適度なところだろう……エルクの放つ不吉なオーラにイールは一瞬背筋が震えたが、もはや恐れるものなど何もない。
 シェイナに甘えなければ、もはやこの家に癒しは無いと言わんばかりに甘える。
 さっさと出掛けてしまおう――エルクはゆっくりと歩み出すと暴れるイールをシェイナから引き離し、自分の頭の上に置いて、シェイナに立つよう指示する。

「祭りに行くんだろ? たこ焼きぐらいおごってやるよ」
「あら、意外と優しいのね」
「意外は余計だ」



 外に出て少し歩けばすぐに祭りの雰囲気を醸し出す雪洞や綿菓子を持った子どもたち、他で買えば「これ暴利じゃね?」っと言えるようなケチな焼きそばを売っている店、金魚掬いに射的。
 個人的には金魚『掬い』ではなく金魚『救い』なのではないかと思っているが、別にエルクは持って帰るつもりも無いので、救うつもりはさらさらない。
 頭の上に乗っているイールが器用にタコ焼きを食べているなか、ベンチに座っているエルクは面倒臭そうに両手を組んだ状態で、大きな欠伸をしながらぽつりと座っている。
 どうせなら浴衣が良い……っと言って、シェイナが一旦家に帰ったからだ。
 十五歳にもなって面倒臭い女だ――イールが爪楊枝から落してしまったタコ焼きをエルクは器用に口でキャッチし、タコの少なさに愚痴を垂れながら飲み込む。

「おいおいこれタコじゃなくてイカじゃねーの?」
「お待たせー」
「おい、これタコじゃなくてイカじゃね?」
「いきなり何かと思いきやタコ焼きの話しか。それよりどうよ、ほれほれ、私の浴衣姿は」
「ん? あーうん、良いんじゃねーの」
「……それだけ?」
「とってもお似合いで」
「その両目を残った二つのタコ焼きと入れ替えてあげようか? 少しはまともにモノを見れるようになるかもよ」
「勘弁してくれ。ほら、さっさと行こう」

 突然立ち上がったせいでイールが「突然立ち上がるなこの野郎」っと言う不満な表情を浮かべるが、そんなこと知らんと言わんばかりにエルクは歩き出す。
 同じく少し不満そうな表情を浮かべるシェイナが彼の横に並ぶとさり気なく彼の手を取るとするが、少し戸惑ってからその手を引っ込める。

「……ねぇ、一つ聞きたいことがあ――」

 俯いていたシェイナが言葉を紡いだ瞬間、左側に合ったバトルフィールドから轟音と共に大きな歓声が起き、全ての音が一瞬にして飲み込まれる。
 鬱陶しそうにエルクがその方向を見るとどうやら勝ち抜き大会が行われているらしく、十回連続勝ち抜いた人には商品として貴重なポケモンが贈呈されるようだ。
 今の十回連続勝利商品はイーブイらしく、全身の毛の色が灰色の色違い……確かに珍しい。
 そして現在の戦いで連続勝利九連勝を決めたらしく、周りの観客からは「あと一勝」のコールがけたたましいほど聞こえて来る。

「強いんだね、あの人。九回連続勝利だって」
「……なぁ、悪いんだけどどこかでジュース買ってきてくれね? 後でイール思う存分触らせてやるから」
「えー、男の子なら女の子の欲しいモノ買って来るものでしょ。何で私が」
「そうだな、俺がガキだからじゃないか」
「ったく。覚えてなさいよ、あんたが大嫌いなドクターペッパー買ってきてやる」
「コーラで頼むわ」

 頭の上のイールが「じゃあ俺はペプシ」っと言うように可愛らしい声を上げるが、シェイナは溜息をつくと、ちょっと悲しそうにエルクから離れて行く。

「さて……」

 シェイナが見えなくなったのを確認してから、エルクはバトルフィールドのフェンスをくぐる。
 挑戦者サイドと書かれている扉をくぐり抜けた先には彼の入場と共にとてつもない歓声が起こり、現在九連勝中の男が腕を組んで正面で待っている。
 頭の上に如何にもだらしなさそうに乗った一匹のイーブイに、観客は若干どころか「こりゃもう駄目だ」と言うような、何だか諦めたような空気が流れる。
 対して男のポケモンは巨大な体を持つポケモン、ガルーラだ。普通に考えれば、まともに戦って勝てる様な相手ではない。

「おいおい、最後の相手がこんなしけた相手かよ、十戦中最弱が来たなーこりゃ」
「なぁ、あんた。これから十回連続で俺に挑んでくれない」
「はぁ? いきなり何言ってんだ?」
「いやね、あまり頑張ってる姿見られたくないんだよ。それにさ、好きな女には欲しがってるモノ上げるのが男だろ」

 頭の上で欠伸をしていたイールの首根っこを掴み、いきなり安眠直前から起こされ驚くイールをバトルフィールドに投げ入れる。

「一勝30秒ぐらいかな。行かしてもらうぞ」


〜〜〜あとがき〜〜〜

 さて、私はギルガメッシュ月光です。分かる人は私が誰だか分かるかも知れませんね。
 正直言って文字数が危ないし何も言えること無いよ。やべ、このせいで一万文字越えた。削らねーと。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.11 )
日時: 2010/09/06 22:51
名前: TOM

Aコース:ワカバの風


ワカバタウンは今日ものどかな風が吹く。


「お願い! ちょっとヨシノシティまで行ってくるだけだから! 危ないことは絶対しないから!」
コトネの眼は真剣だった。
キャップを後ろ被りしボサボサの黒い前髪をいじりながらヒビキは渋い顔で答えた。
「……分かった。そこまで言うならいいよ。ただし――」
「ありがとうヒビキ君!」
かたや二つ結わえた茶髪を振り乱し大喜びで抱きつく少女。こなた石像のように凍り付く少年。
ヒビキにしてみると同い年の幼なじみとはいえ突然こんな行動を取られると気恥ずかしい。
ましてや相手は守ってあげたくなるほど無防備で可愛らしい容貌なのだ。動揺を声に表さないようにするのは至難の業だった。
「じゃ、じゃあマリルを……あ、そうだ……少し待ってくれるか?」
「うん!」
コトネは勢い余って脱げた赤いリボンのついた白いキャスケットを拾い上げ、無邪気な笑顔を見せた。




さわさわと揺れる青い草むらがどこまでも続いているようだ。
ヨシノシティへと続く29番道路に一歩踏み出したコトネは感動の余り突っ立ったまま身を震わせていた。
「夢みたいっ……」
コトネは幼い頃からこうしてポケモンと一緒に街の外へ出ることにずっと憧れていた。
自分のポケモンが欲しくてたまらかったが捕獲しようにも街にはモンスターボールを売っている店がなく、
バトルをしかけようにもそもそもポケモンを連れていない。こんな調子ではポケモンが手に入るはずもなかった。
「ちょっと強引だったけど……マリル、今日一日は私がパートナーよ!」
「り〜る〜」
間延びした声で答えるマリル。
「ドキドキするっ! ポケモンと一緒ならどんな所に行くのも探検気分ね!」
コトネはニコっとして歩き出す。風が心地よい。
がさっ、と右前方の草むらが揺れる。鼻をひくつかせひょこっと顔を覗かせたのはコラッタだ。
「見てマリル! コラッタよ、かっわいい!」
突然声を上げたコトネに驚いたのか、コラッタはぎょっとして引っ込んでしまった。
「あぁ逃げちゃった」
舌を出すコトネ。マリルは見上げながら尾を揺らした。ヨシノシティへの道のりは続く。
「……ねぇマリル」
「りるるぅ?」
「あのね……あ、オタチの親子!」
木の枝から見下ろしていたオタチ達は一列になって幹を駆け下りると草むらへと消えた。
「子オタチ、ちっちゃかったね」
マリルは皿のような耳をくいくい上下に動かしてから頷いた。
名も知らぬ雑草の花が風に揺れる。
「ポッポみっけー!」
目にも留まらぬ速さで飛び去る影。コトネはぽつんと立ったまま足下に目を落とした。
「……なんだか、さけられてるみたいだね」
「りるる?」
「……ねえ、マリル。マリルはヒビキ君のことが大好きだよね」
「るりるりぅ!」
「うん。そうだよね。いいなーヒビキ君」
風が吹く。
「私はヒビキ君の友達。マリルはヒビキ君の友達。だから私達も友達だよね」
「りーるう」
「でも全然知らないポケモンと……私、ちゃんと仲良しになれるかな?」
マリルは円らな黒い目でじっとコトネの顔を見つめた。

「なんか私、変! マリルと一緒にいるのが嬉しくって、でも……あーもう!」
コトネはマリルを抱き上げた。そしてやや硬い青い体毛に顔を埋める。その時だった。
「……!? マリル、あなた……」




「おう、どうした? 随分早―――」
「大変よ、ヒビキ君! マリルが、マリルが!!」
マリルを抱きかかえたまま血相を変えて家に飛び込んできたコトネの姿にヒビキは狼狽えた。
「何があったんだ、コトネ!?」

「マリルの体から雑巾みたいな臭いがするの!」
「……え?」
「早く洗ってあげなくちゃ! お風呂場お借りしまーす!」

突風のように立ち去ったコトネ。玄関に取り残されたヒビキは一人呟くのだった。
「コトネが襲われないようにこっそりマリルに虫よけスプレー吹き付けておいたけど……余計だったか?」

ワカバタウンは今日ものどかな風が吹く。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.12 )
日時: 2010/09/06 22:51
名前: ちぎっては投げちぎって鼻毛

Bコース「身も震えるほど」


「わざわざ連れ出してくるんだから面白い話しないと承知しないわよ」
「大丈夫だって。今日は面白いホラーの話を用意したから」
「あんたの釣りの話は聞き飽きた」
「それは鯔(ぼら)。あと俺が釣ってるのはブラックバス」
「赤バスでも市バスでもなんでもいいからちゃっちゃと初めてよね」
「はいはい。十六年前にあった話なんだけど」
「あたしらが二歳くらいね」
「ちょうどこのお祭りのときに自殺した女の子がいるんだ」
「それで終わり?」
「始まってもないない。その女の子は小学二年生で」
「小二といえばあんた小学校で金魚の入った水槽落として割って金魚殺してたよね」
「いちいち茶々入れんなって。しかもそれやったの俺じゃないし」
「そうだっけ? それで金魚がなんて?」
「金魚じゃなくて自殺した女の子! その女の子、両親にも友達にも恵まれていたんだけど」
「それで?」
「夏休みに入ってすぐに女の子のお父さんとお母さんが喧嘩して離婚しちゃったんだ」
「離婚した原因は?」
「喧嘩だっていったじゃん!」
「お墓に花を供えるのは?」
「献花。って同音異義語じゃん。さっきから会話の腰折りすぎ。そんで離婚した両親なんだけど、お母さんが親権取ったの」
「真剣に」
「それは知らんけど。その女の子の家はお父さんが実業家でお金持ちだったんだけど、母方に引き取られたから暮らしがきつくなってお母さんも働き出したんだ」
「パートなら宝くじ売り場オススメ」
「だから知らないって。そんでまだ小二の女の子は急に父親がいなくなり、母親も仕事でいないし帰ってきてもやさぐれて女の子の相手してくれなくなって、しかも最悪暴力を振るうことがあったんだ」
「ねぇ、あっこの縁日の屋台のたこ焼きおごってよ!」
「聞いてるの? まあ俺が連れ出したからそれくらいはいいけど。……はい」
「ありがと」
「……それで、家の中で一人ぼっちになった女の子だけど」
「便所飯を始めることにしました」
「ちげーよ! 茶かしすぎだよさっきから! 家の中では一人ぼっちな上に母に殴られて辛くなったけど友達と遊べばそうじゃなくなると思って、遊ぶことにしました」
「あふっ、このたこ焼きはふっ!」
「はい水。……そしてその遊ぶ日がこのお祭りの日。友達数人と一緒に来た女の子だけど、周りの友達はいつもと違う女の子に対し怪訝な目を向けたんだ。なんでと思う?」
「たこ焼きのソースが少なかったから」
「自分の話じゃん。女の子関係なさすぎ」
「便所飯」
「ちがーう! 答えはお金がないこと。……実は友達のお母さん達が、ずっとその友達らに向かって女の子の家はお金持ちだからなんでもおごってもらいなさいとかいうことを吹き込んでいたらしくて、それでいつも女の子におごらせていたんだけども女の子の両親はもう離婚して貧乏になったから当然おごってもらえなくなる」
「便所飯を」
「何をおごってるんだよ……。っていうかそのネタしつこい」
「じゃあ」
「言わなくていいから」
「要するに友達は女の子を金づるにしてたんでしょ」
「そうそう。そんで何もおごってくれない女の子に対して周りの友達は『あんたなんかいらない』的なこと言って女の子から離れていったんだ」
「……」
「母にもひどい目にあわされ、友達にも離れられて絶望した女の子は、泣きながら川に見投げしたらしい。それからこの祭りで幸せそうな人を見ると羨ましさ余って『私も混ぜて』と声をかけるらしい」
「私も混ぜて……」
「ぬわっ! なんだお前かびっくりしたぁ」
「ビビり過ぎ。その話もどうせ昨日寝る前にでも作ったんでしょ。なのに驚くとかほんとバカね」
「……」
「あたしを祭りに連れ出す口実なら普通に祭り行こうって誘ってくれればいいのに何が『面白い話あるから聞いてくれ』、よ。バカ。ん!」
「?」
「このたこ焼き一個はあげるわ」
「払ったのは俺なんだけど……。あぁ確かにこれソース少ないね」
「あらかじめ祭りに行こうって言ってくれたなら浴衣くらい出してもよかったのに……。それに話もおもしろくないし」
「なんかごめん」
「ごめん? ごめんで済むと思ってるの?」
「え」
「こうなったら出店の食べ物コンプリートしてやる。もちろんあんたが支払うのよ」
「そんな無茶な。そんなんじゃじさ―――」
「お金出さないから自殺するとか芸のないこと言わないよね」
「うっ……」
「ほら、行くわよ」
「鯔?」
「それはもういい!」



話的にはこれから祭りが続く感じにしたけどギャグの方ではオチついちゃいました
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.13 )
日時: 2010/09/06 22:52
名前: タニシになりたい

『祭りとポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』
「Bコース」


「祭りってさぁ、ポケモン関わってるとこ少ないよな」

突然おもむろにそんなことを言い始めた黒いノースリーブにハーフパンツの少年に、その隣にいた水色で金魚がプリントしてある浴衣を着ている少女は彼に目を向けた。
そして彼女は何を言っているの、と言った感じの視線を彼に向けて、こういった。

「盛大に関わっているじゃない、お面屋なんてポケモンしかおいてないわよ、……どこまで続いてるのかしら、まさか全部そろっているわけは……」
「いや、お面はさ、関わってるけど、金魚すくいとかいろんなところでもっとこう……」

などと言いながら、屋台の明かりで暖かなオレンジ色に染まる通路を並んで歩いていた。
人が多いがそこまで進めないほどではない、先の露店が見えるだけまだましなほうだ。
そんな中を二人はさまざまな露店を見ながらとことこと歩いてはいるが、別段どの店によるわけでもない。
右左には露店が並んでいるが、右側はずっとお面屋だ、どこまで並んでいるのかは定かではないが、こんなにあっては目的のお面ひとつ買うのにも盛大に苦労がかかるだろう。

「金魚すくいでどうやってポケモンを入れるわけ?」
「トサキントを入れる!」

ためしにきいてみた少女に、彼は一寸の曇りもないいい笑顔でそのように答えた、少女はとりあえず金魚すくいの露店にトサキントを導入した想像を働かせると言う演算をいたって冷静な心持で繰り広げ、ある程度考えてから一言言った。

「貴方はポイの代わりにテニスラケットを持ちたいの?」

少年は顎に手を当てて神妙な顔つきで考え始めた。
そして数秒後。

「ああ、俺はそれで構わないぜ!」
「そう、貴方らしいわね」
「それほどでも」
「褒めてないわ」

そんなやり取りを流れるようなリズムで繰り広げて、何だ褒められてないのかと少年は少し残念そうにしていた。
そしてその数秒後、少女が話を戻す。

「ああ、トサキントの角で襲われる人も出てくるかも、人を襲ってアズマオウに進化したら大変ね」
「人を倒して経験値はいるのか? とりあえずかかって来いっって感じだな、俺は受けて立つぜ!」
「そう、とても貴方らしいわね、今度川にほうってあげる」
「おう、よろしく頼む」

そのような会話をまた繰り広げて、どうしたらこの人は危機感を感じるのかしら、と彼女は内心ため息をついた。
彼は相変わらず祭りの雰囲気にわくわくしながら進んでいって、彼女は途中にある露店に目を向けて、何を買うか迷っていたようだった。
突然彼は、また何かネタを思いついたのか彼女に話しかける。

「そうだ、どこかの祭りでは鮭のつかみ取りがあるって聞いたぞ、それに便乗してドジョッチの掴み取りとか!」
「ぬるぬるしてとれたものじゃないでしょう、そうね、ギャラドスとかどう?」
「俺的にギャラドスを引きずれる人間がいたら見てみたい」

その言葉を聴いて彼女はそういえばそうね、とつぶやいた、聞く前からわかっていたような口ぶりだった。
そうして彼女はクレープを食べることに決めたのかクレープの店屋で止まって、一つ頼んだ。
その間に彼はたこ焼きを買ってきたようだが、お互いに別々の物を食べながら人の多い道を歩く。
この祭りは元は神社を祭るためのものなので、歩いていけば自然と神社に着くようになっている、ちなみにお面屋は神社までつながっている、とてつもない長さである。
神社を祭るお祭りだなどといっても誰も神社を祭るわけでもない、神社まできたら人々は引き返していく。
そんな中少年と少女は神社の前に来てやっぱり祭ったりありがたがったりするわけでもなく縁側に座って休んでいた。

「お祭りに来ると疲れるわね、普段は歩いただけじゃこんなに疲れたりしないのに」
「人に酔ったんじゃないか? しばらく休むか」
「……もうすぐ花火が始まるわ、ここからじゃきっと見えないでしょう」

彼女は少年に浴衣の袖を少しまくってその下にある腕時計を見せた、針は七時五五分を指している、時間的に花火が打ちあがるのは八時かららしい。
少年は少女の腕時計を見て、少しうなった後、思いついたように言った。

「俺のエアームドで神社の屋根に上るか!」
「罰が当たっても知らないわよ」

ため息をついてあきれたように言う彼女に、少年はまた曇りのないいい笑顔を向けた。
彼女はその表情を見て、不思議そうに首を少し傾けながら彼を見つめる。

「お前が辛くなるくらいなら罰にでもあたってやるよ」

なんともないようにそんな台詞を平然と言うので、これにはさすがに彼女も堪えた。
馬鹿だとかあほだとかの次元を通り越してもはや恥ずかしさしか残らない。
そして七時五十八分を時計が指したころ、彼は立ち上がって背伸びをしてから、モンスターボールを取り出して、彼女にそっと手を差し出す。

「ほら、行くぞ、花火見たかったんだろ?」

彼女はため息をついてから、微笑を浮かべて手を伸ばし、彼の手をとった。

「ああ、花火見終わったら祭り第二段に出動するからな!」
「わかったわかった、どうせ今年もあれをやるんでしょう」
「俺の祭りはそこから始まる!」


「夏のパン祭りポイント三十ポイントと露店三回ただ券をかけたポケモンバトル大会!」



あとがき
続き……、気になるのか?
とりあえず祭りにポケモンを盛大にかかわらせてみたかった、ただそれだけですすいません。
最近はポケモンの数が年々増えていってとんでもないことになってきていますね、ポケモンを取り扱うお面屋さんは大変なことになってきますね。
あれ、ロマンス、ロマンスはどこに行った?
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.14 )
日時: 2010/09/06 22:53
名前: 一号

★目次
 敬称略。
 タイトルがないものは本文最初の1文節が書いてあります。


>>1【Bコース】『マサゴの灯』 うぱぁ

>>2【Bコース】『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅん

>>3【Aコース】『暗闇は人を……』 挽きたて珈琲豆

>>4【Aコース】『とある秘境での出会い』 Rという名の作者

>>5【Bコース】『あなたのおなまえなんですか?』 夏花火ロリコン仕立て

>>6【Bコース】『哀色の魂』 円

>>7【Aコース】『旅立ちは潮風と共に』 Rという名の作者

>>8【Aコース】『未開見たいテレポート』 さささ

>>9【Aコース】『リスタート』 ギルガメッシュ月光

>>10【Bコース】『上辺とやる気は反比例』 ギルガメッシュ月光

>>11【Aコース】『ワカバの風』 TOM

>>12【Bコース】『身も震えるほど』 ちぎっては投げちぎって鼻毛

>>13【Bコース】『祭りとポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』 タニシになりたい

>>15【Bコース】『僕の防波堤』 ゲシュタポ

>>16【Bコース】『お祭りワッショイ!!』 Rという名の作者

>>17【Aコース】『escape "シュー"』 JDM

>>18【Bコース】『STADIUM』 南瓜

>>19【Aコース】『ソングフォーマイファーザー』 あちゃもとあらい

>>20【Bコース】『さよなら花火』 がぶりす

>>21【Aコース】『鎮霊祭と小さな夜の冒険』 紅蓮

>>22【Bコース】『ポカブツタージャ、そしてミジュマル』 あいうえおちあいくん

>>23【Aコース】『あの夏をもう一度』 雑食仕様

>>24【Bコース】『楽しめ、四回目の花火大会』 Rという名の勇者

>>25【Bコース】『時間の気紛れ、空間の悪戯』 Rという名の作者

>>26【Bコース】『君は死人に何を見るか』 ノルスタルジー将軍伍長

>>27【Aコース】『残りものには毒がある』 ターケーシ

>>28【Aコース】『今日から頑張る』 とあるRの白黒神話

>>29【Aコース】『子ども発大人行き終点はありません』 コップ

>>30【Aコース】『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜

>>31【Bコース】『反抗期計画』 Rという名の牛丼

>>32【Aコース】『Unknown village』 kagero

>>33【Aコース】『ユーアンドアイ、愛』 でんぐりがえり

>>34【Bコース】『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 きぃぺ

>>35【Aコース】『帰る場所』 モソソクルッペェ!

>>36【Bコース】『君へ伝えたい、でも、』 こんにちは

>>37【Bコース】『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃー

投稿36作品中、Aコース17作品 Bコース19作品

★間違いがあった場合はご連絡ください。
★不明と表記された作品の作者はその作品を編集してコースを明記してください
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.15 )
日時: 2010/09/06 22:53
名前: ゲシュタポ

Bコース「僕の防波堤」

――祭りは僕らを助けない。提燈の明りは僕らを照らさない。僕達は、祭りの跡の、少し切ない、終わった光景しか、見ることができない。……もう一度言う。僕らは、終わった光景しか見ることができない。
 …………。……。……。………………。……。…………。
 笹川さんが、自殺した。
 屋上から飛び降り、その姿がどうなっていたかなんて言いたくないくらいの姿となった。それは間違いなくショッキングな事件で、学校中のありとあらゆる人がこのニュースに怒り驚き悲しみ憎み蔑み楽しみ、また町の人も同じように色々な方向に揺さぶられた。主にこの事件で被害を被ったのは僕であり、もし僕以上に迷惑をした人がいるなら名乗り出てほしいくらいである。この事件がこれほどに大きくなった理由、僕の迷惑とは、遺書にある。遺書が騒動を大きくした理由の大半を占める。その遺書には、こう書いてあった。
「辛いです。もう生きていくことはできません。それと、伊坂悟(いさかさとる)君。迷惑かけてごめんなさい。どうかお幸せに」
 いじめをうけていた彼女が、いじめていた人でもなく、世話になった親や兄弟でもなく、僕の名前を書いた。彼女の机に遺書が入っていたため、僕はあっと言う間に有名人となってしまって、迷惑とは思ったが、しかし不幸だとは思っていない。むしろ、喜ぶべき部分もあるだろう。というのも、僕は笹川さんに、彼女が死ぬ一日前に告白されているのだ。屋上で告白されて、僕はそれを断った。そしてその翌日、笹川さんは自殺した。好きだと言ってくれたことはうれしい。でもそれを僕のせいみたいにして死ぬのはあんまりじゃないか、と僕は思う。自殺したくなるほど好いてくれたのは嬉しいが、本当に自殺してどうするんだ。これは、笹川さんの叫びを聞かなかった、聞けなかった、聞こうとしなかった、僕が悪いことになるのだろうか。ちなみに僕は、今後悔している。自分が悪いと思っている。思ってしまう。あのとき告白を受けていれば彼女は死ななかったかもしれないと、考えてしまう。いじめられていた笹川さんと、これまたいじめられている僕とのカップルなんて、いじめのネタが増えるだけだ、と思って断ったのはやはりまずかったのだと。……なあ、笹川さん。なんでよりにもよって僕なんだ? 助けを求めるなら、僕じゃだめだったんだよ。いじめられている同士で手を取り合って頑張っていこうなんて、無理に決まっているんだから。僕と笹川さんが集まったって、1に1をかけているようなものだ。
「笹川さん、いじめって、辛いよなあ」
 言っても、もう彼女はいない。ぐしゃぐしゃである。僕は告白してくれた彼女を突っぱねるのではなく、友達として、相談にのることくらいすればよかったのだ。彼女が既にあのとき自殺を決めていて、もう僕にはどうしようもない状況だったとしても、何も変わらなかったのだとしても、僕はそれをやるべきだった。人としてそれを察し、行動するべきだった。そうしなかったのは、今の自分の状況がもっと辛くなるのを嫌った、他人への配慮のできない僕の冷たさであって、それは僕も彼女や僕をいじめている奴らと何も変わらないということだ。結局、自分のことしか考えていない。同じ状況の笹川さんを身捨てて、被害者面をしているんだ僕は。見苦しいにもほどがある。ましてや辛いから、僕も辛いから自殺しようだなんて、身勝手にもほどある! いじめに屈して僕に見捨てられて死んだ彼女に僕ができることは、彼女の存在を背負うことにあるのではないのか。見捨てました。僕は最低な人間です。と頭を地面にこすって謝って、それでも無様に生きていく事に意味があり、それでやっと彼女に許してもらえるのではないか! 僕自身がいじめられているとかどうとかではなく、彼女の死の責任を少しでも負ってしまったなら、それくらいのことをする義務が発生し、そこでやっと僕は今以上に、真に命の重みを知ることができる。彼女の死が、彼女が僕に告白するその日に自殺しようと決めていた僕を思いとどまらせ、まるで僕の身代わりになるかのように死んでいくなんて、あんまりだ。彼女の死が、僕の命を繋ぎとめるだけに使われるなんて、あんまりだ。
「笹川さん。君の死は、重すぎる」
 だからこそ! あそこに名前を書かれた僕だからこそ! おこがましいかもしれないが、彼女の家族と同じように僕は彼女の命の重みを知ることができる。よって! 僕が死ぬことなど許されない。いや、僕が僕を許さない。彼女の死が、いじめに屈してまるで僕の身代わりになったかわいそうな女の子ではなく、それ以外の何かになるように僕は生きていかなければならない! それが、僕の今の生きる理由であり、生きなければならない理由であり、いじめに対する防波堤である。
「僕は、生きる」
 死ねと言われても、僕は生きる。無様に泥をすすってでもなんでも、僕は生きる。彼女の十字架は、僕が背負って生きていく。彼女に好かれた僕が、背をわなくちゃいけないものなのだ。
「さ、帰るか」 
 僕は、校庭の端にある木にかけてわっかを作ったロープと台を回収し、もってきたビニール袋に詰め直す。この地域恒例の、学校を使った盆踊りの跡のこの荒んだ光景が、僕の人生のようで、これからを暗示しているかのようで、僕にこそふさわしい光景だった。生きるのは、大変だ。けれど、生の果てにある扉をあけたとき、この十字架を背負っている本当に意味が、結果が、彼女の死の意味が、何かがどうなるかわからないけれど、何かがどうにかなるのを待つしかなくて、それが僕の生き方であり生き様となる。
「辛いです。もう生きていくことはできません。それと、伊坂悟君。迷惑をかけてごめんなさい。どうかお幸せに」
 死をもって彼女からもらった言葉は、永遠に、僕の中で、息づいていく。 

[了]

メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.16 )
日時: 2010/09/06 22:54
名前: Rという名の作者

『お祭りワッショイ!!』


「はぁ〜、やっと帰って来られた。今年は間に合わないかと思ったけど、何とかなるもんだな」

 ジョウト地方、ワカバタウン。俺の生まれ故郷でもあるこの町では、もうすぐお祭りが開かれる。どんなに遠くに行っても毎年この日には帰って来て、祭りに参加するのが俺の数少ない楽しみである。
 今年は北のシンオウの方まで足を伸ばしたから危うくこの日に間に合わなくなるという危機に陥ってしまった。
 まぁでも、そこはかつてはリーグチャンピオンとも互角に戦うことも出来た程の腕を持つ俺の実力で、何とかなったんだけど。ちなみに互角に戦う事が出来るだけで、勝てるという訳ではない。それももう数年前のお話だし。

「ばく〜♪」
「お前も楽しみか、バクフーン?」

 俺と一緒に旅立ち、ずっと一緒に旅を共にしてきたバクフーンも、とてもウキウキとした表情だ。
 普段はキッとした表情で旅を支えてくれるエースであるが、やはり毎年恒例のこの祭りだけは外せないらしく何度も先を急がされて大変だった。
 まぁ今回はシンオウまで行こうと決めた俺にも非はある。次はもう少し近場にしないとな。

「くぁ〜……あふ」
「あはは、ルクシオはあまり楽しみじゃないみたいだな」

 シンオウの旅路の時に仲間にした新入り、ルクシオはいつもぶっきらぼうでそっけない。
 でも星飾りがついた尻尾は正直で、今もブンブンと振っている。多分とっても楽しみなのだろう。
 自分では分かってないらしいので、普段は彼のご機嫌を損なわないように気付かないふりをしている。正直者じゃないんだから、全く。

(しかし、お祭りとは言っても所詮田舎町の小さなお祭りですよね? 何故旅を中断してまで参加するんですか?)
「ガキの頃からずっと参加してたから、参加しないと調子があがらないんだよエルレイド」

 非常に現実的で無愛想、故にチームにも溶け込まず一歩後ろから俺たちを観察するように見る。そんなタイプの手持ち。シンオウの旅路の時に進化した。
 これでもキルリアの頃はもう少し可愛げがあったんだけどなぁ。まぁ協調性に欠けてはいるけどチームには欠かせない戦力であることは間違いない。
 ちなみに彼だけはテレパシーによる会話が可能なので、時折野生のポケモン達の通訳を頼むこともある。
 他にも仲間はいるが今は皆実家に預けているため、この三匹で旅をしている。他のみんなはちゃんと母さんの言うことを聞いていい子にしてるかな? 会うのがとても楽しみだ。

「さぁって、そろそろ行くか! ……って、あれ?」

 気がつくと、いつの間にかバクフーンとルクシオの姿が見えない。あいつら、どこに行った?

(あの二匹なら、さっき町の方へ走っていきましたよ。よほどお祭りが楽しみだったのでしょうね)
「で、何でお前はそれを止めなかった?」
(別に止めた所で何かメリットがある訳でないし、それに主人を一人残してしまったら野生の奴らに襲われて一巻の終わりですよ?」
「あーはいはい、俺の負けですよ全く……」

 頭も切れるから、こういう口喧嘩でも勝てたためしがない。全く……あいつらもう少し落ち着けよなぁ。


    ==================================


「先輩、いいんですか? 主人を置いて来ちゃったりして」
「いいんだよ、どうせエルレイドが残ってくれるだろうから。あいつこういう事は物わかりがいい方だから」

 ずっとずっと楽しみにしてた祭りだ、こればっかりは外すことは出来ない。
 それこそヒノアラシの頃からずっと参加していたお祭りなんだ、参加しなければ今年一年元気に旅が出来ない。
 あぁ、今から楽しみだなぁ、オクタン焼きにチルット飴、あとコガネ焼きやチェリンボ飴も捨てがたいよなぁ……。

「先輩、前」

 ルクシオの声で気付いたときには、目の前に木が立ちふさがっていた。無論、正面衝突してしまった。
 つい声を出してしまったけど、一体なんて言ったのか分からない。分かるのは、鼻のあたりがもの凄く痛いと言うことだ。……アウチ。

「うごごごご……」
「なにやってんですか」

 そんな目で見ないでルクシオ、不慮の事故だったんですよ……。
 ふと視線をそらすと、何かが見えた。一体何だったのかはよく分からない。だけど、何かの姿を見たのは確かだった。

「あれは?」
「ちょ、先輩、どうしたんですか? 町はそっちじゃないですよ!?」

 気のせいだったかも知れない。だけど、どうしても気になった。どうせ小さい頃から知ってる場所だ、少しそれた所ですぐに引き返せる。
 このときは、そう思ってた。だけどそれが、とんだ災難に巻き込まれる羽目になるとは……この時は考えもしなかった。
 今はただ、自分が感じた疑問を解決したい、その一心だったんだ。

 ただ、それだけだった。




〜後書き〜

Bコースにて、お祭りにいくはずが……というテーマでお送りしました。これからどうなるかは、実は全く考えてないのです(爆)
諸事情で違うパソで書きましたが、いやぁ使いづらいのなんのって。
もー少し書いといた方がよかったかなぁ。まぁ、いいか。
でわ!
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.17 )
日時: 2010/09/06 22:54
名前: JDM

A『escape "シュー"』


 外の世界を始めて見た。
 と言えば滑稽に聞こえるだろうが、彼にしてはそれはそれは非常に大きい出来事であった。
 彼の両親はロケット団と名乗る黒い服を着た奇妙な男達に捕らえられ、そのロケット団の施設に無理やり連れてこられて実験動物となっていたところ出会った。そしてその二匹によって産まれたのが彼。両親どちらとも薬物を使った危険な実験の被験者だったが幸いにも彼自身は奇形児などにもならず普通のコラッタとして産まれて来たのだった。
 しかし産まれたばかりの彼もすぐに団員に捕まり、両親とは離れさせられて檻の中で育てられた。
 後に両親が実験中に亡くなった話を聞いたが想い出はもちろん会ったことも何もない彼にしては両親はあくまで彼を産み落としたツールでしかなかったので何の感慨にも浸らなかった。かろうじてああ、誰かがまた死んだのか。という程度だった。
 しかし今日、彼は初めて両親の事を想った。コラッタかラッタかさえも知らないがあんな壮大な世界にいたことが羨ましかった。
 脚力強化の注射を射たれるために檻から出されて実験場に連れていかれた時にちらと、この施設には少ない窓から外が見えたのだ。青と白が混ざったいわゆる『空』は、灰と黒の天井や壁しか見なかった彼の心に衝撃を与えるには十分過ぎた。
 そして彼は決心したのだった。
 心が壊れてしまう前にここから脱出してしまおう、と。



 彼にはルームメイトが二匹いた。ルームと言っても檻のことだが、ずっと一緒にいるロクでもないやつらだ。
 一匹はアーボ。彼が幼い頃は冷静で狡猾だったが、実験を重ねていくうちにどんどん精神が破壊されて目の前の快楽だけを望むだけの愚かな存在になってしまった。実験されるのが好きというのだからもうどうしようもない上にこいつとの意志疎通も難しい。
 そしてもう一匹がドガース。人の悪態を突くのが好きだったこいつも唐変木で物事を深く考えることもなくなった。
 かろうじて彼だけはまだ正常な精神を保っている。というのも、彼はまだ被験数が少なかったのだ。なぜならコラッタなんて文字通り腐るほど転がっているのだから。
 しかし明日は我が身、ルームメイトのようになりたくない、そして僅かだが見たあの外に出てみたいと思う気持ちが彼の決断を後押しした。

「ここを出たいと思う」
 夜、彼らポケモンだけにしか分からない言葉で彼が切り出した。
「アヒャヒャヒャヒャ! ついに天下のコラッタ様も気が狂っちまったかァ? 探検ごっことはまだまだお子様だねェ」
 アーボが開口一番に奇声を発しながら彼を嘲笑う。彼はその言葉を聞かずに嫌悪感だけは受け取った。
「お前ももちろん俺たちだって出口を知らない」
 まだ隣で笑い続けるアーボと違ってドガースは呆れていた。
「それは逃げながら探す」
「アッヒャッヒャッ! 今の聞いたかドガース? 夢は寝てる時に見るものだぞコラッタよォ?」
「そうだ。それに逃げたとしてもどうする。外に行っても独りだぞ」
「探検してみたいんだ。ここにいてもゴミのような日しかない。だったらせめて外へ……出てみたいんだ」
「アッ、アッ、アッーヒャッヒャッ!」
 アーボが過呼吸になるほど笑い出した。彼はそのまま呼吸が止まれば良かったのにというようなことを思った。
「いくらお子様だからっていい夢見すぎだぜもう笑うしかないぜアヒャヒャヒャヒャ」
「……いや、俺もコラッタと同感だ」
 ドガースが今日はまともだなと彼は思った。そのドガースの目に生を感じたからか。
「俺ももう実験なんてこりごりだ。俺は逃げ出したい!」
「あァ? ついにてめーのガスみたいな頭もイカれちまったかそうかよかったなアーッヒャッヒャッ!」
「……。コラッタ、俺もお前と一緒にここを出る。きっとまだやり直せるはずだ」
 そしてその晩彼とドガースはひたすら笑い続けるアーボを無視して翌日夜に逃げる手順を組んでいたのだった。



 翌日夜。団員の一人が雀の涙ほどのエサを持って檻の方へ来るときがチャンスだ。
 エサが入ったケースを入れるために団員が檻を開けた瞬間、彼は団員に向かって体当たりをした。
 とはいえ彼は脚力強化の注射を受けている。大の大人でも壁まで吹き飛ぶとんでもない威力だ。
 そこにすかさずドガースも檻から出てきて倒れている団員に強力なガスを噴射する。最悪その団員の命が無くなるかもしれないがそんなことは知ったことでもないし、むしろ良い気味だった。
 廊下に躍り出た二匹だが、この後の作戦なんてものはない。なにせ出口を知らないからだ。
 廊下を必死に駆ける二匹だったがここで彼は一つ思い当たる節があった。彼はドガースの上に乗ると、たまたまあった窓に向かって突進を試みた。
 世間知らずの彼らでもガラスは脆いということは知っていたのだ。だが彼の強力な突進を喰らっても窓はなんともなかった。彼らは防弾ガラスを知らなかったのだ。二、三度試みて諦めると再び廊下をがむしゃらに駆ける。
 少しすると団員に見つかった。やむを得ないが引き返すしかない。すると応援でも呼ばれたのか反対側にも団員が現れ、袋の鼠となった。気付けば元いた檻のある部屋から一つ離れた大量の実験ポケモンがいる部屋の前まで戻っていた。
 しかし団員は彼らを見くびっていた。彼が本気を出せば団員なんて紙屑を吹き飛ばすようなもので、彼の突進の犠牲にあった団員は壊れたマリオネットのように飛んでいった。
 最初は油断した団員らも、同じく実験され強化されたポケモンを繰り出せば話は変わる。
 彼もドガースも応戦した。しかし彼らには体力の限界があった。団員には彼ら並のクオリティーを誇るポケモンはいなかったがそれでもポケモンのクオンティティーだけはあった。数での戦いになると不利になるのはあのアーボでも分かるだろう。
 疲弊した彼の背後からこっそりとポチエナが噛みつこうとした。反応が遅れた彼はここまでか、と覚悟をしたがどこからか飛んできた紫の鞭にポチエナは弾き飛ばされた。
 いや、鞭ではない。何度かみたことがあるこれはアーボのポイズンテールだった。
「アーッヒャッヒャッ! 思ったよりやるじゃねぇかお前ら。本当はもう少し機を見て逃げたかったんだけどなァ! お前達が逃げるとほざいたときはさっさとくたばるかと思ったが、案外頑張ってるから手伝ってやるぜェ!」
「アーボ……」
「アヒャヒャヒャヒャ、なんだその間抜け面はよォ! ……本当はこんな変なしゃべり方は好きじゃないつもりだったがこの笑い方なかなか悪くねェ。そう思うだろ野郎共?」
 野郎共? 彼はすかさず後ろを振り返った。閉まっていたはずの実験ポケモンが閉じ込められていた部屋の扉は開いており、そこから大量の実験ポケモン達が狭い廊下に一堂に会することになっていた。
「俺が連れてきたんだ、感謝しろってなァ!」
 アーボの目はいつになく輝いていた。そうか、実験で狂った性格になっていたのは嘘だったのか。敵も味方も騙し欺く。彼の本来の性格は健在していた。
「あァ? 変に泣きそうな顔作ってねェでさっさとクソ間抜けなゴミドガースとそっから先に出てけ」
 アーボが首で示す方向にはサンドが床を掘って作った抜け道があった。
「でもアーボは」
「俺ァこの人間共をひねり潰してから行く。てめーら雑魚はもう役に立たねェからさっさと失せろ!」
 アーボはこう言っているが体力の限界に達した彼とドガースのことを思ってのアーボなりの発言なのだろう。あくまで彼はそう捉えた。
 ヘトヘトなドガースと共にサンドに続く形で穴の中へ潜り逃げていった。穴の中でサンドから聞いた話によるとアーボはずっと前からサンドが穴を作りやすくするために床の耐久を削っていたらしい。彼は今までアーボを罵倒していたことを心から悪く思いつつ、穴の出口に向かいひたすら駆け続けた。
 真っ暗だった穴の中が急に明るくなり、思わず目を塞いだ彼。徐々に光にも慣れ穴から抜け出すとそこには広大な草原、上にはあの日みたものよりもっと雄大な空があった。いつの間にか朝になっていたことなど彼らにはどうでもよかった。
 空気の匂いも薬品や埃臭いものではなく澄んだ優しいものだ。自然と顔がにやけたのは彼だけではなくドガース、サンドも同様だった。しかし施設から抜け出したということで彼らは油断していた。
「お前たちの脱走劇はここまでだ」
 人間の声が背後から聞こえた。彼らは揃って振り返ればそこには団員が一人、不敵に笑っていた。
「お前たちには電子チップが体内に埋め込まれている。空にも海にも土の中にいようとも我々には筒抜けなのだ」
 ああ、もうダメだ。今度こそ彼らはそう思った。しかし、今度は別の人間の男の声が反対側からした。
「へぇ。ならやってみて欲しいもんだな。ポリゴン2、電磁波だ!」
 見たことない鳥ポケモンに乗って現れた男はモンスターボールからまたもや見たことないポケモンを呼び出して彼らに電磁波を放った。しかし彼らは痺れることがなく、様子がおかしかったのは団員の方だ。
「貴様、誰だ! 何をした! くっ、レーダーが」
「今の電磁波でこのポケモン達の中に埋め込まれているチップは効力を失った。さて、お前らロケット団の施設には今頃俺の仲間が駆けつけている。もう観念するんだな」
「ひっ!」
 団員はその場で尻餅をつき、そこを男に縄で縛られた。
 形勢が変わるや否や、急に怯える団員を見て彼らはこんなヤツらに虐げられていたのだと思い返すと悔しさを感じた。
「さて、お前たちはどうする? もし良ければ俺と来ないか? 俺とこの広い世界を探検してみないか?」
 男は優しく笑って彼らに問いかけた。
 しかしそれは彼らにしては愚問も甚だしかった。彼らが揃えて首を縦に振ると、男は満足げに笑って手を伸ばしてみせた。
 彼の探検はここから始まるのである。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.18 )
日時: 2010/09/06 22:55
名前: 南瓜

Bコース【STADIUM】

緑と人が共存するロアークシティで開催される恒例のサマーフェスティバル。メインストリートから裏通りに渡って軒を連ねる屋台、華やかな衣装に身を包んだ人々とポケモンによる盛大なパレードなど人々を惹き付ける理由は数有れどその目玉はなんといっても大樹に囲まれた街のシンボル、巨大スタジアムで行われる大規模なポケモンバトルトーナメントだった。出場資格はジムバッヂ6個以上。腕自慢のトレーナー達がリーグから招待された四天王の二人、ローズとエリンへそれぞれへの挑戦権を巡り毎年激しく繰り広げる試合模様はロアークシティのみならずまさにこの地方の夏の風物詩である。

もうすぐ初戦開始の夜九時を回る。街の中心部に位置する巨大なバトルスタジアムは観客で埋め尽くされ溢れかえっていた。バトルフィールドを照らす太陽のように強烈なスタジアムライト同様に人々の目は興奮で輝いている。
ゲートから現れた明らかに遅れてきた様子の青年は人混みを見渡し、少しうんざりした様子で手にしていたマップを広げる。俯いた拍子にストレートの艶のある金髪が目にかかりイライラと払いのけた。肩に掴まっているラルトスは彼の急な動きに翻弄されることもなく、落ち着いた様子でマップを横から覗き込んでいる。上着なしのスーツ姿から察するに仕事先からスタジアムへと直行したようである。青年はすらりと背が高くスタイルが良い上に非常に整った容貌だったが、右頬に傷を負っているらしく大きな絆創膏を貼り付けていた。他人の注意を引くには申し分のない外見であるが現在観客の関心は主に来賓席の四天王や先程まで行われていた開会式に対して向けられており、幸い彼を取り立てて目に止める者は身近になかった。


青年が苦労しながらもなんとか予約席までたどり着くとすでに隣の座席に着いていた同年代の青年がニッと彼に笑いかけた。
「よお、遅かったな! しっかしお前スーツって……」
毛先を無造作に遊ばせた流れるような黒髪、小麦色に日焼けした肌、濃紺の甚平を身に纏いネイティを肩に乗せ、金髪の青年に負けず劣らず端正な顔立ちの彼は綿菓子を二つ突き立て翼を広げたチルットのようなバケツ大のポップコーンのカップを青年の席からどける。
「“仕事”帰りだ。お前こそ甚平なんか着やがって……羽目を外すのもほどほどにしとけ」
金髪の青年は無愛想に答えると空いた席にどかっと座り、足を組む。
肩の上のラルトスは黒髪の青年とネイティに向かって丁寧かつ上品に一礼したので、黒髪の青年は手をひらひら振って笑顔で応えてから唇を尖らせて反論する。
「おいおい祭りだぞ。あーあ、早く言ってくりゃお前の分も用意してやったのにな!」
「そういうオリエンタルな格好は似合う気がしねえ」
「そーか? まー羽目はともかくネクタイくらい外せって」
うるせえ、と言いながらも彼は言われたとおり水色のネクタイをぐいと解き、続いてポーチから人目に触れないように無線イヤホンを取り出して耳に装着し、次に小さな双眼鏡を取り出すと海のような青い眼に当ててスタジアムを見渡し始める。黒髪の青年は綿菓子に噛みつき口をもごもごさせながら横目で様子を伺っていたが、急に金髪の青年に向かって囁いた。
「なぁおい……か?」
「あぁ? 今なんか言ったか」
この騒ぎだ。相席とはいえ聞き取れないのも無理もない。
「ほら、来賓席。ローズ・エカルラートとエリン・ギルバスターと“ミディ”なら誰が一番好みだ?」
「……それ聞いてどうすんだ?」
「どうもしねえよぉー」
ニタニタとあからさまな笑みを浮かべ、話を続ける黒髪の青年。
「ローズはやっぱ美人じゃん。巨乳だしな! 大人の色気あるよなー。でもエリンも可愛いんだよな。17っつーことはオレらと同い年な訳だし親近感湧くっつーか、んでもって“ミディ”は……」
「知るか」
熱弁も虚しく一蹴された。
「お前相変わらずだなぁ! どんなにルックスが良くても愛想が最低だとモテねえぜ! あはははは」
あっけらかんとした黒髪の青年の笑顔にラルトスは苦笑し、金髪の青年は双眼鏡から目を放し思わず頬の筋肉を緩ませた。
「お前こそ相変わらずだな。俺がいない間真面目にあの二人を見張ってたのか?」
今にも笑い出しそうな呆れた口ぶりに対し黒髪の青年は胸を張って答えた。
「当然だ。じっくり観察したからこんな台詞が吐けるんだろ、ははは」
「!」

無線イヤホンに通信が入り、氷のような緊張感が二人の顔から和やかな空気を奪い去る。

「こちらA班“ソレイユ”、現在マル害及び“ミディ”の位置を確認、周辺に不審人物は見当たらない模様。どうぞ」
「こちらA班“メール”、“ソレイユ”と合流完了。引き続き監視を行う。どうぞ」
「……OUI」
「OUI」
無線を切ると一気に騒々しい現実に引き戻された。鋼のように鋭く冷えた全身に苦しい程の熱気がじわじわと迫る。二人は真剣な表情で顔を見合わせた。ソレイユと名乗った金髪の青年は素早くラルトスに目配せし、ラルトスは頷くが早く行き先も告げずテレポートでどこかへ消え去った。
メールと名乗った黒髪の青年は肩のネイティの冠羽を撫でながら静かに呟いた。
「しっかし……トーナメント開催期間中に四天王を襲うなんていかれてるぜ」
ネイティとソレイユは遠くを見ながらもメールの言葉にじっと耳を傾けている。自然と彼らの頭には本部に届いたとされる挑戦状こと某ファックスの文面が思い出された。
「動機がイマイチよく分かんねえ。なんか得するか?」
「さあな」
明確な犯人像は浮かび上がっていない。ただ護衛に囲まれた来賓席にいる四天王ローズとエリンに尤も接近かつ危害を加える絶好の機会があるとすれば、それは優勝者のみに与えられる挑戦権を利用したポケモンバトルである。すなわちこのスタジアム内の人間の仲で犯人である可能性が高いとされるのはこのトーナメントに出場した勝率未知数のポケモントレーナー総勢50名。
「だが、売られた喧嘩は買うまでだ」
国際警察の威信にかけ、ソレイユは宣言する。
バトルフィールドに立つ二名のポケモントレーナー。審判によって試合の開始が告げられるとスピーカーからは実況アナウンサーの声がスタジアム中に響き渡り人々は熱狂の渦に包まれた。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.19 )
日時: 2010/09/06 22:55
名前: あちゃもとあらい

 A『ソングフォーマイファーザー』


「知ってるか? ポケモンだって喋ってるんだぜ」
 そう言われたのは、カントー地方最後のジム戦に勝った時のことだ。トキワシティのジムリーダー、グリーンは私にそう言った。
 ジムリーダーはトレーナーの実力を測るために戦うので、バッジをかけた挑戦には本気を出さない。しかし私は、その言葉を本当に実行しているのは彼だけだと思った。その一言を聞いた瞬間、私が現在トレーナーとしてぶち当たっている壁を確実に乗り越えられるヒントを得た気がした。グリーンはその壁をいとも簡単に見抜き、解決方法を最初から知っていたかのように思えた。
「どういう意味ですか」
 私はもう一歩深く聞いてみる。知りたい。その想いは強くなる。彼はどこから説明すればいいのかな、と言いながら頭をかいた。
「どういう意味って……言葉通りなんだけどな。あんた、ポケモンの言葉は鳴き声しか聞こえないだろ」
 私は肯定した。ポケモンは人間とは違う。
「馬鹿な話だと思われそうだけど、本当はポケモンも人間みたいに喋ってるんだよ。言葉を使って。
 そうだな、例えば……あんたのマニューラ、ホレスだっけ? あいつはピンチには強そうだな。口数は少なくてそっけない感じだけど、芯がしっかりしている。あんたも負けそうになったらこの子をよく使うんじゃない? オーダイルの方は言葉が荒っぽいな。結構仲間うちでも喧嘩することが多いんじゃないか」
 当たっている。愕然とした。彼が本当に言葉を理解しているのかはともかく、たった数十分のジム戦の中でこれだけ見抜かれてしまうとは。
 あー、と彼はむしゃくしゃしたような声を出す。
「今の説明じゃ良く分かんないだろうなぁ。まぁ、せめて仲間の声にぐらいちゃんと耳を傾けりゃ、そのうち分かるさ」
 耳を傾けろ。その言葉が、私の心にひっかかった。そうか、そうやってポケモンのことを信じてやればいいのか。

 誰よりも強くなりたい。そう願って私は一匹のポケモンを盗み、ジョウト地方を旅した。新たなポケモンを手に入れ、強くないと判断したら即刻仲間から外していた。
 ある人からはポケモンは道具なんかじゃないと叱咤された。それでもジム戦には勝ち続け、ジョウト地方のジムバッジを8つ全て集めた。私はそんな言葉に耳を貸すことはなかった。
 だがしかし、どうしても勝てない男がいた。
 どれだけ強いポケモンを持っていても、どれだけ策を練ったとしても、彼には敵わなかった。負けるたびに、追いついたと思ったのにまた引き離される、そんな屈辱を味わった。
 一体何が悪いのか。ポケモンリーグ手前で勝負を挑み敗北した時、初めてかつての叱咤の意味を理解した。私と違って、彼はポケモンを大事にする。その差が、彼との実力の違いにつながっていると。
 その後、盗んだポケモンを返しに研究所を訪れた。あの時盗んでごめんなさい、と心の底から謝罪した。当然怒られるだろうと覚悟したが、研究所の責任者である人は笑って「君のポケモンは君を信頼している。だからそのポケモンはもう君のものだ」と許してくれた。
 あれほど心の中が晴れ晴れとしていたことはない。
 許されたことより、こんな自分でもポケモン達は私を信頼してくれていることが嬉しかった。
 捕まえてすぐに逃がしたポケモン達に対して、謝りたい気持ちと後悔が生まれた。だからこれからはせめて、今までずっと頑張ってきた6匹のポケモン達と共にやっていこうと決めた。もっとポケモンのことを信じてやる必要が、私にはあるのだ。

 その壁を乗り越えるタイミングは唐突だった。
『行くんでしょ。この中』
 マニューラのホレスがこっちに目をやり、すたすたと洞窟の中に入っていく。
「あ、あぁ」
 喋った。
 私は驚きを隠せなかった。グリーンの言ったことは本当だった。人間が耳を貸さないだけで、ポケモンはちゃんと言葉を喋っている。
 頭が少し混乱していたせいか、少し気の抜けた返事をして、奥へと進んでいく。

 今から入るのは、ハナダの洞窟と呼ばれるダンジョンだ。
 あまりにも凶悪なポケモンが住み着いているため、カントーのバッジを全て持っているトレーナーでないと立ち入ることは許されない。
 その凶悪なポケモンの多くは、今は無きロケット団が行ったポケモンに関する実験の被害者だ。
 弱体化してしまったり極端に強くなり過ぎてコントロール不可になってしまったりなど、実験の失敗作は問答無用でこの洞窟に放りこまれる。その積み重ねが、魔界を作り出したのだ。
 もちろんその事実は裏の世界の事情だ。多くの人間は恐らくこの洞窟をただの禁忌の地として見なし、詳しいことは何も知らないだろう。
 私がそれを知っているのは、私がロケット団のボスの息子であるからに他ならない。目的は洞窟内にいると思わしき、一匹のポケモン。遺伝子操作によって生まれた、暴力的な力を持つエスパー。かつてロケット団の実験場で、私は一度だけ見たことがある。何十年もの間、失敗を重ねたのちに出来あがったのは制御装置を付けねば止められないほどの暴れん坊だった。
 今、グリーンはポケモンを盗まれ、何者かに命を狙われている。はっきりとは言わなかったが、そう仄めかした。彼に教わったものは本当に多く、尊敬している。彼の力になるのなら、今しかない。

 ロケット団の壊滅から何年もの時間が経っているからそろそろアンバランスな生命体達は何かしらの形で落ち着いているかと思ったが、少し下りただけで得体の知れない威圧感が押し寄せる。けだるく重苦しい空気。湿気や臭いのせいだと思いたかった。
「こいつは凄いな」
『あちこち見ないほうがいいよ』
 ホレスが呟く。私はホレスの後をついていく形になる。洞窟内はぼんやりと光っていた。所々に刺さるように生えている、紫色の水晶が発光しているせいである。
 明るいとは言ってもものの外殻が分かる程度なので、フラッシュは必要だった。レアコイルを出し、指示を出す。
「フラッシュ、頼むよ」
 レアコイルは無言のままフラッシュの光を放つ。一度フラッシュを放てば、ボールに戻してもボールが光を放つので効果は持続することになる。レアコイルを戻し、ボールをランプ代わりに歩いていく。
 そう言えば、レアコイルの反応がホレスとは違うのはどういうことだろう。
「あのさ、ホレス」
『何』
「レアコイルって無口なやつなのか?」
 口に出すには少し気恥ずかしさがある。ホレスは気にせず答える。
『んー、あいつが喋ってるところは見たことがないね。金属みたいだから、喋れるのかも謎』
「そっか」
 ただ聞けないだけというわけではなさそうなので、安心する。
「それより、俺とお前が喋ってること、不思議だと思わないのか」
『別に。会話が細かいところでかみ合ってなかった気はするけど、大事なことが伝わればそれでいいかなって思ってたし』
 それにしても何でそんなことを聞くんだ、という顔をしてこっちを見つめる。私は口元に笑みを作る。目を逸らした後、私は呟いた。
「そういうもの……なんだなぁ」
 なんだか拍子抜けだな、と私は思う。分かってはいたが、やはりこちらの言葉は向こうには伝わっていた。それも、しごく当たり前のことのように。
 私は脇にふと目をやった。いや、やってしまったと言うべきか。
 腐りかけた生物の死体があったのだ。ぐずぐずに崩れ、見ただけで嫌な臭いが伝わってきそうだった。吐きそうになり、思わず声を上げる。
『だから見ない方がいいって言ったのに。おれだってギリギリなんだからさ』

 かけられた梯子を降り、更に奥深くへと進んでいく。この梯子はいったいいつからかけられているのだろう。金属でできていて、地面にしっかりと固定されている。塗装は剥がれ、赤くサビついてざらざらとした感触があった。
 地下には、広い湖が広がっていた。所々に島があって、この位置から全貌を把握することは出来ない。この先に進むには湖を行くしかなさそうだ。結構底が深いことを確認すると、ボールからオーダイルを出す。
「なみのりで乗せてってくれ。あの島まで」
 私は指をさす。分かった、と言わんばかりに頷き、水の中に入る。浮かんできたところを見計らって、私は飛び乗る。二人乗りは恐らく無理なので、ホレスをボールに戻す。
 オーダイルの声は聞こえなかった。きっと、こいつの言葉をちゃんと聞けていないだけに違いない。何となく、耳に意識を集中させてみる。
「いつもありがとな」
 と身体をたたいてやる。オーダイルは返事しなかった。それとも自分が聞こえないだけなのか。私は少し残念に思った。

 目的地の島に降り、私はオーダイルをボールに戻す。そしてもう一度ホレスを出し、周りを見張らせる。
「また階段か」
 上ると、開けた空間に出た。周りには光る水晶が他の場所より多く、入口付近よりも幾分明るい。ただ歩くだけなら、フラッシュが無くても十分なくらいだ。先ほどのような腐乱死体もなさそうで、安心する。この洞窟の中には珍しい道具も落ちているらしい。それを回収しながら進むのも悪くないと思った。
『後ろ!』
 ホレスが叫ぶ。後ろを振り返る暇もなく、首に腕がかけられ締め付けられる。腕は人間のそれだ。声が出ない。
『離れろっ』
 ホレスが自慢の爪で切りかかる。すんでのところで腕は外れ、ホレスの攻撃は避けられる。
「ちっ、お前に変わってやろうと思ったのによぉ」
「誰だあんた」
 私は問いかける。我慢していた分を一気にせき込んだ。落ち着いたところで顔を上げる。彼の顔を見た瞬間、驚かざるを得なかった。え、と声を出したまま、後に言葉が続かない。彼は自分を親指で差し、不敵な笑みを浮かべた。
「驚いたか? 驚くよなぁそりゃ、お前の顔だもんな」
 目の前に立っていたのは、私と同じ格好、同じ髪、同じ顔をした男だった。かつての歪んでいた私を見ているかのように、彼の笑みはどことなくおかしい。理性のタガが外れている。
『どういうこと、あんた、何者だ』
 ホレスが警戒する。
 彼はにやりと笑うと、身体が崩れ出す。人間らしい肌色の皮膚も、黒い服も、すべて薄い紫色に変わっていき、ドロドロと溶けていく。
『もういいや、バレちゃ意味無いし』
 最終的に残ったのは、小さな紫色の柔らかそうな塊だった。
 メタモン。私はそのポケモンの種をそう判断する。しかし、人間に変身するメタモンなど聞いたことがない。実際には可能なものなのかもしれないが、それにしてもこいつは狂っている。
 もしかしたら、こいつはロケット団の実験の犠牲者か。そんな考えが頭をよぎった。あまりにも過酷な実験が、ポケモンの性格を歪めてしまった。確証はないのに、私は自分の中でその考えが確信に変わっていくのを感じた。
 けっけっけ、と気味の悪い笑い声をあげている。ホレスは警戒し、いつでも戦えるように構えを取っている。
 そう言えば、このメタモンの言葉が分かるのはなぜだろう。同じロケット団によって人生を狂わされた者だからだろうか。
 だからと言って、人を殺めていいものか。

 私は口を固く結んでいた。自分に成り変わって、どうするつもりだ。この洞窟の外に出て、それからどうする?
 笑い方の禍々しさが、何をするのかを物語っているように見えた。
『あんたたちを殺して、表に出て、俺は自由になる。やっとだ、やっと見つけたんだ、お前みたいに化けやすい人間』
 メタモンはそう言って、あは、あはと笑いながら、また別の姿に変身していく。その笑い声は、叩かなければ正常に作動しないような古い機械を私に思い出させる。

「ホレス、こいつは倒そう」
『分かった』
 言葉短く、ホレスは返事をする。
『倒す? 倒すって言った? けっ、お前らが世界の何を知っているって言うんだ。 俺はここでいろんな強いトレーナーを潰してきた。どんな戦い方をするかずっと見て来た。一番強いポケモンがどいつかってこともちゃんと知ってるんだ』
 そう言って化けた姿は、ライチュウだった。黄色い身体、白い腹、茶色い両手両足、針金のような細長い尻尾。
『なんだ、もっとおっきなポケモンになると思ったよ。伝説のポケモンとか』
 ホレスは言う。私は同感だと思ったところで、その考えを振り払う。ホレスはボールに入っていたから知らないだろうが、とんでもなく強いライチュウを一匹私は知っている。
『俺だって最初はこいつを侮っていたさ。でも、もう覚えた』
 ライチュウに変身したメタモンは、尻尾の先から薄く光る糸を伸ばす。とても速いスピードで、それはホレスの身体を突き刺す。反応出来ない。
 ばちん、と大きな音が鳴り響く。電気ショックだ。それもかなり強力な。
 まずい。私はホレスを抱え、メタモンから少し距離を離す。光る糸はホレスの身体を貫いたにも関わらず、傷はない。電気ショックが効いているだけのようだ。
「大丈夫か」
『うん、下ろして』
 私はホレスを下ろす。
『一体何されたのか、全然分からなかった』
「速過ぎるんだ。反応出来なかった」

 頭の中で、さまざまなアイデアが浮かんでは消えていく。私はこの戦法を見て確信したことが一つある。あいつが知っているライチュウは、私の知っている者と同じだ。
「あれはひかりのかべを糸状にしているだけだ。実体がないから、貫かれるだけなら平気。あれに電流を流して攻撃するんだ」
 電気による攻撃は、基本的に空気中を伝って遠くへは届かない。だから接近戦でないと最適な状態を作り出せない。その欠点を確実に克服するために生まれた戦法のようだ。
『じゃあ、距離を開けても無駄なんだ』
「そう。だから、動き続けろ。回り込みながら近づくんだ。糸をぎりぎりのところで避けて、近づいていることを悟らされるな。こっそり近づいて、思いっきり冷凍パンチを食らわせてやれ」
『分かった』
 ホレスは頷いて、駆け出す。頼んだぞ、と心の中でエールを送る。もう私に出来ることはここまでしかない。
 あと一発でも食らえば、恐らくホレスは戦闘不能になるだろう。マニューラという種族は、元々頑丈な身体をしていない。だから、攻撃を喰らわないように素早さでカバーしている。ポケモンバトルで勝負を決める要素は、相性と、戦略と、能力の一点特化だ。
 ただ、いくら速くても体力はない。早めに近づいてくれ、ホレス。

 今のところ、事態は私の思うように動いている。ホレスはしっかり糸を見切り、じわじわと距離を詰めていく。上の方を糸が通ればしゃがみ、下の方を通れば飛んで避ける。ひかりのかべで作られた糸は薄く光っている。うす暗い洞窟の中では目立ってしまうため、視認しやすい。それに、メタモンの作り出す糸は、精密さと速度を同時に達成することはできないらしく、それがホレスに避けられる要因になっている。
『ちょこまかしやがって、くそっ、くそっ』
 メタモンも大分焦れている。そして何より、糸に集中し過ぎているせいで、足が一歩も動いていない。よし、いける。あの糸を操作するのにも精神力を要するはずだ。
『当たらないなら、こうしてやるっ』
 不意打ちだった。一直線に糸はこっちに飛んでくる。まっすぐになら、糸のスピードはとんでもなく速い。明らかに、私を狙っている。
「うあっ」
 糸が左肩を貫き、強力な電流を流される。暴力的に身体を揺すられたような、そんな感覚だった。痛いのかどうか良く分からないが、あまりの衝撃に痛みさえ麻痺してしまったのだと直感する。私は立っていられなくなり、地面に倒れこんだ。
 ホレスが私の名前を呼ぶ。メタモンの電撃は持続的なものではなく、一発大きな電気を流すだけだったので、少しだけ動ける隙があった。
「来るなっ」
 精一杯の力を込めて、私は叫ぶ。
 恐らくホレスは私を心配して、駆けつけようとするだろう。彼の姿を何とか目に入れようとした。
 私の予想はやはり正しい。こちらを向いて、足を一歩踏み出そうとしている。不安が溢れ出しそうになり、くしゃくしゃになるのを必死でこらえる顔は、かつて何度も見て来た。普段はそっけないのに、私に危機が訪れるといつもこうなのだ。
 私はメタモンを指差し、大きく息を吸い込んで声を張り上げる。
「俺のことはいい!」
 敵を倒すことだけに集中するんだ。

 ホレスの目から、迷いが消えたような気がした。
 そこからはほんの一瞬の出来事だった。
 高速でメタモンのそばを走り抜け、通りがけに切り裂く。つじぎりという技だ。どうやら急所に当たったらしく、メタモンは言葉にならない叫びをあげる。痛みの分だけ、声が放出される。
 ターンしてさらに、爪を凍らせこおりのつぶてを投げつける。メタモンはそれを背中で受けて怯む。少し変身が解けかかって、色が紫に変わり始めている。そのまま、れいとうパンチ。メタモンの頬をホレスは思いっきり殴った。殴った部分は凍りつき、固まってしまう。さらにホレスは殴り続けた。どの個所も凍って動かなくなるまで、殴り続けた。
 やがて、メタモンを行動不能にさせた氷は厚みを増し、大きな柱の形になる。ホレスは息を切らせ、足を折った。
 メタモンはひとまず、完全に封印された、と私は判断した。倒したのだ。
 変身が解けるか解けないか、メタモンなのかライチュウなのか良く分からないままの状態で、彼の時間は止められた。
「よくやったな」
 私は何とか立ち上がり、ホレスの頭を撫でてやる。水筒から水を取り出し、飲ませてやる。
『ごめん、おれは』
 ホレスの言葉は、それから先には続かない。目をつぶって、首を振っても、それは変わらなかった。
「いや、いいんだ」
 私は言った。
「お前はよくやってくれたよ」
 ホレスの不安げな表情は、もとの顔に戻る。少し喜んでいるのだろう。その様子は、私を安心させる。
 頼りになるが、もろい奴なのかもしれないと今まで思っていた。
 しかし、それは少し違うのだと悟った。言葉が通じて何となく分かったことがあるから。
 私が頼りにしているだけではない。ホレスは私を頼りにしているのだ。研究所の博士も、この子達は君を頼りにしている、そう言っていたではないか。

 それに気付いた瞬間、いくつもの閃きが生まれた。
 同じなんだ。人間もポケモンも。よく喋るものもいれば、無口なものもいる。賢いものもいれば、愚かなものもいる。強いものが一人いる傍ら、弱いものがたくさんいる。みんな別のものを信じ、それぞれの道を行く。ただ姿が違うだけで、同じ個性豊かな生き物なんだ。
 自然と笑みがこぼれて、止まらなくなる。これは大発見だと、跳びはねたくなる。
 同じように憎しみあい、同じように喜びあう。同じように不和が生まれ、同じように共感が生まれる。それはきっと、言葉を持っているからできることなんだ。
 そうだ。そういうことじゃないか。
「ありがとな、ホレス」
『へ? て言うか、さっきからにやにやしてどうしたんだ?』
「何でもない。さぁ、行こう。あとは俺に任せていいから」
 私は立ち上がって、ホレスに手を貸した。
『任せて、って、これからとんでもないエスパーと戦うんだろ。あくタイプの俺が戦った方がいいんじゃないか』
「いや、出来る限り戦わないさ。今決めたんだ。策はある」
 心を開けば、耳を傾ければ、きっと声は聞こえる。奥に眠る凶暴なエスパーだって、そうすれば分かってもらえるかもしれない。根拠のない自信だが、最高で極上の作戦であるという思いは消えなかった。
 おい、と呼びとめるホレスを尻目に、私は洞窟の先へと進んだ。ホレスのため息が聞こえるが、ちゃんと彼はついてくる。
 辺りの水晶は相変わらず輝き続けていた。

 待っていろ、まだ見ぬエスパー使いの暴れん坊。

 私は禍々しい気配のする方へ、足を踏み込んでいく。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.20 )
日時: 2010/09/06 22:56
名前: がぶりす

【さよなら花火】Bコース


 彼女との出会いは一週間程前に、友人らと神社裏のお墓で肝試しをしたときだった。
 親がお金持ちなので俗に言うお坊ちゃん暮らしをしている僕だから、屋敷の者がこんなことして遊んでいると知れば血相を変えて飛んでくるだろう。
 なにせあの墓には女の子のお化けが出るという噂があるのだから。
 僕と友人はそんな話あるわけないと笑いながら、それを検証するついでに肝試しを始めたのだ。
 油性ペンで名前を書いた石をもって十時半過ぎに神社に僕含め五人で集まり、そこから一人ずつ懐中電灯を持って墓場の奥の方にある地蔵の側に石を置く、至って簡単な遊びだ。そして僕が石を置きに行く順番は五番目、つまり最後である。
 先に戻って来た他の皆は幽霊なんていなかった。と、不服そうにしていたので僕もやはりそんなものかと思い、スタートを切った。
 大中小、古いの新しいのが多種多様に混ざった墓石だらけの墓場は、それは確かに一人ぼっちで行くのには怖いのもある。
 何か変な影が見えるとドキッとするが、懐中電灯で照らすと大概はしょうもないもので、まあ肝試しなんてこんなものかとそれなりに楽しんでいると指定されていた地蔵の前に着いた。
 スタートしてちょっとしてから一度曲がれば後は一本道なので暗くてもまだ小学三年生の僕でさえ簡単にたどり着けた。
 他の友達に倣って地蔵の前に石を置こうとしたとき、地蔵の向こうにまた影が現れた。
 一瞬ひやりとしたが、またどうせしょうもないものだろうと思って懐中電灯をその物影に当ててみたら、白地に赤の模様がたくさん入った着物を着ている14歳くらいのショートカットの女の子がそこにいた。
「……」
「……」
 僕も彼女も互いに驚き戸惑いを隠せなかった。
「えーと……、わー!」
 彼女は何をとち狂ったのか急に両手をあげて襲っちゃうぞ表明をしているが、怖いどころかとても可愛いらしかった。
「こほん。さっきから気になってたけど君たち何してたの?」
 彼女は手を下ろして咳払いをしてから尋ねる。
「……肝試し」
 知らない人とは話をするなと口酸っぱく言われていたがこの娘(こ)とならいい気がした。
「なーるほどね。だから石を置いてたんだぁ」
 彼女は優しく微笑みながら僕の隣へやってきた。それを見て可愛いと同時に綺麗だなと思った。思えばこれが恋だったのかもしれない。
 僕の隣で石を一個一個見ている彼女に、何をしてたの? と尋ねようとしたとき、とんでもないことに気がついた。
 この娘、足が、具体的には足首より下が……ない。
 人は本当に恐怖したとき叫び声なんて出ないらしい。腕の力が一気に抜け、右手に握っていた懐中電灯を落としてしまう。
「んっ、どうしたの?」
 どうしたのじゃないよ本当に幽霊がいたよどうしよう逃げたいでも身体が動かない僕どうなっちゃうの怖いよ。
 懐中電灯を落として彼女の顔が見えなくなったためどんな顔をしてるかわからない。もしかしたら口が裂けるほど笑っているかもしれない。
 彼女は懐中電灯を拾い、それで顎から光をあてて「みぃたぁなぁ〜」と声を作ってきた。
「ひぃっ!」
 ようやっと叫び声が出せた。我ながら情けないにも程がある。身体の膠着が解けたらしくそのまま勢いで尻餅をつく。痛かった。
 しかし彼女はあはははと笑うだけであって、僕をとって食うようなことはしなかった。
「なんか驚かしてごめんねー。大丈夫?」
「……」
 彼女は尻餅をついている僕に手をそっと差し伸べた。手もすり抜けるんじゃないかと思ったが、その手は触れる上に普通の体温をもっていた。幽霊ってこんなものなのか、自分の知識の幽霊とはどうやら差違があるようだ。
「はい、懐中電灯」
「ありがとう。……君は」
「うん、死んじゃってるみたいだね」
 なぜそんな笑いながら言う。
「……大丈夫なの?」
 言ってから自分でも何が大丈夫なんだよと突っ込みたくなった。しかし、彼女は怒ることも変な顔もせずに笑っていてくれた。
「わたし? まあ大丈夫とは言えないんじゃない? 死んじゃってるし」
「そ、そうだよね。ところでなんで死んだの?」
 初めて彼女が暗い表情を見せたのでしまったと思った。
「……。ごめん、わかんないの。でもお祭りのときに死んだ気がするの。死ぬ前のことは覚えてなくて」
「浴衣着てるもんね」
「あの、お願いがあるの!」
 すると彼女は急に涙目で嘆願してきた。断れるわけがない。
「一緒に来週のお祭りに行ってくれない? わたし、そしたら何か思い出せそうな気がするの」
「うん」
 なぜなら……。まあ、やはり、好きになってたかもしれないからだろうか。



 僕だってまだ小さいけど男である。やっぱり彼女に恋をしているのかもしれない。四六時中彼女のことしか考えれず、何事にも上の空だった。相手が幽霊だったとしても、そんなものは僕には関係なかった。今の僕ならその気になれば大男さえ倒せそうな気がした。
 そして念願のお祭り当日。
 彼女とは前に会った地蔵の前で待ち合わせていた。相変わらずの浴衣姿と微笑みで僕を待ってくれていたようだ。
「さ、行こ?」
 可愛らしく首をかしげて手を伸ばしてくれた。その手をしっかりと握ると祭りで賑わっている町へと二人して歩き出した。
「わぁ!」
 ようやく祭りの会場にたどり着くと、様々な人が様々な服装で、様々な表情を浮かべていた。
 彼女はそんなたくさんいる人の中でもとりわけ一番の笑顔でいた。
「なんか懐かしいよ」
 もう既に涙目の彼女。繋いでいる彼女の腕をぎゅっと強く握ると彼女は我に帰った。
「あっ、ごめんね」
「何か思い出したの?」
「うーん、思い出せそうなんだけど」
「まあゆっくり考えなよ」
「うん……」
 しょんぼりとしてる彼女はなんだか見てるのが辛かった。話を変えるべきだ。
「たこ焼き食べる?」
 幽霊が食べるかは知らないけど触れるなら食べれそうだろう。
「えっ?」
「僕おごるよ」
 小三がませた真似を。と思われるかもしれないが、冒頭でチラと触れた通り一応金持ちの息子なのでお金だけはあった。
 彼女が何か言う前に、たこ焼き屋台のおっちゃんにたこ焼きを頼んだ。
「僕、お金だけはあるから。はい」
「それじゃあお言葉に甘えて……。ありがとう!」
「他にも何か欲しいものとかしたいこととかあったら言ってね」
「うん」
 ああ、その笑顔がもっとみたいなあ。たこ焼きを頬張る彼女も素敵で見てるこちらもつられて笑顔になる。
「君の家お金持ちなの?」
「親が実業家なんだ」
 たこ焼きを食べ終えた僕らは祭りの雑踏の中特に目標もなくぶらつき出した。
「へぇ、すごいね! お金持ち憧れるよ!」
「っていうことはお金持ちじゃなかったんだ」
「おぉ、なるほど! 確かに! なんか君といるといろいろ思い出せそうね」
 途中で金魚すくいもやった。射的も、輪投げもやって、あとはたまごせんべいも食べた。
 彼女は僕の身の上話、たとえば学校の話とかをよく聞いてくれて、とても楽しそうにしていた。
 友人にも幸い会わずに済んだし、彼女の足首より下がないことにも誰も気づかれなかったみたいだ。順風満帆。
「ねぇ、さっき家がお金持ちと言ってたよね」
「それがどうしたの?」
「お宝とかあるの?」
「なんでお宝なの?」
「えっ、いやぁ。だってお金持ちってそんなの持ってそうなイメージなんだけどなぁ」
 ……言っちゃダメってお父さんには言われてるけど彼女になら。
「あるよ」
「へー! やっぱり! どんなの?」
「なんとか、っていう綺麗な大きい宝石の指輪なんだ」
「お父さんとかが付けてるの?」
「ううん、強化ガラスの箱に入れて家の中で飾ってる」
「泥棒とか来ないの?」
「昼は警備員がいるし、夜は赤外線で誰かが来たら分かるようになってるし、鍵を使わずガラスもちょっとした振動を感知したらブザーがなるようにしてるから泥棒なんて怖くないよ」
「すごいねぇ」
「しかも鍵は指紋認証なんだ。僕の両親か僕じゃないと絶対に開けらんないの」
「すっごいね! あ、あの綿菓子一緒に食べない?」
「いいね」
 そこからまだ楽しい時間は続いた。スマートボールもやった。他にも河原に言って祭り名物の特大打ち上げ花火だって一緒に見に行った。
 しかし花火を見ているとき急に彼女の顔が曇った。
「どうしたの?」
 だが答えることはなく彼女の体は震えるだけであった。そしてこの祭りの花火大会自慢の特大花火が開く轟音が鳴り響くと同時だった。
「きゃああああああああ!」
 彼女は悲鳴を上げてその場でうずくまった。流石に周りの人も怪訝な顔をしたが、そんなのには構わず僕は本能的に彼女の腕を掴んで河原から駆け出した。
 彼女は何も言わずに僕の行動に準じて着いてきてくれた。気付けば神社の境内まで戻っていたようだ。
 休みなく走ったせいで僕も彼女も息が切れていた。彼女の浴衣も多少崩れている。
 しかしそんなことよりも彼女の青い表情だ。
「大丈―――」
「思い出したわ……。わたし」
「……」
「あの花火」
「花火が?」
「たぶん五年前くらい、あの花火がわたしの方目掛けて飛んできたの」
「飛んできたって……」
「お父さんが花火職人でね、わたしもお父さんの側で花火を上げるのを見てたのよ」
「そしたら失敗して、か……」
「うん」
 彼女は吐き出したい物を全て出しきったのか再び笑顔に戻っていた。儚く消えそうなものだった。
「今日は楽しかったよ? お陰で満足出来た。もう思い残したこともないしね」
「えっ」
 ということはもしかして……。どうしたら彼女を止めることが出来るのだろう。僕は彼女ともっといたい。でもそれは僕の自分勝手なものかもしれない。彼女の本当の幸せは……。
「ね、目を閉じて?」
「え?」
「いいからいいから」
 訳も分からず目を閉じると、柔らかく、暖かいものが僕の頬に触れた。僕だってわかる。キスだ。
 嬉しくて、優しくて、でも切ない。
 唇が僕の頬から離れた。僕は胸が高鳴っていてドキドキしていたからまだ目が開けられない。
「本当にありがとう。このことは絶対忘れないよ……」
 彼女の声が耳元でそっと聞こえた。まるで風のように耳を通り抜けて消え去った。
 そっと目を開くと、もう境内には誰もいなかった。最初から叶わないと思っていた恋だったけど、そこから大事な何かを学べた気がする。
 遠くで咲く花火を見ると笑っている彼女が見えた気がした。
















「お疲れ様」
「ふぅ」
 境内から離れたとこで少女がボディスーツを着た男の元に駆け寄る。
 少女は浴衣を脱ぎ捨てると男があらかじめ用意していたボディスーツに着替え直す。
「まさかここまで上手く行くとは思わなかったわ」
「部分ステルス装置で足だけ透けさせて幽霊にする。子供にはインパクトたっぷりさ」
「触れる時点で疑問に思われるかと思ったわ」
「子供の方が案外現実を受け止めるもんだよ」
「……」
 少女は先程まで一緒にいた少年を思い出して複雑な表情を浮かべた。
「それにしても思ったより喋ってくれてこちらとしても好都合だったな」
「まったくね」
「さて、仕事をしにいくか」
「指紋認証のキーもあの子の指紋をこっそり取ったから大丈夫よ」
「ああ。今回の獲物は大きいぞ! その分盗む価値があるってところだ! 行くぞ!」
 二つの影は闇の街を走り抜ける。今回も華麗に颯爽と宝を盗むことが出来るのか。少女は不敵な笑みを浮かべるのであった。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.21 )
日時: 2010/09/06 22:56
名前: 紅蓮

Missing Link4・AB

夏企画2010 『鎮霊祭と小さな夜の冒険』

【ポケモン暦56年 8月8日 リューキュー ナンブシティ】

 ギンガ達の冒険から遡る事18年前・・・ナンブシティでは毎年恒例の鎮霊祭が
行なわれていた。実際の儀式は夜行なう神聖なものだが、昼はシティの市長の提案により
屋台が立ち並ぶまさに祭と言った様相を見せている。
「焼き蕎麦の次は綿飴かなぁ・・・」
「デザート感覚なら口がべたつかないかき氷で良いんじゃない?」
「俺は物足りねぇし唐揚でも買おうかな。」
「ねぇ、皆でモンスターボールすくいの方に行ってみようよ!」
遠くから聞こえてくる祭囃子の音を聴きながら、アイ達4人は祭での買い物を
楽しんでいた。この日の為に小遣いを貯め、使う機会をずっと待っていたのである。

 当時最年少のアイは5歳、ズリとザロクは6歳、最年長のオボンは7歳であった。
小遣いを貯めるのにも苦労する年齢であったが、この世界ならば街にいる子供達と
ポケモンバトルをして金を稼ぐ事も出来る。特にアイは幼くして既にトレーナーとしての
能力を開花させつつあった。
「それにしてもこの焼き蕎麦美味ぇなぁ。ソースに焼き鳥のたれを使ってるらしいが。」
「安くて量もあって有難いわよね。」
プラスチックのパックに入った焼き蕎麦を食べながら4人は歩いていた。ナンブシティの一大イベントと
言う事もあり街には沢山の人々が集まり賑わっている。特に屋台の者達は鎮霊祭特需とばかりに
売る事に精を出し声を張り上げ祭の雰囲気を盛り上げていた。
「今はまだお昼時だけど儀式は夜6時からだったよね。」
「私その『儀式』の事が解らないの。父さんも母さんもリューキューの人じゃないから。」
アイの言葉に対してオボンが応える。
「鎮霊祭は元々こんな活気のある祭じゃ無ぇんだよ。ナンブシティの市長が街おこしの一環として
このイベントを盛り込ませたんだ。本来はリューキューの守民達が集まって霊地であるこの
ナンブシティに神器を奉納していただけだったんだが・・・」
「今はこういう単なるお祭り騒ぎも加わったってワケ。」
「へぇ・・・」
アイの立場は微妙な所だった。生まれた場所の事も育った場所の事も解らず、右往左往している様な
状態に等しい。一度は両親が生まれ育ったカントーに行ってみたいと思ってはいたが、
それが『人間として』生きている間に叶う事は無かった。

 一方ナンブシティの神社では儀式の準備が着々と進められている。
「奉納の為の念入れは市長の要請で午後5時から行なってほしいとの事だ。本来ならば
見世物の様な扱いを受ける事は不服ではあるのだが、助成金が出るとなれば話は別だろう。」
この頃守民は資金繰りに苦しんでいた。後にリーグ本部と繋がりを持つ為それは解消されたが、
当時はリーグと関係しておらず独自での運営を行なっていたのだ。
「コウガ様、既に準備は整っております。黒曜御霊は神霊台に置かれ、我々5人も
コウガ様の命を待つだけの状態故・・・」
「うむ。長旅で疲れたであろう。5時までまだ随分時間がある。お前も他の者達も
祭を楽しむなりジムの宿舎で休むなりすると良い。」
深々と頭を下げた守民の1人は、もう1人の傍らにいた女性と共に何処かに去っていった。
(さて、今年も彼等には頑張ってもらわねばな。リューキューの平和を維持し続ける為にも・・・)

 時間は過ぎ、灼熱の太陽もだんだんとその力を失いつつある夕暮れ時となった。
時刻は午後4時。アイ達も一通り屋台を満喫し、帰ろうとしている。
「いやぁ楽しかったな。来年もまた皆で来ようぜ。」
「何言ってるの。家から近いんだから簡単に楽しめるじゃない。」
「そうだよ。来年も再来年も、祭は続いていくんだ。」
「私達の友情と同じ様にね・・・?」
丁度屋台の通りが終わっている道の先はナンブシティの森に通じている。アイは森の奥へと
消えていく謎の影を見た。何かキラキラした球を口に銜えた四足の影を・・・
「どうしたのアイ。そろそろ帰らないとお父さんに叱られちゃうんでしょ?」
「今何かが見えたの。黒くて光ってる球みたいなのを銜えて・・・」
アイの言葉は不意に聞こえてきた怒声によって掻き消される。
「何たる体たらくだ。リューキューを護る守民社の者達でありながら!!」
中央の広場で争う声が聞こえ、何事かと祭の客が集まり始めた。
4人の少年少女もその怒声の主を確かめる為に広場へと向かう。

 中央広場で言い争っていたのは市長と守民の一族のまとめ役であるコウガの2人であった。
「我々は5時に儀式を神社で執り行うと言うタイムスケジュールに応じて祭の開催時刻を
決めたんだ。突然『出来ない』と言われてはいそうですかと納得出来ると思うのか!」
「仕方あるまい。黒曜御霊を少し目を離した隙に何者かに盗まれてしまったのだ。勿論
我等もP.O.D.やダークの妨害を想定していなかったワケでは無い。だが・・・」
「ともかく、5時は無理としても祭が完全に終了する午後9時までには儀式を執り行って
もらうぞ。何の為に助成金を払ってやったと思ってるんだ!」
「クッ・・・」
コウガは悔しそうに両の拳を握り締めた。言い返す事は出来ない。
「ともかく、我々の目が無かったと言うならともかく、ありはしたのですから盗んだ相手は
1人でしょう。手荷物検査を行なうしか・・・」
守民の一員であろうか。若い水色の髪をした女性がコウガに声をかけた。
「ミナモよ。それは出来ぬ・・・祭に来た者達の気分を害する事になるからな。祭の客が
多くなればなるほど盗んだ者も隠れやすくなる。見つけるのは困難だ。」
「何だその言葉は。この私に対するあてつけか?」
市長は憤慨するとコウガを思い切り殴りつけた。コウガは市長を鋭い眼差しで睨み付ける。
「ナンブシティの地域発展の為に祭を行なうと決めたのはこの私だ。この祭によって単なる
儀式で終わっていた客も集まらぬ行為が、祭のメインイベントに昇華されたのだぞ?
それによりお前達邪神守民の認識度も上がった。良い事尽くめではないか!」
「ナリミヤ様、ココは一旦頭を冷やしてください。市長官邸に戻りましょう。」
市長の秘書である女性がナリミヤにそう言うと、彼はその場を後にしようとした。
「元々邪神の発するオーラを広がらせぬ様にする神聖な儀式だったのだ!妙な付加価値を付けた
為にその儀式が悪人達の知る所となった。それが何故解らぬ!」
ナリミヤは最早振り向きもせず背を向いたまま一言釘を刺す。
「とにかく、儀式を今日中に執り行えなかった場合助成金は全額こちらに返金してもらうからな。
元々鎮霊祭等と言う陰気な名前の祭にしなければならなかったのもお前達のせいだ。
この機会に儀式と祭を完全に分けてしまうか・・・」
立ち去る市長に対してコウガも5人の邪神守民も憎しみに満ちた顔を隠そうとしなかった・・・

 広場の騒ぎから離れたアイ達4人は今からどうするか話し合う事にした。
「その影がさっき言ってた『黒曜御霊』を持っていったってのか。」
「うん。黒くて丸かったし多分そうだと思うんだけど・・・」
ズリは暫く悩んでいたが、森の方を指差し提案を出す。
「這って移動する人間なんかいないんだからポケモンがその盗難事件に絡んでいると
見るべきだわ。森の中に消えたのなら森の中を探すしかないんじゃない?」
「でももう暗くなってきたし、昼の時と違って野生のポケモンも活発に活動する時間帯だよ。
危険だしココはそれを大人に伝えて僕達は帰るべきなんじゃないかな・・・」
「いや、大勢の大人が森に入っていけばそのポケモンは逃げちまうだろ。俺はちょっと
そのポケモンに心当たりがあるんだよな。場所も解ってる。」
オボンは分厚いポケモン図鑑をポケットから取り出すと、大きなボタンを押し
検索をかけた。荒い液晶ではあったがポケモンの姿は確認出来る。
「シャムールじゃないの。」
「光り物が大好きなシャムねこポケモンだ。宝石類を主に集めてるが光沢のあるものなら
何でも集めちまうらしい。この間探検した蒼の洞窟に住んでるって話だ。」
「前言った時はそんなポケモンいなかったけど・・・」
「昼間だったからな。奴は昼間宝石類を集めて夜洞窟に隠して眠るんだ。」
「だったら尚の事危険だよ。大人しく黒曜御霊を渡してくれるとは思えないし・・・」
ザロクは全く乗り気では無かったが、ズリやオボンは行くつもりであった。
アイも取り返しに行く事に賛同し、それに押し切られる形でザロクも仕方なく頷く。

【8月8日 リューキュー 16:32 ナンブシティ近くの森】

 夏と言う事もあって太陽はまだ見えていたが、辺りは夕暮れから闇に移行する黄昏時であった。
「こういう時間帯って逢魔が時って言うよね。昼と夜の境目は人ならざるものが動き出す時間だって・・・」
「ザロク、ビビんなよ。ちゃんとポケモン持ってんだから心配すんなって。」
この頃からトレーナーとしての才能を持っていた3人はポケモンを多数持っていたが、アイは母のおさがりで
あるポケモン1匹しか持っていなかった。アイは子供心に3人に対して憧れのようなものも持っていたのかもしれない。
「ただ、油断しない方が良いわよ。ザロクが言った通り野生のポケモンが・・・」
その瞬間、茂みの奥から飛び出してきたポケモンに、彼等は素早く対応しポケモンを取り出した。
「ノーム、相手が逃げ出すまで引っ掻いてやれ!」
オボンが出現させたノームは子供程の大きさしか無かったが、飛び掛ってきた野生のグラエナにも怯まず挑み、
顔を思い切り引っ掻いた。爪は鋭く長い為傷も生半可なものでは済まない。
『ガアッ!!』
『キャハハハハハハハ!』
丁度3匹の野生のグラエナに対して3人が持っていたポケモンが1匹ずつ対処する形となっている。
カムロは頭突きで相手の頭を狙い、ケセランは相手を強烈な電撃で感電させた。
『ウウウウ・・・』
不利と悟ったグラエナは3匹とも逃げ出し、再び森は静寂に包まれる。木の枝にはホーホーや
コダマが現れ、鳴き声が遠くからも聞こえてきた。
『クスクスクス・・・』
「よぉしよくやったノーム。やっぱりお前は頼りになるぜ。」
「ま、コレで相手を完全に怒らせちゃったかもしれないけど・・・」
「ズリの言う通りよ。ともかく一刻も早く蒼の洞窟に向かいましょう。」
4人は野生のポケモンを刺激しないよう、走らずしかし歩かず競歩の様に動いて先を急いだ。
しかし昼の時とは勝手が違うのか洞窟の場所を知っているにも関わらずなかなか目的地へ
辿り着く事が出来ない。見た様な景色が続く。
「やべぇな・・・化かされてる様な気分だ。」
「だから止めようって言ったのに!」
「大分暗くなってきたわね・・・野生のポケモンも増えてきたみたい。」
木の上で月をただぼんやり眺めているコダマの数が増えていた。
また茂みからグラエナが姿を現す。その数は3匹どころの数では無い。
群れの後ろからさらに巨大な体躯のポケモンが出てきた。
「コレはちょっとヤバイかも・・・」
黒い毛並みに光る金色の瞳、口の両端に見える鋭い犬歯・・・
『グルルル・・・』
辺り一帯のボスらしいハリキングは、傷付いたグラエナ3匹を見た後4人を改めて
睨み付けた。復讐するつもりマンマンと言った感じだ。
「流石にこの人数を相手に出来る程ポケモンを持ってはいねぇな・・・」
「逃げようにも逃げられないよ。」
「うーん、コレは参ったわね・・・」
平静を装っているオボンとズリだがザロクと同じ様に足は震え奥歯が鳴りっぱなしである。
「・・・大丈夫。私が何とかするから。」
アイはそう呟くと、すっと3人より前に進み出てじっと野生のポケモン達を見つめた。
白いワンピースや藍色の髪が月夜に照らされ映えている。その瞳は優しげだった。
「出てきて頂戴、サーナイト。」
アイは懐からモンスターボールを取り出し、地面に投げポケモンを出現させる。
閃光と共に出現したサーナイトは攻撃するでも無く、ハリキングと何事か
話し合っている様に見えた。

 『私達は争いを望んでいるワケではありません。人間達の持ち物を探しに来ただけです。』
『しかし、グラエナ3匹の傷はどう説明するつもりだ。こっぴどくやられたと聞いたから
ワザワザこの俺が出張ってきたんだぞ。』
『元々そちらが先に仕掛けてきたので正当防衛したまでの事です。』
『オイ、俺に嘘をついたのかお前等、どうなんだ!?』
ハリキングに睨まれたグラエナはあまりの迫力に項垂れてしまう。
『申し訳ありませんでした・・・』
グラエナ3匹もあくまでしらを切り通す事は出来たハズであったが、早々に折れて
サーナイトに謝った。勿論4人には何がどうなっているのかサッパリ解らない。
「何かを話し合ってるみたいだけど・・・」
「とりあえずポケモンはポケモン同士任せてみましょう。ココで下手に私達が出しゃばるのは
得策じゃ無いわ。」

 ハリキングはサーナイトから事情を全て聞くと、怒りを露にし低く唸った。
『全く今日は人間に迷惑をかける不届きな奴等ばかりだぜ。人間を侮ってる奴が世界には
多くいる様だが、人間は数で言えば圧倒的に多いし、兵器は俺達の力を圧倒しているものすら
ある。共存を考えていなきゃ人間に潰されるだけだからな。』
『先程の話ですが、本当に同行してくださるのですか?』
『ああ。俺が一緒に洞窟に入ってシャムールの奴をちょいと脅かせば簡単に事が済むだろうぜ。
人間達との共存とは言ったがやはりポケモンにはポケモンの領分、テリトリーが存在してるんだ。
誰だってその領分を脅かされるのは御免だからな。』
サーナイトはアイに近付き微笑むと、ハリキングの方を指差し彼についていくべきだと言う考えを示した。
4人はポケモンの言葉が解らない為に100%事態を把握する事は出来なかったが、それでも
ハリキングの後に続き一路洞窟を目指す事にした。
「とりあえず交渉が成功したみたいだね。」
「洞窟まで案内してもらえるなら有難い事この上無いわ。」
ズリやザロクは顔をほころばせ、オボンも安堵の溜息をついた。
(危なかったぜ。一触即発のムードだったからな・・・もしサーナイトが上手くやってくれなきゃ
俺達全員アイツの爪や牙でやられてたかもしれねぇ。)
最悪の結末が一瞬頭をよぎり身震いこそしたが、アイの機転が功を奏し4人は
蒼の洞窟までハリキングに案内される事となる。

【8月8日 リューキュー 17:47 蒼の洞窟内】

 洞窟内は昼間訪れた時よりもさらに底冷えとしており、懐中電灯が無ければ奥が見えない程の
暗闇であった。ザロクは発光電気体であるケセランをボールから出し明かりの代わりにする。
「うわ、上にズバットが・・・」
何気無く上を見上げると羽を畳んだズバットが洞窟の天井に多数止まっていた。
「ズバットも昼間は外に出て獲物を捕らえる習性があるタイプみてぇだな。」
「ハリキングがいる事が牽制になってるみたい。」
アイの言う通り、ズバットの中には敵意を露にはするが攻撃はしてこないものが数匹いる。
強大な力と巨大な体躯を持つハリキングがいる為にそれを怖れ近寄りはしないのだろう。
『さぁて、洞窟の最深部に御到着だ。』
蒼の洞窟の奥は前に4人が訪れた時と同じ美しい湖が広がっている。その手前の地面に
寝そべって舟を漕いでいるポケモンがいた。
『おい、シャムール!!』
ハリキングが吠えるとそのポケモンは飛び起き辺りを見回した。
『ハ、ハリキング様じゃないですか。一体どうしてココに・・・?』
『人間の持ち物を盗んだだろ。何時もなら気にしない所だが大勢の人間が迷惑して
子供達が森に入ってきたんだ。こうなると俺も黙っているワケにはいかねぇよ。』
シャムールは抵抗しようとしたが、勝てる相手では無い事は解り切っている。
『解りましたよ・・・それで、何を返せばいいんです?』
ハリキングは4人の子供を指差して、彼等に聞く様目配せした。
「うーん・・・話が通じるかどうかは解らねぇが、俺達は綺麗な黒色の真球を
探しに来たんだ。お前がそれを盗んだんだろ?」
オボンの言葉に対してシャムールは項垂れると、ぽっかりと空いている
横穴の1つに入り数分後黒曜御霊を持って戻ってきた。
『ハァ・・・気に入ってたのになぁ・・・』
『他の持ち物もあるとは思うが、今回はコレで許してやれよ。とは言っても
こいつ等には俺の声が理解出来てねぇみたいだが・・・』
ポケモンの声を人間が理解出来る様になるまでには時が経つのを待たねばならない。
だが4人は声を解さずとも野生のポケモンとコミュニケーションを取り
黒曜御霊を取り戻す事に成功した。それは彼等が純真な子供だったからかもしれない。

【8月8日 リューキュー 18:51 ナンブシティ鎮霊祭会場 中央広場】

 7時前の中央広場では祭の一大イベントである儀式を前に、職人達が花火を打ち上げる準備を
着々と進めていた。4人の邪神守民とコウガには焦りの色が浮かんでいる。
「コウガ様、街中をくまなく捜索しましたが見つかりませぬ。ナリミヤに頭を下げに下げ
手荷物検査も実施しましたが・・・」
「もしP.O.D.の妨害なら街からすぐに逃げてしまっただろうからな。儀式が執り行えないと
言う事は祭の失敗よりももっと大きな弊害を生む。即ち邪神が発するオーラの影響が
ますます濃くなると言う事だ。そうなれば壊れる者達もまた増えてしまうだろう・・・」
邪神が放つオーラによってリューキューの人々は人ならざる能力を得た。だがそれは同時に心の闇を
増幅する力も持っている。闇に触れた人間の肌は褐色となりさらに堕ちる時暴走して沢山の人間を
殺してしまうのだ。儀式にはそのオーラの力を抑える目的がある。
「いずれナリミヤは失脚するだろう。あそこまで市民の反感を買ってしまっているのだからな。だが
今この時は我慢するしかあるまい。あれを作るには半年を要する・・・」
諦めかけたコウガがふと広場の入り口を見ると、子供が4名息せき切って駆けてくるのが見えた。
「黒曜御霊を取り返してきました!」
オボンが代表としてコウガに御霊を渡すと、5人の守民はほっと胸を撫で下ろした。
ミナモは涙を流しアイ達に礼を言い、シガンは黙ってその光景を見つめている。 
「守民としては情けないばかりですね。子供達に助けられてしまうなんて・・・」
炎邪神守民のカゲロウはそう呟くと夫でもある風邪神守民のハヤテを見た。
「ともあれ儀式が行なえる様になったのだ。素直に感謝するべきだろう。」

 儀式は7時丁度に無事執り行われ、市民はそれを鑑賞する。
台座に乗せられた御霊に対して5人の邪神守民が念を入れ邪神のオーラを
出来うる限り封じた。最後に守民の代表であるコウガが御霊を高く掲げ思い切り叫ぶ。
「今こそ、邪神の力封印せしめん!」
朱雀・玄武・白虎・青龍・鳳凰・・・炎・岩・光・水・風のオーラが
コウガの力により御霊から溢れ出て空中を覆い尽くした。そのオーラは
何処までも遠くに広がり空中一帯が様々な色に光り輝く。
「綺麗・・・」
帰宅する事をすっかり忘れ、アイ達4人はその美しい光景にただ驚き立っていた。
「これは、凄ぇな・・・」
やがてその光もゆっくりと霞む様に消えていき、儀式は完了する。
「ダルフ、カゲロウ、ミナモ、ハヤテ、シガン・・・今年も無事に儀式を行なう事が出来たな。」
「我々はやるべき事をやっただけです。それより、あの子供達に労いの言葉をかけるべきでしょう。」
ダルフはそう言うとまだ会場に残っていた子供達を指差した。
「ああ・・・そうだな。」
色とりどりの花火が空中に舞う。儀式の後行なわれた花火も綺麗ではあったが、4人の心により
深く残ったのは空中を覆い尽くしたあの聖なる光の集合体であった。

 小さな冒険と祭の思い出は4人の心に深く刻まれた。例え4人が3人になってしまおうとも、
残された者達の心にあの時の記憶はしっかりと焼き付いている。
守民達が後に生んだ子供達や失われたもの・・・それは現代と深く繋がり1つの形を成すに至るのだった。

『後書き』
今回Aコースでの作品提出と相成りました。結局
自分の作品の番外編となりましたが楽しんで
読んでもらえれば幸いです。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.22 )
日時: 2010/09/06 22:57
名前: あいうえおちあいくん

Bコース[ポカブツタージャ、そしてミジュマル]

  知名度と人気。可愛さと格好よさ。やっぱりそういうものが重要だってことに気付いたのは、イッシュ地方からカントー地方へ引っ越して来てから最初の夏、タマムシシティの半分程を使った盛大な祭りで、お面の出店を出したときのことだった。この地方じゃピカチュウヒトカゲピッピなんて可愛げのあるやつが売れて、ポカブツタージャミジュマルなんていう俺の故郷のポケモンなんかはほとんど売れない。中でもミジュマルのお面はドガースとの最下位争いを繰り広げるほどの売れなさだ。
「まあ、こんなもんかねえ」
 呟いて、前を歩く若いカップル二人が、ピカチュウのお面をつけているのが見えた。思わずそれに溜息をつく。あの三体のお面以外が売れているので別にいいのだが、でもやはり、場所が変わるだけでここまであいつらが売れないことに、予想していた通りの驚きと、妙な寂しさが込み上げる。あの三体のお面は俺にとったら特別なもので、売れないと心の中ではわかっていながらも、やっぱり出さないわけにはいかなかった。出さなかったらあいつが消えてしまう気がするし、こいつらのお面を出すことはあいつとの約束だから、出さずにはいられない。……ああ、祭りだっていうのになんて気分だ。やっぱり俺の祭りっていうのは、この三枚のお面が売れないところにはないのかもしれない。
「おじちゃん! そのヒトカゲのお面ちょうだい!」
 少しぼうっとしてパイプ椅子に座っていた俺をハっとさせたのは、まだトレーナーにもなれない、十歳に満たないような少年だった。
「僕、絶対にヒトカゲと一緒に旅に出るんだ!」
「そうか。頑張れよ、坊主」
 お面を渡し、ピッタリのお金をもらうと、少年は頭にそのお面をつけて後ろ向きに駆け出していく。その先には両親らしき姿があり、駆け寄った少年を抱き上げた。俺は、自分の記憶を見たような気がした。自分もまた、あの光景の一部だったはずだ。子どもが走ってきて、それを抱き上げる。子どもは満面の笑みを浮かべていて、妻も、幸せそうに微笑む。祭りの幸福感に負けないくらい幸せな、はちみつのような雰囲気がふんわりと包み込む。
「……駄目だな、俺」
 見ていられなくなって、俺は思わずあの家族から目を背けた。あの鷹揚とした雰囲気は、ただでさえ深海のような寂寥感を、さらに沈めてしまう。見ていると苦しくて、溺れそうで、泣きたくなる。
 ――もう、やめよう。こんなことをしていても意味が無い。お面なんかいくら売ったって、仕方がない。金はいらない。もうある。だからこれはただの自己満足で、きっともう満たされることはない。もう、満たされない。
「……俺も、旅に出るかな」
 本当にもう店をたたんでしまおうとして、椅子からゆっくりと立ち上がったとき、いつの間にかミジュマルのお面をつけた一人の青年が俺の前に立っていた。
「兄ちゃんよお。そのお面、珍しいな」
 どこで手に入れたかはわからないが、そのお面を見たら嬉しくなって、俺は思わず話しかけてしまう。でも、兄ちゃんはただ黙ったまま直立して、じっとこちらを見ていた。……いや、目線はお面でわからないのだけど。
「なんだ? 黙ってちゃわからないぜ。言いたいことははっきり言わないと」
 俺がそう言うと、兄ちゃんは一歩だけ前に出てきて、両の手を握り締める。わずかに震えているような、何かに耐えているような、そんな風にも見えた。
「……あの人は、もう死んだんだ」
「えっ?」
 兄ちゃんが突然口にした言葉に、俺はドキリとする。どうしようもない寂しさと、胸にぽっかりと穴を開けられたかのような感覚が蘇る。
「な、なんだ兄ちゃん。突然、何を言い出すんだよ」
 明らかに動揺している自分がいる。だめだ、まずい。落ち着け、俺。
「寂しいのはわかるけどさ、もう、あの人はいないんだよ」
「だ、だから兄ちゃん。なにを言っているのかわからねえよ」
「でも、あんたは一人じゃない。それくらいわかれよ。こんなとこで腐ってんじゃねーぞ。あんたは俺の目標だった。憧れだった。誰よりも強くて誰よりも優しくて、そんなあんたが、俺は好きだった。だから、腐ってんじゃねえよ。俺を生かした責任を、最後まで持ちやがれ。あんたが本当に限界まできたら、今度は俺が面倒みてやる。だから、それまでは、頑張れよ」
「……随分言ってくれるじゃねえか」
「約束くらい、守れ。俺との約束だけじゃなく、あの人の約束も守れ。その三体のお面、ここでしっかり売ってみろよ。それが、あの人とあんたが一緒にやるはずだったことだろ。昔から言ってたもんなあ。トレーナー引退したら、面でも売るかって。だから、続けろよ。途中でやめんな。不貞腐れんな。歯食いしばれ。両足でちゃんと立て。手えぬくな。全力で生きろ。だらだらやってんじゃねえ」
「て、てめえ……」
 青年をにらみ付けると、そのミジュマルのお面の頬に傷が入っていた。その傷には、確かに見覚えがあった。
「これ、全部あんたに言われたことだ。だから、俺はそうやって旅を続けてる。歯食いしばって、両足でちゃんと立って、全力で生きてる。チビのときあんたにもらった、このミジュマルの面に恥ないように生きてる。俺は、俺を生きてる。そんでもって、俺はまだまだこれからだ。あんただって、まだまだだろ。そんなんじゃ、あの人に笑われっぞ。あははって、格好わるいわねって、笑われっぞ。いいのかよあんた。そんなんでいいのかよ。……だらだら引き継いで、だらだらやってんじゃねえぞ!」
「……っへ。言わせておけば、随分ぬけぬけと色々言ってくれてるじゃねえかこのガキが!」
 俺は、パイプ椅子から勢いよく立ちあがり、そのままその青年を殴り飛ばす。彼は、避けなかった。喋っていたときの格好のまま、ただそのままに俺の拳を受け止め、青年はそのまま後ろへ一歩だけ後ずさって止まった。
「はは。やれば出来るじゃん」
 その全体はわからない。けれど、青年は、間違いなく微笑んだ。にい、っと顔を歪ませ、じっと俺を睨んでいた。
「ほざけ小僧が。てめえ、誰に向かってそんな口聞いてっかわかってんのか」
「うっせえぞくそオヤジ。母さんが死んだからっていつまでも腑抜けてやがるから、俺が根性叩き直しにきてやったんだよ」
「馬鹿いうな。てめえに叩きなおされる根性なんかあるか。このヒヨッコが」
「へへ。通りすがりの息子をなめんなよ、この腑抜けじじい。あんたが俺を拾ったあの瞬間から、俺はあんたを目指してやってきたんだ。いつまでも超えらんねえなんて思ってんなよ。あんた、最初俺だって気付かなかっただろ? ほら、それが成長したってことさ」
 俺はくひひと笑って、バカせがれはにひひと笑った。
 笑って、俺達は殴りあった。
まだろくに一人じゃなんも出来ねえのに、旅に出たいと言う息子を思いっきり殴り飛ばしたあの日から、随分たった気がする。そういや、母さんが死んだなんて、こいつよく知ってたな。教えてもねえのに。へへ。やっぱりその辺は俺の息子なのか。
 殴って、耐える。殴られて、耐える。殴って殴って殴って殴ってだったのが、いつの間にか、変わっている。
 殴って殴って殴って、俺はこいつを育てた。いつも吹っ飛んで気絶して目え回してやがったのに、いつのまにか刃向かってくるようになって、家を飛び出し、やっと戻ってきたと思ったら、俺の拳に耐えやがる。この馬鹿野朗が。
「成長したなあくそガキ!」
「そりゃああんたの息子だからなあ!」
 俺が笑う。せがれが笑う。きっと、美佐も笑っている。俺の妻は、きっと、笑っている。


◆ ◆

  俺達の殴り合いは、町の人達によって止められた。
 清楚な町のジムリーダーさんにこってりしかられたけれど、このジムリーダーが中々美人でよかった。馬鹿息子は怒られている間中ずっと楽しそうにしていて、自分の息子ながら、変態だと思った。
「じゃあ俺は行くけど、来年の夏、あんたがまただらだらしてたら来てやる」
「なめんなよくそガキ。そういうことを言うのは俺を越えてからにしろ」
「はは、違いねえや」
 そう言って、新しくやったミジュマルのお面をつけた馬鹿息子は、笑いながらサイクリングロードへと入っていく。小さくなっていくその背中を見て、拳の痛みを覚える。
「美佐。俺達の息子、でっかくなりやがったぜ」
 あいつにやったお面、そして、あいつからもらった傷の入った古臭いミジュマルのお面。この傷と、そしてこの拳の痛みが、あいつの成長を物語っているようだった。
 美佐。もう一度約束だ。俺は、このお面を売り続ける。やってやる。
 だから笑って見ててくれ。俺と、あの馬鹿息子のことを。
 この先、ずっと、ずっと。

[了]
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.23 )
日時: 2010/09/06 22:57
名前: 雑食仕様

{A:あの夏をもう一度}

そびえ立つ入道雲に向かって白色の軽自動車が田舎道を直進していく。
去年免許を取った後に買った軽自動車は、ちょっとした振動でもすぐに伝わるからちょっと怖いがそれでも大事な相棒だ。
しかしこの田舎道は前も、そして右も左も田園風景。飽き飽きしているのは運転手のおれだけでなく隣の助手席にいるエレキブルもだろう。
狭苦しそうにしているエレキブルをボールに戻しても良かったが、久しぶりの帰郷なので風景を楽しんでもらいたかった。しかしどうやらそうもいかないようで。
田舎から都会の大学に出てから、何もなくて昔は大嫌いだったこの故郷もそうではなくなった。
都会はモノに溢れすぎて疲れる、というのもあるし、野生のポケモンが少ないというのもある。
でも人間関係は割りと良好だし、ポケモンバトルサークルもなかなか楽しいし、うーん。……つまりそれぞれ良いとこがあるということだろう。
誰がみてもかなりの年期の入った日本家屋の前で車を止める。エレキブルを強く締め付けていたシートベルトを外してやってドアを開けると逃げるように車から出、少し放電しながら大きくのびをしていた。
「おぉ、お帰り。思ったより早う着いたやんか」
エレキブルに遅れて車を降りると、麦わら帽子を被り、首には真っ白のタオルをかけた親父が声をかけてくる。
「高速が以外と空いてたからね。おかげでまだまだ明るいうちに着いたよ」
「今回はいつまでいるんや」
「十日はいるつもり」
「そうかい。まあ疲れただろうから麦茶飲みぃな」
「そうするよ。家(うち)には母さんも淳もいるんだろ?」
「淳はまだ畑やね。兄ちゃんが帰ってくるから自分で作った美味しい夏野菜食べさせたる言うてまだ畑おるき」
こんなに早く帰って来たせいで、家に残って農作業をすることを決めた弟にはすまないことをしたなと思った。
それからちょっと喋って家の中に入ったが、父さんにエレキブルの腕を叩きながら逞しくなったなと言われて照れてるエレキブルが印象的だった。
居間でお茶を飲んで、母さんと少し喋ってから特に荷物も持たずに家を出た。



帰省する度に欠かさずやっていることがある。
それは家からすぐ行くとある山に探検しに行くことだ。と言っても山登りをするわけではなく山の途中辺りまで行って特に何もせずに帰ってくるだけで、何の意味もないように思われるかもしれない。しかしおれとエレキブルには大事な用である。
なぜならそこの山でこのエレキブルと、当時はエレキッドだったが初めて出会った場所なのだ。
初心に帰って気を引き締めるにはこれ以上ない。しかし今回はそれ以外にも目標がある。
プロの有名ポケモントレーナーと交流試合をして負けはしても善戦したとき、センスはある。と言われたおれだが、最近はさっぱり白星がない。どれも僅差で負けてしまう。前まで勝ち続けていた相手にもだ。何がダメなのか、きちんとそれを見つけたかった。
久しぶりに入った山は昔と微塵も変わっておらず安心した。向かいの村では開発の手が加わっていたりと田舎も安心出来ない近頃なのでもしかしたらと思っていたがまだ大丈夫のようだ。
木と木を渡り歩くエイパム、その頭上には数多くの鳥ポケモンと足元には草、虫ポケモンたちが跋扈している。
あぁ、やっぱりここはいいな。エレキブルも同じく悦びを全身で感じている。
ちょっとするとリングマが前方からやって来た。このリングマとはこの山で何度も戦った戦友だ。何度か仲間にスカウトしたが首を横に降って拒否を意する雄叫びをあげられた。
今回もおれたちと勝負をしたいのだろうか、いつでも来いと言わんばかりに構えている。
周りのポケモンも様子を見るかのように円になってこちらの様子を見ている。ならばやるしかないな。
「エレキブル、まずは雷パンチ!」






木と木の狭間から太陽の光が零れて丁度いい心地よさを醸し出している。太陽が沈むにはまだまだ時間がかかるようだ。
草と土のベッドはいい匂いはしないが気持ち良かった。
「すまんなエレキブル」
おれの隣で同じように大の字になっているエレキブルに語りかける。エレキブルは悔しそうに唸り声をあげた。
「リングマ、また強くなってる」
まったくだ、と言いたげにエレキブルは鼻を鳴らす。
おれたちの攻撃はことごとくかわされ、そう。一手先を読むという言葉がこれ以上ないほどに当てはまる程だった。
ワザが当たらなければダメージは与えられない。いい感じのカウンター攻撃を何度か食らってエレキブルはノックアウト、リングマはまだ物足りなそうに帰って行った。
正直ショックだった。
リングマには何度も負けたことがあるが、ここのところは勝ち続けていて、しかもこの一年おれたちはワザの鍛練、効率の最良な作戦をひたすら考えてきた。だがそれで他のトレーナーに負けるならまだしも、いくら戦友とはいえ野生のポケモンだ。リングマに負けるのは今までになく悔しかった。エレキブルが気を取り戻すまでちょっと涙目になっていた。
「っ、よいしょ!」
転がしていた体を起こして髪や服についた砂を払う。しかしこれは帰ったら洗濯だな。……そういえば昔はよく泥んこになって遊んだっけ。何故かそんなことを思い出す。
エレキブルも体を起こすと背中の毛についたものを払ってやる。ときたま体毛から電気が流れるが、それくらいなんともなかった。
「……帰るか」
結局惨めな思いをするだけだった。本当に何がダメなんだ?分からない。思考は出口を探して往々するだけだ。
いや、思考だけではなく、山からも抜けれないようだ。辺りはすっかり暗くなっていた。しかし久しぶりとはいえこの山に来ているからここは庭のようなもの。迷うわけがない。おそらくは夜にやってくるゴーストタイプのいたずらか。ゲンガーの入ったモンスターボールに手を伸ばし、いたずら者を仕留めてもらおう。そう思ったとき子供の声がどこからか聞こえた。
木の陰に隠れて声の主を見ると、間違いない。そこには子供のときのおれがいた。どういうことだ、ゴーストタイプのいたずらでここまで可能なのか。とりあえず様子見だ。エレキブルには戦闘準備をしてもらって控えてもらう。
一方の子供のおれの目の前にはあのリングマがいた。今よりもまだほっそりしているイメージがあるが、それでもなお一般的なリングマより力があった。
そして子供のおれの隣にはまだ小さかったエレキッド。
当時のおれは誕生日に買ってもらったモンスターボールを持ってエレキッドと共に山に入り、そのころから既に山の暴君として有名だったリングマを捕まえようとしていた。
エレキッドは仲良くなってから捕まえたポケモンであるから捕獲に難を感じてなかったため、調子に乗って攻撃を一切せずにリングマにモンスターボールを投げたのだ。もちろんその時のおれに弱らせた方が捕まえやすいなんてことは一切頭にないだろう。
しかしリングマはそのモンスターボールを右手で軽々しく弾く。それにムキになった子供のおれは持ってたボールを全て投げたがどれも弾かれ使い物にならなくなってしまった。
怒ったリングマが今度はこちらの番と攻撃をしかけた。腕を高く振り上げてのアームハンマーだ。
それを見ていたおれもエレキブルも危ないと思ったが、意外にも子供のおれとエレキッドは二人して懐に入ってパンチを繰り出した。まだ威力は対したことはないのだが不意を衝かれたリングマには効き目バッチリだ、そのまま体のバランスを崩して尻餅を打つ。
あぁ、このとき初めてバトルが好きになったんだ。そして好きで好きでしょうがなかったんだ。あのドキドキと臨場感に惹かれたんだ。
子供のおれたちがリングマに追撃しようとしたとき、リングマは尻餅をついた体勢のまま地面にアームハンマーを放つ。その衝撃で辺りは揺れ、子供のおれとエレキッドは転ぶ。そしてリングマは立ち上がると、そのおれたちに背を向けて山奥へ歩き出した。
そうだ、今のおれに無いのはこういう野性的なモノと根性だ。いつの間にか勝つことだけにこだわるようになっていたため、勝負をより安定に勝つことを求めるようになっていたから本来の自分が出せなかったんだ!
そこで唐突におれの視界がぐにゃりと歪んだ。子供のおれも、エレキッドも、山に戻るリングマも、そして山も歪んで潰れて消えて行く。
代わりに目の前に現れたのはさっきエレキブルと横になっていた場所だ。幻は解けた感覚を何故か持っている。さっきのはなんだったのかを反芻しているとエレキブルに肩を叩かれた。
その焦りようから何かあったのかと心配していると、エレキブルはしきりにどこかを指差している。その先を目線で追うと緑の影。その影はすぐに木々に命を与えながら姿を消して行った。
まさか、聞いていたがこんなことがあるなんて。
「セレビィ……」
おれはその影の主の名前を呟いたまましばらく込み上げてくる喜びのせいで動けなかった。



翌日朝からご飯を食べるとすぐに山に行った。するとすぐにリングマが現れる。
「さあ勝負だ!」
この言葉が合図となり勝負が始まる。リングマ先制のアームハンマーに対し、おれとエレキブルは目で合図してリングマの懐に潜り込み共に強烈なパンチを浴びせてやった。



あとがき
Aを書かせて頂きました。
皆さんの作品と比べると霞むような出来ですが、読んでくださると光栄です。
ちなみに主人公の父の方言みたいなのは出鱈目です。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.24 )
日時: 2010/09/06 22:58
名前: Rという名の勇者

B『楽しめ、四回目の花火大会』




『八月十四日一回目

 昼一時に起きる。(寝すぎて体が痛かったのでもっと早く起きたほうがいい)
 五時の約束の時間までゲームをして時間をつぶす。(もっと有意義に過ごしたい)
 三時に妹が帰ってくる。(部活の練習で疲れているので何か冷たくて甘いものでもおごってやると喜ぶかもしれない)
 四時四十五分に妹と共に家を出る。(本当は四十分前だったが妹の火の元点検で遅れる、先にやるように指示しておく)
 田中との待ち合わせ場所には四時五十五分に着くが田中は十分前に来ている。(素早く行動するために自分たちもその時間に来る)
 妹がチョコバナナで浴衣を汚す。(十分に注意を促すか買わない様にさとす)
 田中がひもくじで最新ゲームを二つも当てる(一番右端と左から四番目、是が人も自分が引きたい)
 財布を落としていることに気づく(何が何でも落とさない)
 妹が同級生の男に絡まれたので田中と共に追い返す(妹はまんざらでもなさそうだったのでそのまま別れてもよかったのかもしれない)
 田中が輪投げで千円を当て、俺にくれる(落とした振りをしてももらえたのではないだろうか)
 花火大会の場所取り、隣の若いグループが悪酔いする(場所を変えたほうが良い)
 帰る途中に大型のトラックに轢かれそうになる(車道側を歩かない)
 深夜一時、これから寝る。』

『八月十四日二回目

 朝の九時に起きる(疲れはなかったが微妙に遅かったため妹に俺の分の目玉焼きを食われる)
 一時まで勉強(集中できなかったのでほとんど身に入らなかった)
 一時に妹のためにバケツアイスを買いに行く(暑すぎて帰ったら少しとけていた、保冷剤をもらったほうが良い)
 三時に妹が帰ってくる(バケツアイスにご満悦だがイチゴ味が良いと怒られる、贅沢言うな)
 四時に火の元点検、ガス栓がゆるかったので締める(何気に危ないのでしっかり注意すること)
 四時三十五分に家を出る。
 途中で道に迷っている外国人に声をかけられる、対応で五分時間を潰す(目的地は公民館、チェコ人なのでチェコ語を調べておく)
 田中との待ち合わせ場所に四時五十分に着く、もちろん田中は五分前に来ている
 妹がチョコバナナを買うのは阻止したが綿あめを髪に付けてしまう、たしなめると「昼に食べたのがイチゴアイスだったら甘いものは欲しくなかった」と言われる(何が何でもイチゴアイスを買うこと)
 ひもくじを二回行う、右端のものは最新のゲームだったがもう一本ははずす、田中、妹共にはずす(左から四番目は間違い、三回目に確認すること)
 左側のポケットに財布を入れていた結果落とさなかった。
 妹が同級生の男に絡まれたのでそのまま別れる、だが泣いて戻ってきた(三回目には殴っておく)
 田中が輪投げでエアガンを当て、妹にプレゼントする(財布を落とさなかったことでずれが生じた模様、千円はあきらめるが吉)
 花火大会の場所取り、杉の木のそばを取る、視界、周りの環境共に良好。
 花火大会の途中に妹がデジタルカメラを忘れたことに気づく(出る前にきちんと確認をさせる)
 帰る途中、歩道側を歩いていると自転車にぶつかりそうになる(横に広がらず縦に並んで帰る)
 深夜一時、これから寝る』

『八月十四日三回目

 朝の七時に起きる、朝食の目玉焼きを家族で食べ、再び寝る(しょうゆをこぼす、量は少なめで)
 十一時に起き、公民館までの道のりをチェコ語で言えるようにしておく(インターネットを使うと楽)
 十二時にスーパーにアイスを買いに行く。(いろいろあったが忙しいので後述する)
 深夜三時、疲れた、書きたいことは山ほどあるがこれから寝る。(心配せずとも誰の命にも支障はない)』




 それだけ書かれて三回目のページは終わっている。
 デジャブだと思っていたものがすべて真実で、ただ単純に俺が一日を四回繰り返しているだけだと気づいたのは十歳を越えたころだ。
 始めは気が狂いそうになったが日記を付け始めることですべては変わった。一般人なら日頃持つであろう願望「こうなることがわかっていれば」それが俺だけ現実になるのだ。それからはそれなりに楽しい人生を送っている。
 だが、このようなことは八年間で初めての出来事だ。一回目、二回目の経験をもってしてもなお対処しきれない事柄があったと言うことなのだろう。しかし、それを書いてもらわないと四回目の俺は非常に困る。
 だがふと考える、もし三回目に俺の人生にかかわるようなことが起こったのならば三回目の俺は何が何でもそれを書き記すだろう、事実今まで俺はそうしてきたのだ。つまり、予想だにできないさまざまなことに巻き込まれるがそれは俺の人生、ひいては親友の田中や妹の人生のも支障をきたすものでもない。三回目の俺はそう判断したのだ。
 それならば何も怯えることはない、巻き込まれておけばいいのだ、今日はこの街一年に一度の大イベントの花火大会だ。少しくらい波乱万丈で、予想できないほうが楽しい。

『八月十四日四回目

 朝七時に起きる、なんだかよくわからないが予定は変えない、今日は花火大会に行く』


 ノートにそれだけ書くと俺は台所へと向かった。朝食は大好物の目玉焼きだ。妹のためにアイスを買いに行かないといけないし、チェコ語を勉強しないといけない、それとガスの元栓も締めなければならないしデジタルカメラも探しておかなければ。

 八月十四日、俺の祭りが始まった。



あとがき

全体的に雑。焦って一日で完成させようとしたのが敗因、だがこのシチュエーションでこれ以上は俺には無理。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.25 )
日時: 2010/09/06 23:00
名前: Rという名の作者

『時間の気紛れ、空間の悪戯』


 無の空間が広がる世界。光も、闇も、そんな物など軽く超越した世界。
 この世界の周りを囲む、いくつもの世界。時間、空間、反転、そしてそれらの中心となる世界。
 それぞれの世界には一匹ずつ神が存在する。逆に言えば神一匹しか存在しない……失礼、その世界をつなぎ止めるかのようにアンノーンが大量に飛来しているのを除けば、神一匹のみしか、各世界に存在しない。
 今日も世界の平和を保つため、神々達は各々納める力を使い均衡を守っている……。

 ここは時間を司る世界……時間神ディアルガは、ただ悠然と世界の有様を見ていた。
 何にも考えていないような魚が死んだような目で漠然と世界を見ていた。花畑、河原、大きな高原、人間達が暮らす街並みと、彼の前にある大きな鏡のような物は様々な光景を移していく。
 しかしディアルガはまるでもう見飽きたという風に大きな欠伸を一つし、またも死んだ目でその光景を見続ける。

「流石に暇だ……こう何も起きないと、退屈で死にそうになってくる……」

 彼ら伝説のポケモンの寿命は長い。むしろ半永久的とも言われるほどに長い。
 ディアルガの力は、彼の心臓が動き続ける限り、世界中の時は平和に流れると呼ばれるもの。
 つまり彼が生きている限り、時間が暴走する事もないと言うこと。じゃあ死んだときはどうなるのかと言われると……まぁ寿命はほぼ永遠なんだし大丈夫でしょ、としか答えられない。
 ただやはりというか必然というか、そのような絶大な力を持ってしまうと、時としてそれを持て余す事が多々あるものだ。
 彼の場合持て余している物、それは“退屈”という事に他ならないであろう。
 何時も何時も変わらない景色ばかりを見続けて、時の平衡が崩れた時にのみ我らがいる世界へと行くことが出来るのだから。
 何か事件が起こってくれないかと神とは思えない事を考えつつ、ディアルガはふとある光景に目を止めた。
 それはとある田舎にて行われている、小さなお祭りの光景であった。
 小さなやぐらをたててその上で和太鼓をドンドンと叩いている。その周りを囲むように人々がなにやらゆったりとしたテンポのダンスをし、その周りを囲むように食べ物や飲み物を売っている屋台が軒を連ねる。
 なんてことはないごく普通の夏祭りの光景であったが、ディアルガはついつい見入ってしまう。

「ほぉ、随分と楽しそうにしておるな……全く、私が退屈で仕方がないというに……」

 ふうっと大きな息を漏らし、そこでふとあることを思いつく。

「――ならば、この祭りに参加すればいいだけの話ではないか。ただ、時間の均衡を守るという仕事があるから出来ないが……。
だがこの体だけを残し、魂を別のポケモンとして変形すればあるいは……」

 むぅっと考えにふけるディアルガ。悩みに悩み、彼は一つの答えを出す――。



 一方こちらは空間神、パルキアが住む世界。こちらはこちらでなにやら色々とあるようだ。
 パルキアはディアルガが見ていた鏡と同じ物を見つつ、なにやらうーんと唸っていた。

「さぁ〜って、今日はどんな奴にイタズラしてやろうか……」

 うっすらと邪悪な笑みを浮かべながら一言。ディアルガと比べて随分と神としての質が下がった気もするのだが、彼もれっきとした神である。そうは見えないが。
 彼が司る力空間とは、ありとあらゆる場所から場所へと道をつなぐ力である。
 例えばAからBまでの距離が何十キロもあるとする。しかしパルキアの力があればそれを零にすることも不可能ではない。むしろ朝飯前だ。
 その力を悪用し、鏡で見えた人間やポケモン達に空間を繋いでイタズラをしまくっている、神々の中でも結構問題児としてパルキアは有名なのだ。
 彼が感じる不満は“孤独”。絶対的な力を持つ神である故に一匹で過ごさなければならないという事が一番の要因であり、誰かに気付いて欲しい、という想いが歪んでしまったが故にこのような行為へと走ってしまったのかも知れない。

 今日も誰にイタズラをしてやろうかと悪巧みを行っていると、ふとある光景に目を止めた。
 それは、とある田舎にて行われている、小さなお祭りの光景であった。
 小さなやぐらをたててその上で和太鼓をドンドンと叩いている。その周りを囲むように人々がなにやらゆったりとしたテンポのダンスをし、その周りを囲むように食べ物や飲み物を売っている屋台が軒を連ねる。
 なんてことはないごく普通の夏祭りの光景であったが、それはついさっきまでディアルガも見ていた光景だ。

「へぇ、夏祭り……ね。ここでちょっとばかし暴れてやるって言うのも面白いな……」

 にたぁっと笑みを浮かべて、しかし何かを思いついたようにハッとする。

「いや待てよ? どうせなら魂を体から解放して、一般ポケモンとして紛れ込むのもありだな。よし、早速行って暴れ回ってやるぜ!」

 きっひっひとまるで子供のような笑顔で早速準備に取りかかるパルキア。本当にこいつが神で大丈夫なのかと不安になる光景である。


 二対の神が、同時に世界へと降りて行く。一方は暇つぶしの為に、一方は悪戯をする為に。
 この時二匹は、この決断がその後どういう風になるのかを考える事は無かった。
 せめてディアルガだけは、時間を司る力で時のトンネルを覗いてみた方が良かっただろう。だがしかし、運命はそうする事を望まなかった。
 さぁ、一体どうなる事やら……?




〜後書き〜
↑の奴一体誰だよw 自分はこんな書き方しねぇての!! まぁいいけど(いいんかい!?)
四作目、Bコースにて神様を絡めてみました。
結構良作だと思うんだけど、どうだろう? まぁいいや。
でわ!
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.26 )
日時: 2010/09/06 23:01
名前: ノルスタルジー将軍伍長

B『君は死人に何を見るか』


 夏祭りの日。
 私は事故にあった。



「え? なにこれ?」
 『私の手術』が行われているであろう手術室の扉の前に私は立っていた。
 生死をさまよっている人間がベッドに横たわっている自分を眺めている、そんな話はよくあることだ。
 だがそれにプラスしてスーツ姿の男の子が見えるという話は聞いたことがない。
 そして今私が見ているのはまさしくそれなわけで……
 スーツを着ているものの、その男の子はそれを着るには幼く見えた。大体十七か八、私と同じくらい。そもそも茶髪でスーツを着こなす人なんてあまり居ないように思う。
「はいこんにちわ」
「こ、こんにちわ」
 挨拶をされたので私も返そうとしたが、あまりにも非日常的過ぎる光景に戸惑い、口がうまく回らなかった。
「いやー、ね、事故っちゃったね。痛かったでしょ」
「うぇ、え?」
「あーごめんねー、ちょっと現状を理解していない感じだねー、あのねー、君今幽霊的なポジなのよ、わかるー? アンダースタンティング?」
 私の頭を押さえつけまくし立てる男の子。同じクラスの田中と同じような口調で、少し腹が立つ。
「し……死んだんですか! 私死んだんですか!?」
「いやねー、もし君が死んでるとしたら呼び名は『幽霊』な訳ね、でもねー、君はね『幽霊的』な訳ねつまりこれどういうことかというとねー、君まだ死んでないって事なんだよねー」
「は、はぁ」
 まだ現状を理解しきれないがとりあえず自分がまだ死んでいないということに胸をなでおろす。世の中には自殺したがりの女の子も居るが別に私はそうじゃない。むしろ長生きしたいくらいの勢いだ。
「ギリ死んでないから、いやほんとギリ。ぶっちゃけるとこの手術成功するし、まぁ君の選択しだいでは失敗になるけども」
「ちょっと待って! 整理を! 頭の中を整理させてください!」
 両手で彼を制し、その場にしゃがみこんで一生懸命考える。できる限り冷静になろうとも勤めた。
 近くの商店街で開かれる夏祭りに行こうとした時、私はトラックにはねられた。チョー痛かった今思い出しても泣ける。
 んで、今生死をさまよっていると。そんで、今なぜか『私じゃないところに居る私』の前にこの男の子が現れたと。ん? これは小説とか漫画とかでよく見た、いわゆる王道的なあれだ。
「死神!」
 私は立ち上がり反射的に彼を指差してそう言ってしまった、冷静になって考えてみれば彼が死神だろうが私立高校生だろうがものすごく失礼ない行為だ。
「あ、そういうこと言っちゃう? 君そういうこと言っちゃう? あのね、話せば長くなるんだけどねそもそも天使とか死神とかそんなもん君らが勝手に作り出したものであってねたとえば今から君を俺が向こう側に連れて行くとするわなそうすれば君は向こうで生活することになるんだけどもねそれを楽しいと思えば君の中で俺は天使だけどもねそれを楽しいと思わなければ君の中で俺は死神もしくは悪魔になる訳だよなにこのダブルスタンダードっぷりは君らのいいように解釈しやがって大体なんで死神とか悪魔とか黒基調のイメージなんだよこちとら仕事するときはスーツだっつーの大体天使のイメージ裸ってあんた馬鹿かと死ぬのかといやそいつがいつ死ぬかとか知ってる訳なんだけどさなんと言うか気持ちの問題でそういうのすごい腹立つだいた」
 私の発言がそれほど気に食わなかったのか死神が長々と何かを語っている途中に手術室の扉が開いた。扉が私と死神をするっとすり抜け、あぁ、私『幽霊的』だなと改めて感じた。
「やば! おい、場所変えるぞ!」
 死神は手短に言うと私の手を掴んだ。次の瞬間私たちは病院の近くにある公園に居た。本能的にベンチに腰掛ける。腰が抜けたというのも理由のひとつだ。
「死神さん、何で急に場所を?」
 正直瞬間移動的なものにあまり驚きを感じなくなっている私が怖い。
「……死神じゃないっつーの、ちゃんと名前があるんだ、ほれ」
 死神はポケットから会社員がよく首から提げているネックストラップを取り出し、巻かれた紐を解いた後に私に見せた。なんか、『天国』とか『請負』とか私を再びファンタジーの世界に連れて行きそうに単語があったので無視し、ミカミと書かれた部分だけを見た。
「ミカミ、さん」
「そ、ミカミ。さーて、なんだか無駄な時間を使いすぎたけども、さっさと本題にはいっかぁ!」
 ミカミさんは邪魔くさそうにネックストラップを首にかけると背広のポケットから小さなメモ帳を取り出した。
「えーっと、コニシ……リカコ?」
「あ、サトコです」
 理子という私の名前は読み方が難しかった。
「あ、そう、サトコちゃんね。あのねー、ぶっちゃけると君ね百六歳まで生きるのね、あ、俺とあった記憶とかなくせるから安心してね、んで、今回の事故はなんと言うかこっちから見ても事故でね、ま、たまにあるんだけどねそういうことも。んで本題なんだけども、サトコちゃん、生きる? それとも死ぬ?」
「は、はいぃ!?」
 突込みどころが多すぎて、単語の形をした言葉が出てこなかった。だめだ、この状況に私の慣れが追いついていない。
「いやそんな反応されても」
「あ……あなた生きるとか死ぬとかそんなに簡単に」
「いや、そのなんと言うのかな、こっちとしてもこんな事をしてしまったことに若干の引け目があってね、一応死ぬ権利ってのを与えようかなと、あの会社の方針でね」
「そ、そんなの生きるに決まってるじゃないですか! 嫌ですよ死ぬのは!」
 ベンチから立ち上がって怒鳴るように言うとミカミさんはちょっとたじろいた。
「あ、そう。いやね、最近多いからね。あの自殺って言うの? あれね、あれ大変なのよこっちとしてはね」
「知りませんよ」
「ま、愚痴だと思って聞いてよ、そもそも最近は何万人もの人間が死んでるわけよ、いやほんとに。ま、そういう人たちはこっちがいつ死ぬかリストを抑えてるんだけどね、たまにいるんだよね、こう突発的に死ぬ奴が、で、会社としては常勤の人間をよこす訳には行かないからさ俺みたいなさ、なんと言うか引退組っていうの? 非常勤の人間が借り出される訳ね」
 ミカミさんが身振り手振りを交えて説明する。
「あれホントすごい迷惑なの、こっちとしても優雅な隠居生活を送りたいのにさ、マジ勘弁。あとさ」
 ミカミさんの話はとても長くなりそうで、私はちょっとボケッとしていたがが近くで何かが破裂する音が聞こえて我に帰った。
「空襲か!?」
「違います! 花火! 大変お祭りが始まっちゃう!」
 ミカミさんは両腕で頭を抱えてしゃがみ込んでしまっている、少しからだが震えていてその風貌はうさぎによく似ていた。
「戻して! 早く私を生き返らせてくださいよ! お祭りが終わっちゃう」
 急いで病院に戻らなくては。
 病院のほうに向かおうとした私の脚をミカミさんが掴んだ。こけた、でも痛くない。『幽霊的』ってステキ。
「いやいや、病院には行きたくないし! そもそも今生き返ったってすぐに祭りに行くのは無理だろ常識的に考えてみろ、なんかいろいろあるんだろあの点滴とか……採血とか」
「あなたさっきから病院嫌いですね! 死神的なあれなんだったら病院とか平気でしょ」
「……血が嫌いなんだ」
 ミカミさんは私から目をそらしていった、心なしか顔が赤い、恥ずかしいのかな。
「いや知らんし、あ、そうだ! あなた達の責任なんだから何とかしなさいよ! 出来るでしょ!?」
「いやーそんなにお祭りに執着されても……」
「あぁん!?」
 この地域は娯楽が非常に少ない、私は空手部に入っているが本当に娯楽が部活ぐらいにしかない。
 その私から年に一回しかないお祭りを向こう側のミスで取り上げるなんて……その残酷さをミカミさんはわかってない。
「そ、そんな怖い顔しないでよ、何とかするから機嫌直してよ」
「とりあえず足はなしてください」


 「ちょっと待ってろ」といってミカミさんは消えた、さっきの瞬間移動的な奴だろう。
 しばらくすると再び私の前に現れた、瞬間的に。
 だがさっきとは大きく違う、今回現れたミカミさんはミカミさんではない、ものすごく難しいことを言っているがそんなにわからないことではなくて、単純に姿形が違うってだけだ。瞬間移動してこなかったらミカミさんだと気づかなかっただろう。
 今回のミカミさんはどこかの高校の制服を着ていた、だけど一昔前の制服っぽい。耳が隠れる程度の黒髪でイケメンだ、元もイケメンだったけど。
 ミカミさんは女の人を背負っていた、これも近所の高校の制服だ、やっぱり一昔前だが、肩ほどまである黒髪で、まぁ悔しいけども美人、目がいい感じに細くて唇もいい感じに薄い、儚い感じの美人。
「ぜぇ……ぜぇ……これサトコちゃんのね」
 ベンチにぞんざいに投げられる美人。地面に投げないだけ思いやりが感じられるけども……
「え? これ人ですよね?」
「……はぁはぁ、厳密にひぃ……厳密には違う……会社の方針で……何か……何かの手違いがあったらいけないから……自殺とか事故とかで……死を選んだ人間は型をとるのね、見た目の型を……それを……ちょっと失敬して来たの……」
 言いたいことは大体理解した、要するにこれを使って祭りを満喫しろと。
 彼はえらく衰弱していた、瞬間移動ってそんなに体力を使うのかしら?
「水……ありますよ」
 公園にある給水器に手を伸ばすと彼はそれに向かって一直線に向かっていった。なんだかゾンビゲームみたいだった。
 そして私はベンチに寝転がる美人さんと向かい合った。 
 いや、これを私の分って言われても正直困る。
「キャンプしたことある? 寝袋に入る感覚でいいよ」
「はや!」
 水を飲んだであろうミカミさんが後ろから言った。
「つか体つらい……マジ体重い」
「そんな大げさな」
 寝袋に入ったことはないが、布団をかぶるのと似たようなものだろうと高をくくり、いっちょ彼女の中に入ってみる。

 彼女の中は真っ暗だった。恐怖と不安に少し悲鳴を上げてしまった。その後に、目を瞑っているのだから当たり前だと気づいて、五秒前の私を殴りたくなった。
「うわっ!」
 夕方だというのに目を開けるとすさまじく眩しかった。
「その型にとっては久方ぶりの太陽だからな、しばらくしたら慣れる」
「はい……」
 右手で目を覆いながら体を起こすと確かに少し重い。きっと前が軽すぎたのだろう。
「金の心配はするなよ、ホレ」
 ミカミさんは制服の内ポケットから高校生らしいオトナっぽくも子供が残っている財布を取り出すと中身を見せた、諭吉がぎっしりだった。
「なんでこんなに」
「向こうの世界に金を持っていく奴は一杯いるんだよ、必要ないから直ぐに集められるんだけどな、ま、謝罪の気持ちって奴よ」
 本当に高校生がするように悪戯っぽく笑うと、それをまた内ポケットに戻した。
「それじゃいっちょ行こうか」
 ミカミさんは私の手を引いて足早に公園を出ようとする、えらく乗り気だ。
「いや、そもそも何でついてくるんですか」
「そりゃぁ君がなんか妙なことしないためだよ、いや一応信頼してるけどね、なんかあるとこっちの世界の人にも迷惑がかかっちゃうから、それに」
 彼は私の手を引いたまま道路に飛び出した、あわてて彼の腕を掴み歩道に戻す、車がめったに通らない道路だったからよかったものの。
「ちょっとこっちを楽しみたくて……ところで祭りってどこでやってるの?」
 私が怒る前に彼は子供の様に笑った。




あとがき

『落ちにつながる落ち』として自分的には満足した作品
自分では納得してる。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.27 )
日時: 2010/09/06 23:01
名前: ターケーシ

Aコース〜残りものには毒がある〜

ん……なんだ、やけに外が騒がしい。誰だ。俺様の昼寝を邪魔するのは。
戦闘データなら朝方に取らせてやっただろうが。あのジジイ、まだ俺になんか用があんのか。
そう思った矢先、俺は突然居心地の良いモンスターボールから外の世界へ引きずり出された。天井の真っ白な照明が太陽みたいに眩しくて、俺は反射的に前足をかざして目を護った。

「ほっほっほっ! さあ、好きなポケモンを選ぶがよい!」

はあ?
白衣のボケジジイの意味不明な台詞が俺の混乱に拍車を掛ける。
「おい、先に選ばせてやるぜ!」
目の前にはジジイと共に人間のガキが二人。偉そうにほざいた方の一人は黒服でツンツンボサボサの茶髪、全身からクソ生意気な臭いをプンプンさせていやがる。はて、どこかで見たツラだな。
ああそうだ。確かコイツはこのジジイの孫だ。名前は知らねえ。そもそもジジイが名前を呼んでるところを一度も聞いたことがねえしな。
んで、もう一方のすかした奴は?
赤い帽子に赤い服。なんだこの統一感、捻りが全然ねえ。見覚えもねえな。

赤いガキは無言で孫に向かって頷くと俺には一瞥もくれねえで真っ直ぐな視線を向ける。
俺の隣の、ヒトカゲに。

ヒトカゲの視線と赤いガキの視線が一本に結びついた瞬間。
奴らの間を何か熱くて強い物が走り抜けたような気がして、俺はなぜか急に胸が苦しくなった。

「じゃ、おれはコイツだ!」
孫が抱き上げたのはゼニガメ。脳天気な奴らの笑顔を見た瞬間。
胸の痛みがさっと退いた代わりに今度は無性に腹が立ってきやがった。

「ほっほ! 二人ともいいポケモンを選んだようじゃのう! これから旅のパートナーとして仲良くやるんじゃぞ!」

いいポケモン? 旅? パートナー?
そうか。そういう事か。そういう事なんだな。
――――畜生!

てめえらよくも……この俺を無視しやがったな。コケにしやがったな……!
鈍いフシギダネにドジなヒトカゲ。この中で一番強いのはそいつらじゃない。この俺だ。この俺なのに。
なのに、なのに、なのに。どうして俺が選ばれないんだよ。

ジジイ、孫、赤いガキ、ヒトカゲにゼニガメ。覚えてろ。
俺がどんな屈辱を受けたか、俺がどんなに強いかってことを絶対分からせてやる。いつか、いつか必ずだ。


その夜、俺はジジイの研究所を抜け出した。
俺を頂点に導くための、最強のトレーナーを見つけるために。




あとがき

お題とのズレは自覚していますが、読み切り漫画というものを意識してあえてこういう終わらせ方にしてみました。
起承転結って難しい。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.28 )
日時: 2010/09/06 23:02
名前: とあるRの白黒神話

Aコース「今日から頑張る」



「虫除けスプレーは持ちましたか?」
白木海都が自分の荷物を確認しながら、隣で荷造りをしている黒町夏樹に尋ねた。
二人は、今日からポケモントレーナーになるのだ。
隣街に住むポケモン博士の研究所までポケモンを貰いに行く所だ。
隣街までは遠くはない。
子供の足でも二、三時間もあれば着く。
冒険と呼ぶには物足りない小旅行だ。
「んーと、オッケーオッケー、ばっちりよ」
夏樹はスプレー缶を手に元気に応えるが、その様子に海都はうんざりとしてため息を吐く。
「その整髪スプレーで、どうやって虫を防ぐんですか?」
「んェ? あぁ!? これ虫除けスプレーじゃない!」
「こっちに転がって来たのが貴女の虫除けスプレーだと思いますが?」
慌ててバッグをひっくり返す夏樹に海都は虫除けスプレーを転がし渡す。
「んゥ、ありがと」
夏樹は虫除けスプレーを受け取ると、それをバッグに詰め込んだ。
「それから、荷物はちゃんと整理して、綺麗に纏めた方が良いとも思いますが?」
海都のもっともな指摘に、夏樹は面倒くさそうに「入ればいいじゃないの」と応える。
「……ところで、そちらは着替えですよね、僕にはそれがカバンに入りきる様には見えないのですが?」
「ん……は、入るわよ! こう、詰め込めば……詰め込めば……詰め込む……」
夏樹は無理にバッグに荷物を詰め込もうとしているようだが、やはり海都の指摘通り入りそうにはない。
「貸してください」
海都が夏樹のバッグを受け取ると、中の物をすべて出していく。
「……女の子のバッグを漁るってどうなのよ?」
「貴女の任せていたら、日が暮れてしまうと思いますが?」
不満そうに呟く夏樹だが、海都は取り合わない。
「……男の子に世話されるとか、あたしの女の子としての存在意義をクライシスするつもり?」
「そんなもの始めからなかったと思いますが……何ですか? これは」
海都がバッグの中からそれを取り出し尋ねる。
「見りゃわかるじゃん、枕」
夏樹が当然のように答える。
「それはわかりますが、なんでこんなものが入ってるんですか、と聞いています」
「ほら、あたし枕替わると眠れなくなるし」
ピンと人差し指を立て言う、枕って大切だよね、と。
「枕が替われば眠れなくなるような人は、学校でも眠らないと思いますが?」
容赦のない突っ込みに夏樹は「んゥ……」と呻く。
「あ、あれは……そう、教師の催眠術よ、もしかしたらダークホールかも知れない」
無茶苦茶な、と海都が呆れる。
「もしかしたら学校と言う建物自体が眠りに誘う効果があるのかもしれないわ」
妙案だと言わんばかりだが、海都は素直に呆れていた。
「じゃあ、居間のソファで眠るのはどう言い訳するんですか?」
「んゥ、あ、あれは……テレビ、そうテレビよ、テレビから眠くなる電波が流れてるのよ」
何年か前に騒がれたロケット団のジョウトラジオ塔事件。
その際にラジオを通してポケモンを操ろうとしたらしい、と夏樹は言う。
「貴女はいつからポケモンになったんですか、枕はいらないですね」
「仕方がないわね」
夏樹は残念そうに枕を抱き締める。
「道具は種類事に整理整頓していれる……あれ、毒消しがありませんが?」
「え、毒消しいる?」
「あった方が良いと思いますが」
「わかった、じゃあ買ってくる」
夏樹はそう言うと勢い良く部屋を飛び出して行く。
「……毒消しを買うのは行く途中でも良いと思いますが……って傷薬までないじゃないですか!」

海都が夏樹の荷物を纏め終わった頃、ようやく夏樹が戻って来た。
「買ってきたわ、マヒ直し!」
誇らしげにマヒ直しを掲げ……
「……貴女が買いに行ったのは毒消しだったと思いますが?」
「んェ? そだっけ?」
「です、それから傷薬もありませんが」
沈黙、むしろ撃沈する夏樹。
「……行って来る!」
再起動。
「買い物は往く途中でも間に合いッ…」
慌てて海都が叫ぶがそれよりも先に夏樹が飛び出していってしまった。
「……人の話をちゃんと聞く人ではないと思いますが……」
ふるふるに握りこぶしを震わせて呟く。
「僕の話を聞けー!」
海都の叫びが虚しく響いた。

「買ってきたわ! 傷薬となんでも治し!」
夏樹が帰ってきたのは日が傾きだした頃だった。
「ずいぶんと遅かったですね、そしてなんでなんでも治しなんですか?」
「んゥ、傷薬売り切れてたからも一つ向こうの店まで行って来た、なんでも治しは……ほら、なんにでも効くじゃない?」
便利よね、と人差し指を立て……
「つまり何を買うか忘れたんですか」
海都に図星を突かれ、明後日の方向へ視線を向けた。
「コダックでももう少し物覚えが良いと思いますが」
「コダックバカにしないでよコダック、あのとぼけた顔とか完璧じゃない」
なぜかコダックを力説し始める夏樹。
「別にコダックはバカにはしてませんが、と言うか、バカにしてるのは貴女だし」
「んナッ!? 誰がバカよ! 誰が!」
あーはいはい、と海都は適当にあしらい、時計を指差す。
「もうこんな時間です、かなり急がないと日が落ちるまで間に合わないと思いますが?」
隣街までは遠くはない、と言えどすぐに行けるほど近くもない。
「あ、嘘?」
「嘘ではありませんが、着くのは夜になると思いますが」
だから早く行きましょう、と急かす海都。
「よし、わかったわ」
夏樹もそれに元気良く応え……
「今日はここまで!」


どうやら二人の旅は、もう少し先になるようである。




その頃。
「遅いわね、まだかしら? こんなに遅くなるなんて……もしかして野生のポケモンに襲われでもして!?」
二人がたくさんの人を振り回す話も、もう少し先である。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.29 )
日時: 2010/09/06 23:03
名前: コップ

Aコース[子ども発大人行き終点はありません]

数の暴力の残虐性なんて語るべくもない周知の事実だと思っていた俺、当然のごとく長いものに巻かれろ精神の人生をしゃにむに生きてきたから、実際マイノリティ側に立っているような、異端だと後ろ指を差されるような状況に陥った時、混乱するのは仕方のないことではないだろうか。高校三年生になって初めて告白を考えた俺がそう感じるのは、それが初めてだからに他ならないのかもしれないけれど、何かを初めてするときの感覚は既に経験していることを考えるとそれはどうも違う気がして、やはりこのどうにかなりそうな感覚はマイノリティ側に立ったのではないか、と勝手にそんな風に思ってしまう。誰かが誰かを好きになるのは当たり前のことで、それがマイノリティだというのは毛頭おかしいことだが、この感覚はきっとそれに近いものだろう。と俺は自分で自分を納得させる。いや、納得したい。俺がもつこの恋の感覚は、誰でも持っているようなそんなありふれたものではなく、俺独自の俺だけが持ち合わせる世界で唯一のものであってほしいという滑稽な願いであり、俺自身そんなことはないとわかっているつもりだけれど、しかしマイノリティな、特別なものでありたいと思わせるこの感覚。これってやっぱり、何か別世界的な異質なものを思わせる。
 こんな発情期の中学生みたいなことを考えながら、友人であるともきの家のトイレの前、腕を組みながら仁王立ちする俺ってなんだろう。いやいや、それはいつまでもトイレから出てこようとしないともきが悪いのであって別に変なことを考えているわけではない。
「なあともき、お前いつまでトイレに籠ってるんだよ」
「黙れさっさと戻れ俺の至福の時を邪魔するなというかなんでお前そこにいるんだよ」
「俺がお前の家にいるのっていつものことじゃん」
「だからなんでトイレのドアの前に立ってるんだ。部屋で漫画でも読んでろよ」
 ドアの向こう、ToToの便器に座ることに至福を感じるような奴にもっともなことを言われたのに少しカチンと来て、問答無用で俺はそのドアを引いた。
「おい貴様開けやがったな」
 黄色い電気を浴びながら、恐い顔でともきが睨んでいた。
「え、お前トイレの中で本読むの?」
「見ればわかるだろこれが最高の体勢なんだ。冬なんか便器が暖かくて特に最高だ」
「どこのハカセだよ」
「ハカセってなんだよ」
「お前は小学生のとき一体何を読んでいたんだ」
「忍玉乱太朗」
「な、なるほど」
 ともきはジロリと俺を睨んでしっしと追い払うように手を動かすが、そんな程度で引き下がっては友人が籠っているトイレのドアなんかを開けた意味がない。壊れたおもちゃみたいに手を動かし続けていたともきだったが、やがてそれも疲れたらしく、疲れた手をパタパタ振りながら溜息をついた。
「ToToの便器の素晴らしさが分からない奴は去れ」
「こたつ入れよ。あれの方がぬくい」
「知るか。もういいからさっさと閉めろ」
 そう言って、ジーンズを下ろしてパンツを下ろしていないという格好で身を乗り出してきたともきを「どうどう」なだめ便器へ戻す。足元にジーンズがだぶついてて相当歩きにくそうだ。
「なんだよ要件があるなら早く済ませよ」
 しおりも挟まず片手で本をパタン閉じて一応とりあってくれる辺り、ともきはこれでなかなかいい奴なのである。
「俺、お前の妹に告白する」
「死ね」

すぐまたさっきよりも力強く、しかしもぞもぞと動きながら身を乗り出して来たともきは、俺の抵抗を振り切ってドアを閉めてしまった。
「おいいいきなり閉めるな」
「まずいきなり開けるなそれになんだその爆弾発言は」
「いいじゃんかなちゃん好きなんだから」
「許さん。うちの妹をお前みたいな勝手にトイレを開けるような輩には渡せん」
「お前がトイレに籠ってるから悪いんだ」
「じゃあ出るまで待ってろ」
「出たら話聞く?」
「それは駄目だ」
 なんだこのシスコン野朗、と言いかけるが、こいつはシスコンを誇らしげにしていることを思い出して寸前でそれを呑み込む。
「なあ、いいだろ」
「許さんといったら許さん」
「ケチ」
 って言いながら、なんで俺はこいつに許可なんか得ようとしているのだろうかという疑問にぶち当たる。友達としてやっぱそれって言っておくべきだから? でもそれってかなちゃんと関係あるか? ……。かなちゃんがこいつの妹というだけで、かなちゃんはかなちゃんでありかなちゃんでしかない。昔ならまだしも今は二十一世紀。ちゃぱつにするのはジユー(笑)だろ、とか何をやろうとジユー(笑)だろ、とかそういうことではなく自由意志が認められている今、俺が誰に告白して誰と付き合おうと、邪魔される筋合いはない。ならば、なぜ俺はこんなことをしているのだろうか。
「じゃあ、なんで駄目なの?」
 沈黙。ドアの向こうでいきり立っているのか、それとも無視を決め込んでいるのかはわからない。ぼうっと返事を待っていると、ドアノブがゆっくり下がって少しだけ開いた。ドアを開けろ、という意味で受け取った俺は、今度はおそるおそる開いてみた。
 考える人のポーズを取っているともきがいた。アホか。
「何やってんの?」
「なんでお前が駄目なのか説明してやるからありがたいと思え」
 やたらと上から目線なのがもの凄く気になるがこの際それは気にしないことにして、俺はともきの言葉に頷く。
「まずお前は告白されてからしか付き合ったことがない」
「それだけ?」
「そう急ぐな。焦るな。まだ説明終わったなんて一言も言ってないというかまだ一言目だろ」
 まったく、とブツブツと独り事を言いながらも「それで」、とともきは続けた。
「いるじゃん。誰かと付き合うことが大人な気がして誰とでもほいほい付き合ったり、カップルとか大人、とかそうとうダサいこと考えている中学生」
「うん」
「お前ってそういうのを上から達観しているみたいに見えるんだよ。別に付き合うって珍しくないじゃん。誰でもやってんじゃん、って」
「うん」
「そういうのもまたダサい。達観してクールぶってるというか、女を知ってる俺アピールというか」
「俺ってそんな風に見えてんの?」
「というか、お前はきっとどこかでそう思っているんだよ。誰と付き合ってもお前ってそうだ。俺はなんとも思ってないけどなみたいな雰囲気出して、達観してる」
「マジかよ。すげえショック……。それってただの嫌な奴じゃん」
 その通り、と首を縦にふるともきを見て、さらにショックを受けた。
「でも、普通みんなそうなんだよ。中学卒業して高校入ると、付き合うのって当たり前でしょ? みたいな空気でさ、それを初々しくやってるのって、何か逆に恥ずかしいじゃん。どうせだったら強がりたい。俺もそう思うよ」
「なんだよ、お前も俺と一緒かよ」
 で、それがなんでかなちゃんに告白しちゃ駄目だってことに繋がるのかはまったくわからなかったけど、俺がそんな風に見えていてそんな風に達観しているのかもしれないということを知れたのはよかったのかもしれない。
 振り返ってみれば、俺はともきの言う通りなのかもしれない。自分の評価など他人が決めるわけだから、そういう風に見えていたり、どこか心のどこかでそんな風に思っているのだとしたら、それは改めるべきだ。
 そんなことを俺がぼうっと考えていると、ともきは再び「でさあ」と続ける。
「俺らってここまではどうにかこうにか来れるわけだけど、というか、皆似たような道辿ってくるわけだけど、ここから先がわからないんだよな。ここから先は、未開だ。未知の場所だ。大人になるって言うの? なんか、わかんねえよな本当」
「ふうん。で、お前はそこからどうしようと思っているわけ?」
「そこから先は、それぞれさ。お前はお前の未知を探検すればいいし、俺は俺の道を探検する」
「……探検ね。でもそれって恐いよな。何も見つからないかもしれないし、途中で死ぬかもしれないし、帰ってこないかもしれない」
「へへ、お前は途中で死ぬかもな」
「嫌なこと言うなよ」
 ここで会話は終わったとばかりに、ともきは再び立ち上がってもぞもぞと動きながら、俺をのけてドアをしめた。さっきと同じで不機嫌そうなのに変わりはないが、俺は抵抗しなかったしともきも乱暴ではなかった。
 沈黙。再び俺らは沈黙する。ともきはもう言うことはないとでも言うように静かになり、俺もとくに言うことがなくなったのでそこに立ち尽くす。
「じゃあ、探検してくる」
「仕方ない。行ってこい」


[fin]


==========================


「で、これを私に読ませてどうするわけ?」
 かなは、そう言って数枚の原稿用紙を半分に折った。
「ほら、なぜ俺がともきに言いに行ったのかとか、ともきがなぜ駄目って言ったのかとか、そういうのを予想してもらおうと思って」
平日昼間の図書館の屋上、フェンスの柵に寄りかかりながら、俺とかなは二人で立っていた。後ろでは俺達の町が広がっていて、ここからだと町が一望できる。ともきの家はここからだと見えないが、きっと今でもトイレに籠っていることだろう。
「じゃあ、まず僕がなんでともきに言いに言ったのか」
 ふふん、と得意げな目でこちらを睨んで、かなは「簡単簡単」と漏らした。
「それはあなたがお兄ちゃんに後押ししてもらいたかっただけよ。一番の友達であり告白相手の兄に後押ししてもらえば勇気出るもんね」
「ちぇ。言ってくれるよなあ本当」
「違うの?」
「その通りなんだけどさ」
 本当に、その通りだった。それは今考えればの話でしかないのだが、確かにあの時俺はともきに後押ししてもらおうとしていた。少なくともその目論見はあったはずだ。だって、告白なんて未開を一人で探検するなんて、恐いじゃないか。
「じゃあ次。なんでともきが駄目って言ったか」
「シスコンだから」
 実の兄をシスコンというかなもどうかと思うが、これはきっと正解。普通に考えりゃ当たり前だ。一介の高校三年生が一つ下の学年の女の子に告白するだけで、あれほどくそ真面目なことを語るはずがない。だからこの問いの答えはともきがシスコンだから、で正解なのだが、この場合は別の意味が生じてくる。
 人間はいつだって問いがあって答えが見えてくると思いがちだが、その逆だって十分ありうる。どういう職業につけばいいのかな。どういう大学に入ればいいのかな。どういう人と結婚すればいいのかな。そんなことを考えていたって、きっといつまでも答えはみつからない。でも、あるとき自分が何ができて何ができなくて、何がしたくてしたくないのかはっきりしてきたとき、要するに自分を知ったとき、その問いの真の意味が見えてくる。自分という人間を知ることで、問いが見えてくる。答えが定まり、問いの意味を知る。
 本当のところ、ともきが本心からどういうつもりで言ったのかはわからないから、憶測でものを言うことしかできないけれど。
「何一人で難しい顔してるのよ。あたしがいること忘れないでよね」
「ごめん。ない頭でいろいろ考えてた」
「それで、正解なの? 正解なんでしょ? 正解よね?」
「うん、だいたい正解」
「なにそれムカツク。なんでよ」
「さあ、なんでだろう」
「ふうん。まあいいや、じゃ、早く行こうよ。映画、何時だっけ」
「四時。まだ時間あるから大丈夫だよ。ちゃんとDS持ってる? セレビイもらえるんだから、ちゃんと持っていかないと」
「大丈夫、ちゃんと持ってるわ」
「よし、おーけい。あとさ、さっきから十秒刻みで電話してくる君の兄貴がうざいんだけど、どうすればいいかな」
「こうすればいいんだよ」
 かなは僕から携帯を奪い取り、電池パックを抜き取って、自分のバッグへしまう。「返してほしけりゃ今日は一日私と居なさい。それからキスをしなさい」「……めちゃくちゃだなそれ」「嫌?」「……いんや、ちょろい御用で」
 僕は言う。かなは笑う。僕は大人になる。加奈も大人になる。僕らは進む。未開へ進む。探検は、一生続いていく。

<おわり>
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.30 )
日時: 2010/09/06 23:08
名前: Rという名の秋桜

【バケモノ、それは冤罪につき】 =Aコース

 小さい頃、わたしには友達と呼べる人間がいなかった。今もそれほどいるわけではないけれど、そのような次元ではなく、中学校以前に、友達のような関係の人間関係を体験した記憶がまるでないのだ。わたしはいつも、どのような人間と、なにをしていたのだろうか。思い出をたどっていくと、友人関係にとどまらず、なにもかもがうっすらと感じられ、自分がまるで、アイデンティティを確立し終わってからこの人間社会どこかから送り出されて、わたしという“完成品”が市場にぽんと登場したような、そんなイメージに苛まれる。わたしという人格の形成が、どのような経緯をたどってされていったのかが、自分自身で掌握できない、わたしにはそれが堪えざることであり、それだから、過去を振り返るのはわたしにとって苦痛の所行でしかなかった。

 今、そんな苦行を敢えて犯しているのも、幼少から大学生の終わりまで住んでいたここでの人生を少しでも思い出して、感傷的感情に思いを馳せようと考えていたからであった。この春、わたしは、この街にもう足を踏み入れることがないであろう、遠い彼方へ、やはり一人で出かける算段であったから。雪解けが終わりかけた、三月の終わり、淡い桃の色の風を感じながら、わたしは通っていた小学校から自宅までを散策していた。
 この辺りは地震が頻繁に発生する。数年前、桃の花の匂いがこの街に訪れた季節に、大地震がおこって津波がこの街を襲った。それからは、高台以外の人家が極端に少なくなり、人々が寄り付かなくなった。わたしの実家はもともと高い場所にあったため津波の被害は免れたものの、この天災でたくさんの知り合いが死んだような記憶が残っている。「あなたの幼いころの記憶が曖昧なのは、この出来事が“トラウマ”になっているからだと考えられます」と、精神科の医師はわたしに、哀れみの目でそう言った。
 自宅から小学校まで約一キロ程度の道のり。市街地とは名ばかりの、寒い国道沿い裏の路地を行くと、視界が我が母校の校庭で開けた。高いフェンス越しに、校舎を見やる。3階立て、鉄筋コンクリート製の外観はひどく冷たい。わたしの思い出を置いてきたはずのこの敷地内は、わたしに“淋しい”というニュアンスの感情しかもたらさなかった。ぐるり、校庭の裏へ周りって、北に位置する場所へ移動する。わたしの目的地は、最初からここであったから、まっすぐに歩みを進めた。『裏山』と呼ばれていたこの小高い丘には、街や海を見晴らす展望台があったはずだ。高台に続く小路には、桃の木が並び、豊満な匂いが一面に漂っていた。

 1年前。大学3期生の冬の終わり、わたしはこれに似たような匂いに惹かれた。
その女は、何かにつけて愉快そうに笑う女だった。へらへら、という擬態語がよく似合って、いつも着古した奇抜な洋服ばかりを着て、耳にはピアスの穴が何個も開けてあって、顔のつくりは整っているのに、間抜けそうに無防備でいて、そのくせ人の感情には敏感で。ああ、馬鹿な女だった。そんな彼女が、関係が深まったある夜、わたしが寝ている隣で、わたしを見つめて涙を流していたときの彼女は、なぜだろう、格別に美しかった覚えがある。
「どうした?」わたしは驚いて彼女に問う。彼女もわたしの目が覚めたことに驚いて慌てたようなフリをして、赤く腫らした瞼を、わたしからそむけた。「寝ぼけてた」と彼女は身体ごと私に背を向けて、そのまま何も言わなかった。しばらくの沈黙。目が冴えてしまい、いたたまれなくなったわたしは彼女を後ろから抱きよせる。華奢な彼女の身体はわたしの胸の中で小さく、その瞬間、わたしは彼女が無性にいとおしく感じられた。
「あなたはなぜ、私がよかったの?」彼女は震えた呼吸でそうつぶやく。「……匂い、いや、唇かもしれない」わたしは真面目に答えた。この匂いがお好きなら、この香水と寝ればいいじゃない。そう言って笑う彼女に、そういうニュアンスじゃないと、わたしはまた真面目に撤回する。そして、『なぜ彼女がよかったのか』という的確な理由を探した。
 彼女と出会ったあの時、その刹那、手繰ることを拒んでさえいたわたしの記憶から、なぜか自然に、ある出来事が思い出された。小学生時代だったと思われる。学校の帰り道、何かを探してわたしは、今現在歩いているこの裏山を進んでいた。どういった目的で裏山に侵入したのかは覚えていないが、探検とか、秘密基地探しとか、そういったなんらかの名目での散策だったんだろう。ひたすら山を登って行って、夕暮れで辺りが赤黒い光で照らされた頃、わたしは、そこで、妙な雰囲気の、白い肌の少女と出会い、短い会話をした。――いや、実際は出会っていないかもしれない。そのあたりで記憶が曖昧になる。その直後、自分の足元や視界ががくがくと大きく揺れ、木々が騒いだ。今思い返すと、それは、精神科の医師の言う“トラウマ”になった地震の日だったのだろう。恐怖の感情の中、その場で動けなくなり、視界がぼやけて、意識が遠のいて、いつの間にかわたしは病院のベッドで眠っていた。
 なぜこの記憶が、彼女の登場で思い出されたのかはわからない。だが、この記憶が引き出されてから、わたしは彼女を強く意識するようになったのだ。彼女にはそこまでのことは言わず、ただ「きみの匂いで昔を思い出して安心するんだ」とだけ言う。
「私の匂いと唇の色で、あなたは、なんかわかんないけど、昔のことを思い出して、それで、結局、私のことを好きになったの?」彼女はわたしに身体を向き直った。いつもの、馬鹿のようなしゃべり方でわたしに問うてくる、わたしは素直にそれを肯定する。彼女は笑って、その唇でわたしにキスをした。
その1週間後、この街で震度が6を超える地震が発生する。彼女はその混乱の中、わたしの前から、あっけなくその姿を消してしまった。「まあ、きみのその嗅覚を持ってすれば、どうせまた会えるから」そういい残して。

 彼女との関係はそれまでだった。年月だけが流れて、彼女が結局何者だったのかはわからずじまいである。連絡が取れなくなってから半年はさまざまな手段で必死に彼女を探したが、それを過ぎたあたりから、なぜか、彼女の言うとおり、またどこかで会えるのではないかと、妙な自信がついて、それ以来は、普通の人間のように日常生活を送ることに専念した。あれから1年経ち、そうして今、彼女を思い出した匂いをたどって裏山を歩いていると、ぽろぽろと、精神科の医師のいう“トラウマ”になった幼少期の記憶が嘘のように舞い戻ってきた。
 あの日、わたしは友人たちと一緒に、普段は立ち入り禁止であるこの裏山へ探検をしに来た。秘密基地を作ろう、とか、いろんな本が落ちているとか、おばけが出るとか、そんな情報を教えあった、わくわくという感情。それを持ったまま、ずっとこの遊歩道を歩くと、桃の花の匂いがさらに増してきた。同時に、わたしは、ふとその道が外れた遠く向こうに、おんなのこの姿を見たような気がした。「ねえ、あそこに女の子がいるよ」わたしはそう発言し、そのほうへ興味の赴くまま引かれるようにずんずん歩いていく。「やめようよ」「いいじゃん行こう」「こわいよう」友人たちの声。歩くたび遠ざかっていって、ふと気がつくとわたしは一人はぐれる形になっていた。夕日が赤い。寒さの残った風が、その火照りをぬぐう。むしろそれ以上の寒気を誘って、わたしはその場で足を止めた。「だれかいるの?」の言葉を、耳の静けさをかき消すために独白のように搾り出して、周囲を見回す。人影らしいそれはやはりおんなのこだった。
「いるよ」それの声が聞こえる。
「だれ?」わたしは問う。
「ないしょ」それが返す。
「いじわるするなよ」茶化された怒りを隠さないわたしに、その女声は、短く、ごめん、とだけ言って、そのあと一呼吸。「ねえ、アブソルって知ってる?」彼女は問うてきた。知ってるよ、とわたしは答えた。アブソル。それは普段姿を潜めているが、極稀に人の前、特に子供たちの前に姿を現す。そして、その後は決まって天災が起こると伝えられている幻の獣である。それなので、普段それは別の呼び名で忌み嫌われていた。「“バケモノ”でしょ?」
 その一言に、彼女の視線が刺さる。瞬間に、す、っとわたしのそばで彼女がわたしを直視していた。背丈は同じくらい。肌の白さと唇の赤のコントラストが、わたしにはなぜが強烈に印象に残っている。
「アブソルはね、災いを呼ぶ者ではないの。ただ彼はね、災いの匂いに惹かれてしまうだけなの。彼も被害者なの」静かに彼女はまくし立てる。わたしは怖じて一歩引き、「ごめんなさい」とだけ言った。「ううん、それだけちゃんと言いたかった」と、彼女。一瞬の沈黙の後、「あなたも、わたしの匂いに惹かれたでしょう? あなたならわかるはずよ」と笑った。やり取りの中、そろそろ日が暮れるという、空が紫のころになり、そろそろ帰ろうと焦り始めたわたしに、彼女は「今は山を降りちゃだめ」と言う。「この上をずっといくと、展望台があるから。そこで今日はいなさい。私も一緒にいてあげるから。きっと誰かが助けに来てくれるから」
 彼女の言うとおりに、展望台へ上がる。わたしたちはそこで、打ち解けるわけでも、拒絶するでもなく、微妙な距離で会話を続けた。この裏山には野良エネコがよってきて会議をするとか、ジグザグマはまっすぐ走るんだよとか、そんな話。沈黙の合間、見上げれば、漆黒の空は星の粒に彩られており、ふたりで、きれい、とつぶやいて、そのまま、意識を失くし、気がつくと病院で、母に手を握られていた。
 地域全体が混乱を極めたまま学期がはじまり、わたしは、裏山に一緒に行った友人のうち三人が津波に飲まれて行方不明であるということを知る。わたしが見た少女の話はその生き残りによって広められ、わたしは瞬く間に“バケモノ”として虐げられることとなる。わたしが記憶を捨てたのはそのころからだ。以来信頼する友人を作らず、ここまで生きてきた。
 少し疲れた。わたしは気の株に腰を下ろし、夕日を見やった。あの時と同じ景色。頬を焼く、熱い光。周囲に咲きほこる桃の花はよりいっそうに匂いを増し、彼女がすぐそこにいることを教えてくれた。

――衝動。
 走った。立ち上がり、眼球をむき出しにして、走った。ひたすらわたしは走った。急勾配の荒々しい斜面、苦しい胸をかきむしって、喉が渇く。呼吸がどうしようも荒くなり、唾液と汗とが舌に絡み付いても、しかし、何にも構わない。足元から、頭上から、茂った枝や雑草がわたしに押し寄せる。波のように行く手を阻んで、それを除けるわたしの腕から、鮮血。追いかけてくる桃の匂いと血液の臭いと同時に、血管がむき出しになっているような鼓動を感じた。
 瞬間、木の根に足を奪われ、前に体勢を崩される。否応なしに掌を地面に預ければ、それは三番目、四番目の脚となった。聴覚と嗅覚とが研ぎ澄まされる感覚。四肢で地面を駆け抜ける感覚。それはもはや快感に近く、全身の毛孔の奥が蠢くのを感じて、視界が狭くなる。無我夢中のまま、我に帰ることも許されないまま、わたしの身体は『体毛の白い獣』に変態していた。覚醒と呼ぶに相応しい熱に犯されながら、わたしは有り余る高鳴りでわたしは咆哮の如く声を張り上げた。刹那、それに反応した周囲の空気が旋風を巻き起こし、それは刃に変わる。生み出された疾風はさながら鎌鼬の如く、わたしを遮っていた何もかもを切り裂いていった。
 遥か視線の先、遠くで、わたしを呼ぶ声が聞こえる。桃の花の匂いがする。欲情が止まらない! 今わたしの意識は正常だろうか、狂っているのだろうか。わたしは走っているのか、飛んでいるのか、どこへ向かおうとしているのか、ああ、わからない。ただ、ぬかるんだ、道なきこの視線の先を、彼女の匂いがするこの先を、わたしは走った。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.31 )
日時: 2010/09/06 23:12
名前: Rという名の牛丼

【反抗期計画】=Bコース


「横山、ちょっと、ごめん」
 今この状況を、ぼくと彼女との今この事実を『運命』だとか『必然』だとか、そんな、ちゃちな言葉なんかで、言いあらわしたくはない。
――しかし、ぼくには残念ながら、『運命』だとかなんだかんだ感じてしまうようなシチュエーションに出会わせたときに、それ以外それ以上の言葉で言い表せるような語彙能力を持ち合わせてはいない。これは、つい最近になって思い知ったこと。ついでにぼくは詩的なセンスも、みんなが、あっと驚くような言葉えらびだって、ああ、文章においての創作に関しては、なんの取り柄もない。まあ、かといって作文以外が得意かと言えばそうでもないのだが。
 だから、ありきたりな言葉でしか、ぼくはこの場面を描写できない。
「好きだったの。きみのことが、ずっと、好きだったの」
 これは、きっと『偶然』なんだ、と。


 ぼくが雛を好きになったのはいつからだろうか。あまり大した理由はなかった気がする。意識しないうちに、惹かれていた。高校に入学した日から同じクラスで、お互いに文科系で、お互いにひねくれ者だったから、それだけで十分な理由になるだろうか。いつの間にか会話を重ねて、ぼくらはお互いを知り合った。ぼんやりしてて、ほんわかしてて、でもあたまがよくて、何も無いところで転んで、胸が大きくて、太ももがむちむちしている雛が、ぼくには天使のように思えた。彼女と会話をするだけで、「よっしゃー」って気分になったし、制服の着こなしとか、髪型とか、持ち物なんかにも気を遣ったりして。なんだか毎日、がらにもなく、さながら馬鹿な学生のように浮かれていた。
 でも、ぼくには、彼女に愛の告白ができるほどキザな男じゃないし、かといって、好きな女の子をいじめるような子供みたいなマネもしたくなかった。でも、友達として一緒に、これから先もずっと一緒にいるなんて、とても耐えられない! ぼくは弱って、結局パソコンの前に座って、最近流行の某テレビアニメの某あずにゃんとにゃんにゃんするにゃんな生活が長く続いた。


 そんな生活にも耐えかね、結局ぼくは、この胸のうちを、共通の知り合いである安田に相談することにした。彼女や彼女の友人に聞かれたら困るから学校から場所を移し、近所のコンビニへ。お茶と某ファミチキをごちそうして、駐車場のすみっこに座り込む。「どうした?」安田は間抜け面でペットボトルのふたを開け、ようとして「あけてえー」とぼくにそれを差し出した。いざ相談をはじめる雰囲気になって、茶化されるかと思ってちょっと恐々としていたけれど、結局熱弁してしまう。彼はぼくの心配をよそに、意外とちゃんと、うんうんうなづいて聞いてくれた。ああ、こいついいやつなんだな、と思った。一通り話し終わり、彼はお茶を飲み干して言った。「まあ、あきらめなさいよ」びっくりした。理由を問う前に彼が答えを教えてくれる。「いやだって俺も好きだし」すごくびっくりした。「まあうそだけど」よかった。
 ぼくが一通り彼にその無駄すぎるやり取りに対する不満と怒りを述べた後、彼は普通に謝ってくれる。「まあ、あれでしょ」と彼が言う。
「雛がすごくすきだけど、言えないし、だからといって言えないままもいやだしって感じな。もう告白しちゃえばいいのに」
「そう、まさにそう。告白は、ちょっとまだ……内緒にしたい」ぼくは答える。安田は、まあばればれだったけどな、とぼそっとつぶやいて、え、と焦るそれに対するぼくの返答を待たずに、こう切り出した。
「おまえさー某人気テレビアニメの某あずにゃんが好きなんだろ?」そうです、と僕はまじめに答える。大倉はどう見ても某むぎちゃんだろ、とかれはぼそっと言って、続けた。
「じゃあさ、お前も作ればいいんじゃないかな。雛との、二次元みたいな理想の関係を、二次元の中で」


 安田はなんだかんだでいい奴だ。某人気テレビアニメを教えてくれたのも安田だったし、某あずにゃんのフィギュアをドヤ顔で自慢してきて、虜にしたのも彼だった。その絵の上手さはなかなかのもので、同人誌を出版するサークルに所属し、コミックマーケットなる物に出品するほどらしい。そこまでいくとぼくにはわからな世界だ。そこに、彼は住んでいる。「お前の理想の、雛との関係を、ちょっと小説っぽく書いてみたらいいんじゃない? もしいいようだったら、俺が漫画で書いてやるよ」彼の提案は、魅力的でもあり、ちょっと見当はずれでもあり、でもしかし面白そうだったから、その提案に乗ることにした。
 とはいっても、僕は小説なんて書いたことないし、読んだことだって、児童文学書トカライトノベルとか、その程度だったから、僕は弱った。インターネットでいろんな情報を集めて基本を学び、ワードで少しづつだけれど、ぼく、ヨコヤマとヒナの小説を書いていくことにした。


「え。なにこれ」
 数日後、すごい恥ずかしかったけど、とりあえずプロットから、といって見せたそれを、安田は鼻で笑った。ストーリーは簡単。ごくふつうの高校生のヨコヤマが、同級生のヒナに片思いする。二人は仲がよくなって付き合うことになる。だけど、ヒナの引越しのせいでお互い離れ離れになってしまう。お互い心の距離が離れてしまい、最終的にヨコヤマが死ぬ。というもの。「いや、つか、失恋してるコレ! ってかお前死んでるし! なんなのコレ!」
「いや、だって……」ぼくは弁解する。ヒナに告白されるのは僕の願望。引越しは起承転結の“転”でのイベント。ラストの死ぬのは、雛を殺すのは絶対いやだったから、自分が死ぬことにした。と。安田が問う「え、なんで誰かが死ぬ必要があったの?」ぼくは答える。「だって、誰かが死んだらやっぱ感動するじゃん?」
「もういい、とりあえず書いてみれ」呆れ顔で彼はそう言って、某人気テレビアニメの原作マンガを読み始めた。


 ぼくは結局、その小説を書き始めることにした。しかし、書けない。書きたいことは決まっているのに、言葉が出てこないし、上手い表現も浮かんでこない。かといってあまり機械的に書いたら自分のロマンチックで熱い感情が伝わらないから、がんばってこだわった。プロットには細かく伏線を引いてあり、それを暗喩したりするのもずいぶん手こずった。やはりサイトのお世話になって、某グーグル社の検索機能をフル活用したし、純文学も読み始めた。もともと好きになったら盲目になってしまう性質なのも影響して、ぼくはそれを完結させるという目標を達成するために躍起になった。実生活のほう、雛との関係は相変わらずで、やっぱりぼくは、彼女のぼんやりとした雰囲気としゃべり方が大好きだった。
 途中、ヒナに告白されるシーンにぼくは、祭りというシテュエーションを加えた。今度実際に、近所で、小規模では歩けれど、花火大会があるから、それに合わせてみたのだ。その日は、去年と同様、雛と安田と三人で行くことが決まっている。彼女は浴衣を着てきてくれるそうだから楽しみである。安田は今年もカキ氷で腹を壊すんだろうか。ぼくも気をつけないと、雛に醜態をさらしてしまう。


 祭りの当日。
 ぼくと安田は電車に乗る駅が一緒なので、電車で二人で会場まで移動することにした。周りは浴衣を着た人々やお面をかぶる子どもたちなどであふれかえっていて、さながらお祭り気分だ。ぼくはなんだかわくわくして電車に乗り込む。
「最近、例の小説はかいてんの?」安田がぼくに問う。ぼくは、パソコンから携帯電話にデータをコピーして保存してあるプロットと途中経過を見せる。ざっと読んで、彼は、なかなかかけてるね、と笑った。
「そのくらいしっかりしてたら絵合わせてもいいかもね。ちょっと考えとくよ。絶対い作品になるぜ」
 彼にも、ぼくのこの小説に対する思いが伝わったようだ。クリエイティブな面も持ち合わせている彼が友人でよかったと心からこのとき思った。


 二人でカキ氷を食していると、雛は待ち合わせの時間から5分遅れてやってきた。浴衣の着付けに途惑ったらしい。そういう女の子の事情は、母や妹のやり取りを通して知っていたから、小説にも取り入れてあった。安田も「小説と同じじゃねえか」と笑い、雛は「?」という顔をして、買ってきたチョコバナナを食べていた。
 花火大会が終盤に近づいて、安田はカキ氷にあたり、トイレにこもってしまう。写真だけでも撮ってやろうと携帯電話のカメラモードで写真を撮ろうとするも、なかなか上手に取れなくてイライラしていると、雛が「ねえねえ」と人差し指でぼくの腕をつんつんした。
「どうした?」トイレ? 続けようと思ったけれど、女性にそれは失礼なのでやめておく。彼女はうつむいて、やはりなにやら苦しげだった。
「横山、ちょっと、ごめん」
「いいよ、じゃ一緒にトイレ行こ」と言いかけたぼくを彼女の腕がぐっと引き止める。
「好きだったの、きみのことが、ずっと、好きだったの」
 彼女は泣き出しそうな顔で、ぼくに切々と思いを語ってくれた。
 ぼくは、うれしくて、かなしくて、もう、なにがなんだかわからないまま、花火が終わるのも気づかず、彼女が帰ってしまったことにも引き止めることができず、安田に突っつかれるまで放心して座り込んでいた。
「いやー終わっちゃったかー」彼はそういいながら、目で雛を探した。「あれ? 雛は?」
 ぼくの思考がはじけた。
「雛……。引っ越して私立に転向するらしいんだ」


 え? と安田は怪訝な顔をしてぼくに詰め寄った。「どうした? 何があったんだ」ぼくは、今起きたことをありのまま彼に話す。彼女がトイレに行くのかと思ったら愛の告白をされたこと、今この場で告白したのは、夏休み中に遠くの地へ引っ越してしまうからだということ。そして彼女はこの場から去ってしまったということ。告白の返事はまだしていないということ。
「なあ、やっぱりおかしいよ」安田がすべてのぼくの話を聞き終えたところでぼくに言う。「お前が小説にしたことが、現実になってる。今日彼女が遅れてきたのも、転校の話も、告白も……あ、」彼は続ける。「お前、小説では、告白の返事、いつした?」
 ぼくははっとする。「……返事は、先延ばしにするんだ。怖くて。悲しくて。でもそうして結局、彼女が引っ越すその日に、付き合おうって返事をする……」
「まあここまではシナリオどおりか」安田は奇妙に笑った。「偶然だ。……偶然だよ」ぼくはその言葉をひねり出すのが精一杯で、『偶然』という意味を忘れてしまうほどに、何も考えられなくなった。
「お前さ、小説の結末、自分で何にしたか、もちろん覚えてるよな」
 すこしの沈黙の後、安田がぼくに言う。ぼくはまたひどく狼狽した。
「お前、しぬぜ」

10
「お前小説はどこまでかけてたんだっけ?」ぼくは安田に引っ張られるように、祭り帰りの人並みの中、電車に乗り込んだ。「祭りの日、告白されて、彼女が転校してしまう日あたりまで、とりあえず」ぼくの言葉に、彼はしばらく押し黙る。「今から、そのシナリオを変えることは?」
「無理だよ。伏線が回収できない。回収し切れなかったら、話が中途半端で気持ちが悪く……」ぼくはさっきから否定の言葉しか口にできなくなっていた。安田はまだ考える。
「ここで小説の流れとリアルの流れを変えるのは簡単だ。きみが彼女の告白を断ればいい。だけど、それだったら意味が無い。君が幸せじゃ無い結末は、リアルにも小説にも必要の無いものだ」電車はぼくらの下車する駅に到着し、ぼくたちは電車を降りて歩き始める。
「いや、やっぱり、伏線はきちんと回収しつつ、お前の言葉選びのセンスと、もって行き方次第では、きっと、そう、もしこの小説とリアルがリンクしているなら、そんなばかなことが本当に起こるなら、ヒナの転校だって止められるかもしれない!」
 安田ははしゃいで、声を張り上げた。安田って、こんなに大きい声の出る奴だったっけ? とぼくはなんだか不思議になり、同時に、ひどくテンションガあがってきた。
「……じゃあ、じゃあ、ヨコヤマとヒナが結婚すれば、ぼくと雛も結婚……」
「できるさ!」安田はすかさず重ねてくる。ぼくたちは、見つめあって、ぼくの家へ、わっと駆ける。
 こうして、ぼくと、安田との地味な、最後の『反抗期計画計画』が始まった
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.32 )
日時: 2010/09/06 23:14
名前: kagero

A・Unknown village

 強かった風も少しずつ弱まり、砂嵐のせいで見えなかった前もようやく見えるようになってきた。
 赤土だらけの荒野で建物も何もなく殺風景だった先ほどまでとは違ってようやく人が住んでいる村が見えてきた。いや、村というか集落というべきか。この集落は俗にヴァイナビレッジと言われている。
 ヴァイナビレッジにはテントのような家が乱雑に建てられている。とてもじゃないが栄えている気がしない。
 それもそのはずこの辺りは赤土だらけで風も強く赤い砂嵐治まらないためが農作、牧畜が一切ダメ。生息している野生ポケモンも僅かばかりの岩、地面、鋼ポケモンばかりだ。
 しかも他の街に続く道路もない。食糧輸送措置でも取らないと食べるものが何もなさそうなこの集落は一体何を食べて暮らしているのか。
 そんな辺境の地であるこの集落の中心部には、遺跡と思われる一際目立つ建造物がある。誰がいつ建てたか、そういう年代も何も分からない。
 交通の便の悪さ、周囲の環境の悪さから遺跡街としてヴァイナビレッジは発達しなかった。しかし自分のような物好きの探検家が何人もこの遺跡を調査しに出かけに行っているのだ。それなのにこの遺跡についての情報が一切得られないと言う事は、本当に何も分からなかっただけなのかそれとも命を落としてしまったのか……。
「ありがとうレントラー、もう大丈夫」
 自分を乗せ続けていたレントラーが、自分を降ろせるように体を低くする。レントラーから降りた自分は首にぶら下げていた水筒の水を一口飲み、残りの水をレントラーに飲ませてやった。
 赤土だらけな上に水がこの辺りにないので水分の補給はできない。そのため残り水は八リットル程用意してある。
 レントラーをボールに戻し、とりあえずはその辺のテントに入って話を聞いてみることにした。
「すみません」
「……何かね」
 言葉に反してテントの中にいた五十過ぎの男の口元は微かに笑っていた。その男の風貌は、汚らしい服装に好き放題伸びた髭と髪からして浮浪者、いや昔見た山賊、それに準じる人のように見える。
「この集落にある遺跡の調査なんですが」
「ああ、全然構わんよ。好きにやってくれ。このまま真っすぐ出るとテントと違ってちゃんとした建物がある。そこを使ってくれて構わんよ、昔来た探検家が勝手に作った家だ」
「……はあ」
 やけに要領がいい。こういう対応に慣れているのか。
「ただ、一つだけ忠告をしておこう」
 今度はさっきとちがって男の口ははっきりと笑っていた。
「この集落では夜にうろつかない方がいい」
 この言葉が突っかかる。どういうことだ? 確かにこの辺り一帯は夜になると冷えるのだがたかが知れている。それすなわち危険というには幾分及ばない。
 一礼をしてから言われた家に向かう。言われた通り真っすぐで、丁度遺跡がよく見える。家に入る前に手持ちのデジタルカメラで一枚遺跡を撮らせてもらう。
 遺跡は写真の一枚さえ情報がなかったので初めて見るがなかなか荘厳な雰囲気を放っている。遺跡自体は石造りの……。どうだろう、形的には城のようだが窓が一切ないし入り口らしい入り口がパッと見たところ見つからない。
 家に入らせてもらう。もちろん鍵などはかかっておらず、誰でも入れるようになっているようだ。内部はワンルームで、古い電球と年季の入ったテーブルと椅子、粗雑なベッドが一つずつ。床には少し古臭く汚れた緑色の絨毯が広がっていた。床には何らかの文献か、資料かよく分からないものが散らばっていた。
 とりあえず私物を置いて肩を回し首を回しストレッチをする。長旅で疲れた体が休息を要求しているようだ。だがまだやることがすこしばかしある。
 ポケットから携帯電話を取り出す。予想はしていたが圏外。交通もダメ、電波もダメ、なるほど確かにこれでは外部に情報が行きわたりにくい。一つ目の疑問の、なぜ遺跡の情報が一切ないのかということが判明した。
 そしてもう一つ確認したいことがある。どうやらこの家は窓が無ので玄関の扉を開いていかないと外が明るいかそうでないかが分からない。
「もうこんな時間……」
 夕陽は順調に地平線に隠れていこうとしていた。夜までは少し情報を整理しよう。
 散らばっていた文献類を読み始める。どうやらかつてこの遺跡を探検していた男が記した日記のようなもので変色が始まっている。丁寧なことに日付まであるが約十年前。そんなに前に遺跡の調査が始まっているのに大手の大学かその辺の研究団体が遺跡の調査に取り掛からないのは何故だ。
 文献には遺跡の入り方と遺跡の内部について多少の情報が記されていた。やはり遺跡そのものには入り口がないようで、遺跡の手前にある石で出来た小さな小部屋にある隠し階段から侵入するものらしい。内部は暗く、灯りが無いととてもじゃないと辺りが見えないとのことだ。
 しかし情報はそれだけで途切れている。他の紙にも同じようにここを訪れた探検家が似たような内容を書き連ねていた。
 さて、そろそろ良い時間だろう。椅子から立ち上がって最小限の荷物だけ小さなリュックサックに移し替え、玄関の扉を右手で開ける。左手にはモンスターボールをしっかり握っている。
 まるでスパイのように慎重に家を出ると、辺りはすっかり夜。月と空に浮かぶ星が綺麗だ、ここでなら天文学の研究もはかどりそうである。
 そんなことよりも、今日寄ったテントで男に言われた『夜にうろつくな』という忠告の意味を確かめなくてはならない。
「……。ケーシィ、フラッシュをお願い」
 握っていたモンスターボールからケーシィが現れ、辺り一面をしっかりと照らしつくす。昼間並みの明るさが自分の周囲を照らし出すが特にこれといった変化はない。
「離れるないで」
 と言いつつ片手でしっかりケーシィを抱きしめて周囲の探索を始めた。自分とケーシィが至近距離なので自分の目が光でやられないようにケーシィは光をそれなりに抑えている。昼間とこれといって変わっている様子はないのだが、あれは単なる脅しだったのか? もしかして男にとって見られたくないものがあったから外出を禁じた、とかか……。
 その刹那、突風が吹きつける。それも単なる突風でなく、意識的な者だ。はっきりとした敵意を感じる。
 砂を巻き上げた突風は、視界をはっきりと消してきた。フラッシュで辺りが明るくなっても目が見えなければ意味はない。
 目を守るため左手でケーシィの目を、右腕で自分の顔をカバーするので精いっぱいだ。
 突風が止むや否や今度はアンノーンの大群が自分とケーシィをドーム状に囲うように現れた。一体いつの間に、いや突風で目が塞がれていた時か。それは分かる。しかしなんだこの量は。
 一匹一匹数えた訳じゃないがザッと見たところ千に近い数はいてもおかしくない。このアンノーン達はどこから現れたのか。人の持つポケモンにしては量が多すぎるから野生だろうか?
 しかし男の忠告の意味がわかった。夜には野生のアンノーンの大群が襲いかかってくるということか。
 考え事をさせてくれる時間はここまでのようで、アンノーン達がそれぞれこちらに向かって好き放題目覚めるパワーを打ち始めた。もうここは本能的な指示しかできまい。
「ケーシィ! 逃げるよぉ! テレポートォォ!」
 従順なケーシィはその叫びに応じてくれた。この辺の地理が分からない、そして赤土だらけでアトランダムに並ぶテントから距離感が妙に掴みにくいこのヴァイナビレッジなのでどれほどの距離を稼げたのか。
 さて走って逃げようかと思った時、再びアンノーンの大群がこちらに向かってやってきた。南無三!
 ここまでか! 思わず目をつぶったものの一向に攻撃を食らう気配がない。左腕で抱きしめたケーシィが必死に鳴き、暴れはじめることでようやく目を開いたがどうやらいつの間にか家にいたようだ。ケーシィが自分でテレポートしてくれたのだろう。感謝をこめてケーシィの頭を撫でる。
 あくまで探検家であってトレーナーでないのだ。ポケモンの扱いには慣れてる自負はあってもそれは決して高い水準ではない。ああいうとっさの場面ではどうすればいいのかが分からなかった。
 大きくため息をついてケーシィをボールに戻す。外に出ると危ないということの裏返しは外に出なければ安全ということなのだ。とにかく汚れ、汗の臭いのするベッドの上で横になることにした。この調子だと明日からの調査が大変なことになるな……。
 先行き不安もいいとこだが体力を回復させなければ明日の調査も危ないだろう。目を閉じれば簡単に眠りの底に落ちて行った。



 目が覚めると太陽はすでにある程度の高さまで昇っていた。腕時計を確認すると十一時、もっと早く起きるつもりだったが疲れが蓄積しすぎたのだろうか。
 それはともかく今日こそ本格的に調査の始まりだ。もう一度持っていくべき荷物を確認しなくては。帽子をギュッとかぶり直す。
 そう思って大きめのリュックサックの中と小さめのリュックサックの中を確認していくとすぐに異変に気付いた。
 荷物が足りない。主に水と食料品だ。あらかじめ携帯していた二リットル以外の六リットル分と、缶詰などの保存食をいくらか盗まれた。缶詰はもう今日の分でなくなってしまう。このままだと街に戻ることができない、それまでに飢える可能性が非常に高い。
 もっと大量に詰めてきたはずなのだがいったいどうして減っているのか。盗まれたのか? いつだ、もしかして昨日の夜か? 念のために寝る前、番犬の代わりに玄関にレントラーを放っていたのだがレントラーは戦った跡がないし眠らされたり麻痺らされたりといったこともなさそうだ。
 まさかアンノーンに追われている間か……? いやいや、その間は短かったはずだ。どんどん謎が増えていく。
 しかしどうだろうと結果はこうだ。帰れないとなると……。ここに散らばる文献の一つに自分の物を加えて散るしかないのか。
 ああ、もっと他の地域も探検したかった。シンオウ地方には魅力的な場所が様々あるから是非とも行きたかったのだが。
 すっかり心の折れてしまいそうな自分にレントラーが体当たりをしてきた。当然手加減されているので転ぶ程度で事なくを得た。
 立ち上がるとレントラーが起こった表情でこちらに向けて吠えてくる。まるでそんな弱気になるなと叱咤するかのようであった。
「ごめんね」
 そうだ、こんなとこでくよくよしていても何もない。どうせなら当たって砕けろという感じだ。
 レントラーの顔をまんべんなく撫でてあげるとレントラーは機嫌がよくなったようだ。
 そうして探検に必要な最小限の荷物、そして食料品を全て小さなリュックサックに詰めると早速家を出たのであった。
 ここから遺跡までは徒歩六分ほどの距離。脇にはレントラーが控えているので危険があればすぐに察知してくれるだろう。
 文献の通り、遺跡から離れた石造りの小部屋に入る。この小部屋自体には入り口の扉などなく、千客万来と言わんばかりだ。
 そして記述通り隠し階段が。しかし隠しというよりは階段を蓋していたと思わしき床の石は除けられていたので隠しとは程遠い。
 階段を少しばかり降りると辺りは真っ暗だ。陽が一切届かない位置まで潜ってしまったのでフラッシュがないとこれより先へ進むのは困難だ。
「ケーシィ、フラッシュを」
 モンスターボールから飛び出したケーシィが眩い光を放って辺りを明るく照らす。どうやら階段の先には通路が広がっているようだ。この通路はまだしばらく先まで続いている。
 通路の壁も石で出来ている。一歩一歩しっかりと歩いていくと、通路は終わりにさしかかる。なるほど、通路の終わりがが遺跡の地下とでもいうべきか。
 通路が終わると今度は大部屋、だろうか。大部屋に入る前にデジカメで二枚ほど写真を撮る。この大部屋の床は黒色で壁から天井は灰色、さらに天井はドーム型になっていて高さ的には遺跡の頂上まで続いているようだ。この様子だと遺跡内部はこの大部屋一つだけで終わりなのか?
 大部屋に入り、壁などに手を触れる。冷たい石で年季も入ってそうだが、それでも非常に強固で崩れそうな様子は一切なさそうだ。
 まさかこの遺跡がこれだけな訳があるまい。ここまで何もないならもっと前に調査結果が出てもおかしくない。何かあるのか?
 そのときだった。急に足元がグラグラ揺れて崩れ始めたのだ。急な出来事に何も対応できなかった。自分だけでなくケーシィ、レントラーも下へ落ちていく。
 落ちていく過程で上を見たが、崩れ落ちた床は何故か落ちずに空中で止まっている。それもそうだ、あの黒い床は背中を上に向けたアンノーンの塊だったのだ。そしてこんな大量なアンノーン、昨晩襲ってきたアンノーンに違いないだろう。
 落ち方がまずかったので下手したら骨を折るかと思ったが、先に着地したレントラーが背中で受け止めてくれた。もちろん衝撃は来てきつかったのだがまだまだ余裕だ。
「ありがとうレントラー」
 まんざらでもなさそうにレントラーは吠える。
 それにしてもアンノーンは夜と違って全然襲ってこない。かろうじて問題なのは床がまたアンノーンによって塞がれてしまったので下手すれば帰ることができないということだ。
「ケーシィ、もう少し強く照らして? ここも一応写真に残しておくね」
 そう頼むと嫌な表情を一つも見せずにさらに眩い光を放つ。まずは頭上にいるアンノーンを。そして今度はアングルを下げて部屋を撮ろうとするが……。
「これは……」
 血痕があちこちに散らばり、白骨死体が大量に転がっていた。この遺跡には生還者がいないという話を聞いていたがなるほど、アンノーンによって道を塞がれ閉じ込められたせいでいずれ飢えてしまい、死んでしまう。既に液状化しているものもあったりと状態はメチャクチャで、見るに耐えれない。
 こういう腐臭には慣れている自分だが、鼻の利くレントラーにとっては地獄過ぎるだろう。可愛そうなのでひとまずボールに戻してあげてこの地下の部屋を探索する。
 どうやらまだ奥に進む通路があるらしいが、落ちた時にどっちがどっちか分からなくなってしまったのでどこに向かってるかが分からない。今いるところは死体と遺物しかなくどれも腐っているので特に探索する価値はない。というよりも早く出たい。そんなとき、脚で何か重たいものを蹴ってしまった。
「……」
 それはこの遺跡の石と同じ素材から出来てるであろう、灰色の鍵のような物だった。だが、鍵と言うには大きすぎる。一メートルくらいはあるだろうか、試しに持ち上げてみようとしたが重くて持ちあがらない。
「どうしたものか」
 直感的にはこの鍵には何かしらの意味があるだろうと告げている。しかし自力で持ってはいけない。とすれば仕方ない。
「ケーシィ、念力でこれを持ち運ぼう」
 ケーシィから不思議な力が発せられ石の鍵が持ち上がる。しかし念力を使うためにフラッシュで発していた光が非常に弱くなり、可視の範囲は二メートルくらいか。
 暗くなると同時にガサガサとする音が上の方からする。思わず腰にぶら下げていた懐中電灯を引き抜いて音の発生源に向けると、床(今いる場所から言うと天井だが)だったアンノーンが一斉に動いていた。これはまるで昨日の夜に襲われたような。しかし懐中電灯で照らしているアンノーンはだるまさんが転んだをしているかのようにピタリと動かない。
 夜に襲ってきたアンノーン、そして光が弱まると襲ってきたアンノーン。そうか。このアンノーン、明るさに弱いのか。
「ごめんケーシィ。その石の鍵を一旦降ろしてもう一度フラッシュを」
 ズシン、と鍵が落とされる音が響くやすぐに眩い光が部屋を包み込む。アンノーンは完全に動きを止め、そして再び天井に戻って遺跡の一部になっていく。しかしどうしたものか。まるで夜といいこの部屋といい自分達の邪魔をしているようだ。
 邪魔? そうか。きっと夜に襲うときは余所者の排除、今襲うのはこの石の鍵を運ぶのを防いでいるのか。この部屋のあちこちにある血痕は襲われた探検者のものだったのだろう。
 ここまで頑なに石の鍵を運ばせないようにするということはこの先に何かあるのか。しかしどうして運ぼう。……一つだけあるか。
 幸いだったのは、ケーシィが鍵を落とした下に少し大きめの石が転がっていたことだ。少し浮いた石の鍵をリュックサックから先っちょが金属になっているロープでグルグルと巻きつけ、しっかりととめておく。
「ダイノーズ、頼む!」
 ボールから現れたダイノーズは、自慢の磁力でロープの金属を引き寄せさせ、重い石の鍵を浮かび上がらせる。磁力で動いてしまえば物理的な力なんて関係ない。
 念力が使えないケーシィの代わりにアイデアを使って石の鍵を運ばせる。うん、問題ないな。恐らくはこのまま行けるだろう。
 部屋の先には再び一本の通路が伸びている。その通路にも死体が転がっている、せめて踏んでしまわないようにするのが情けか。
 横には二メートル、高さもそれなりにあるこの通路をダイノーズ、石の鍵、自分、ケーシィの順で進んでいく。途中までは遺跡と同じ石の造りだったが、急に土で出来た所謂普通の洞窟になってきた。まるでこの遺跡が洞窟につながるものだったかのようだ。そして軽く下りの傾斜となっている。
 何か音が聞こえたのでダイノーズとケーシィの歩みを停めさせる。チョロチョロチョロというこの音は……。水か?
 ヴァイナビレッジ周辺は乾燥地帯であり、水脈が完全に枯渇しているはずだ。しかしなぜ。この謎もこの先を行けば解決するだろうか?
 再び歩み始める。十五分程またもや洞窟を突っ切っているときだった。ケーシィが左足にしがみついてきたのでバランスを崩し、尻もちをつく。それに気付いたダイノーズがゆっくりとこちらを振り返って止まった。
「どうしたの?」
 ケーシィは自分が進もうとしていた場所を指差す。その方向を覗くと、十メートルくらい道が無くなっていた。下は奈落の底……というわけではないが落ちると助かる見込みは厳しい。なぜなら地下水が集まって川が流れているからだ。こんな地下でどこかに流されれば本当に危ない。
 ダイノーズはそもそも地面から何センチかは浮いているし、ケーシィだって自分の体を宙に浮かせるくらいは簡単だ。しかし自分は地に足をつける生き物。ここを乗り越えるには。
 そこでの解決方法はダイノーズが磁力で浮かび上がらせている石の鍵に乗ること。僅かな磁力で浮かび上がっている石の鍵に乗るよりダイノーズ自身に乗った方が安定するがこの位置からじゃ届かない。
「位置……。そうだ! ダイノーズ、動かないで。ケーシィ、一緒にダイノーズの上までテレポート!」
 ケーシィが腕を掴むと一瞬でダイノーズの頭の上に乗った。幸いにもダイノーズの頭は中央部に突起が少しあるだけで基本的には平である。着地はバランス良くできた。
 そのままふよふよとダイノーズの頭の上で落ちないように神経を気配りしながら待機していると、ようやく地上に到達した。そして今まで土だらけの洞窟に緑が見え始めた。
 緑……か。ここまで来ると思い当たる節は一つだ。まさかそんな夢物語な話があるのか? いや、もうここまで来ると信じるしかないだろう。
 さらに二十分ほど歩くと洞窟の向かい側から光が差してきた。ここはどれくらいかは分からないがかなりの地下になるはずなのに光が差すとはどういうことだ。
「ケーシィ、もうフラッシュはいい。お疲れ様」
 ここまでずっとフラッシュを続けてくれたケーシィに感謝してボールに戻す。
 光の方へ足を進めると、そこには楽園があった。木はないが草がたくさん生えているので草原というところか。そしてそこで取り分け目立つ存在は泉だった。
 この楽園、上を見上げるとあまりに眩しくて光源がどこか探れない。目線を元の位置に戻すと、この楽園の中で浮いている存在が一つだけあるのに気付く。泉の脇にこれまた石碑らしいものがあるようだ。
 石碑に近づいて、そこに文字があるのを知り読もうとするがこれは今まで読んだことのない字だ。どうしても読めない、それに近しい文字も思いつかない。きっとこの泉に関するもののはずだ。
「それ、読もうか?」
 ふいに背後から声がかかったので、急いで後ろを振り返る。少し痩せこけている感じの、ほぼ同い年くらいの青年が七メートルくらいの距離でいた。
 急いでレントラーのモンスターボールに指をかけるが、青年は両手を突き出して「待って待って!」と慌てふためく。
「敵じゃないよ、君は探検家だよね? 僕もだ」
 とはいえまだ気を許したわけではない。いまだ警戒を続け、鍵を運ぶダイノーズとともに近づいてくる青年に対して距離をとる。
「その石碑に書かれている文字はULテキストっていう種類だ。この間のシント遺跡で同じ文字を発見されたばかりで、ズイ遺跡などのよりもさらに古い文字だからまだ解読出来る人は少ないんだよ」
 じわりじわりと二人して動き続けているためいつの間にか青年は石碑の傍に位置していた。
「この石碑に書いていることは、今はヴァイナビレッジとなっている場所の昔話だ。教えてあげてもいいが、一つだけ交換条件がある」
「交換条件……?」
「何か食べるものはない? どうやらヴァイナビレッジは盗賊の集落らしく、探検者のスキを盗んではギリギリ探検に行くだけ行ける分だけ残して奪ってしまうようだ。それに気付いたのは後になってからだけどね」
「貴方が石碑を本当に読めるという保障は?」
「とある大学教授の助手、と言っておこうかな」
 まだまだ怪しいが、ここは聞くだけ聞いておこう。
「分かった、信用する」
 青年は非常に愛くるしい笑顔を見せた。最後の缶詰を青年の元まで手渡しするとそれにがっつき始めた。
「うん、ありがとう。それでこの石碑の内容だけど、簡潔にまとめると、ヴァイナビレッジは元々はこの地方で一番緑で栄えていたところだったらしい。緑が豊かとなれば農産資源ももちろんある。それを狙って他国は戦争を仕掛け続けた。そしてやがて焦土となるだろう土地を守ろうとした当時の王様と思わしき人がこの地下深くにその自然を封印したんだ」
 話が眉つば過ぎる。自然を封印? どういうことだ。青年はそう悩む自分を見てははっと笑った。
「もしも信じていないなら試してみれば?」
「え?」
「その石の鍵を泉に放り投げるんだ。そうすれば封印は解けるらしい。簡単に封印が解けないように、複雑な仕掛けを作ったようだが確かにそうだね。僕は石の鍵を運ぶソースがなかったから、誰かが運んでくるのを待ってたんだ」
「待ってた?」
「そう、ここじゃ昼も夜も分からないが、感覚的には半年以上は待ってたのかな。泉の水を飲んで、草をそのまま食べて。まあ草は栄養分がなくてとても辛かったけどね」
 もしこの青年が言っていることが嘘ならば泉に投げ捨てるとそこから回収することは一切出来ない。しかしこの洞窟もこれより奥があるようには思えない。そうなればやるしかないだろう。どっちにしろふん詰まりだ。
「分かった、やってみる。ダイノーズ!」
 ダイノーズは泉の上まで石の鍵を誘導すると、磁力の力を無しにする。ドプン、と石の鍵が泉に飲み込まれると、泉の中から大量の光が放たれる。目を両腕で覆うも、視界だけでなく意識も白一色に染まっていく……。



「大丈夫かい?」
 青年が肩を揺らしてくれたので目が覚めた。ゆっくりと体を起こし立ち上がると、眼前には大きな湖、川、草、木々が広がっていた。さっきの楽園とは違う。あれは泉と草原しかなかった。
「ここはどうやらヴァイナビレッジのようだ。あの家分かるかい?」
 木造の小さな家、あれはこの集落に来て泊った家だ。
「君が目を覚める前に少し調べたが、あの遺跡一帯が沈んで湖になったようだ。まだ確認してないがアンノーン達も遺跡の中にいるままかもしれないね」
「……」
 ずっと被りっぱなしだった帽子を脱ぐと、薄いブルーの長い髪が帽子から解き放たれ背中に流れる。青年はそれを見て驚きの顔を一瞬見せたがすぐに自分と同じくしばらく湖を眺め続けていた。



 その後、ヴァイナビレッジはヴァイナタウンと名を改め、たくさんの人が住みつきたくさんの人が農業等自分の仕事に従事した。
 ヴァイナタウンは緑を保ち続け、発展を遂げた。湖の端には薄いブルーの長い髪の女探検家と、優しげな笑みを浮かべる青年探検家の像が建てられ、いつまでもこの湖と街を見続けている。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.33 )
日時: 2010/09/06 23:14
名前: でんぐりがえり

Aコース [ユーアンドアイ、愛]


 ホウエン地方ヒマワキシティ。ツリーハウスが魅力的で、自然と一体化したような町。
 この町の子供達は皆自然の中で育ったようなものである。そのためか、幾分やんちゃで怖いもの知らずな部分がある。
 子供は大きくなればなるほど外の世界に憧れを持つものだ。大人から子供だけでは行ってはいけないと昔から禁じられている町の外に子供だけで行きたいと、誰もが沸々と感じていた。
 この日、ポケモンセンターの近くで、いつものように子供が数人集まっていた。
 和気あいあいと今日の遊び内容についての話しあいを進めているうちに、このグループの中心と言える仕切り役のテツヤがそうだ、と切り出した。

「町の外に探検に行こうぜ!」

 そうして始まった、彼等の小さな思い出。




 昨日の探検するという提案から一日経って午後一時、ポケモンセンター前。少し灰色の雲が空にある、影のある天気。
 十分ほど前にここにやってきた女の子、ミナトは長い黒髪をポニーテールにして青いTシャツに白い短パンをはき、水色のリュックを背負っての軽装だった。
 誰かが来ることを願いながら、ミナトは少し咳き込んでからリュックの中身を確認するように一度前に持ってきて中を覗く。
「……わっ!」
「わああっ!?」
 大きな声と共にミナトの背中を男の子が押す。ミナトの背後からそろりそろりと忍び足で近づいていたテツヤだ。
 突然のことにミナトもいつもは出さないような大きな声をあげる。心臓が大きく跳ねて口から跳び出してしまいそうな勢いで彼女は驚いた。
 大きなリアクションにテツヤは仕掛けた方なのに逆に驚きつつも、満足気な笑みを隠せない。
 とんでもないスピードで鼓動を打つ心臓を押さえるようにミナトは胸に手を置く。睨みつけるようにテツヤを見る。
 テツヤはピカチュウのプリントが大きく描かれたTシャツと黒い短パンを身につけ、黒いリュックを背負っている。
「てっちゃん……びっくりしたよ、もうっ」
 テツヤのことをミナトはてっちゃんといつも呼んでいて、それは二人の間の親しい仲を象徴していた。
 ミナトは少し頬を膨らませる。ごめんごめん、とテツヤは軽く謝った。反省しているようには見えないがミナトもそこまで怒っているわけではないので問題は無い。
 その後少し場を落ち着かせるように二人は息をついた。
「暑いなー」
「暑いね」
「今日俺んち夕方まで誰もいないんだ」
「そうなんだ」
「うん。まあいっつも昼は俺遊んでるから、家に母ちゃんいたとしても怪しまれることはないけどな」
「そっか」
「……そういや、こないだ借りたゲーム進んだ!」
「ほんと? やっぱりてっちゃんはすごいね」
「なんかできたんだよ。変なとこに鍵があってさー……なんかお前顔赤くね?」
「え? 気のせいだよ」
「そっか、なら別にいいんだけど」
 他愛もない会話が続く。少し間を置いて、テツヤは辺りを見回す。
 ポケモンセンターの近くにある時計は、一時三分を指していた。
「あたしたちだけ?」
 ミナトが少し不安そうに尋ねると、テツヤは両手を腰に当てた。
「わかんね。ソウタが来るかなって思ったけど。案外集まらないもんだな」
 その後十分ほど彼等は待ったが、他に誰か来る様子は無かった。
 行き先はミナトの提案でヒマワキシティの西、一一九番道路に決定する。



 水溜りが多く、鬱蒼と茂る草むらと木々が目に入った。近くを流れる大きな川の音が耳に入ってくる。
 空には分厚い雲。この辺りの地域は年中雨が非常に降りやすい。昔ヒマワキシティにまで水面が届いたこともあるらしい。
 テツヤとミナトは周りをきょろきょろと見回し、普段は見ない景色に心臓が鼓動を速めるのを感じた。
「あっミナト! あれモモンの実じゃないか?」
 嬉しそうに声をあげるテツヤの言葉にミナトはテツヤの指差す方向を見やる。彼の言った通り、ピンクの木の実のなる木があった。
 テツヤは駆け寄ってその木の元にやってくる。遅れてミナトも小走りでやってくるが、身長の低い二人は手を伸ばしても指先すら届かない。
「くそお届かないじゃん! あれ絶対うまいのに」
「うん」
 ミナトは残念そうに頷く。真上を見上げてモモンの実を見つめる二人。
「……よーし!」
 テツヤはにやりと笑った。そして後ろに数歩下がると爛々と眼を輝かせる。ミナトは少し嫌な予感がして後ずさりする。
 テツヤはスタートダッシュを切った。そして木の一歩手前で少し身体を逸らして木に思いっきり体当たりをした。木が大きく音を出して、同時にテツヤにもダメージが来て彼はその痛みに顔を歪ませる。
 肝心のモモンの実は大きく揺れるが、落ちることはなかった。
「てっちゃん、大丈夫!?」
 痛みによろけて地面に膝をつくテツヤに慌ててミナトは駆け寄る。
「いって……」
 苦渋の表情で木にぶつかった部分を押さえているテツヤに、尚更ミナトの不安は大きくなった。しゃがみ込んでテツヤの顔を覗き込む。
 が、テツヤは俯かせていた顔をぱっと上げてミナトに思いっきり笑って見せた。
「このぐらいどうってことねえよ! それより、無理だったなーくそお」
 悔しそうにテツヤはモモンの実を見上げる。
「仕方ない。登って取るか!」
 そう言うとテツヤは少し近くを見回すと、モモンの実の木の隣の木に歩み寄り、低い枝に手をかけた。腕に力を入れて足を幹にかけると、あっという間に枝に足を乗せた。その後次々と枝から枝へと渡り歩いていく。大分高くなってきたところでモモンの実のある枝に慎重に渡り、ついに手の届くところまでやってくる。
「やった!」
 思わず声をあげるテツヤはモモンの実をもぎ取った。
「ミナト、おとすぞ!」
「う、うん」
 ミナトは手をかざしモモンの実の受け皿を作る。テツヤはその手に狙いを定めて場所を調節する。
 と、その時テツヤは背後で何かが動いた音を聞き、後ろに目配せをすると眼を大きく見開いた。
「うわあ!」
「てっちゃん!?」
 驚きのあまりテツヤは体勢を崩し足を滑らせて、そのまま下へとまっさかさまに落ちる。
 突然の出来事にミナトは驚くが身体が先に動いていた。テツヤが地上に叩きつけられるその前に、ミナトは彼の下へとやってくる。直後テツヤがミナトに圧し掛かった。
 しかし重みと勢いとがミナトにはあまりに大きすぎて、支えきれずそのままミナトは地面に突っ伏す。
「ミっミナトごめん! 大丈夫かっ」
「え、うん、大丈夫だけど早めにどいて……」
「うわ、ごめん」
 テツヤは慌てて立ち上がる。安堵したミナトはよろよろと立つ。少し頭に痛みが掠めた。
 少し怯えた表情でテツヤは再び木を見上げる。合わせてミナトも見ると、そこには小麦色の固い身体をしたポケモン、コクーンがいた。表情はあまりよくわからないが、じっと二人を見つめて少し震えている。しかも一匹だけではなくその背後にもビードルの姿が何匹かあった。ビードルは憤怒の表情を露わしていた。
「なんか……やばい気がする」
 ミナトは呟いた。
 その時、一段と大きな音がして二人は身体を大きく震わせた。
 耳障りな大きな羽音が耳に入り、途端に二人の顔が青くなった。その音のする主が何なのかこの状況から分かったからだ。
「てっちゃん逃げよう!」
 ミナトは叫び恐怖に動けないテツヤの手を無理矢理引っ張る。それではっと気がついたテツヤは急いで走り始めた。
 少し遅れてから二人の走り去る様子を睨みつけるように現れたのは、彼等が予想した通り、大きな羽と刺を持つスピアーである。大きな赤い眼をぎらりと光らせた。
 ミナトは頭がふらふらとするのを感じた。が、湧き上がる恐怖が無理矢理にでも足を走らせる。
 その時、頭上から水が落ちてきて二人は顔を上げた。灰色の重たい雲から雨が降ってきたのだ。
 少し振り向いてみるとスピアーはこちらに向かって飛んできていた。
「てっちゃん、草むらに!」
 息を切らせながらミナトは言った。テツヤはそちら側を向くと、彼等の背丈以上もある草むらが生い茂っていた。
 迷う暇などなくそこに跳びこむように入る。
 雨量が尻上がりに多くなってくる。彼等が草むらの中で走っている最中には、既に土砂降りになっていた。
 草むらはうまく彼等の姿を隠してくれたようだった。スピアーは草むらの上を通過した。降りだした雨のひどさから反撃を断念する他なかった。
 少しずつスピードを弱めて、途中で止まり耳をすませるテツヤ。よく景色は見えないが、恐らく逃げ切ったのだと思い安堵の表情を浮かべた。
 ミナトも立ち止まる。叩きつける雨の音が鼓膜に響き、頭がハンマーで殴られるような痛みに襲われた。思わず頭を押さえて、その場に座り込んだ。朝から感じていた寒気が一層大きくなり、身体を大きく震わせる。
 その様子に気付いたテツヤは目を見開いた。
「みっミナト! どうした、あの化けもんはどっか行ったぞ」
「……大丈夫」
「大丈夫じゃねえだろ!」
 そういって少し肩を揺さぶるテツヤ。しかしその行為は逆にミナトを苦しめる。その揺れでまるでミナトは大きく回されているような感覚に襲われ吐き気を感じる。
 テツヤの呼吸がようやく安定してきた頃、周りで草むらを掻き分ける音がした。テツヤはミナトに身を寄せて辺りを不安げに見回す。
 すぐにその正体を知ることになる。
 茶色と白と交互に色分けがされた体毛を持つ、ジグザグマだ。テツヤが確認できる範囲だけでも四匹はいる。
「くそっ」
 テツヤは何かこの場を切り抜ける手立ては無いかと急いで見回す。が、背の低い場所からの視界では外の様子は殆ど見えない。
 その時テツヤの懸命にこらした視界の中に穴のあいた大きな草の塊が目に入る。
 そこに入るしかない、テツヤの頭にそんな考えがよぎった途端、ジグザグマの群れの内の一匹が声をあげた。瞬間、他のジグザグマ達が二人に襲いかかった。
 テツヤは大きく眼を見開いた。
「うわあああ!」
 叫び声をあげた時には二人の身体は宙を飛んでいた。
 ミナトが先に落ち、身体の中にこもっていたものが口から吐きだされる。酸味と苦みとその他わけのわからないものが混じった嘔吐物が地に叩きつけられた。
 少し遅れて落ちたテツヤは身体の痛みに声にならない悲鳴をあげつつも、ぱっと顔をあげてミナトに駆け寄る。
「ミナト!」
 明らかに苦しげに項垂れるミナトの背をテツヤは軽く叩く。それと同時に視線だけは周りを見て様子をうかがう。
 草むらの間からいくつもの黒い瞳が二人を見ている。雨粒がますます大きくなりそれだけで痛みを感じた。
 咳を絶えず出し続けるミナト。呼吸はまともにできなかった。
 俺のせいだ。テツヤは心の中で思った。
 ミナトの体調が少しおかしいことは何となく気付いていた。そしてミナトから「一一九番道路に行きたい」という言葉を聞いた時に彼は分かったのだ。彼女の目的は単純にこの場所を探検することじゃないということを。昔からよく遊んでいた仲であるために彼女の事情をよく知っているテツヤだから分かった。
 小さな少女の背に乗せる右手を少年は強く握りしめた。悔しさに歯を食いしばらせた。

「アブソル、電光石火!」

 聞いたことのない女の子の声が雨の中で跳ねる。
 テツヤが俯いていた顔を上げて瞬きをした時、鋭い風のようなものが彼の右隣を過ぎ去った。
次に聞こえてきたのは打撃音と、ジグザグマ達の悲鳴。
「え」
 草むらの向こうにいたあの黒い瞳が次々に消えていく。倒れたものもいれば逃げ出すものもいた。
 あっという間の出来事にテツヤは口をあんぐりと開けた。身体中の震えは止まり、呆気にとられている。
 雨だけが相変わらず降り続けている。

「大丈夫?」
 後ろから声をかけられてテツヤは後ろを振り向く。
 テツヤやミナトより年上の女の子は赤いバンダナを頭につけて、少し長い茶色の髪は雨に濡れていた。全体の服の雰囲気も赤が中心だ。
 女の子は二人の様子を見やり、すぐにミナトの様子がおかしいことに気付き傍にしゃがみこむ。
「大変、この子すごい熱! ちょっとどいて」
 そう言われるとテツヤは逆らわずに慌ててその場を少し離れる。すると女の子はミナトを抱き上げ、テツヤが見つけたあの大きな草の塊へと向かいその中に入っていった。
「君も入っておいで。この中なら安全だし雨も避けれるよ」
 顔だけを出して女の子は言うと姿を消す。テツヤは呆然っとしていたが急いで女の子の入っていった場所に入る。

 草の塊の中は意外にも広く、テツヤは辺りをきょろきょろと見回した。机と椅子くらいしか置かれていない。
 髪から水を滴らせて、大きくくしゃみを一度するテツヤ。鼻水と顔をびしょぬれの袖で拭うと、女の子がミナトを寝袋の上に寝かせているのに気付いた。
「ミナトっ」
 テツヤはミナトの傍にやってくる。女の子は赤いタオルでミナトの身体を拭いていた。その間もミナトは苦しげに声を喘いでいる。
「すごい熱」
 ミナトの額に手をあてて女の子は苦々しく声を漏らす。
 その場にテツヤは座り込んで、俯く。
「ごめんミナト……俺が探検なんて言わなけりゃ良かった。ミナトが風邪ってことに早く気がつかなきゃいけなかったのに、俺、なんにもできなかった……」
 呟くような謝罪の言葉に一同は沈黙する。女の子は唇を噛みしめながらウェストポーチを探り、様々なものを出していた。
 部屋の中では少し籠った雨の音が叩く。その中で、足音が入口から聞こえてテツヤはそちらをさっと見て口を開けた。
 雨水を滴らせながらも美しい白い体毛に身を包み、頭にある大きな鎌のようなものが鋭く光る。女の子の持つポケモン、アブソルだ。
「アブソル、ありがとう。ちょっと待ってて」
 手を忙しく動かしたままで女の子は早口に言う。アブソルは少し溜息をつくと三人の元にやってくる。
 足音にミナトは瞼を開け、そして驚いたように口を開いた。
「マシロ?」
 ミナトははっきりと言った。
 その言葉の意味が理解できずテツヤはアブソルとミナトを交互に見やる。対して女の子は意味が何となく分かったのか、ミナトの顔を覗き込んで苦笑した。
「このアブソルは私のポケモンであって、君の知ってるアブソルじゃないの」
 女の子の言葉にミナトの表情に影が入る。
 そして女の子の発言によってテツヤはようやくミナトの言った理由を知った。
 マシロというのはミナトの父の持つポケモン、アブソルの名前である。
「ミナト……やっぱりお前、お父さんに会いたかったんだろ? 天気研究所にいる、お父さんに」
 テツヤはミナトの顔を心配そうな眼で見ながらそう言った。ミナトは視線をテツヤから逸らし絶句する。
 女の子は鞄から取り出した、額にはれる冷たい小さなシートをかざす。
「シートはるね。ちょっと冷たいよ」
 一度声をかけてからミナトの額にそれをはる。ミナトは氷にも似た冷たさに思わずびくんと身体を震わす。
 少し咳の方も落ち着いてきたところである。頭痛は続いているが、少し楽といえば楽になっていた。女の子はその様子に安堵し、肩の力を少し抜いた。
「良かった、ただの風邪みたいね」
「ありがとうございます」
 テツヤは声がうまく出せないミナトの代わりに感謝の弁を述べると、女の子は軽く笑う。
「でも、君達どうしてこんなところで」
「探検のつもりで……遊びの感覚で来たんです」
「うーん、まあ気持ちは分かるけどねえ」
 数秒置いてから女の子はにっこりと笑ってからテツヤの左肩に手を置く。テツヤは座り込んでいる女の子と視線を合わせた。
「我慢すれば出れるから、今日みたいなことはやめときなさい」
 口元は笑っているが眼は真剣である。その勢いに押されるように、テツヤは黙って二、三度頷いた。女の子はテツヤの柔らかな頭を撫でてやる。
 その後女の子は様子を伺うように再びミナトに視線を投げかけた。ミナトはそれに気付くと少し咳き込む。
「……あの、お願いがあるんです」
 ミナトは囁くような声を絞り出す。虫の声同然で、掠れている。その様子にテツヤは思わず身体を震わせた。
 女の子は首を傾げながら顔を近付ける。
「リュックの中に、お父さんへの、お弁当入れてるんです」
 女の子は軽く頷いて相槌を打ちながら、傍に置いていたリュックに手を伸ばす。引き寄せて中を覗くと、案の定中もびしょびしょである。あさると一番底にピンクの弁当箱があった。
 プラスチック製で中は無事であるようだ。念のために蓋を開くと、なんとか原型を保っている大きな御握りが3つ、無理矢理詰められていた。その横に、小さく折りたたんだ紙も見える。
 これ? と女の子は訪ねてみるとミナトは大きく頷いた。
「お父さん、明日まで帰ってこないって……こないだのルネの天気がおかしくなった日から、忙しくて、それで、家にもあんまり帰ってこなくて……疲れてるかもしれないから、どうしても届けたいんです」
「それは、私に届けてほしいってことかな」
 ミナトは頭を小さく縦に振った。
「ほんとはあたしが届けたいけど、こんな身体だから……お父さんに、心配かけさせたくないんです」
 言い切ってから大きくまた咳き込む。女の子は慌ててミナトの背中をさすってやる。
 テツヤは言葉が出なかった。自分が思っていた以上にミナトは父のことを思っていた。

 ミナトには母がいない。
 二年前、一一九番道路の大洪水が起こったその時、天気研究所の研究として水質調査を行っていた。が、予想以上に水かさの増える量が速く、逃げ遅れてしまったのだ。荒れ狂った波に呑まれ、数日後水死体として少し遠い一一八番道路の浜辺に打ちあがっていたのを発見された。
 その後ミナトの父は養育費を稼ぐために懸命に働いている。だが、それは家を長く開けることに繋がってしまった。
 幼いミナトは父への思いを募らせた。そして飛びこんできたテツヤの提案である探検。その瞬間、父に会いに行けると思ったのだろう。リスクを負ってでも会いたかったのだ。

「……分かった。お父さんはなんていう名前?」
 女の子はお弁当を大切に腕の中に寄せる。ミナトは汗を滲ませながら少し笑みを浮かべた。
「ありがとう、ございます……リョウです。瀬戸涼です」
「セト、リョウさんね。オッケー、確実に届けるわ。ここから近いし、すぐに行ってくる」
 女の子は立ち上がった。それからケンタを見ると小さな頭を撫でる。
「一応アブソルをここに置いていくわ。すぐに帰ってくる。この子の傍にいてあげてね」
「……うん」
 テツヤは相変わらず落ち込んだ顔つきでいた。
 それを見た女の子は少し顔をしかめて、しゃがんでテツヤに視線の高さを合わせる。テツヤは視線を上げる。
「男の子がそんな顔じゃだめだよ。後悔することなんていっぱいあってもそれが何。もう過ぎた事なんだから、うじうじしててもしょうがないでしょ。今やるべきことをやるの。そして今やるべきことは、あの子の傍にいてあげることだよ」
 怒っているような口調だった。実際少し怒っているのだろう。テツヤは唇を噛みしめて、言われた言葉を噛み砕く。ゆっくりと自分の中に浸透していくのが分かった。
「うん」
 自然と頷いていた。
 女の子は笑った。綺麗な笑顔だった。
「重大な仕事だよ」
「うん」
「病気の人にとって、傍にいてくれる人っていうのはすっごく大きな存在だからね。それだけで力になれるの」
「うん」
「よし」
 すっくと女の子は立ち上がりウェストポーチに弁当箱を入れると、背を向けた。が、直後に思い出したようにまた振り向く。
「私の名前はハルカ。君は?」
「えっ、あ……テツヤです。あっちはミナトです」
「テツヤにミナト、オッケー。じゃあすぐに戻ってくるわ」
 そう言って女の子――ハルカは今度こそ本当にこの場所から離れた。

「……よし」
 テツヤは決心する。苦しみながらも少し落ち着いたミナトの顔の横に身体を持ってくる。
 不思議な気持ちに彼は包まれていた。なんだか救済されたような気がしたのだ。
 ミナトはそっと瞼を開くとテツヤを見つけ、そうすると安心したように口元だけ笑って見せた。
 その笑顔だけで、テツヤは嬉しくなれた。



 一一九番道路北西に位置する天気研究所。
 その白い建物に走っていくハルカ。先程の自分の秘密基地から距離は眼と鼻の先のようなものであるから、すぐに辿りついた。
 雨の中を一生懸命走り、ハルカはようやく研究所の中に跳び込んだ。その音に入口近くにいた女性の研究員は驚く。
「あれ、ハルカちゃん! どうしたの、こんな土砂降りの中!」
「あ、すいません、ちょっと用事があって……。あの、セトリョウさんはおられますか?」
「セトさん? 瀬戸さんなら、あ、丁度あそこに。瀬戸さーん!」
 女性は右方向に向かって叫んだ。その間にハルカはウェストポーチからタオルと弁当箱を出し、まずはタオルで顔を拭く。
 その間に呼ばれた男性が気付いて早歩きでやってくる。少し驚いた表情でハルカと女性の元に寄った。
「どうしたんですか、僕に何か?」
 ハルカにとって彼は初対面だった。赤の他人であるのに用事があるなんて、彼には思ってもみなかったことだろう。
「初めまして。ハルカといいます。あの、これあなたの娘さんからの預かり物です」
 その言葉に彼は目を丸くして、ハルカが差し出した弁当箱をじっと見つめる。しばらく沈黙が続いていたが、彼はその弁当箱を受け取る。
 すぐにその蓋を開けると、御握りと小さな紙に驚きを隠せなかった。
「これを、娘が?」
「はい、ミナトちゃんがあなたに。すごく心配されていましたよ。でも……」
 ハルカはミナトの体調のことを言うなという言葉を思い出す。
「ミナトちゃん、すごい熱を出しているんです」
「……え?」
 リョウは突然の宣告に思わず息を止める。ハルカはきっと彼を睨むように顔を引き締めた。
「仕事は大切でしょう、それはよく分かります。ですが、それでミナトちゃんは淋しい思いをしているんです! 私はさっきあの子と出逢ったばかりですが、それぐらいよく分かりました。……私の父もいつも忙しいですが、病気の時はつきっきりで看病してくれました。それがどれだけ嬉しかったか……」
 吐きだしていく言葉は滝のようだった。それは突き刺さる様に形の無い衝撃としてリョウに届く。
 ハルカは一度自らを落ち着かせるように深呼吸をした。
「……今ミナトちゃんはこの近くにいます。ちょっと遊んでいたらこの雨やらで風邪をこじらせたみたいで。この後私が家にお送りします。できるなら……家に帰ってミナトちゃんの看病をしてあげてください」
 早々と言い切るとハルカは腰を折り礼をした。
 呆気にとられたリョウは慌てて礼を返す。顔を上げたハルカはにっこりと笑った。
「それでは、失礼します」
 ハルカは傍にいた女性の研究員にもお辞儀をすると、すぐに出ていった。



 あっという間の風のようなできごとにリョウはしばらく唖然としていたが、隣の女性に肘をつかれると我にかえる。
 その後御握りをじっと見つめ、震えた手で一つ掴む。大きな彼の手にすっぽり収まった。
 それをかじり噛む。米の甘さとほんのり塩辛さが口の中に広がる。塩御握りのようだった。数カ月前に自分が御握りの作り方をミナトに教えたのを思い出した。
 味は彼にはとても美味しく感じられた。世界一の御握りだと思えた。そして自分は世界一幸せな人間だと思えた。
 熱いものが彼の目頭に上ってきたが何とか耐える。
 次々とかぶりつきあっという間に一つ食べ終える。指についた米まで舐めると、御握りと弁当箱に挟まれていた小さな紙を取り出す。
何重にも折られていて、それをゆっくりと開いた。開いてももちろん小さな紙だった。

“おとうさん おしごとがんばってね みなと”

 そう赤の色鉛筆で書かれた言葉。
 リョウは唇を噛みしめ、手紙を持った手で軽く目を拭う。
 まだ拙い文字だ。だけど思いはしっかりとこもっていた。ちゃんと伝わった。

「瀬戸さん」
 女性が少し心配そうに顔をのぞかせる。リョウは顔を上げて女性の方を向いた。その目は決心したように強く光っていた。それを見て女性はふっと笑う。
「……私から所長には伝えておきますから、家に帰ってあげてください」
 その言葉にリョウは少し驚いた。女性は先程の会話の一部始終を聞いていたのだ。リョウは感謝の気持ちに包まれ、甘えさせてもらうことにする。
「ありがとうございます」
 満面の笑みを浮かべる女性の顔にリョウは苦笑した。そして体の向きを変えて纏っていた白衣を脱ぎながらきょろきょろと周りを見回しそれを目にとめる。
「マシロ、帰るぞ」
 白い床に寝そべりリラックスしていたアブソル、マシロはその言葉を聞くと瞼を開きゆっくりと立ち上がった。
 丁度良いタイミングで外の土砂降りもやみつつあった。



fin.
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.34 )
日時: 2010/09/06 23:15
名前: きぃぺ

 Bコース『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』


「妹を探して欲しいんです」
 鳥坂は女子生徒に頭を下げられて困惑していた。
「そんなにかしこまらなくてもさ、同い年だし、そんな風にされると」
 彼にはその後にどう言葉を続けるのが一番賢いのか、見当もつかなかった。放課後、今から生徒達は部活に向かおうかという時間帯のことだった。
「とりあえず、話は聞くよ」
 肩に担ぎかけていた学校用かばんを下ろし、誰の席か分からない机の上に腰かける。鳥坂はため息をつきたくなったが、目の前にいる彼女の深刻な表情を見てためらった。

 彼女は何から話そうか悩んでいるようで、しばらくの沈黙が流れた。出来れば放課後は早く帰りたい鳥坂にとっては、早く終わらせたかった。
「てか、何で俺に相談しようと思ったの」
 鳥坂は聞いた。声から漏れる苛立ちを何とか隠そうとする。
「波多野君から。部活が同じだから相談したらさ、『鳥坂くんを頼ったらいいよ』って」
「波多野?」
 思わず顔が引きつる。波多野は、高校に入ってから仲良くなったクラスメイトだ。やたらと鳥坂と共に行動を取りたがるので、鳥坂は色々自分の話をせざるを得なくなった。
 鳥坂の先祖の中で一人だけ、人食い妖怪を退治する仕事をしている者がいたらしい。実家には彼の残した文献が保管されていて、両親はよくその妖しい存在のことを寝る前に聞かせ、鳥坂を怖がらせた。
 そんな血筋のためか、人には見えないものを見て、引き付ける力がある。あまり嬉しくはない。おおよそそういう存在は、鳥坂にとってよいものとはならない。
 波多野はそれを知ると、どこからか妖しい事件を持ちこみ、鳥坂に解決してもらおうとする。鳥坂にとってはただのトラブルメーカーだ。

「鳥坂くん?」
 苛立つ気持ちに囚われ、少し黙ってしまったようだ。
「あぁ、ごめん。そう言えば君の名前聞いてなかったね」
「7組の岸田よ」
 岸田さん、と鳥坂は復唱する。毎度毎度、新しい人に会うたびに冷や汗をかかずにはいられない。鳥坂は人の名前を覚えるのが苦手なのだ。
「それで、岸田さんの妹が行方不明なんだ」
 岸田は頷く。
「昨日祭りあったでしょ。4日連続の初日のやつ。妹もつれて行ってたんだけど、途中ではぐれちゃって」
「あぁ、神社の周りのやつね」
「そうそう。色々探しても見つからなくて、結局帰ってこなかった」
 大事じゃないか、と鳥坂は驚く。
「迷子のお知らせとか、警察行ったりとかは?」
「したよ。それでも見つからなかった」
 言葉を発した分だけ、岸田の肩が小さくなっていくような気がした。鳥坂は空気の抜けていく風船を思い出した。
 岸田は息を吸い込み直すと、顔を上げて続けた。
「それでね、もしかしたら神隠しじゃないかって話になって」
「神隠し、ねぇ」
「ねぇ、どう思う」
「どう、って言われてもなぁ。見てないから何とも」
 一瞬期待したような岸田の目は、また伏せられた。その様子を見て、気持ちが焦ってしまった鳥坂は、ついうっかり言葉を出してしまう。
「でも、まぁ、少し努力はしてみるよ。岸田さんも、今日はお祭りの関係者のとことかと協力して探して」
 本当に、ありがとう、と岸田は声を上げる。鳥坂はメールアドレスを交換し、また連絡すると伝えて別れた。

 岸田を見送り、教室を出ようとすると、廊下に波多野が立っていた。
「よぉ」
「よぉじゃねぇよ。また面倒なことを押しつけやがったな。それに部活はどうした」
 鳥坂の怒りを尻目に、波多野は笑った。
「まぁいいじゃん。人助けだと思えば。それに鳥さん、部活やってないからいつも暇そうじゃないか」
 悔しいが、反論できない。波多野は鳥坂のことを鳥さんと呼ぶ。
「どうせ俺の頭は鳥さんですよ」
 鳥坂は吐き捨てるように言った。波多野は全く聞く様子もなく、部室の方向へと歩き出した。そう言えば、と考える。結局波多野が何の部活をしているのか、鳥坂は知らない。聞こうと思っても会ってからはついつい言い忘れる。
「鳥さんで悪かったな」
 もう一度、鳥坂は呟いた。

 家に帰って、資料をひっぱり出しながらプランを練る。
先の残した情報は膨大で、調べるのには時間がかかる。段ボールをふた箱、自分の部屋に移す。重量に負けて、どすんと落とすように置いてしまった。
 今日の祭りに参加して今から急いで探す、というのは、得策ではない。もしただの誘拐だったなら、出来るだけ早く対応した方がいいし、一高校生が関わることではない。警察に任せればいいのだ。
 しかし、魑魅魍魎の仕業だったなら、事情は違ってくる。妖怪たちの行動原理は人間には理解しがたいものばかりだ。例えるなら、奴らは人間で遊んでいる。恐らく、得体の知れないものに対する知識など、多くの人間は持ち合わせていないだろう。
 一日などという短いスパンでは、おもちゃにした人間を捨てない可能性がある。大事なら、壊さずに大事にとっておくかもしれない。しかし、そうじゃないかもしれない。
 それはふたを開けてみるまで分からないことだ。だから、鳥坂はふたを開けてから何が起こっても無事に済むように準備を整える。
 ちらとカレンダーを見やった。今日は金曜日だから、明日は休みだ。今日と明日の午前中をかけて、祭りと妖怪について調べ上げる。実地調査は、明日の夜だ。
 鳥坂は岸田に、その旨を伝えた。

「こんばんは」
「よう」
 鳥坂は岸田と合流する。時計に目をやると、午後8時。空も暗くなり、普段の日なら高校生が外出していたらそろそろ怪しまれる時間帯だ。
「やっぱり妹さん、いなかったんだな」
 鳥坂は言う。
「うん。やっぱりこれ、アレなのかな」
「アレだな。俺もそう思う」
 神隠し。つまり、岸田の妹の誘拐事件の正体。急に岸田の頬が赤くなるのに気付く。
「こんなに必死に探してるのにさ、ひどいよね」
 泣きそうな声をしていた。既に家族が二日間、行方知れずなのだ。心配もするだろう。鳥坂は深く息を吐いた。
 祭りの囃子と雑踏が、小さな通りを張り詰めた空気に仕立て上げる。出店が神社に続く通りに並び、提灯が延々と遠くまで掲げられている。
「とりあえず、神社の方まで行ってみようか」
「分かった」
 神社までは、石畳のゆるい上り坂になっている。そのせいか、神社までの距離が妙に遠く感じられた。
 途中で、お面屋を見つけてはたと止まる。
「どうしたの?」
 岸田が聞く。鳥坂は口元に笑みを作る。
「これ買おうと思って」
「あ、かわいいね」
 色々なお面が並んでいる。戦隊モノの仮面5色、最近人気のヒロインものの妖精。
 ポケモンが一番上に並んでいるのを見て、鳥坂は苦笑いする。
 古くからあるようなオーソドックスな狐の仮面も売っていた。それが一番安かったので、それを購入する。
「岸田さんも買っといた方がいいよ」
「そう?」
「うん、必要だろうから」
 どれにしようかな、と悩んだ末に選んだのは、ポッチャマのお面だった。一応ゲームは一通りやったので、鳥坂はそれがどんなポケモンなのかを知っている。
「似合う?」
 笑いながらお面を付けて、聞いてきた。
「似合うんじゃないの」
「そっけないねぇ」
 岸田は頬をふくらました。

 仮面を頭に付けながら、二人は神社の前までやってきた。下に敷かれた細かい石が、踏まれるたびにじゃりじゃりと音を立てる。
 暗い時間に見ると、おごそかな雰囲気が一層強まる。きっとそれは、気のせいではないだろう。目に見えない何かが、そこで力を蓄えているのだ。鳥坂には屋根の上に、うっすらと巨大な何かの影が見えていた。
「神隠しが起こる条件って言うのは、いくつかある」
 鳥坂は切り出した。
「正確に言えば、今いる世界から違う世界に移動する条件だな。
 一つは、一人で完全に道に迷うこと。これが神隠しの中で一番多いケースなんだ。これは元いる世界から別の世界に移動してしまう場合に起こる。恐らく、岸田さんの妹もそれで神隠しにあったんだと思う」
 岸田は納得したように頷く。
「もう一つは、禁忌を犯したとき。
 怪談話で聞いたことないか? 『この扉は、絶対に開けてはなりません』っていうヤツ。もし自分が妖怪とかに閉じ込められた場合、そういう禁忌は破らなきゃいけない。相手は自分を閉じ込めたいから、都合のいいように相手の行動をそれとなく禁止する。だから、世界の出口はそこにある」
 岸田の顔をちらと見やると、良く分かっていないような顔をした。
 鳥坂はため息をついて、話を続けることにする。柄にもなく、熱くなり過ぎただろうか。
 二人はさらに、神社の本殿に向かって歩いていく。
「とにかく、入ってはいけない場所って言うのは、普段行けないような閉じた場所への入り口なんだよ。例えば、この神社の建物の中。
 俺らにしてみれば、ここは地元だろ。知ってる場所じゃ迷子にはそうそうなれない。だから、こうやって行くしかない」
「行くって、その……妖怪のいるところに?」
「そうだ」
 誰も見ていない瞬間を見計らって、鳥坂は手早く戸を開け、抵抗するより早く岸田を連れて中に入る。
 トン、と音がした時、外との関係が完全に断たれたような気がした。外の雑踏が聞こえなくなったのだ。

 鳥坂は二回拍手をし、二回頭を下げた。暗闇の向こうにいる何かへの敬意を払うためである。
――勝手にそちらの門を叩いてしまった無礼をお許しください。お邪魔します。

「よし、扉を開けて。ゆっくり」
「うん」
 カラカラ、という音を抑えながら、岸田は扉を開けて行く。
 外で行われている祭りは、まだ続いている。二人は外に出た。
「ここからは、お面をつけろ。絶対に外すなよ」
「何で?」
「元々お面って何のためにあるのか知らないだろ」
 岸田は頷く。
「そもそもお祭りってのは、人と霊と妖怪が一緒になる場所なんだ。他のものとの違いを隠すために、お面を被る。ここから先は妖怪だらけだ。人間がいるって分かった時点で、俺らみたいなのは即、食われてしまう」
 狐のお面を付けて、鳥坂は外に出た。
 確かに祭りは続いている。提灯の橙色の光が続き、にぎわっている。しかし、どこか雰囲気が違う。
 空がないのだ。星一つなければ、透き通って見通せるような高さを感じない。
 これが妖怪の世界か。鳥坂は今更ながら、ぞっとした。

 道を歩けば、いろんな姿をしたものとすれ違う。人の形をとっているものもあれば、獣のような姿をした生き物もいる。鳥坂の数倍ある巨人もいた。どうやって出店に入るんだろう、とその姿に恐れを抱きながら疑問に思う。
 出店はどういうわけか、人間のやっているものと殆ど同じに見えた。フランクフルト、やきそば、たこせん、金魚すくい、スーパーボールすくい、おもちゃ。今風だ。
「手を離すなよ」
 ここから先は迷子になり得る。鳥坂は岸田の手を握り、先へ進んでいった。
「離したらどうなるの」
「そんなこと聞くなよ。迷子になってお前も帰れなくなるしれないってこと。妹さんの二の舞に知らないからな」
「へぇ、こんな風に?」
「え?」
 岸田の手が、鳥坂から離れた。と思いたかったが、どうやら違う。消えた、としか考えられないような感触だった。手のひらから急に、握っていた手が無くなった。
 横をふと見てみれば、そこに岸田の姿はなかった。
「おい」
 何処へ行った。返事はない。

 仕方が無いので、一人で出店の間を歩いていく。
 後ろ盾がいなくなったせいか、急に周りの全てが大きくなったように見えた。心を強く持たねば、つぶれてしまいそうだ。
 ふと、鳥坂は自分の目を疑った。見知った人間がいるような気がする。彼は手を振って、こちらに笑いかけている。鳥坂は彼の元へ走った。
「波多野!」
 鳥坂は名前を呼んだ。少し暑くなって、狐のお面を外す。
「やっほー」
「やっほー、じゃなくてさ、お前、どうしてこんなところにいるんだよ」
 鳥坂は少し狼狽していた。
「いやぁ、俺もたまにはお前に協力してやろうと思って、妹さん探してたんだよ」
 波多野はきしし、と笑い声をあげる。そして、鳥坂に耳打ちする。
「それでさ、見つけたんだ」
「え、妹さんを?」
「ああ。来る?」
「行くに決まってるだろ」
 こんな危なっかしいところに、わざわざ何をしに来たと思っているんだ。鳥坂は眉をひそめる。
「じゃ、行こう」
 元気よく、波多野は歩きだす。

 場所は意外とすぐ近くだった。
 路地を抜け、焼き鳥屋とお面屋の間をくぐり抜けると、少し広い広場のような場所に出た。
 しゃてき、とひらがなで大きな看板がかかげられていた。広場全体を占める、巨大な射的ゲームのようだ。
「でかいな」
 鳥坂は呟いた。近づいてよく見ようとする。
『いらっしゃーい! 祭り名物、超巨大射的ゲーム! 実弾を使ったリアリティがウリ! 楽しいよぉーっ!』
 背中に花の咲いた巨大なカエルが、葉巻を吹かしながらはやし立てた。鳥坂は苦笑いした。お面屋でポケモンを見た時と同じ気持ちだ。
 任天堂は何を考えているんだろうか、と鳥坂は思う。ポケモンと言うのはデザインもネーミングも、妖怪の姿に酷似している。
 周りからは、ヒューヒュー、と口笛を吹いたり、手を叩いたりして盛り上がっている。いつの間にか、鳥坂は大勢の妖怪に取り囲まれていた。
『そこの人間の兄ちゃん、やってくかい』
 はたと気がつく。そう言えば、波多野に会った時に無意識的に仮面を外してしまっていた。あわててつけようとして、やめる。バレてしまったなら、もう同じことだ。
 もう一度的に目をやる。それに気付いた瞬間、鳥坂は目を見開いた。
 木に括りつけられた中学生ぐらいの女子が、意識を失ってぐったりとしているのだ。な、と言葉を発して、鳥坂は固まっていた。
「これは、どういう」
 鳥坂は中心に立てられた景品を指差す。波多野は淡々とした口調で答える。
「な、見つけたって言ったろ。あれがそうだよ」
 鳥坂は言葉が出てこなかった。やはり、岸田妹は妖怪のおもちゃにされていた。
「どうすんの、兄ちゃん、やってくのかい、やんねぇのかい。当たったものなら何でも、兄ちゃんにくれてやるよ」
 いらついたような言い方で、店主ははやし立てる。その顔は笑っていた。

「お前、本当に波多野か」
 鳥坂は波多野を睨んだ。波多野は両手を大げさに上げて、にやりと笑う。
「あぁ、君の知っている波多野祐樹そのものさ。でも、白状しよう。波多野祐樹は本当は存在しない人間なんだよ」
 そう言うと、飛びあがってくるくると回る。すると、波多野は紺色の狐のような姿に変わった。後ろから、ゾロアいいぞ、とはやし立て、笑う声が聞こえた。それが波多野の本名か、と鳥坂は察する。
『ついでに言うと、岸田さんもね』
「グルだったってわけか」
 一歩退きたくなる気持ちを抑えて、何とか姿勢を保つ。波多野は続ける。
『妖怪退治屋の血を引く人間がこの街にいるって聞いたからさ、俺らとしてはやっぱり迷惑じゃん? 早めに潰しておきたくて、皆でそいつをやっちまおうって話さ。誰がその人間なのかを探すの、苦労したんだぜ。何人かに目を付けて、仲間をけしかける。そうやって虱潰しに調べたよ。鳥坂がそうだって確信するまでに一か月かかった』
 少し踊るように跳びはねながら、鳥坂の周りをぐるぐる回りながら話す。
 それで、最後の仕留めにかかるためにこちらに入ってくるように仕組んだ。そう言う事か。
「じゃあ、あそこにいるのは」
 鳥坂は括りつけられた女子を指さした。
『あれがホントの岸田さん。妹ってのは、ウソさ』
 波多野はキシシと笑った。
 うーて、うーて、と周囲からのコールが聞こえる。波多野は辺りを見回して、鳥坂に言う。
『まぁ、ただ俺達が鳥さんを食うだけじゃみんなも面白くないからさ、ちょっと遊ばれてやってよ。一回ぐらいショータイム見せてもいいんじゃない?』
「ショータイムって」
 鉄砲が急に浮き、鳥坂の右手に無理やり収められる。
 恐らく波多野の念動力か何かだろう、と鳥坂は推測する。ちゃんと鳥坂の手が鉄砲を持っていることを確認すると、波多野は射的の台に乗っかり、声を上げる。
『さーぁ、皆さん、鳥坂くん最後のショータイム! 助けたかった女の子を撃たなきゃいけないの巻、始まるよー!』
 そういうことか。ショータイムの意味を鳥坂は理解する。鳥坂が救出する筈だった岸田を殺さなくてはいけない様子を、魑魅魍魎は楽しんでいる。
 周囲の歓声は更に大きく上がる。コールお願いしまーす、と波多野が言うと、発砲をはやし立てる拍手の音が聞こえる。拍手の間隔はどんどん短くなっていく。
 鳥坂は銃を握り締めた。



 あとがき
祭りがテーマなのに、思ったよりも幽霊、お化けものが少ないのが意外でした。
書くのにもうちょっと時間が欲しかったなぁ。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.35 )
日時: 2010/09/06 23:16
名前: モソソクルッペェ!

Aコース「帰る場所」

 いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、これはちょっと予想外だよまずいって死んじゃうってどうすんだよやばいやばいやばい、なんだよあいつら強すぎ、意味わかんないどうなってんだよ無理だよどうやったって勝てない。何がどうなったらあんなに強くなるんだよ、おかしいだろ野生であそこまで強いって駄目だろあいつらそこら辺のジムリーダーのポケモンより強いよ。「ちょっ! アリゲイツ! もういいから逃げよう! 集団相手は無理だ!」悪かった! 僕が悪かったからどうか許してください! って言ったってあいつらは止まらない。くそう、なんなんだよ一体。どうなってんだよ。ジムバッヂを六つもってたら強い部類に入るんじゃないのか。ジムリーダーなんて瞬殺できたはずなのに、なんだってここのポケモンは皆強いんだ。僕は、負けないはずだった。余裕で勝つつもりだったのに、噂以上の強さだ。ゴローンのくせしてイワークのくせして、僕のアリゲイツの水鉄砲がまったく効かない。まるでシャワーでも浴びているみたいに、気持ち良さそうに、何事もなかったかのように攻撃をしてくる。ジムリーダーを六人も破った僕のアリゲイツの攻撃が、ただのシャワーにされてしまっている。一体ずつならまだなんとかなるが、集団で来るともう無理だ。くそう。「ア、アリゲイツ! こっちだ!」後ろからくる、というより転がってくるゴローンの群れから、直角に曲がってそれを避ける。岩陰に隠れ、やりすごす。やっぱり、シロガネ山に来たのは、もとい、侵入したのは間違いだった。あそこはやばい、と言ったマスターの言葉は本当だった。バッヂ六つじゃ勝てない、僕じゃ勝てない。……僕は、弱い。ここは、この山は、僕を殺す。

 容姿が悪く、性格も最悪。何が出来るわけでもない。そんな僕が一つだけまともに出来たのが、ポケモンバトルだった。僕の唯一の誇りだった。僕には親がいなかった。施設に入っていた。その中では、僕が一番強かった。僕がバトルで勝つと、いい試合をすると、皆が褒めてくれた。僕を見てくれた。ポケモンバトルは、僕の心のライフラインだった。それが、全てだった。負ければ僕はただのクズで、誰も僕を見てくれない。僕からポケモンバトルをとれば、もう、何も残らない。水気のなくなった雑巾のように、僕はカラカラになる。そんな風に過ごしていたある日、施設に強い子が入ってきた。かろうじてバトルには勝ったが、僕はこの世界にはもっともっと強い人がいるんだとわかり、恐くなった。自分を脅かす者がいるんだと知って、震えた。だから、僕は施設を飛び出した。この世界で一番強くならなくちゃ気がすまなかった。誰であっても僕のライフラインを潰すことだけは許さない。絶対に許さない。そんな風に恐い顔で旅をしていると、僕は凄く強くなった。アリゲイツと一緒に、ジムリーダーと闘った。最初はハヤトというジムリーダーだった。とっても弱かった。瞬殺だった。その次闘ったツクシも、弱かった。連続切りが必殺技みたいだったけど、そんなものは僕のアリゲイツには効かなかった。その次のアカネも、マツバも、シジマも、みんなみんな弱かった。ジムリーダーなんて偉そうな肩書きの割りに、どいつもこいつも弱かった。でも、ミカンというジムリーダーは強かった。見たこともないポケモン、ハガネールというポケモンを出してきて、こいつがとんでもなく強かった。負けそうだった。僕のアリゲイツが、初めて負けそうだった。でも、僕は勝った。負けたら僕は終わる。カラッカラの雑巾になる。僕はその時点で駄目になる。だから僕はいつだって全力で、寸分も手を抜かなかった、僕は勝った。いつもいつでも崖っぷちに立って闘っている僕は、どうやら強いらしい。負けたら終わりという恐怖に怯えながらも、僕は、この試合でさらに自信をつけた。この地方に、このミカンというジムリーダー以上に強いトレーナーはいないのだろうと思った。勝手に判断した。僕にとって、それは確信であった。わりと長い間旅をしてきたつもりだし、道行くトレーナーにだって負けたことがないし、ジムリーダーだって今までは瞬殺で、だから、強くなった僕が互角に戦い合えるトレーナーに出会えたことは、とても大きなことだった。実際ミカンはこの地方でも上位に入る実力を持つトレーナーだと聞いて、さらに確信を強めた。この地方でなら、もう負けない、この地方は、僕のテリトリーとなった。この地方でなら、僕はもう、カラッカラの雑巾にならずに済む。僕は安心した。唯一のものが奪われなくて、僕の心はもの凄くやすらいだ。僕はまだ、僕でいられる。僕が僕であるための誇りは、保たれる。それは、どうしようもなく嬉しいことだった。そんなある日、僕はシロガネ山という場所があるのを聞いた。この地方のジムバッヂを全部持ち、四天王に勝たなければ入る権利さえないほどの場所だと聞いた。僕の心は、また騒いだ。まだ僕を終わらそうとする場所があるのかと、憎悪さえ覚えた。とんでもなく強いポケモンがいるとは言え、野生のポケモンだ。僕の敵ではないと思った。でも、そこに住み着いている、そんなとんでもないところに住み着いているトレーナーがいるということは、気に食わなかった。僕を終わらそうとする奴がいることが、もう、許せなかった。僕はすぐにシロガネ山に乗り込もうとした。アサギシティの喫茶店のマスターは、やめろと言った。あそこはやばいと、強すぎると、顔を青くしていた。でも僕は、それはあなたが弱いからだと言った。マスターは怒らなかった。ただただやめろといい続けた。僕は言うことを聞かなかった。僕は負けるはずがないと思っていた。少なくとも、山に入るだけならなんの問題もないと思っていた。四天皇なんて倒さなくても、そいつを倒せば僕が一番であることは固いと思ったから、すぐに山へ侵入したのだけれど、僕は、マスターが言っていた「やばい」ということの意味をすぐ知ることになった。この山は、いや、もう山の麓から、その辺をほっつき歩いているポケモンでさえ、ジムリーダーのポケモンよりも強い。山の中に入れば、その強さはさらに飛躍した。僕のアリゲイツでさえ、一匹一匹相手をするのでやっとだった。群れてこられると、どうしようもなかった。初めて味わう敗北に、僕は何がなんだかわからなくなった。体が震えた。恐くなった。泣きたくなった。これで誰も僕を見ないと思うと、それだけで僕は竦みあがった。一対一で勝てるはずのポケモンでさえ、もう勝てないような気がした。アリゲイツと、フラッシュをお願いしているレアコイルと一緒に小さくなって、僕は、ひたすら岩陰で震え続けた。

「なあ君、なんでそんなところに蹲っているんだ?」声をかけてきた人がいた。ゆっくりと顔をあげると、全身真っ赤なトレーナーが立っていた。「あんた、誰?」「俺? レッド」「なんでここにいるの?」「外じゃもの足りないから」「もしかして、あんたここに住み着いてる人?」「まあ、そんな感じ」僕の中身が騒ぎ出した。わあっと体中から何かが噴出したような気がして、僕は、レッドという男をにらみつけていた。僕は、まだ、終わらないかもしれない。こいつを殺せば、倒せば、僕は、僕を取り戻せるかもしれない。こいつさえ、こいつさえどうにか倒せれば!「アリゲイツ! ハイドロポンプ!」即座に反応したアリゲイツが、目の前に立つレッドの正面に向かって、水を放つ。勝った。ふいうちだったら、僕にだって勝てる。たとえこいつが、この山のポケモン皆に勝てるのだとしても、ふいうちならば、僕の勝ちだ。僕の誇りは戻ってくる。僕はまた僕になる。皆が僕を見てくれる。僕を僕と見てくれる。「おいおい、いきなりはひどいじゃないか。やるならちゃんとやろうぜ」「あ……あぁ」レッドは、何事もなかったかのように、ちょっとだけ右にずれて、ハイドロポンプを避けていた。「な、なんで……」「トレーナー自身も強くなきゃいけないって、なんとか団のボスが言ってたぜ」……僕は、こいつに勝てない? 僕は、こいつに勝てない。僕は、こいつに勝てないよ。僕は、終わる。僕はなくなって、僕はどうなる? 死ぬ? やっぱり死ぬしかない? ……。バトルが弱い僕は、独りだ。また、独りになってしまう。こんな顔も悪くて何も出来なくて、頼りのバトルも駄目なんじゃ、僕は誰にも見てもらえない。僕が僕足りえる部分がなくなる。「だ、だめだだめだ……」「なに? ぶつぶつ言ってんなよ。やるならやろうぜ」「お前、死ねよ。お前はやく死んじゃえよ!」僕は、レッドに飛び掛った。こいつを倒さなきゃ僕は駄目だから、もう、とりあえず突っ込むしかなかった。レッドはひらりと身をかわし、僕はすぐに起き上がって再び突っ込む。ひらり、ドスン。ひらり、ドスン。ひらり、ドスン。僕は進むしかなかった。レッドは笑っていた。楽しそうにしていた。こんなバトルでも、楽しそうにしていた。「く、くそう……」「せめてポケモンに手伝ってもらったら? お前のポケモン、辛そうにしてるぜ」「くそ、くそ、僕は、お前に勝たなきゃ」「まあいいや」ひらり、ドスン。ひらり、ドスン。ひらり、ドスン。「ほら、もう諦めろよ。お前の身一つじゃ俺には勝てないって」「うるさい!」「馬鹿だなあ」「黙れ!」「でも、その勢いは嫌いじゃない」ヒラリ、どすん。ヒラリ、どすん。ヒラリ、ドスン「お前、強いんだか弱いんだかわかんねえ奴だな」「うううううううう」「ちゃんとしろよ、そうしたら、お前もっと強いぜ」「う、うう、うるさい!」ヒラリ、ではなく、初めてレッドは、僕を殴り飛ばした。突っ込もうとしたところを殴られたので、僕は横にそのまま倒れた。そんな僕を見てか、アリゲイツが大きく声をあげた。レアコイルも声をあげた。二匹が同時に攻撃するのが見えた。レッドが笑みを浮かべ、腰のモンスターボールに手をかけた。僕も立ち上がった。ただ、突っ込んでいった。

 ボコボコにされた。僕も、僕のポケモンも、皆ボコボコにされた。完膚なきまでに叩き潰され、もう起き上がれないんじゃないかというほど痛めつけれた。レッドは鬼だった。「お前、気失わないのな」「黙れ」「お前、もっと頑張れよ」「黙れって言ってるだろ。僕、あんたが嫌いだ。あんたは僕を殺す。あんたのせいで、誰も僕を見ない。僕はまた独りだ。せっかく積み上げたものが、あんたに全部壊された。だから嫌いだ。僕はあんたを許さない。いつか絶対やっつける」「どうでもいいけど、頑張れって」「あんたとは嫌いだから喋らない」「へへ、俺はお前大好き」レッドは、そう言ってニカっと笑った。「何度も言うけど、頑張れよ。世界中の誰もがお前を見ていなくても、俺はお前を見てるぜ。だから、頑張れ。俺を倒せるように頑張れ。頑張ったらもう一度ここに来い。また俺がぶっ飛ばしてやる。そうしたらまたもう一度頑張れ」「な、なにを……」「だから、俺がお前を見ててやるって言ってんだよ。寂しいんなら、俺んとここいよ。いつでもぶっとばしてやる。でも、俺に勝ちたかったら、お前のポケモンの中でもとびっきり強いアリゲイツだけじゃ駄目だ。全員と仲良くなって、全員で強くなってこい」「余計なお世話だ!」僕は、ほとんど動かない体にむちうって、無理矢理起き上がる。アリゲイツとレアコイルをモンスタボールに入れ、ゆっくりと歩きだす。「どこへ行くんだよ」「ポケモンセンター」「連れてってやろうか」「やだ」「そんな事言うなよ。俺とお前の仲だろ」「知らないよそんなの」「だって無理だろ。洞窟暗いし、レアコイル動けないし」「お前がやったんだ」「いいから手伝わせろ」「来るなうざい」「照れるな馬鹿」レッドはそう言って、僕の背中を叩いた。「痛いよ」「悪いなわざとだ」「知ってる」「そうか」僕は不思議と心地よい気がした。もう僕は僕でいいんだと、そんな不思議な安心感につつまれた。ポケモンセンターへ行ったら再び旅立とうと、僕は決心した。

[了]

メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.36 )
日時: 2010/09/06 23:17
名前: こんにちは

Bコース【君へ伝えたい、でも、】


 しんだひとがいきかえればいいって、おもうんだ。
 じゃないと、このおもいはどこにはなてばいいんだよ。


 木原翔子がある日死んだ。僕はそのことを次の日のニュースで知った。朝のニュースだ。一番最初のトピックスで。
 まず同姓同名だと思った。そうしたらすぐに出てきた顔写真で大きな衝撃を受けた。画面いっぱいに出てきた彼女の顔は少しぼやけていたが確かに彼女だった。
 通り魔に、殺されたのだと。
 まだ手元にご飯は残っていたが当然その手は止まり、そしてその後も食べる気にはならなかった。ショックでこのまま死んでしまいたいと思った。
 満足に朝ご飯を済ませずによろよろと向かった学校では勿論、その話題で持ちきりだった。特に僕のクラスは。彼女は僕と同じクラスだから。
 テレビで見ているときはそれでもまだ夢心地だった。その後学校で皆が話していてすごく怖くなった。ただ、僕の前の席は今は誰もいなくてもすぐに埋まると信じたかった。皆勤賞を狙ってると言っていたんだ。
 だけど、朝礼で担任が重々しく事実を発表して、一気に現実になった。
 その日緊急集会が開かれた。
 皆で黙祷をした。先生も生徒も全員。
 あの時僕は何も考えていなかった。考えられなかったんだ。心臓は震えていて、喉の奥で何かが渦巻き大きな穴を作っていた。

 別のクラスの僕にとって一番親しい友人が、集会の後で僕の肩を軽く叩いて呟いた。どんまい、と。その言葉はひどく軽いものに思えて辛くなった。

 僕は、彼女のことが好きだった。



 今日は夏祭り当日。僕はこの日、友人に手伝ってもらって彼女と一緒に祭りに出かけようって話になってた。本当に行けるんだって思ったら幸せでしょうがなかったんだ。だけど、だめになった。
 仕方がないから野郎四人で行くことにしたのだけど、もう残念すぎる。気分は落ち込み過ぎてどこにいったのか分からない。
 彼女が死んでから一週間。犯人は捕まった。どんな性格のやつかは分からない。捕まったからなんなんだよ。いつか起訴されるだろう。それで死刑になったり無期懲役になったりして、でも彼女は戻ってこないんだって。犯人のことはすごく腹立つ。今すぐ殴りたい。テレビや新聞であの顔を見るたびに苛々して腹が立って憎たらしくて、けど最後には必ず自分で虚しくなるんだ。
 告白すれば良かった。
 すきですって、良かったら付き合って下さいって、言えば良かったんだ。
 初めて彼女を見たのは高一の夏だ。隣のクラスに遊びに行った時、その時そのクラスは席替えを丁度終えた所だった。僕の友人の隣、そこに彼女が座っていた。一目ぼれってまじであるんだって思った。声も僕の中に心地よく入ってきて、正直友人との話はそっちのけでちらちらと彼女を見ていた。
 顔もけっこう綺麗に整ってて、噂によると中学の頃は相当もてていたけどことごとく断ったらしい。それは高校に入っても同じだった。高二になって同じクラスになった。勇気を出して話をかけてみれば普通に喋ってくれて、クラスでもどっちかというと……いや相当地味な僕なのに普通に接してくれた。勇気って大切だ、すごく大切だ。
 いつか告白したいと思ってた。皆断られていて、僕も断れるかもしれないって思うけど、それでも一握りほどの可能性にかけてみたかった。
 この気持ち、ぜーんぶ行き場が無くなってしまった。だけどしょうがないだろ。死ぬなんて思ってなかったよ。人間いつ死ぬか分からないんだって言うけど、誰も本当にそんなこと思ってないだろう。
 ああもう、さがった気持ちが下がらないんだ。

 僕は腰かけていた椅子からゆっくりと立ち上がり、薄暗くなった景色を窓から見る。道には浴衣を着た女性数人がいて、皆笑っていた。
 溜息を吐いた。気合入れておしゃれでもするか甚平でも着るかとか思ってたけど、もうそんな気にはならない。普通の白いTシャツに黒い長ズボン。ラフで楽な格好だ。
 財布をズボンの尻ポケットに無理矢理入れると、狭い自分の部屋を出ていき階段を降りる。家には誰もいない。母さんも父さんもまだ仕事で、姉ちゃんは友達ともう祭りに行ってる。
 暗い廊下を重い足取りで歩き、どの部屋に寄ることも無くまっすぐ玄関へと向かう。自分の黒いサンダルをはいて、家を出る。
 途端、夏の息苦しいほどの重い空気が圧し掛かる。もう少しすればかなり涼しくなってくるだろうが、今日は何しろ祭り。人混みに入ればどうであれ暑い。
 ひぐらしの淋しげな声が身体に不思議と染み入った。
 鍵を閉めて一歩一歩踏みしめる。待ち合わせ場所はここから歩くこと十分くらい。自転車で行きたかったが盗られてしまった。どうして嫌なことっていうのはうまい具合に重なるんだろうな。
 肩は落ち込んでいる。あの日からずっとこうだ。
 住宅街の角を曲がり公園が目に入る。

 ――ん?
 僕は足を止めて耳をすました。ブランコが揺れている音がする。少しだけだが、小さなあの独特の金属音がしている。
 何となくその音が気になって、あの赤いブランコに視線を移す。
 ブランコの片方の方に、黒いサラサラとしたロングの髪の僕と同い年くらいの女の子がいた。黒地に青い大きな花がいくつも描かれた浴衣を着ている。
 祭りの待ち合わせだろうか、しかし僕はなぜか心臓がどきどきとしていた。公園の入り口で息を呑み、呆然として彼女を見つめる。
 ひぐらしの声はどこかに一瞬で遠くに飛んでいったような感覚に陥った。足が動き、公園に足を踏み入れた。そろそろと気付かれないように、まるで忍者の仕事でもしているかのようにそっと歩く。全身が痺れているような震えているような、けれど動いている。呼吸が荒々しくなりそうだ。
 彼女まで二メートルほどの所で、ざっと一度足元で砂を磨る音が公園に響くと、彼女は気付いたように身体をぴくりと動かす。僕の心臓が大きく跳ねた。


「……日浦君?」
 なあ。
 死んだはずの木原さんが、どうしてここにいるんだ。

「きっ木原さん……どっどどどうして」
 驚きのあまり一気に舌の回りが悪くなる。ああもうどうしてこうなんだ。
 木原さんはぱっと表情を輝かせて、ブランコから立ち上がった。僕の顔は多分真っ赤になっているだろうけど、辺りは少し暗いからきっと分からない、と信じたい。
 僕は改めて彼女を見た。浴衣姿の彼女はかわいかった。制服姿しか見た事無かったけど、本当にかわいい。少し長い睫毛、華奢な指、白くて綺麗な肌、身長は低めで何が言いたいっていうとまあかわいいってことだ。

「ははっ生き返ってみましたー」
 そう言って腕を軽く広げて見せる。
 夢だろうかいや夢じゃない。確かに彼女は目の前にいて僕と喋ってる。公園に彼女と僕が二人っきりだ。
 ――いや、それよりも注目すべきは彼女の今さっきの言葉だ。冷静になれ僕、とんでもないことをこの人言ったぞ。この世界の常識をひっくり返すことを。普通に考えてありえないことを。
「生き返った?」
「そうそう、神様がね、チャンスをくれたの」
「神様?」
「うん。詳しくは言っちゃダメって言われてるんだけどね。あたし、どうしても祭りに行きたくってさ」
 そんな理由で生き返ることができるのか?
 あまりの予想していない出来事に僕の頭は色々と混乱している。だけどよくわからないけど、神様のおかげでもう一度彼女に会えた。こんなラッキーがありえちゃっていいのだろうか。僕はこれで確実にの果たした。
 生温かい風が吹いて少し沈黙が訪れた。木原さんは少し身体をくるりと回すと、景色を楽しむように眺めていた。口元が少しだけ笑っている。
 遠くなっていたひぐらしの声が戻ってきて、なんだか少し現実感が増した。夢のようで浮遊感がずっとあったのだ。いや、今でも夢心地ではあるんだけど。
「じゃ、祭り行こうよ」
 木原さんはさも当たり前のように僕の方を見て言った。僕は一瞬で身体を固める。それが明らかに外面に出ていたのか彼女はくすくすと笑う。
「どうしたの、誘ってくれたじゃん。行こうよ」
「う、うん。そうだよな、そうだよ、うん」
 僕は独り言を呟くように僕は自分の胸を軽く叩く。頭がすごく熱い。情けないと自分でも思う。
 ポケットに入れていた携帯を取り出すと素早くメールを打ち始める。今日一緒に行く予定の友人に宛てて文字を素早く打つと、即送信した。内容は勿論、今日の予定のキャンセルだ。ドタキャンになり申し訳ないが後で説明すれば多分分かってもらえるだろう。いや分かってくれるだろうか。彼女は死んだのに。
 携帯を勢いよく閉じると、木原さんが下駄をからんと鳴らして傍にやってきた。甘い匂いがしてどきっとする。これが現実じゃなくてなんだと言うのだろう。彼女はそうだ、生き返ったんだ。信じられないけど現実にそうなった。
 木原さんは前に歩み出した。僕は慌ててその後を追い、自然と隣で歩く。どこを向いたらいいんだろう、頬が緩んでかゆい。
 ちらりと木原さんを見下ろす。彼女とは十センチほど身長差がある。この差がひどく懐かしく感じられた。
「私、祭りに行けたらもう満足だわ」
 呟くように言った彼女の言葉に僕の心臓は跳ねた。その言葉は、祭りが終わったらまるで離れてしまうと言っているようなものじゃないか。
 この幸せな時間が長続きはしないのかと考えると一気に僕の肩に重いものが圧し掛かる。
「だって折角の夏なのに、一回も祭りも行かないなんてもったいないよね」
「き、木原さん」
「何?」
 首を傾げる彼女の瞳はまっすぐに僕を見てきていた。もう今日の僕の心臓はいつもよりずっとフル稼働していて百五十パーセントくらい頑張っていて、正直死にそうです。
 だけど確かめておきたいことはある。
「この祭りが終わったら……また、死ぬの?」
 もっと他に言葉は無いのだろうかと思うけど、他に思いつかなかった。
 木原さんは大きく目を見開いた。その後、喉の奥を鳴らすように笑いを込み上げさせた。
 公園を出て自然と足は祭りの方へと向かう。祭りは町でわりと有名な方の神社で行われるもので、毎年とんでもない人で賑わう。
 少し空気が涼しくなってきて、楽になってきた。彼女の下駄の音が住宅街に可愛らしく跳ねる。
 落ち着いてきた頃木原さんは笑みを浮かべながら口を開いた。
「死なないよ。ちゃんと生きる。一応本当に何も無ければ普通に歳とるよ」
「そう、なんだ」
 ほっとして胸をなでおろす。幻想じゃなく僕の幸せは続く。
 僕の思いを伝える機会を、神様は用意してくれた。最高だと思う。どきどきするけど、だけど僕は一度絶望を味わった。何度も何度も数え切れないくらい苦しくなるほど後悔した。もう後悔なんてしたくないから、絶対に今日伝える。
 すきです、と。

「でもね」
 少しトーンを下げて彼女は淋しそうに言った。
 一気に空気が変わったような気がする。僕はなんだか突如不安になって彼女の顔を見る。声の温度のまま淋しそうな顔をしていた。
 躊躇うように一度僕から目を逸らし、彼女は正面を向いた。小さな白い乗用車が隣を通り過ぎていく。相変わらず人の気配はしない。
 風が辺りの家の植木を揺らす。もうひぐらしの声は聞こえない。

「私が誰かを好きになったら、また天国に戻るんだって」

 平坦に突然出てきた言葉。僕は一瞬聞き流しそうになったが改めて自分の中でそれを噛む。けれどその意味がよくわからない。何を、言っているんだろう。
 木原さんをじっと見ると彼女は無理して作ったような笑顔をした。苦しそうだった。
「神様は、私に一人でいてほしいってことかな」
 もう一度木原さんが言ったことで僕は先程の言葉の意味を思い知る。思い知らされて呆然としてしまう。
 だんだんと歩幅が小さくなりスピードは遅くなり、僕は遂に立ち止まった。顔を少しだけ下に傾けて軽く拳を握りしめる。目はどこも見ていなかった。虚空を見つめているようだった。幸せな気分はどこへやらである。
 木原さんが心配そうな声で僕の名前を呼んだ気がしたけど、よく分からない。


 ああ、そうか。
 神様、本当にいるかどうか疑わしいところの神様は、僕を完全に見放している。
 だって、そうだろ。
 誰かを好きになったら天国に戻るってことは、木原さんは僕を好きなわけじゃないって、遠まわしに言ってるようなものじゃないか。

 すでに失恋してるじゃないか。


「日浦くん、行こうよ」
 ようやくちゃんと木原さんの声が届いてきて、僕ははっと我にかえる。木原さんは少し怒った顔で僕を見ていた。
 僕は少し笑った。多分引きつっているんじゃないかと思うけど、無理矢理にでも笑っておかないと壊れてしまいそうだ。

「うん、ごめん、行こうか」
メンテ
【Bコース】『わたし、わたし、わたし。』 ( No.37 )
日時: 2010/09/06 23:18
名前: きゃんでぃー

 父から手紙を貰った。便箋は相変わらず安っぽくて、素っ気が無くて、飾り気がなくて、それが父らしくあった。内容は自分は元気だという事、お盆には帰ってくる事、健康には気を使う事。その三つだった。しかしながらこの手紙の意味している所は、無関心で、世間に疎くて、性格の悪い私に夏を知らせる所にあると思う。だなんて母に言ってみた。母は少しだけ微笑んで、頬に人差し指を当てて、少しだけ茶目っ気を持って、もうお年頃なのね、と言った。その口調がなんだか悔しくて、悔しくて。そうよ、とだけしか答えられなかった。父への返事を書いた。私は元気です。たったそれだけ書いた。その文面をみて母が、やっぱりお年頃なのね。やっぱりお年頃なのね。と嬉しそうに繰り返していた。繰り返した。私は悔しくなってその場から逃げだしてしまった。部屋の中で、やっぱりお年頃なのかな。ベッドに寝転んで、目をつむって、唇を動かして、呟いた。やっぱりお年頃なのかな。私。
 ともちゃんがお昼ご飯の時間に、今度映画を見に行こう。って誘ってくれたので友達の何人かで映画を見に行った。大変だったのは、映画の主役の俳優の名前を知らなかった事、なにを着て行こうか決め切れなかった事、それからお小遣いが無かった事。でもともちゃんは、大切な、大切な、本当に大切な友達だから、断らなかった。もしかしたら私は断れなかったのかもしれない。でも確実に言える事は、私はともちゃんと映画を見に行った。ということ。映画を見ていると、ヒロインの女の子が、腰に手を当てて、そっと目を瞑って、そっと身を乗り出してキスをするシーンがあった。その時に私もこんな風に、好きな人にこんな態度をとってみたいと考えた。映画の後でともちゃんに感想を聞いてみた。私とおんなじ考えかと思ったけど、ちょっと違っていた。少しだけともちゃんとの距離を感じた。感想の後にともちゃんから、ちーちゃんはどういう感想を持っているかと聞かれて、少しだけ考えて、少しだけ迷って、少しだけ躊躇って、ともちゃんとおんなじだよ。と答えた。なんだか情けないな、私。
 もうすぐ夏休み。でも私は夏休みの予定を全然考えていなかった。何故そんな事を考えたのかと言うと、休み時間の時後ろの席に座っているゆうちゃんに聞かれたのだ。夏休みはどうするの。って。私はゆうちゃんの瞳をじっと見て、まだ考えていないの。と答えた。じゃあ、一緒に私と遊ぼう。そんな瞳をゆうちゃんがした気がしたから慌てて言葉を続ける。でも、でもね、私部活があるの。だからあんまり遊べないかもしれない。私は逃げるように答えた。けどこれは嘘だ。嘘を言った理由はゆうちゃんが嫌いだとかそういう理由ではなく、夏休みは友達と遊ぶような気楽でのんびりとした生活を送ってはいけないような気がしたからだ。ごめんね、ゆうちゃん。でもゆうちゃんは私の言葉の本当の意味なんて知る由もなく、そうだよね、ちーちゃんは部活があるもんね。忙しいよね。でも暇があったら連絡してよね。だなんて言葉をこの私に返してくれた。ごめんね、ごめんね、本当にごめんね。
 私はソフトテニスを中学の時からしている。コーチが夏休み前の週末に練習試合を組んだ。私、練習試合が嫌い。負けてしまってもなにも失わないような、笑って負けをごまかせるような、次頑張ればいいような雰囲気の練習試合が大嫌い。一緒にペアを組んでいる隣のクラスのれなちゃんがそっと私の肩を叩いて、頑張ろうね。絶対勝とうね。と言った。でも、私は負けても構わないという雰囲気も、勝たなければならないという雰囲気も、どちらも嫌いだったから返事に困った。だけど、絶対、絶対勝とうね。なんて返事をしてしまうから勝ち負けなんかに流されるのだと思う。私は流されず立ち止まる事が出来ないのだ。いままでも、これからも、そしてもっとこれからも。
 読書が苦手な私がこうして一冊の小説を読みあげたのは、明日の練習試合に行きたくなかったから。他にも様々な理由があったけれど。でも今夜読んだ小説はとても面白かった。内容は主人公の男が本当にどうでもいいような理由で人を殺してしまって死刑になってしまう話だった。自分に嘘をつかずありのままを受け入れられる男が凄く羨ましかった。たとえそれが原因で死を迎えてしまうのだとしても。そっと本を閉じて、そっと本を開いて、最後のセンテンスを指でそっとなぞって読んでみた。
 結局私は練習試合に行かなかった。それから私は眠って起きたのはお昼過ぎだった。でもこれで良かった。ともちゃんに、遊ぼう。とメールした。部活はいかなくてもいいの? と返事が来たから、大丈夫。と答えた。しばらくしてともちゃんがうちに来た。それから二人で買い物をした。時々ともちゃんが部活の事を聞いた。けれど私はまるで興味を持っていないかのように、いいの。と出来るだけ気にしていないように答えた。そのたびにともちゃんは、へえ、そうなんだ。じゃあいいよね。と答えてくれた。なんだかそれが清々しかった。でも、これは一度きりにしようとも思った。これ以上繰り返したら部活を辞めてしまいそうだから。そうしたら両親に怒られるから。その夜にコーチから連絡があった。私は、今日は本当にごめんなさい。と、それだけ言った。コーチは次から気をつけるように言うだけだった。逆にそれが不安になって、今度はれなちゃんにごめんね。とメールした。送信ボタンを押す指は長い間躊躇っていたように思う。
 終業式。体育館に集まる生徒。暑い。だなんて呟いているような生徒を一人も見かけなくて、夏休みなのだなと思った。終業式の最中、いよいよ夏休みだね。ともちゃんに話しかけられて、笑顔で返した。一緒に遊ぼうね。と私は約束をした。それから教室で成績表を貰って、先生から話を聞いて、クラスメイトに手を振って。さあ、夏休み。なにをしよう。
 恥ずかしいけれど、私、好きな人がいるの。どうして、どうしてこんなことを宣言したのかと言うと、このままじゃ前に進めないような気がしたから。立ち止まって、うつむいて、振り返って。そんな繰り返しはもう嫌だから。前に進もう。前に、前に。ともちゃんと終業式の夜にこんなやり取りをした。でもともちゃんに、不思議ね。ちーちゃんに好きな人がいるなんて。なんて返事をされた。その時ほんの少しの距離感と、言葉では表せないような不安と、私を分かってもらえない悲しさで、胸が震えた。そうだよね、やっぱり変だよね、私に好きな人がいるなんて。返事はこうだった。けれど本当は、秘密。だなんて言いながら好きな人の話を、顔を想像して、声を思い出して、隣に私の姿を想像しながら説明したかった。ばか。ばか。ばか。ともちゃんのばか。でも、こんなことを言う私はもっとばかだ。大嫌い。
 偶然見た星座占いで一位だった。普段は占いなんて全然信じないけれどこういう時は期待してしまう。都合がいい女だな、私。今日は久しぶりの部活。れなちゃんにおはよう。と声をかけられたので、出来るだけ笑顔でおはようと返す。それから練習試合の時のお詫び。ごめんね。と謝るとれなちゃんは、いいよ。って言ってくれた。理由なんてないのに練習試合を休んだ私がとても恨めしく感じた。お昼ご飯はれなちゃん達と一緒に食べた。今日はなんだか良い事が起こるような気がして、自分でお弁当を作った。ちょっと砂糖を入れすぎてしまって卵焼きは少し失敗はしたけれど、自分で作ったものはやっぱり一番美味しい。そうしていたら、朝の占いが当たったのだろうか。本当に良い事が起こった。それはふとした偶然で、ちょっとした気まぐれで、まるで神様が微笑んでくれたかのような、そんないくつかの出来事が重なって起こった。きょう私は水筒を持ってくるのを忘れてしまったのだ。こんな暑い日だから私は調子を崩してしまわないようにスポーツドリンクを作っていたのだが、どうやら占いの一件で気分が浮ついていてしまったのか、それともなにかの暗示であろうか、私はスポーツドリンクを家に置いたまま部活に行ってしまった。お昼ご飯の時にその事に気がついて、れなちゃんとジュースを買いに行った。運命なんて言葉、嘘みたいで、都合が良すぎて、でも少しだけ羨ましくて嫌いだけれど、この時だけは信じてみたい気持ちになった。何故なら私の憧れの人がそこにいたから。それだけでもうなにも言う事は無かった。
 私は小説を読むのは嫌いだけれど、詩を読むのは嫌いではなかった。詩を読むのには時間がかからないし、その情景に自分を置く事が出来るから。むかし、ずっと好きだったあの人は、アルファベットの名前順でさえひどく離れていて殆ど会話をする機会なんて無かったの。だなんて詩の一文があったのを覚えている。どうしてこの状況で私がこの詩を持ち上げたのかと言うと、そっくりそのまま今の私にその情景を投影していたから。本当は行く事が無かったであろう自動販売機に、同じクラスであるのに殆ど話す事が無かった憧れの彼がいたのだ。胸が震えた。彼もまた部活の休憩時間らしく一息つく為だろうか自動販売機に来ていた。彼はバレー部に所属していた。でも背は小さくて、腕は本当に細くて、バレー部にいるのが不思議なくらいかよわかった。でも、見ているとなんだか不安で、応援しているこっちがかわりにバレーをしたくなるような、常に一緒にいてあげたくなるような雰囲気を彼は持っていて、そんな彼にいつの間にか私は魅了されていた。本当はあんまり会話をした事も無いのにできるだけ優しい声で、でも本心は隣のれんちゃんには気づかれないように聞く。俊君今日も部活なの? 言ってから思ったけれどこれはちょっと変な質問だった。そんなの見れば分かるから。俊君は暑さのせいで疲れている為か、こういうことは嫌だけれど突然話しかけられた事に対してちょっと嫌気を感じているのか、はたまた別の理由があるのかよく分からなかったけれど、私の問いかけに対する返事に元気がなかった。それでも頷いてはくれたのだけれど。これからどう話そうかと考えているとれなちゃんが俊君をせきたてるように、そんなんだからバレーがうまくならないのよ。堂々としないと。ねえ、ちーちゃんもそう思うでしょ? 私は感心してれなちゃんの言葉を聞いていたのだが、あまりにも突然だったので言葉を濁すことだけしかできなかった。が、俊君は、そんなの分かっている。分かっているよ。僕が運動部に入ったのが間違っていたのかな。なんて悔しそうに言った。この言葉を聞いて、もっと私は俊君を好きになってしまった。だって、その口調があまりにも可愛らしかったから。ぎゅーっと抱きしめてあげたくなったから。でも、少しだけいじめてみたくもなったから。
 れなちゃん、今日はありがとう。私の携帯のアドレス帳に俊君のアドレスが増えた。あれから休憩時間が終わるまでの間れなちゃんを介しながら俊君と色々な事を話した。驚いたのは想像以上にれなちゃんと俊君の仲が良かった事。でも、おかげでずっと俊君と仲良くなれたような気がする。夜、少しだけ俊君とメールのやり取りをして、少しだけまた明日会えると期待して、今日の俊君の笑顔を思い浮かべながら眠った。おやすみ。おやすみ。おやすみなさい。いい夢を見たいな。
 ともちゃんとゆうちゃんと一緒にお買い物に行った。最近部活ばかりでともちゃんとも遊んでいなかったし、ゆうちゃんとは夏休みの前に約束をしていたから今日は一日遊ぶことにした。本当はそんな気全然なかったのだけれど、洋服屋さんでついかわいいワンピースを見つけて思わず買ってしまった。ねえ、ちーちゃん。今度の夏祭りはそれを着て出かけるの? ゆうちゃんにそう聞かれて、やっと私は今年の夏祭りの存在を思い出した。だから誰と行くかなんて全然考えていなかった。ただ浴衣を着て、友達と露店で楽しんで、花火を見て帰る。それだけの物だととらえていた。今年はどうしよう。そう考えていた時にともちゃんから、今年も一緒に夏祭り行こうね。だなんて言われて頷きかけたけれど、俊君の顔を想像したら頷くわけにはいかなくなってしまったの。ごめん、私、今年はまだ決めてないの。また夏祭りが近くなったら連絡するね。それだけしか言えなかった。でも、心の中では既にどういう理由でともちゃんの誘いを断ろうかなんて考えていた。
 コーチが週末に練習試合を組んだの。本当は行きたくないのだけど、行かないといけないよね。と俊君にメールを送った。どこで練習試合をするの? なんて返事が来たから、そんなことを言う俊君は不似合いだ。なんて考えながらも、うちの学校であるの。と返事を送った。じゃあ、行こうかな。返事が返ってきた時、やっぱり俊君には似合わないよ。なんて照れくさく返したんだけど、とても嬉しかった。週末は頑張ろうと思った。夏祭りの事も言おうと思ったけど、なんだか二人で行くという事を考えたら恥ずかしくて言えなかった。でも夏祭りにはともちゃん達とお買い物に行った時に買ったワンピースを着て行きたい。それだけは私の中で既に決まっていた。だって私が着物を着てふたり並んで歩いたら、なんだか二人似合わないような気がするから。そう、だって私の方が背が高いもの。
 練習試合。本当に俊君が来てくれた。コートの外から応援してくれる姿が嬉しくて、恥ずかしくて、集中できなくて。だから、試合に負けちゃった。それが悔しくてなんだか少し泣いちゃった。泣いてないふりをして、にっこり微笑んで、一緒にお昼ご飯を食べよう。って俊君を誘ったの。せっかく見に来てくれたのに、このままじゃつまらないでしょ。なんて強がってみたけど、涙は隠せなかった。不安そうに俊君は、もしかして僕のせいなの。なんて聞くけどそうに決まっているじゃない。ばか。ばかばかばかばか。ばか。大好き。だなんて言えなかった。本当はそうなのに。それも重なって涙が止まらなくなってしまって、そんな姿を俊君に見られて、慌てふためく俊君を私は見て。他のソフトテニス部員はどう思ったのだろう、私達ふたりに。
 私はいま一人で公園のベンチに腰掛けている。今日の朝俊君にメールを送った。昨日の事を謝りたいの。私の望む返事なんてあんまり期待していなかったけど、いいよ。そう返事が来た時は出来るだけ優しくして、なるべく二人距離を詰めて座って、そっと寄り添ってあげたいなんて思った。そして公園で待ち合わせをした。でも実は約束の一時間前から来ていたの。みずから約束の時間を示しておいて一秒でも早く会いたいなんて言うのはわがままなのかな、私。実のところを言ってしまえば、昨日の事を謝るだなんてメールでも電話でも会わずに済んだ事なのだ。しばらくして俊君はやってきた。まだ約束の時間には随分早かったけど、俊君は私の顔を見て微笑んでくれた。俊君は私の隣に少しだけ離れて座ったけれど、私はそれを詰める。その様子を見て驚いたように私の顔を彼は見る。今度は私が微笑み返す。ねえ、驚いた。驚いたよね。驚いたでしょ。そんな瞳をしながら。それから今度は私が緊張をする番。息を吸って、息を吐いて、もう一度吸って。昨日は突然泣き出しちゃってごめんね。俊君が来てくれたのに変な姿見られちゃって。お年頃なのかな、私。でも、ちひろさんがこんなに真面目に部活をしているだなんて思わなかった。だって、メールではいつも辞めてしまいたいなんて書いていたから。そうだっけ。少しだけ続いていた言葉のやり取りのリズムを少し落とす。そして俊君は私の事を嬉しそうに話す。私は頷きながら相槌を返す。こんな二人きりの時間なんて初めてで、それが嬉しくて、いつまでも続いてほしかった。そう、続いてほしかったの。どのくらい話しただろう。夕焼け。西日が嫉妬しているかのように限りなく私達二人に降り注いでいた。その情景に祭り囃子の情景を思い浮かべて、夏祭りの事を思い出す私。私から誘ってみるべきかな。なんて考えたけどすぐに却下した。そして改まったように俊君の方に向きなおして、人差し指を唇にあてながら口を開く。もうすぐ夏祭りがあるね。なんて下心丸見えの言葉を。互いに少しだけ黙って、一瞬視線がぶつかって、恥ずかしげに視線を逸らして。その間に私は魔法の言葉を心の中で呟くの。私からは言わせないで。なんていじわるな魔法の言葉を。そして魔法がかかったかのように、観念したかのように、見透かされたように彼は小さく呟く。本当は聞こえているのに、聞こえないって私は返す。もう一度呟く、聞こえないって私は返す。ねえ、なんて言ったの。もっと大きな声で言ってよ。もう、聞こえているんでしょ。一緒に夏祭りに行きたいな。って言葉。その先に返事はいらなかった。これ以上ない笑顔だけで十分だった。その晩ともちゃんにメールをした。私、他の人と一緒に夏祭りに行きたいの。だから行けない。ごめんね。返事はすぐに来た。聞いたよ、俊君と付き合っているんでしょ。私は夏祭りで二人並んで歩く姿を想像しながら、そうだよ。と返信した。なんだかとても幸せだった。
 お盆の前日に父が帰ってきた。少し疲れた表情をして、我が家の空気を思いっきり吸って、なにも変わらない我が家に安心した顔をしていた。こんなことを言ったら怒られるなんて分かっていながらも、おみやげを頂戴。だなんて言ったみた。やっぱり怒られた。父はなんにも変ってはいなかった。私はどうだろう。やっぱり変わっているのかな。お年頃なのよね、私。次の日家族でお墓参りをした。ちょっと不謹慎だけど私はご先祖様に、ときめきを与えてください。だなんて願ってみた。神様にお願いするだなんて私らしくないのだけど。
 たまには父に親孝行するのも悪くないような気がして、父親の買い物に付き合って、家族で食事をして、父の肩を叩いてあげた。でも肩叩きをしながら私が考えていたのは全然そんなことじゃなくて、やっぱり明日の夏祭りの事。どんなことを話して、どんなものを食べて、どんな笑顔をするのか。そんなことばかり考えていたの、私。やっぱりお年頃なんだな、なんて思っていたら母から口を出された。明日の夏祭りお父さんと行っちゃいなさい。ちひろもお年頃なんだし、もうお父さんと行くつもりなんてないのでしょ。別にお父さんと行くことは嫌ではなかった。けど明日は俊君と約束をしていたから、俊君が誘ってくれたから、私もその気持ちに答えたかったから行かなきゃいけなかった。でも男の子と一緒に夏祭りに行くから無理なの。なんて恥ずかしくて言えないもの。だから言ったの。私。でも、でもねお母さん。私、明日の夏祭りはもう他の人と行くって約束しているの。だから駄目。そんな言い訳でお母さんが引いてくれたらどんなに良かっただろう。いいじゃない、ともちゃんと一緒に行くんでしょ。ともちゃんとは毎年行けるじゃない。違うのお母さん。ともちゃんじゃないの。じゃあ誰なの。高校のお友達? もしかして男の子と行くんじゃないでしょうね。ここで、そうよ。だなんて言い切れたらどんなに楽であっただろう。でもやっぱり恥ずかしくて、お母さんにはまだ秘密にしておきたくて。いいわ、いいわよ。お父さんと行ってあげる。行ってあげるわよ。それだけ言い残して逃げちゃった。私。きっと泣いていたのだと思う。お年頃なのだわ、お年頃なのだわ。私。
 ごめんね。呼び出しちゃって。私は公園のベンチに座って待っていてくれた俊君に一言謝った。一晩考えて私はお父さんと一緒に夏祭りに行くことにした。そしてお父さんと一緒に夏祭りに行くことはこれで最後だって決めた。そっと隣に腰掛けて俊君に微笑む。いいよ。暇だから。この言葉の後にちひろちゃんの事が好きだから。なんてつくのはいつになるだろう。俊君の顔は微笑んでいたのだけど、これから私の口にする言葉を聞いて表情を曇らせると考えた時、なんだか悲しくもあった。俊君の瞳を見つめる。彼は今なにを考えているだろう。私が今日の夏祭りの事を話すと考えているのだろうか、それとも私の口からの告白を期待しているのだろうか。でも、それは駄目。駄目なの。夏祭りを誘ってくれた時の様に勇気を振り絞らせて、俊君に告白させるのだから。私はそれに仕方なく了承するの。胸の中ではこれほどまでに嬉しい事は無いと知りながら。でも、でもまさか私がこれから一緒に夏祭りに行けないなんていうとは思っていないだろう。でも少しだけ腫れている私の目と、少し暗そうな表情をしている私を見て気付いていたかもしれない。少しの沈黙。今日の夏祭りの情景。思い浮かべてそこに私を投影する。勿論隣には俊君。綿飴を食べる二人。きっと彼は自分の顔よりも大きい綿飴を顔につけてしまって私を笑わせてくれるのだろう。くじ引きをする二人。きっと当たらないけどやってしまう。互いに外れて、互いに顔を見合わせて、それから微笑んで。そして、射的。腕の細い彼はきっと狙いの物なんて取れないだろう。それを見た私は失敗するふりをして、後でこっそり一人で挑戦をして帰りにそっと景品を渡すのだ。限りない感謝の気持ちを込めて。それから、それから……。沈黙を壊すように、私の幻想を壊すように立ち上がって、一歩前に進んで、振り返らないで。きっと泣いているんだ、私。もう泣いている姿なんて見られたくない。そのままの状態で話しかける。あのね、一緒に夏祭りに行けなくなっちゃった。出来るだけ強がって。声はまだ震えていない。でも、早く返事をしてくれないと込み上げてくる嗚咽を抑えきれる自信がなかった。でも返事が来ない。ごめんね。と遅れて付け足して返事を求めてみる。俊君は、あのね。と大きく一言私の注意をひきつけてから喋り始めた。ほんとうはね、今日呼び出された時に予感がしたんだ。今日はきっとちひろさんとは一緒に夏祭りに行けないような気がした。だから、ここに来る前から覚悟はできたいた。さっき此処へ向かってくるちひろさんの表情も泣きだしそうだった。その表情を見た時に今日は無理なんだな。って確信した。ずっとね、諦めよう。また次の機会があるじゃないか。なんて考えようとしたけど、やっぱり無理だよ。どうしてかな。バレー部じゃずっと試合に出られない時でも次の試合を待っていられるのに。まるで魔法をかけられたみたい。ちひろさんの事が頭から離れなくなるような、そんな魔法。俊君は魔法だなんていうけど、それは恋に落ちているっていうの。でも、だからこそ夏祭り一緒に行こうって勇気を振り絞って誘ってくれた気持ちに答えてあげたかったの。なんて口で言えたらどんなに楽だろう。そっと涙を拭う。さっきの言葉を言えなかった代わりに、私にできる精一杯の合図を送る。今度一緒に別の場所に行こうね。ね。泣いていたのがばれてしまったかな。だって、胸の奥からこみ上げる嗚咽が止まらないんだもの。振り返らないままもう一歩踏み出す。本当は走って逃げだしたかった。帰るね。互いの距離を遠ざけないようなそんな素っ気ない挨拶をして歩く速度を速める。でも、待って。なんて俊君が叫んだからびっくりして立ち止まってしまったの。そして俊君が私の方に歩み寄ってくるのが分かった。なにをするのだろうかと思ったけれど、絶対に振り返らないでね。としか言ってくれずに俊君はそのまま黙ってしまった。沈黙。もう帰ってしまおうかと思い始めた頃に、すすり泣く声が聞こえて後ろから抱き締められた。一人で泣いて逃げてしまうなんてずるい。僕だって寂しいんだよ。好きな人と夏祭りに一緒に行けないなんて。ねえ、寂しいんだよ。それだけ言って俊君は驚いたように私から離れた。なにがあったのか分からなくて振り返る。やっと振り向いてくれた。言われてみてはっとした。俊君にうまく乗せられちゃったな。それから俊君は照れくさそうに言ったの。勢いに任せて抱きついてみたけれど、やっぱり恥ずかしいね、これ。その言葉を言う表情が本当におどけていて、なんだか本当に俊君らしくて、これ以上ないくらい可愛らしくて思わず笑っちゃった。私。
 夏祭り。お父さんと一緒に歩くだなんて恥ずかしいけど、これで最後。そう、最後。最後だから。この間言っていたワンピースはやっぱり着なかった。だってあれは俊君の為にとっておくのだから。着物を着て、お父さんに声をかけて、少し驚く父の顔を見て。夏祭り会場にお父さんと二人、並んで歩いていく。隣にいるのが本当は俊君だったと考えると、ちょっと許せないような気がしたけれど。それでも隣で照れくさそうに歩くお父さんに私は言うの。ねえ、お父さん。私、好きな人がいるの。って。
メンテ
投票についての案内 ( No.38 )
日時: 2010/09/06 23:19
名前: 一号

今回は大量に作品ありがとうございます!
それでは投票ルールの発表です。

☆投票ルール【大幅な変更あり】
1、全ての作品から一番良かったものを金賞として一作品、その次によかったのを銀賞として一作品、さらにその次に良かったものを銅賞として三作品選出してください。なお、銅賞は最低でもABから一つずつは選んでください。
2、ひとり1レスのみです。感想などを書きたい場合は見やすいように同じスレに収めください。
3、HNはポケノベで使用しているものでお願いします。仮面HNでは自作自演を許すことになりますので。(もし自作自演が認められた場合はポケノベル利用規約に従いなんらかの処罰が下る可能性があります)
4、書き方は問いませんが、できるだけ読みやすいものにするようお願いします。
※その他【追加あり】
・金賞は3点、銀賞は2点、銅賞は1点となる。
・投票権はこのサイトの全住民に等しく与えられる。作品を書かなかった者も気軽に投票してもよい。
・参加してみての感想などを添えて投票してくださると助かります。
・投票方法に誤りがあった場合、その投票は無効となる。


参加した方、しなかった方、どなたでもご自由に投票してくださるとうれしいです。
今回は大幅に投票ルールを変更しました。変更点を要約すると、全体から金賞1作品、銀賞1作品、そしてABから一つずつともう1個好きなのの合計銅賞3作品を選んでください。投票に間違いがあった場合は無効となるので気を付けてください。ということです。
メンテ
AB別目次 ( No.39 )
日時: 2010/09/06 23:20
名前: 一号

★目次
 敬称略。
 要望があったのでAコース、Bコース別に目次を作成します。

【Aコース】

>>3『暗闇は人を……』 挽きたて珈琲豆

>>4『とある秘境での出会い』 Rという名の作者

>>7『旅立ちは潮風と共に』 Rという名の作者

>>8『未開見たいテレポート』 さささ

>>9『リスタート』 ギルガメッシュ月光

>>11『ワカバの風』 TOM

>>17『escape "シュー"』 JDM

>>19『ソングフォーマイファーザー』 あちゃもとあらい

>>21『鎮霊祭と小さな夜の冒険』 紅蓮

>>23『あの夏をもう一度』 雑食仕様

>>27『残りものには毒がある』 ターケーシ

>>28『今日から頑張る』 とあるRの白黒神話

>>29『子ども発大人行き終点はありません』 コップ

>>30『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜

>>32『Unknown village』 kagero

>>33『ユーアンドアイ、愛』 でんぐりがえり

>>35『帰る場所』 モソソクルッペェ!


【Bコース】


>>1『マサゴの灯』 うぱぁ

>>2『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅん

>>5『あなたのおなまえなんですか?』 夏花火ロリコン仕立て

>>6『哀色の魂』 円

>>10『上辺とやる気は反比例』 ギルガメッシュ月光

>>12『身も震えるほど』 ちぎっては投げちぎって鼻毛

>>13『祭りとポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』 タニシになりたい

>>15『僕の防波堤』 ゲシュタポ

>>16『お祭りワッショイ!!』 Rという名の作者

>>18『STADIUM』 南瓜

>>20『さよなら花火』 がぶりす

>>22『ポカブツタージャ、そしてミジュマル』 あいうえおちあいくん

>>24『楽しめ、四回目の花火大会』 Rという名の勇者

>>25『時間の気紛れ、空間の悪戯』 Rという名の作者

>>26『君は死人に何を見るか』 ノルスタルジー将軍伍長

>>31『反抗期計画』 Rという名の牛丼

>>34『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 きぃぺ

>>36『君へ伝えたい、でも、』 こんにちは

>>37『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃー


☆ミスがあった場合は連絡ください
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.40 )
日時: 2010/09/06 23:21
名前: でりでり

☆前置き
 めんどいから目次からタイトルと作者の並びパクってきました。というわけで敬称略。
 感想書いてから、投票の発表をしたいと思います。感想はだいたい一作品あたり三行。

☆感想

>>1【Bコース】『マサゴの灯』 うぱぁ
 良かったと思います。主人公の心情とかが上手く表せていると思いますよ。
 でも逆にいえば、良かったという感想しかでないことかな。
 あんまり物語に抑揚がなくて平凡すぎたと思う。

>>2【Bコース】『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅん
 うおおお! これはすごい好み!
 繊細に人の心が描かれてるし、出来事も人間くさくてすごくいい!
 無駄もなくて非常に良かったです!

>>3【Aコース】『暗闇は人を……』 挽きたて珈琲豆
 うん。読点が多くて変な読みにくさを感じた。
 あとは回りくどさかなぁ。まあここまでくると単なる好みな気がするかもしれないけど。
 話の構成としては良いと思うよ。

>>4【Aコース】『とある秘境での出会い』 Rという名の作者
 同氏の中で一番気合いを感じました。描写においてはランクアップしてることを感じてます。
 やはり分かりやすい、っていうのがあなたの長所だと思います。
 でも話全体が軽すぎて物足りない気がする。いつもと違う路線に挑戦してみると何かが開けるかもしれません。

>>5【Bコース】『あなたのおなまえなんですか?』 夏花火ロリコン仕立て
 これ面白いよおお! いいの来ました。ストーリー最高。キャラの作りも最高。
 ヤバいね、テンポもメリハリも良くてメチャクチャ面白かったです。これからにも期待。

>>6【Bコース】『哀色の魂』 円
 うん、こういうの好きだなあ。こういう発想素敵。
 でも何か分かりにくいところがあるのと、終わりが不透明すぎるのがネックかな。

>>7【Aコース】『旅立ちは潮風と共に』 Rという名の作者
 探検っていうより探検へのプロローグ? インパクトがないなぁ。これも軽すぎる。
 まあ良い話で良い流れで、嫌いではないんだけども。

>>8【Aコース】『未開見たいテレポート』 さささ
 ヤバい、本当にびっくりするくらい大ヒット。もう頭下げたくなりますw
 非常に爽快で軽快で面白い話! ケーシィにめちゃくちゃ感情移入しやすくて読んでて気持ち良かった!
 ところで【三】がないのはミスですよね。

>>9【Aコース】『リスタート』 ギルガメッシュ月光
 なんか分量が少なくて物足りない気がする。
 ツッキーの良さが上手く活かせてないなぁ。
 それでも躍動感とか興奮感出せるとこは凄いと思う。

>>10【Bコース】『上辺とやる気は反比例』 ギルガメッシュ月光
 ツッキーこういう主人公好きだね!
 めめも大好きです。
 ツッキーはキャラが面白くて、小説も盛り上げてくれるから読み心地いいのかな。

>>11【Aコース】『ワカバの風』 TOM
 これオチ強烈すぎwwwww
 原作の設定を最大限に有効利用してて素晴らしいです。
 最初の穏やかな感じからこの急激なオチへの運び方、拍手喝さいです。
 ただ一つ気がかりなのは折角外に出てるっていうのに情景描写が今一つ足りない感じ。

>>12【Bコース】『身も震えるほど』 ちぎっては投げちぎって鼻毛
 鯔の件は割と好き。
 ぶっちゃけさわらび君からネタもらったけどどう処理しようか分からなくてこういう風に逃げちゃいました。

>>13【Bコース】『祭りとポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』 タニシになりたい
 話の掛け合いは好きだけど。
 なんか話としては今一つだったかな。
 あと他の作品に比べて印象に欠ける。

>>15【Bコース】『僕の防波堤』 ゲシュタポ
 これはまたどえらいのが来た。ぶっちゃけ祭りである必要性なくね?
 とりあえず描写には圧倒されました。
 話全体としては綺麗にまとまってると思います。

>>16【Bコース】『お祭りワッショイ!!』 Rという名の作者
 うーん。流れがイマイチかなぁ。
 いくら続きが気になるとはいえ終わり方が全然サッパリ。
 災難を終わらせてさあ祭りに行こうというところまで書いてくれた方がスッキリしたし評価もあがったかも。

>>17【Aコース】『escape "シュー"』 JDM
 タイトルの「シュー」とは中国語でネズミを意味するんですよねー。
 え、別にどうでもいい?
 ちなみに後半はドガースが空気(ガスだけに)でしたね。あとトレーナーのくだりが唐突すぎたなぁと反省。

>>18【Bコース】『STADIUM』 南瓜
 大きなとらえ方で言うと全体の話の起承転結の起の部分かな?
 描写もしっかりあって面白かったです。
 この話、最後まで読みたいなと痛感します。

>>19【Aコース】『ソングフォーマイファーザー』 あちゃもとあらい
 参りました。素晴らしいです。
 話の流れ、テンポの良さ、描写、そしてストーリー。
 何を取ってもただただ感服するだけ。素晴らしいです。 

>>20【Bコース】『さよなら花火』 がぶりす
 今回書いたので一番気に入ってないのに5票も入って不思議。
 会話が分かりやす過ぎたから全部消してやろうかと思ったくらいだったのにね。
 でもタイトルは割と気に入ってるの。

>>21【Aコース】『鎮霊祭と小さな夜の冒険』 紅蓮
 番外編としてはアリでも短編としてはナシ。
 こういう公衆の目にさらされる場合、誰が何なのか詳しく表記する必要がある。
 特にオリジナルポケモン出すならなおのこと。それ以外はまあ良いと思う。

>>22【Bコース】『ポカブツタージャ、そしてミジュマル』 あいうえおちあいくん
 これ本当に面白いわ。いやあ最高。
 最初から最後まで小説に吸い込まれるような感じで読ませていただきました。
 もう素晴らしい、に限ります。

>>23【Aコース】『あの夏をもう一度』 雑食仕様
 今回の一番ガチなのに1票しかなくてチャーハン吹いた。
 ブログに修正したさらにガチバージョンあるので良ければみてってくださいな。
 この設定超気に入ったからまた同じ感じで絶対書く。

>>24【Bコース】『楽しめ、四回目の花火大会』 Rという名の勇者
 無限ループって怖いよね。
 面白かったです。しかしワガママを言うと読みにくかったです。
 いちいち()が邪魔で仕方ない。

>>25【Bコース】『時間の気紛れ、空間の悪戯』 Rという名の作者
 良かったです。ディアルガとパルキアの特徴をうまく出せてると思います。
 続きも気になる感じになってるし、あなたの作品ではとりわけ好評価。
 でもいまひとつ印象に残らない。やはりこれも軽過ぎて話としてふわついてる。
 今回のあなたの作品は結局何が言いたいのか分かんないです。

>>26【Bコース】『君は死人に何を見るか』 ノルスタルジー将軍伍長
 おお、面白いね! 某映画を思い出す!
 中々いい話の構成、テンポの良さで読みやすかったです。
 地の文が邪魔をしない綺麗な書き方。でももう少しあってもよかったかもしれない。

>>27【Aコース】『残りものには毒がある』 ターケーシ
 なるほどそういう視点から切り込みますか。
 発想の起点はなかなかいいんですが、分量が少なすぎて物足りない。
 もっと心理描写を綿密にして良かったと思う。

>>28【Aコース】『今日から頑張る』 とあるRの白黒神話
 うーん、イマイチだったなぁ。
 キャラクターは面白いけど、それだけっていう感じ。
 いろいろ不足しているのを感じます。

>>29【Aコース】『子ども発大人行き終点はありません』 コップ
 ほほう。中々読んでて深みのある小説でした。
 話の流れ、描写、完璧です。でも何故かしらリズムは良くなかったなぁ。
 でもとても完成度の高い作品と思います。……でもポケモンがチョイ役過ぎる><

>>30【Aコース】『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜
 これもまた面白い。序盤穏やかだったのに後半に来ましたね。
 一度読み始めると中々止まりませんでした。それでなお読みやすさもあって好評価。
 ちなみに誤字報告。──衝動 の一行前で、木の株を気の株と打ち間違えていましたよ。

>>31【Bコース】『反抗期計画』 Rという名の牛丼
 うーん、なんか章ごとにたくさん区切ってるけど、その章の中身が短すぎてテンポ悪い。
 まあでも良かったのは良かったなぁ。
 とはいえ個人的にはそんなに魅力的じゃなかった。もっとしっかり分量欲しい。

>>32【Aコース】『Unknown village』 kagero
 書いた自分でも一番探検してると思う作品。
 でもなんかあんまり……って感じだよね。
 こんなに分量ある短編書いたの初めてなんですけど。

>>33【Aコース】『ユーアンドアイ、愛』 でんぐりがえり
 これは素晴らしい。いやあ、読んで気持ち良かったです。
 起承転結がメチャクチャ綺麗で、それに関してはトップクラス。
 ただ一個だけ突っ込むとしたら時間が分かんない。冒険に出た時間はいいけど、せめてハルカが研究所に着いた時が何時か分かればなぁ。
 時間感覚がないためミナト達がどれくらい冒険したのか、洞窟にいたのかわかんない。こういう類の作品だからこそそういう記述欲しかったな。

>>34【Bコース】『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 きぃぺ
 これはヤバイくらい面白い! そして続きへの繋がらせ方が最高!
 参りました。こんな一万字以内でここまで話の流れが綺麗な作品があるとは。
 これは本当に続きが読みたくて仕方がないです。

>>35【Aコース】『帰る場所』 モソソクルッペェ!
 うん、勢いがあるし意外と読みやすかった。
 でもその前の二作が非常に強すぎて印象が薄かったなぁ。
 短編としてまとまってるからよかったわ。

>>36【Bコース】『君へ伝えたい、でも、』 こんにちは
 良かったね。改行も良い感じで非常に見やすいし、読みやすい。
 でももう少し文字量増やして長めにして物語に深みをつけてくれた方が良かったと思う。
 読んでて書き手のあなたならそれが出来そうだとは思ったんだけど。

>>37【Bコース】『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃー
 素晴らしすぎる! パッと見真っ黒かと思えばいざ読んでみるとめちゃくちゃスラスラ読めました。
 やっぱり君の作品大好きだわ。言葉のセンスもやはり良いし、心理描写も非常に丁寧。後で全文読みます。
 やっぱりわたしの目標は君なんだなぁ。
 そして読んでる最中ニヤニヤが止まりませんでした。本当に。こんな恋したい。



 というわけで結果発表。
☆金賞
>>37【Bコース】『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃー
 これは完全に参りました。最後の最後にこれ読んだら金選ばざるを得なかったです。
 君のは真っ黒でも普通にスラスラ読めちゃう不思議。
 続きがそんな気にならないのは気にならないけどそれ差し引いても素晴らしかった。文句なし。
☆銀賞
>>33【Aコース】『ユーアンドアイ、愛』 でんぐりがえり
 上のがなければこれも金余裕でした。
 特にオチが非常にきれいで読んでて気持ちよかったね。
☆銅賞
>>34【Bコース】『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 きぃぺ
 3番目です。個人的なランク付けではね。後半からすごい来たね。
 ぶっちゃけ一番続きが気になった。
>>8【Aコース】『未開見たいテレポート』 さささ
 こういう系大好きです。でも4番目です。
 なぜなら中盤で読んでて詰まったから。
>>5【Bコース】『あなたのおなまえなんですか?』 夏花火ロリコン仕立て
 正直6番目と非常に迷って、最後の最後まで迷った末にこの位置にした。
 ぶっちゃけ投票した今でも迷ってる。本当にここでよかったのか。


☆おしくも得点外だった作品
>>26【Bコース】『君は死人に何を見るか』 ノルスタルジー将軍伍長
 六番目です。でも普通に五番目に食い込んでもおかしくない。
 五、六番目とそんなに続きが……。
>>2【Bコース】『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅん
 七番目です。面白いのは面白いけどぶわっ! って来るのがなかったよね。まあ安定しても面白かった、っていう評価が出来るけど。
>>22【Bコース】『ポカブツタージャ、そしてミジュマル』 あいうえおちあいくん
 この話は面白いことは面白いんだけども全部読み終わると他のに比べるとやっぱり負けるんだよね。
 でも続きは気にならない。
 まだまだ面白い話書けると思うんで楽しみにしてます。八番目。
>>11【Aコース】『ワカバの風』 TOM
 九番目。オチがよかった。でもそれだけって感じ。
>>19【Aコース】『ソングフォーマイファーザー』 あちゃもとあらい
 十番目。君の作品は長いけども読み切ると読んで良かったと思えるのがいいよね。
 でもこれ続きが気になるだよね。

☆総評
 今回はメチャクチャレベル高かったです。
 そしてもちろん読み応えがありました。さすが夏企画。
 ちょっとむずかしめのテーマかな? と思ったんですが全然そんなことなくニーズに対応してくれました。
 これは最終結果読むの難しいなぁ。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.41 )
日時: 2010/09/06 23:22
名前: きゃんでぃ@投票(8/27投票理由追加)

gold>>35【Aコース】『帰る場所』 モソソクルッペェ!(a-1)
ああ。様々な部分を考慮するとこれがやっぱり金賞にふさわしいかな。と思いました。
特筆するべき点はいくつもあるんですけれど、『僕は、レッドに飛び掛った。〜』の流れは他の作品にはない勢いと臨場感を感じました。正直なところ改行をしない方がリズム良く読めると僕は思っているんですよ。僕の場合はそれが度を過ぎているのを分かっててやっているんですけれど。ドスン。ひらり。なんていちいち改行していたら絶対にあのような臨場感は生まれない。リズムが生まれない。
それから最後の場面。こんな綺麗なハッピーエンドは今回の作品群の中で一個も無かったと思います。

silver>>33【Aコース】『ユーアンドアイ、愛』 でんぐりがえり(a-2)
ハルカ。こいつあれですよね。ルビーサファイアの主人公の女の方。こいつの名前が出てきた瞬間読むのやめようと思いました。なんだろう。都合がよすぎる。いや、ちゃんと読みましたけど読む意欲が途端にそがれてしまいました。
これは僕の変なプライドなのかもしれないけれどこういう場面で一般的な読者が知っているようなトレーナーを出すのはタブーである気がします。確かに便利ですよ。だってそこに至るまでの状況を説明しなくとも自然とアニメ(僕はアニメを見ないから実際の所がどうなのか分かりませんけれど)やゲームの中の情景が浮かんでくるのだから。でもなあ。此処でハルカなんて固有名詞を出されると冷めてしまいます。なんだかまるで最初から助けることが決まっていたみたいな感じ。ゲームの一つのイベントとして二人を助けます。みたいな印象。
それにずっと違和感だったのが雨が急に降り始めてしかもどしゃぶりなのにハルカはどうして二人を助けたのだろうかという事。ゲームの主人公特有の正義感からであるからなのかなあ。正直なところを言ってしまえば冒険の途中で雨が降り出したのであったならまず僕は雨がしのげる場所へ向かいます。だって冒険中ですよ。荷物なんか濡れちゃったら大変だし自分の身体を壊すかもしれない。自分の身を助けてくれる人は他にいないのだから。そんな時に子供二人を助ける余裕なんて生まれるのであろうか。僕の答えはNOです。まず助けないと思います。冒険をしている身なのだから。そりゃあ晴れていたのなら気まぐれで助けるなんて事も考えられますけれど。つまり何が言いたいのかと言うとハルカはそんな状況の中でどうして子供たちを助けようと思ったのか。その動機が欲しいわけです。子供たちを見てどう思ったから助けるに至ったのか。それが足りない気がしました。
おそらく僕が指摘した二つの部分と言うものはとても些細な部分だと思います。でもそれだけで物語の面白さが削がれる。助ける時のハルカの思考なんて物語をもっとよりよく出来る部分だと思っています。でもハルカじゃなければもっとそこを広げる事が出来るのではないかとも思っています。
ただこんな事を書いていて言うのも変ですけれど最後の手紙には感動したクチです。あそこは僕の今までの感想を覆すようなそんな大きな力を持っていた。だから銀賞。金賞との差がどこか。と聞かれたら上記の部分になります。

bronze-1:>>2【Bコース】『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅん(b-1)
ビー玉のくだりを見た瞬間時じゅんさんはイケメンだなと思いました。
銅賞に推しましたが正直なところ推した理由はと言われたらそれだけかなあという感じがしました。こんなことを言うと凄く軽いように見えますけれどあまりにもイケメンすぎて嫉妬したくらいです。
>>22の「ポカブツタージャ、そしてミジュマル」と一緒で消去法で残りました。それで決め手になったのはその台詞なのかなあ。と。
良い意味で安定している。けれど読み終わってぞくぞくとさせるような来るものが来ない。冷酷な女性の場面は僕が投票の際になにかいってたと思いますけどあそこはもっとやってほしかったなあ。

bronze-2:>>8【Aコース】『未開見たいテレポート』 さささ(a-3)
タイトルの意味を教えてください。ずっと心の中にわだかまりとして残っています。
一と八がずば抜けて良かったかな。逆に中盤は最初の滑りだすような勢いが少し止まっていたように感じました。
>本当は連戦無敗なだけであって、連戦連勝なわけじゃねえ。
このくだりで銅賞以上が僕の中で決まっていました。結果的には銅賞だったのですけれど。
ありきたりな感じだったのだけれど八と一を比べてのケーシィの成長、考え方の変化が凄く分かった。でもケーシィがケーシィらしく変わらずに生きているというのがラストのテレポートから伝わった。もうお腹いっぱい。
投票理由はこんな感じです。銀賞の理由を言うならばタイトルかな。もう一度言います。タイトルの意味を教えてください。

bronze-3:>>17【Aコース】『escape "シュー"』 JDM(a-4)
正直ね、アーボの笑い方はもっと別の笑い方があったのではないのかと。笑うじゃないにしてももっと別の表現手段があったのだと僕は思います。
狂っている。という事を表現するのにあの笑い方はちょっと手抜きの感が抜けない。
でもこの物語はAコースの中ではもっとも素直に勝負した作品だと思った。上手く口では言い表せないのだけれどエスケープを成功させた。と言う点で。
ラストシーンは正直ね、もっと別の書き方があったのではないのかと思っている。ポケモンの中に埋め込まれたチップにしても電磁波でそれを解除させるにしても。
チップが登場してすぐに効力を失うくらいなら最初から書かなければ良いのではないか。と思いました。
ロケット団。僕はアニメなんて安っぽい悪の組織では無くてもっと強大で一般人なんて知る由もないような非道な研究をしている機関だと考えています。なにが言いたいのかと言うとチップを使うにしてもポケモンの電磁波で壊れてしまうようなものは使っていないと思うし(団員が必死に追いかけている様子を見ていると重要なポケモンであったのだと考えると)、逆にロケット団の財力さえあればあんなポケモンの一匹や二匹逃げてしまっても構わない。なんて考え方もできるかなあ。と。要するにこの作品はどちらにつかずな印象を受けました。(どちらかといえば前者なのだろうけれど)
逃がすんであればもっと素直に逃がしても良かった。あんなだらだらと書かれるくらいならば。というのが僕の感想です。素直に逃げた。その後研究の障害で野生として上手く生活ができない。そこから最後のトレーナーを出しても良かったと思うんです。それでも遅くなかったと思います。少なくても僕は読んでいてそんな感想を持ちました。
それでも脱出の場面と物語の展開を考えると僕はこの作品に銅賞を贈りたい。変に面白くしようと気取って出している作品よりもこの作品の方をずっと評価したい。


+1:>>11【Aコース】『ワカバの風』 TOM(a-5)
オチの大勝利。むしよけスプレーをかけるなんて発想を自分は絶対思いつかないですから。
描写が少なすぎる気もしますが逆にこのくらいの方がさくさく読めて良い気もしました。
ただそれだけにタイトルがもったいないと思います。ちょっと捻りが足りないかな。と思いました。
銅賞との差はそこです。本当はどうにかして入れ込みたかったんですけれどあと一歩。と言う事でこのような形になりました。

next→>>46
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.42 )
日時: 2010/09/06 23:23
名前: 夜月光介

今回の短編は俺以外の方々の作品全てが短編として綺麗にまとまっていると思いました。
自分は『短編として失格』と言われましたが、今度の企画ではもう少し頑張りたいと思います。

それでは投票と短いながらも感想を。

さよなら花火 Bコース がぶりす

ラストの意外性に度肝を抜かれる。少年少女の心の触れ合いから突如としてシリアスな怪盗物語になると言う
緩急の付け方も丁度良い。

残り物には毒がある Aコース ターケーシ

『俺』が誰なのか解らない事になっているのが残念だが、(フシギダネかゼニガメか解らない)
ショートショートとしての起承転結は見事に押さえている。ポケモン小説としての基本であるのも良い。

Bコース 楽しめ、4回目の花火大会 Rという名の勇者

リフレインの物語は沢山あるが戻りを限定しているのが斬新だった。もう一度やり直したいと言う
人間の願望を楽しく書いた作品だと思う。

Aコース ソングフォーマイファーザー あちゃもとあらい

グリーンを格好良く書いている所が自分にとっては極めて新鮮。ポケモンと人間の会話と言うテーマも
自分の作品との似通りを感じて嬉しく感じた。このテーマはもっと増えてほしいと思う。

Aコース リスタート ギルガメッシュ月光

自由を求めて足掻くチャンピオンを書く作品と言うのは珍しい。自分の限界を知る為に外の世界へ
飛び出していくその勇気が生まれるまでを短編で見事に書き切った作品と言える。


金賞 さよなら花火

銀賞 リスタート

銅賞3作品 

ソングフォーマイファーザー

楽しめ、4回目の花火大会

残り物には毒がある


自分は星先生のショートショートを見て育ったので土壇場での世界がぐるり回転する話が好きですね。
先生が一番得意としていた形式だと思います。

ちなみに自分は『紅蓮』で1作品出してました。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.43 )
日時: 2010/09/06 23:23
名前: トビ

とびさんですよー
今回はいい意味で同じくらいのレベルの作品がおおくて もうなんか投票する気が起きないくらいでした
文章量の平均は前回までの企画とは比べ物にならないくらいだっただろうし ひとりで何作も書いている人が大半だったし
ポケノベの平均年齢が上がるにしたがって企画のレベルが高くなるのか だとしたら この次の企画も来年の夏の企画もまた期待せざるを得ません
皆さんお疲れ様でした とりあえず感想書きますね

【Aコース】

>>3『暗闇は人を……』 挽きたて珈琲豆 
長期休みごとの企画は2年前くらいから定期的にやってるんですけど だいたい一番最初の作品で流れが決まるんですよ
そういう意味で一番最初の作品は重要だし 投稿する側も気を遣うと思うんですよね 責任重大的なね
ということで、今企画はどんな感じなんだろうなあという期待も込めて読ませていただきました
探検というテーマはちょっとかきづらいんじゃないかと思っていたけど そんなことはないんだなとこの作品を読んでまず思った
恐怖に向かう心理描写は ホラーっぽい疾走感が出ててなかなかよかった すこし描写と言葉遣いが雰囲気とあっていないところもあったけど ふつうに佳作

>>4『とある秘境での出会い』 Rという名の作者 
>理由は様々あれど、何か大きな力がその場を支配し、その場へと足を運んだ者は二度と帰ってくる事はない等と言う事が大半を占める。
蓮華君の作品にはこういう ソースの無い言い切りの形の文が目立つような気がする そこが私にとってはすごい違和感
これぞ探検! っていう感じでしたね ポケダンの小説はこれくらいしかなかったようなので いい意味で逆に目立っているのかなと思う
ポケダンやったことはないけど そういう感じなのかな ふうん って感じだった あと ミュウのキャラが好き

>>7『旅立ちは潮風と共に』 Rという名の作者 
キャモメってさ ゲームだと「べんべん」って鳴くよね おかしいよねアレ
きみはイーブイがすきなんだなって思いました
今回イッシュ地方に絡めたネタもすごいすくなかったですね そりゃ発売されなきゃみんな書けないか

>>8『未開見たいテレポート』 さささ 
わたし個人的に 超個人的なんですけど こういう喋り方の一人称が大嫌いなんですよ
そんなことはどうでもよくて それを差し引いてもすごい面白かった
今回の企画はこの作品を読んだあたりからすごく読み応えがあって面白いものになってく感じがします
スリープのキャラもすごくよくて ああ 夢喰いっていう設定を出すためにこのポケモンにしたのかと納得した
オチもよかった こういうポケモン目線の小説もいいなって思った

>>9『リスタート』 ギルガメッシュ月光 
これかっこいいなあああああ って思った
まず 伝説のポケモンが数体いるっていう発送がわたしにはなかったからなかなかおもしろかった
3匹のファイアーに立ち向かうチャンピオンとか格好よすぎるでしょ
後にチャンピオンとなる青年〜は何かの複線だったんだろうか あえてなぜチャンピオンになる青年、を出したのか わたしの読解力が追いつかなかった
冒険か 探検なんだよね でも冒険と探検の違いって何なんでしょう なんですかめめさん

>>11『ワカバの風』 TOM 
オチが最高ですね 自分オチが秀逸な作品がすごい好きなんだけど これは今回の企画で1位2位をあらそうくらいのいいオチだったように思う
全体的にも無駄がなくていいと思った 佳作

>>17『escape "シュー"』 JDM
これは熱かったポケスペのエスケイプ! を思い出した アーボさんかっこよすぎですテライケメン ジョジョっぽい熱さを感じました
まあでもオチは ん? っていう感じではあった でも前半の熱さが素晴らしいので なんかそこはどうでもよくなった

>>19『ソングフォーマイファーザー』 あちゃもとあらい
君はライチュウが好きですねほんと^^
なぜオーダイルの声は聞こえなかったんだろう
盗んだポケモンだからかなとも思ったけど そのまえの描写で「信頼関係」ができているみたいな描写もあったし もやもや
テーマにいい感じで即しているし、ストーリーもなかなかよかったです
バトルの展開がポケスペ並に「そうくるか!」って感じだったし ものすごく描写が丁寧だったことも好印象でした いい作品だと感じました

>>21『鎮霊祭と小さな夜の冒険』 紅蓮
一瞬 ハリキングってなんだっけっておもったけど 架空のポケモンなんですかね
別に自分の作品の番外編で企画に参加してもいいと思うけれど やっぱり登場人物の詳細は必要だと思う
一気に知らない人物の名前を描写されても混乱するしね
探検というテーマにうまく即していると思います

>>23『あの夏をもう一度』 雑食仕様
あ、方言でたらめなんだ とそこでなんか吹きました
さらっと企画全体をとおして読んだときはそこまで印象に残らなかったけど 改めて読むと なんか少年漫画みたいでいいなって感じでした
せれびいが出てきたのはアレでしょ? ポケスペでルビーくんが何の伏線もなしに「6匹目!」とか言っちゃったあんなノリでしょ? いいとおもいます

>>27『残りものには毒がある』 ターケーシ
初代金銀ルサは1匹余るからね せつないですね
ポケモンが脱走してトレーナーをさがすたびに出るとは 発想が斜め上すぎました すっきりしてておもしろかったです


>>28『今日から頑張る』 とあるRの白黒神話
敬語の男の子にお茶面な女の子の組み合わせってなんかいいよね
可も不可も無いような感じがしました

>>29『子ども発大人行き終点はありません』 コップ
このともきと俺の前半のやり取りがツボ 特に「死ね」までのテンポは「こういうの書きたいんだよなあ」と思わされた
自分もこういうくだらないやり取りの描写が好きでよくやるんだけど 自分の場合本筋とそれがズレるから すごくモザイクっぽくなる これにはそれがない すてき
探検というテーマは取ってつけたみたいになってるけど まあそれは置いといて なかなかおもしろかった

>>30『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜
後半の、主人公が走る描写を書きたいがために書き始めました 某バンドの曲に影響されて書かずにはいられなかったという 間に合ってよかったですウフフ

>>32『Unknown village』 kagero
レントラーかあいいよレントラー 探検ってテーマに即してるとおもう だけどなんか冒険って単語に近いよねコレ 結局冒険と探検のちがいってなnry
読み応えがあってよかったし 遺跡の設定もしっかりとしていていい オチもいい発想だなって思った キレイにまとまってた

>>33『ユーアンドアイ、愛』 でんぐりがえり
これぞ探検! って感じ 多分今企画の中で一番テーマに即しているんじゃないかな
まあストーリー的には ハルカのこうどうがなんかやだったけど 無難にまとまっていると思う 起承転結がはっきりとしてて 小説らしくてそれもよかった
最後の一行 これでこの作品を閉じてしまうにはちょっともったいなかったんじゃないかなって思った なんか力尽きてる感じに見えるから

>>35『帰る場所』 モソソクルッペェ!
すごいねこれ 起承転結がそれぞれ黒いブロックになってるみたい おもしろーい わーい
レッドイケメン杉ワロタ こういうキャラのレッドめずらしいですね なんかだいたい無口な感じだったり かっこつけだったり ふつーだったりですよね
主人公の心理描写がなかなか引き込まれました これなかなか好き 佳作


【Bコース】

>>1『マサゴの灯』 うぱぁ
こちらも一番最初の作品ということで 期待して読ませていただきました
祭り、というテーマに どんな情景とか 心理描写を持ってくるんだろうと思っていたけど
1作目から せつない もどかしい 成長していく周囲へのあせりといった なかなかセンチメンタルな感情がテーマで ああなんかポケノベっぽいなと思った
なかなかよかったです 続きはたいして気にならないけど

>>2『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅん
描写も丁寧で イベントも手が込んでたしよかったんだけど
なんかあまり展開は全体的に釈然としなかったところが多々あった 続きは気になるんだけど君の意図が全部伝わりきれていないような消化不良感がすごい
ごめんね

>>5『あなたのおなまえなんですか?』 夏花火ロリコン仕立て
つられますた^^ だがつられない^^^
続きは気にならない だけど まあきれいにまとまっていたと思う オチもよかった

>>6『哀色の魂』 円
>人は決して神に成れない。
この一行がすごく印象的だった 続きが気になるようにうまくまとめてあるし 短いながらにもアウトーリーが出来上がってて なかなかおもしろかった
いろいろ想像が膨らみますね うん おもしろい 

>>10『上辺とやる気は反比例』 ギルガメッシュ月光
エルクかっこいいいいいいいいいいいいいいいいいいい つっきー絶好調ですね
嫌味なやり取りの描写が個人的にはすごいすきなので、楽しませてもらいました
続きもきになるし きれいにまとまってていいと思う 佳作

>>12『身も震えるほど』 ちぎっては投げちぎって鼻毛
おもしろかった 話の流れも オチと 自殺しないでよね! の流れとか 伏線がうまく引いてるなと思う
もうすこしボリュームがあったらよかったな こういう形式なんだろうけど
夏の祭りも夏っぽくホラーもからめてあってなかなか気の聞いた作品ですねと感じた

>>13『祭りとポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』 タニシになりたい
タニシさんって前の企画にも見た気がするんだけど気のせいかな
>「お前が辛くなるくらいなら罰にでもあたってやるよ」このセリフはどこの伏線と絡んでるんだろう
あれだな このコースは彼と彼女とのやりとり っていう描写のある作品が異様に多いな だんだんごっちゃになってきた

>>15『僕の防波堤』 ゲシュタポ
暗いなあwwwwwww びっくりした もう一気に流れが変わった感がありますね 死にたくなりました
>僕と笹川さんが集まったって、1に1をかけているようなものだ。
このセリフがなんか好き 切ないなと思いました
ただまあ きれいにまとまりすぎちゃってますよね 続きは気にならなかったかな イキロって感じです

>>16『お祭りワッショイ!!』 Rという名の作者
企画としての最低限の条件は満たしているけど ただそれだけだった用に思う
今回のすごいみんながんばっちゃってるから 存分に個性を発揮しないと いいなとも思われないね

>>18『STADIUM』 南瓜
おお すごいかっこいい ソレイユがイケメンです結婚しよう
祭りをこう捕らえるとはなかなか面白いなと思った 展開も描写もきれいに流れてるから満足 ソレイユくんの勇姿の続きはどこで見れますか?^^

>>20『さよなら花火』 がぶりす
これは展開がよめちゃった よめちゃったので幽霊もどきの女の子がすごくにくたらしいです^^^
主人公のファーストキスを奪いやがってムキーッって感じです 主人公が救われる続きだったら読みたいかも
表面的なものでなく 内容に関しての感想がスラスラ出たのは それだけ主人公に感情移入を俺がしてるってことだよね 描写の能力がすごいのかな「

>>22『ポカブツタージャ、そしてミジュマル』 あいうえおちあいくん
熱いなwwwwwwwwwwww Aでもなんかこんなノリのがあった気がする ジョジョ並に熱い もうなんか殴り合いとか正気の沙汰じゃない
美しいと思いました 描写も特に気になったところは無いです 自分もミジュマルおめんは買わないかな……うん

>>24『楽しめ、四回目の花火大会』 Rという名の勇者
君っぽいなあとそれだけ思いました 1日が何回も繰り返されるっていう発想は王道かもしれないけど
オチで意外なところをついてくる それがわたしが君の好きなところ

>>25『時間の気紛れ、空間の悪戯』 Rという名の作者
あ これおもしろい
この作品はいくらか全体的にまとまってるし いくらか荒も目立たなくて いくらか純粋に内容を楽しめた
発想がよかったし 普通に続きが気になる

>>26『君は死人に何を見るか』 ノルスタルジー将軍伍長
>「はいこんにちは」で吹いた なんでだかはわからない ミカミさんかわいいよミカミさん
後半の オチに向かう流れは本当によかった 発想が斜め上で感心したし なによりミカミさんがかわいかった
君の作品には惹かれるものがある なんかよくわかんないけどわからないけど満足した

>>31『反抗期計画』 Rという名の牛丼
発想はいいとおもうの! と自画自賛してみるうんこ もう少しボリュームがあってもよかったね確かにねっていう感じですね

>>34『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 きぃぺ
これはもう本当に面白かった この企画でこんなどきどきさせられるとは思ってなかった
終わりに近づいてく緊張感がヤバい このピンチを鳥坂くんがどう切り抜けるのか もう続きが気になる!
もうなんもない 満足

>>36『君へ伝えたい、でも、』 こんにちは
>「私が誰かを好きになったら、また天国に戻るんだって」
この設定が個人的に気に食わなかった 追い討ち過ぎるなって 基本ハッピーエンドがすきだから
雰囲気がよかったです 死ぬネタは飽きたけど まあでもそれでもふつうに佳作でした

>>37『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃー
異色すぎる 期待していてよかったと心のそこから思った 心理描写がハンパない 言葉選びのセンスにはやはりうなってしまうほどです
でも 続きが気になるかといわれれば微妙なところ ささいなストーリーを ここまで肉付けしたことがすごいねホント


【投票】

金賞
>>34『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 きぃぺ
すげえわくわくした すごいノスタルジーな気分になって わたしは君のがすきなんだなあって改めて思った
銀賞
>>26『君は死人に何を見るか』 ノルスタルジー将軍伍長
なんか結局 やっぱりわたしは君の作品をいつも2番にしてるきがする むしろ2番目以下に下げられないくらいに いつも君の文章は魅力的
銅賞
>>5『あなたのおなまえなんですか?』 夏花火ロリコン仕立て
はいはいつられましたつられましt ほんとはランク外だったけどBの作品だったから釣られてみた いや 普通に面白かったよ うん
>>8『未開見たいテレポート』 さささ
すんごく嫌いな一人称のはずなのに すごい惹かれてしまった 悔しいけど感じちゃうレベル よかった でも君が誰だかわからないw
>>29『子ども発大人行き終点はありません』 コップ
やっぱり序盤のテンポがよかった 後半の失速気味なのと 強引な探検の結びつけはいただけなかったけど 好みだったから銅賞!

>>9『リスタート』 ギルガメッシュ月光
ホント展開が熱くてわくわくした 続きが読みたくもあり、短編としてしっかりまとまってた つっきーヤバイっす
ほんとは銅賞だったけどそうすると全部Aになっちゃうから 泣く泣くこの位置
>>19『ソングフォーマイファーザー』 あちゃもとあらい
うん これもよかったなあ よすぎて 説明不足が目に付いたけど うん よかった
>>37『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃー
ほら わたしひねくれものだからね^^

今回は本当に大体楽しめた だから あえて 強いて この中で選ぶとしたら 印象に残ったこの7つでした
秋企画にも期待してます めめたんきっちゅきっちゅ
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.44 )
日時: 2010/09/06 23:23
名前: 乃響じゅん

 企画者様、今回も楽しい企画をありがとうございます。
 皆さん力の込め具合が半端ではないです。楽しかったです。普段から出そうぜこういう本気、って思いました。笑
 全力で皆さん勝負したのだから、もう誰が勝つかは運ですよね。

 先に投票しちゃいます。以下敬称略です。選んだ理由は、金賞以外、唯一無二であるかどうかです。

金賞 >>36【Bコース】『君へ伝えたい、でも、』 こんにちは
   一位です。自分の思い描いていた「祭り」と言うテーマの最適解に最も近かったです。
銀賞 >>8【Aコース】『未開見たいテレポート』 さささ
   二位です。『ポケモン小説』を書いたのはこの方だけだと思っています。ストーリー構成上に中だるみグセがあるので、そこだけ何とかなれば無敵。
銅賞 >>10【Bコース】『上辺とやる気は反比例』 ギルガメッシュ月光
   三位です。短いのにしっかり面白いのはこの方だけです。
   >>37【Bコース】『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃー
   三位です。繊細な心理描写がズバ抜けていました。
   >>23【Aコース】『あの夏をもう一度』 雑食仕様
   五位です。けだるい雰囲気の小説が並ぶ中、すっきりさわやかな気分で夏を思い出させてくれました。


 以下感想。


>>1【Bコース】『マサゴの灯』 うぱぁ
対等だったはずの関係が別の何かに変化しつつある。
うーん、青春ですねぇ。←
ダイパの三人ですね。さわやかな感じと主人公の内心の対比が良かったです。

>>2【Bコース】『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅん
はい、私です。←
スターウォーズの流れは実話です。ついでに言うと、短冊もやりました。
続きは全く考えておりません。 山本は一体何を言おうとしたんでしょうねぇ(

>>3【Aコース】『暗闇は人を……』 挽きたて珈琲豆
なかなか恐怖感伝わってきますね。イーブイかわいいです(´ω`)
あえてポケモンの名前を直接書かないと言う手法が、逆にリアリティのある文章に仕立てているように思います。
ぐっじょぶ!

>>4【Aコース】『とある秘境での出会い』 Rという名の作者
ポケダンの王道っぽい感じのお話ですね。もう、王道でした。そうか、としか言いようがない。申し訳ないです。
ストーリー展開がオーソドックス、描写もオーソドックス、じゃああなたがこの話を書く必要はあったのか?
きつい言い方で申し訳ないですが、Rと言う名の作者さんの作品はそう思うことが非常に多かったです。

>>5【Bコース】『あなたのおなまえなんですか?』 夏花火ロリコン仕立て
さわやかな感じのお兄さん。はたしてやましさはあるのかないのか。
残念ながらありそうな気がしますがw
何も考えさえしなければ、いい人が助けてくれた話、なのかも知れませんが。

>>6【Bコース】『哀色の魂』 円
踊りが終われば終わり。なんだか可哀そうな話だなぁと思いました。
ゆえに、踊り続けることを欲したのでしょうかね。

>>7【Aコース】『旅立ちは潮風と共に』 Rという名の作者
イーブイがとにかくかわいいです(*´ω`*)
てかイッシュ地方で新しい進化系出るんですかねぇ。公式の発表ありましたっけ?
個人的には、第二世代から数えて進化系アリ→ナシ→アリと来ているので、今回は残念ながら出ないと読んでいるのですが……(
え!? 出るの!?←

>>8【Aコース】『未開見たいテレポート』 さささ
あなたほど『ポケモンを大事にする』書き手はそうそういないでしょう。僕を含め、多くの作家には無い力です。
大概の人の話は「ポケモンの出てくる小説」なのですけど、これだけは「ポケモン小説」だと言える気がします。同人誌になるんじゃないかこれ。
ケーシィの口調とは裏腹に、絵本のような優しさがあふれた物語だと思います。
しかしこのタイトルは一体……。個人的にはミスマッチじゃないかなぁ、という感じでした。

>>9【Aコース】『リスタート』 ギルガメッシュ月光
きっとこういう生活は息が詰まるんだろうなぁ、と思います。
月光さんは短い文章の中でもしっかり流れを作ることに長けてるなぁと思いました。
ニュースの羅列がなかなかいいですね。いかにも姿を消した、という感じで憶測が飛び交って。最後の一言がかっこいい!

>>10【Bコース】『上辺とやる気は反比例』 ギルガメッシュ月光
アツい展開の王道!
実は強い、ただこれだけならありきたりなんですが、敵のかませっぽい感じとかがうまいことかみ合ってヨロシイです。アイロニーたっぷりのやり取りもハイセンス。
ただ、人物の名前が和風だったらよかったなぁ、と思いました。それのせいで若干世界観がぶれているような気がします。折角現実にあるようなペプシとかドクターペッパーとかあるのに。
結構そこで損することになるんじゃないかな、と思いました。

>>11【Aコース】『ワカバの風』 TOM
雑巾の臭いって虫よけスプレーの臭いだったんですか!
納得! ぐっじょぶです!!

>>12【Bコース】『身も震えるほど』 ちぎっては投げちぎって鼻毛
オチついちゃいましたね。どうせなら後ろから本当に声が聞こえたらよかったのだと思います。
その一工夫があるだけで、大分違うはず。
彼の語る話自体は大変不気味で面白かったので、何もないよりかはホラーフラグ立てた方がきっと面白いですよ。
腰を折ってくる彼女も一貫して折ってくるので、苦にはなりませんでした。

>>13【Bコース】『祭りとポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』 タニシになりたい
『身も震えるほど』と比べるのもなんだか野暮ですが、こちらは会話のせいで流れが切れているという感じが否めないです。
ほのぼの感が出てきて割とゆったりとしたリズムはあるのですが、ちょっと魅力的でない感じが。やり取りが私の好みに合わなかったのかも。
最後にようやく報われる、そんなラストはぐっじょぶです。

>>15【Bコース】『僕の防波堤』 ゲシュタポ
現状に満足していないからと言って、手っ取り早い勝利を手に入れてどうなるんだ、って話ですよね。伊坂君にはそういう思いがあるに違いない。
「いじめって、辛いよなぁ」……本当にいじめられてる人は、これしか言葉はきっと出てこないんだろうなぁと思います。その裏に秘められた想いは、きっと言葉に出来るようなもんじゃないです。
ゆえに、後半の文章はちょっと調子に乗ってるなコイツ(もしかして自分に酔ってんじゃないか?)と思って同情の余地が減ってしまいました。
もっと生々しいはずです。いじめられた者、先立たれた者の想いというのは。

>>16【Bコース】『お祭りワッショイ!!』 Rという名の作者
一体何が起こったんでしょうね。
抽象的すぎて、何かが起こったのだとしても全く興味が湧いてきませんでした。申し訳ない。
やり取りも普通過ぎて面白みが感じられません。

>>17【Aコース】『escape "シュー"』 JDM
アーボが頼もしいですね。凄くいい性格してると思います。良く考えたら三匹とも紫色。統一感って奴でしょうか。
強化ポケモンであること、檻に閉じ込められていること。孤独な感じがします。もっとそっちに特化しても良かったかもしれません。
ラストがちょっと唐突な気がします。何かしらの伏線があればもっと良かったな、と思います。もし自分の読み飛ばしであればごめんなさい(汗)

>>18【Bコース】『STADIUM』 南瓜
襲われる四天王の護衛にあたる二人の物語ですね。
緊迫感あって良かったです。ちょっとハードな感じがグッド。
ただ、物語の目的や登場人物の身分を隠して、最後に明かすと言う倒置法のような手法は意外性どころか逆に不親切だと思います。
訳分かんなくて途中で投げ出される一因になりかねない。

>>19【Aコース】『ソングフォーマイファーザー』 あちゃもとあらい
あちゃもとって言うのはアチャ本っていう苗字なんですよね。だからアチャモと人間と言うわけではないのです。……だからどうした!
このタイトルを検索すると、マニューラの名前の意味も分かって幸せになれます。
一度はこの曲、聞いてみて下さい。今作のイメージソングです。まぁ曲の出来た経緯とかそういうのとは全く関係ないわけですが……(汗

>>20【Bコース】『さよなら花火』 がぶりす
何となくオチを先に読んでから冒頭の方を読んでしまいました。そこにオチを持っていきたかったようなので、ちょっと悪いことしてしまいましたね。
騙し方が痛快で良かったです。幽霊っぽいのを作り出してしまうような謎の技術。
最初に悪いことをしたと書いたとは言え、オチがわざとらしいという印象は拭えませんでした。本当に大事なことはさらっと伝える方がきっと伝わります。それよりも話を切るならもっと深く進んだ先に作った方がよかったと思います。

>>21【Aコース】『鎮霊祭と小さな夜の冒険』 紅蓮
大体どなたか見当がつくw 番外編をこの機会に書くのもいいですよね。実際僕の書いたものもいくつかはそうですし。
描写のリアルさや人物・オリポケの説明が足りないせいか、あんまり状況が頭に浮かんでこないなぁ、という印象です。非常に申し訳ない;

>>22【Bコース】『ポカブツタージャ、そしてミジュマル』 あいうえおちあいくん
殴るシチュエーションも色々ありますが、なぜかこの話はグロく感じました。
何か急に息子がまくし立ててくるから、意味が分からず読みにくいなと思いました。申し訳ない。
理由は分かるのですが、急に何故オヤジもそんな喧嘩買う様なセリフを言ったのか理解しにくかったし……オヤジが青年の正体に気付くまでの描写が丁寧だったらよかったなぁと思います。

>>23【Aコース】『あの夏をもう一度』 雑食仕様
青春してますなぁ。明るくて読んでてすっきりします。のんびりした雰囲気で、自由な感じがします。
忘れていた初期衝動を思い出す話ですね。
給料では金持ちにはなれない、そんな話を聞いたことがあります。挑戦することが無ければ、真の勝利はあり得ない、そういうことでしょうね。
少し話は離れましたが、そういう手堅さは余計なものだということでしょう。

>>24【Bコース】『楽しめ、四回目の花火大会』 Rという名の勇者
一日を四回繰り返すと言うのは、この人は一日を4回繰り返しながら毎日を過ごしていると言う事でしょうか。
人より4倍生きている計算になりますね。疲れないのかな、と思ったけどよく読めば最初の3回については覚えていないようですし……
この手のものの認識の仕方を書き現すのは難しそうです。

>>25【Bコース】『時間の気紛れ、空間の悪戯』 Rという名の作者
神様も暇なんですね。
どういう風に成長したらそうなるのでしょうかパルキアさん。いや、個人的には好きな性格ですけど。

>>26【Bコース】『君は死人に何を見るか』 ノルスタルジー将軍伍長
幽体離脱、って訳ですね。状況に振り回されてる感が強くてあまり感情移入できなかったです。申し訳ない。
型を取ってバックアップとは、一体どういうとこなんでしょうねぇ、あの世と言うのは。
何となく森絵都さんのカラフルを思い出したのは私だけでしょうか。展開は全然違いますが。

>>27【Aコース】『残りものには毒がある』 ターケーシ
話し手、フシギダネじゃなかったのですか! びっくりです。
どうして選ばれなかったのか……運でしょう。たぶん。
プライドが高過ぎると仲間どころか誰も近寄らないものなのかもしれません。

>>28【Aコース】『今日から頑張る』 とあるRの白黒神話
個人的にはこういう意味のなさすぎるアホな子はめちゃくちゃ苦手です。ストレスフル!
「ヴァカメ!!」と何度叫びたくなったことか。
ソウルイーター読んだことないけど。

>>29【Aコース】『子ども発大人行き終点はありません』 コップ
トイレにこもり続けるともきがいい味してます。気高さと情けなさが共生してるようなお方です。濃い。
探検と言うか冒険ですが……成功したようでハッピーエンドで良かったです。
二人にはこのまま終点のないままどこまでも突っ走ってほしいですね。
誰かに助けてもらわずに自分の気持ちを伝えられた時、また一つ大人になる、そんな甘酸っぱい感じが印象的です。
最後にかなが加奈に変わるのは、大人になったということでしょうか。

>>30【Aコース】『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜
幻想的ですね。それにしてもラストのあれは何だったんでしょうか。
匂いにひかれるあたり、潜在的な何かを持っていたのかもしれませんね。となると、彼女は災害そのもの?
もうちょっとラストで彼女に気付く描写が丁寧だったらよかったなぁと思います。少し急な感じがしたので。

>>31【Bコース】『反抗期計画』 Rという名の牛丼
これは怖い。人が死んだら感動するなんて安易な考えにはそう至るもんじゃないですねぇ。笑
あけてぇーはなかなかウザい絡みですね。なんか顔が浮かびます。うん、ウザい!(
話の流れだけを割とシンプルに伝える、そういうスタイルも良いです。ちょっと細か過ぎるような気もしないこともないですが、ぐっじょぶです!

>>32【Aコース】『Unknown village』 kagero
ノベルチェッカーにかけてみれば、字数なんと9915字。力作です。
話としては分かりやす過ぎるぐらい分かりやすいんですが、いささか話に抑揚がなさすぎではないでしょうか。
細かい描写のしすぎで、何を見せたいのかを見失ってる感じがします。
結局ピンチがアンノーンだけだったので、もう一つくらい事件があってもよかったと思います。
「え、これで終わり……?」っていう思いが凄く強かったです。意味のない描写は省いた方がいいです。
風景だけははっきりと浮かんで印象に残ったので、より短い文章で伝えられるとグッドです。

>>33【Aコース】『ユーアンドアイ、愛』 でんぐりがえり
世の中本当に伝えたいことって、シンプルな言葉の中にこそあるんだな、と思います。
ルビサファの名物(?)、ひみつきちの活用方法が巧妙でヨロシイです。
カタカナの名前が並びまくると字面がカクカクしすぎて目が回るのは私だけでしょうか。笑

>>34【Bコース】『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 きぃぺ
♯1〜7があってこその#8です。でも#8以上のクオリティにはならない気がします。
人間は皆最適な判断をする。つまり人は皆賢い。経済学を学んでいる以上、そういう前提に立って書いてみたいと思っています。

>>35【Aコース】『帰る場所』 モソソクルッペェ!
きっと不細工で情けない顔をしてるんだろうなぁ。彼は。レッドに会って、少しいい顔になったんじゃないでしょうか。
この手の形式(モザイク小説って言うのですかね?)でセリフを唯一多用しているのも興味深いです。違和感なく読めました。
孤独って言うのは人をおかしくさせるものではないでしょうか。誰かが見てくれているということは、幸せなことです。
モザイクも読みやすいもんだな、と思わせてくれる一作。というかモザイクってこういうののことでいいんですよね……?

>>36【Bコース】『君へ伝えたい、でも、』 こんにちは
読んだ瞬間にこの作品が一位だと確信しました。きっと好みの問題なのだと思います。
最初にまず一つやりきれない思い。また伝えられるかもしれないと思った矢先、もう一つやりきれない思い。
本当は誰かを好きになったら天国に戻るなんてそんなに優しい話でなくて、祭りの時にしか戻って来られないけど、日浦君の気持ちを試すためにわざと嘘をついたんじゃないかな、と思います。
祭りと言うのは人間と幽霊がごっちゃになってどんちゃんする機会ですから。
言え、日浦君。自分の気持ちを伝えるんだ。ここで腐ってる場合じゃない!

>>37【Bコース】『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃー
字数ぴったり1万字……お疲れさまでした。
峻君と一緒に祭りに行けなかったのは、練習試合を休んでしまった報いなのかな、と思います。
つらいけど、それでも関係は緩やかに続いていくようでよかったです。
いじらしい、という言葉がぴったりですね。
そういえば、続き気になる要素ゼロですよね。投票者として問題ある発言しますが、でもそういうのは気にしないことにします←




 惜しくも受賞を逃してしまった作品たち。本当にいい話だったのだけれど、ホントにあと一歩。
 この人しかこれやってないよなぁ、って言うのがなかったのが主な理由ですね。

>>9【Aコース】『リスタート』 ギルガメッシュ月光
 同氏の受賞作品と同じ理由で良かったと思うけど、「ありがとな、三匹のファイヤー」っていう言い回しがわざとらしかったです。感想と結果があべこべになっていますが、間違いはないです、念のため。
>>31【Bコース】『反抗期計画』 Rという名の牛丼
 ベタな展開にいい味付けしてます。が、話を細かく切るとどうしても密度が減って作品の個性も薄味になっていくような感じがします。
>>33【Aコース】『ユーアンドアイ、愛』 でんぐりがえり
 劣っている要素なんてありません。勝らなかったのです。6位は確実にこの作品。しいて言うならタイトル……かなぁ。
>>35【Aコース】『帰る場所』 モソソクルッペェ!
 劣っている部分なんてないんですが、モザイク部門で比較してみて、……うーん、ごめんなさい。



今回良作多しと言えど、本当に面白い、と思える作品は、良く読めば限られてくると思います。
僕にとっては入賞作品と上記4作品で、9作品。
これらの作者様には書いてくれてありがとうと伝えたいです。
そして企画者様にも改めて、感謝の気持ちを伝えます。ありがとうございました!




以下感想返しを作品ごとに分けて。
本当にみなさん、ありがとうございました。1作品総合入賞できたことは光栄ですが、何よりうれしいのは大変多くの方々が僕の作品に感想を書いて下さったことです。

『星にまつわるエトセトラ』
でりでりさん>実際にありそうなこと、と言うのは非常に意識しました。

きゃんでぃさん>ごめんなさい、ビー玉の流れはウィキったらたまたま出て来ただけですw なので、自力とはちょっと言いにくいです(汗)

とびさん>この作品にはリアルさを求めていたので、ぼんやりした印象が残るかもしれません。

早蕨さん>佳世ちゃんと山本には、両方に自分の姿を少しずつ重ねて描きました。佳世ちゃんには考え方の軽さを、山本には問題解決能力の無さを。
     現実ってこんなものだと思うんですよ。手っ取り早い勝利なんてどこにもなくて、分かりやすいものは対して役に立たなくて。

レイコさん>やっぱり誰かと一緒に遊びに行った方が、何倍も楽しいですよね。

夢柩さん>○○節と呼ばれるほど僕は文章書いてないですよw
     黒いのは嫌なものですよ。僕もこの続き見たくないですもん……(

Tekitouさん>最初は星にまつわるコミカル話だけだったのですが、面白くないので不思議な感じにしてみました。

海さん>あぁ、やっぱりいるんですねこういう人……いやだなぁ。
    ごめんなさい、英語の間違いはわざとじゃないです、でもわざとってことにしておいてください←


『ソングフォーマイファーザー』
でりでりさん>テンポには非常に気を使いました。元々描写下手なので、伸ばす方向にw
       ここで終わったとしても成り立つかな、と思いましたが、甘いですね、さすがに。

夜月光介さん>今組み立てている長編の番外として、今回の話は書きました。グリーンは自身の人生の役割を見極め、遂行する人物にしようと思っています。

とびさん>「ポケモンは人間と同じ」とは、あらゆるリアルな意味でそうなのです。
     ライチュウは人間臭いイメージがあって扱いやすいんですよw

早蕨さん>いい年しているから信頼ぐらい当たり前のことで、トレーナーとして更なる高みに至るにはどうしたらいいのか。そういう悩みを彼は持っているのです。
     その答えは僕の言葉では表現しきれないことです。限界を感じてます、正直。
     でも、ぐるりと一巡して、更に深い意味での『信頼』に近いものではないかと感じています。この一巡が大事なのです。

レイコさん>クッションの入れ方が本当に思いつかなかった。私の限界です。

夢柩さん>既に金銀の主人公がストーリーをクリアした後の話ぐらいを想定して頂ければ。
     ライチュウに関しては、そのうち分かるかもしれませんよ。

Tekitouさん>ありがとうございます。展開・テンポに関しては、割とスタンダードにいってみました。

海さん>そろそろ決まりかけてます。いいサーガが出来そう(*´▽`)
    戦闘シーンは、あれじゃないと勝てないなと思ったのでああなりました。自分の中では抑揚つけようが無いのを誤魔化した感があります(汗)


『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』
でりでりさん>実はこの作品が本命だったのですが、まつわるに取られちゃいましたw

とびさん>切り方には自信がありました^^

早蕨さん>ピンチに陥ってもあんなに軽い反応だった理由は二つ。一つは、言葉から強がって心を妖怪に飲み込まれないようにするため。
     もう一つは、血筋です。これは#8以前の話になるので、伏線でも何でもなく、インプットからのアウトプットと言う事になります。

レイコさん>シルフスコープを使うにも、こちらから向かって行った訳ですし、しかも正体ばれちゃってますし、……ねぇ。

夢柩さん>タイトルにやっと突っ込んでくれた! 嬉しいw
     そうです、その後の話なのです。何の後かは、お楽しみ。
     書き手として、最もむふふってなる感想です。俄然やる気出てきましたw

Tekitouさん>音楽と同じで、ジャンルの壁なんてあってないようなものかもってそんな話じゃないですよね、はい。

海さん>実はこの後鳥坂は、とんでもなくズルくてむちゃくちゃな方法でこの場を切りぬけますw
    エンディングまで考えてあるので、ラストまで展開はちゃんと出来あがっています。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.45 )
日時: 2010/09/06 23:24
名前: 早蕨

とりあえず感想だけ。投票は後でにします。
感想はコース別にしました。ぬけがないか一応確認したつもりですが、もしあったら言ってください。

【Aコース】

>>3挽きたて珈琲豆 「暗闇は人を……」
これ、なんで後書きを書いたのでしょうか。
僕ホラーってまったくわからないんであんまり言えないんですけど、この作品のホラー部分って何が来るかわからない部分かと思ってて、だから題名も「暗闇は人を……」と三点リーダを使ったのかとちょっと納得していたのですが、あとがきでポケモンをあっさり明かされて、あれじゃあこれのホラーってどこだろうなんて思ってしまいました。
読み終わった後のあとがきで頭がハテナマークいっぱいになってます。ホラーがホラーじゃなくなっている気がしました。
あとがきなかったら好きです。

>>4Rという名の作者さん『とある秘境での出会い』
直球ですね。なんかもうストレートしか投げるつもりないよって感じがしました。
「探検」をそのまま探検で使って、本当に探検をしてそのまま終わる。なんという直球。
文章は確かに推敲されている感じがして、とてもスッキリしていると思いますが、今回はそれが裏目に出てしまうほどの直球な気がします。
「探検」をそのままに使いすぎていて逆にそれがチープ感を出してしまっていて、バトルもどうしても軽さを感じずにはいられませんでした。
これは僕が探検隊のゲームをまったくやったことがないからでしょうか。
文章は本当に丁寧に書かれているとは思うけど、これをやるんだったら、あえてもっともっと回りくどい言い回しをずらずら並べたりして、厚みを出した方がいいかなあと思いました。

>>7Rという名の作者さん『旅立ちは潮風と共に』
僕はあれです。ショートショートってオチが全てだと思っているところがあるので、やっぱりどうしても肩透かしをくらった印象を受けてしまいます。
僕が考える「続きが気になる」と多分食い違っているから仕方ないんでしょうが、自分の場合こういうのは続きが気になるというよりどっちかというと投げに近いと思っちゃうんで、その辺イメージダウンでした。
きちんと書かれているというのはちゃんとわかるのですが、いかんせんストーリーとしてやっぱり弱い、と感じてしまう。
これってそういうストーリー的なのを感じるものじゃなくて、もっと心情的なものとか、なんかよくわからないけど、何か別なものを感じなければならない作品なのだとしたら、僕にはお手上げです。

>>8さささ「未開見たいテレポート」
自作です。特に言うことはありません。未開(三回)見たいテレポート。ボウズのところから出るとき、戻るとき、最後皆で手をつないでテレポートをするとき。そのときの三回のテレポートの心情の差をタイトルにしたつもりですでも正直相当適当です。反省します。さささもささ三回とかかなりさぶいこと考えてたんでこんなとこで言うと顔から火が出るんですが、次からしっかりタイトル考えろ自分!ってことで書いておきます。自己改題はやろうと思ったけどさぶすぎるからやめました。

>>9ギルガメッシュ月光さん Aコース 『リスタート』
とりあえずかっこいい。御三家と並んでこのネタもくるだろうなあと思っていただけに身構えて読みましたが、やっぱり面白かった。
面白かったんですが、自分の立場にうんざりするチャンピオンの部分をもっと引っ張ってもいい気がしました。
字数を意識しすぎているのか、全体的にシュっとしているというよりほっそりしている感じです。
でもやっぱりそれがあまり気にならないほどに、面白くて、やっぱりこのチャンピオンネタは好きで、だからこそ、もっとがっつり肉があってもいいんじゃないかなあと。
あとオチの少年の意味がよくわかりませんでした。

>>11TOMさん ワカバの風
THEショートショート! うわあ、これ好きだ。ラスト以外は全部装置で、もう本当にオチに全てを注いだ感じ、本当に大好きです。
読点が少ないの気になったとか、行のラストが「、」で終わってたりでなんとなあく読んで気になるところはあったりしたのですが、オチで何もかもすっ飛ばした感じです。
なるほどwwwwこりゃ面白いwwwww素直に書くとこんな感想です。本当もうポンポンポンと進んで、間違いなくオチを全てに賭けているんだなあと思いました。
締め方もスッキリ。終わりよければ全てよし。今回のショートショートだと、一番好印象でした。
オチがしっかり書けるのって羨ましいです。

>>17JDMAさん『escape "シュー"』
ああもう本当にツボです。面白い。自分が書かなくて正解。僕だと救われるもののコラッタは死んじゃう、って書いちゃったと思うので、本当に正解。
最初の展開でアーボがもう最後に何するか予想つくのにそれでも興奮が止まらない。この展開本当に大好き。本当に満足。コラッタっていう選択も絶妙。
探検っていうよりもう脱走だけど、それでもコラッタにとったら出たら世界中が探検対象で、やっと出られた世界でどう暮らしていくのか続きが気になる。アーボがどうなったのか書かないとこも絶妙。
Aなのに続きが気になる。自分が思っている続きが気になるって、多分じゅんさんの作品とかこういう感じなんだと思います。オチはつく。けど続きが欲しい。これが理想です。
ただ、ドガースが最後空気なのが少しだけ残念でした。
もうこれって感想じゃない気がしますが、最後はドガースも出してあげてほしかった。コラッタと共に逃げたドガースと二匹で世界へ飛び出してほしかった。最後のトレーナーが邪魔だったように思います。


>>19あちゃもとあらいさん『ソングフォーマイファーザー』
うわあうめえ面白い。文章に隙がなかったように思いました。
ポケモン本家をかするような設定は毎度のことながら人気が出ますし、それに加わってこの文章だと尚更人気が出そうです。
冒頭のグリーンの使い方とか違和感ないですし、ハナダのミュウツーの使い方とかもうまく本編にかする感じで好印象。
ただ、主人公がポケモンを信頼することの重要さとかそういうものに気付くお話の場合、例えば「信頼してない」→「信頼してる」に変わる部分を書かないとどうしても爆発力には欠ける気がしました。
今作品の場合、最初から主人公がポケモンへの信頼の重要さを理解していてグリーンにとどめを刺されたって流れだと思うんですが、それだと最初から同じなので、どうしてもドカンとこない。
でも、「ポケモンの信頼」についてしっかりと呑み込んでいく姿はやっぱり綺麗ですし、爆発力のなさはそこで十分補えているように思いました。

>>21紅蓮さん『鎮霊祭と小さな夜の冒険』
……ハリキング? これ、超個人的なことなんですけど、僕オリジナルポケモンっていうのめがっさ気に食わないんです。なんで既存のものじゃ駄目なの? と思ってしまうところがあります。
それに加え登場人物のことがほとんどわからないし、名前を並べられて混乱するし、文章の途中で改行しているのが非常に見にくくて気になりました。
グラエナと闘う部分も、ガア!とかキャハハハ!と言われてももの凄くわかりづらい。
書いている長編の番外編みたいですが、それもちょっとフェアじゃないなあという気がします。別に固いことを言うつもりはないんですが、これじゃ宣伝ともとられてしまいかねませんし、企画作品としたらやっぱり微妙だと思いました。自分のスレで載せる短編ならとくに何も言うことはないのかなあ。
テーマも探検なんだか祭りなんだか。一本筋が通ってないのでなんとも微妙。続きも気になりませんでした。

>>23雑食仕様さん「あの夏をもう一度」
冒頭から中盤にかけて、読んでいてつまづく箇所がありました。推敲不足なんて人の事いえたもんじゃないですが、それでもまだ改良の余地があるように思います。
漢字を変換したりしなかったり、そういうところからちまちま始めていくともっと冒頭からスッキリ入り込めるかなあ、と。
山に入るまでの話の展開と、山に入ってからの話がうまく繋がっていないというか、ちょっとぶつ切りすぎなのも気になったところです。
自分が勝てない理由を理解する部分に入ってくるとスラっと読めるのでそこからは安心でしたが、やっぱり前半がちょっと弱いので、後半が弱い気がします。
まだ字数は大分余っているみたいですし、もうちょっと自分が勝てないという部分を引っ張ってもよかったかなあと思いました。

>>27ターケーシさん 〜残りものには毒がある〜
ああ、あなたは本当に本当にポケモンが好きなんだろうなあって、そんな風に感じてしまう作品でした。
発想は面白いですし、もっと本気出せばもっと良くなると思ってしまう。しまうけれど、なんだかうだうだ言っちゃいけない気がしました。
これはこれでいいに違いない。僕はこういうの好きです。

>>28とあるRの白黒神話さん「今日から頑張る」
正直、印象は薄かったです。キャラ同士の掛け合いは面白いのですが、ストーリーがよくわからないというかほとんどない。
掛け合いがやりたいのはなんとなくわかった気がしたけれど、コメディとは言えないしキャラ小説とも言い辛い。
今回は印象強い作品がわりと多かっただけに、何かに特化してたり思いっきり練られてたり気合の入った文章じゃないと、どうしても弱くなってしまう。
と、そんな感想です。

>>29コップ「子ども発大人行き終点はありません」
自作。終点はあります。でも、人それぞれ終点は違って、いつ終点につくのかもわからなくて、だから探検、みたいな。あとじゅんさんの読みが鋭くて余裕で串刺しになった。

>>30Rという名の秋桜さん【バケモノ、それは冤罪につき】 
綺麗。素敵。ラノベ的なものを一切感じなかった。今回そういうものが珍しいだけに、とても新鮮な気がしました。
冒頭から惚れました。自分がまるで〜苛まれるのあたりとか好きです。冒頭でこれだけつかまれたのは、多分これだけだったと思います。
ぷつんぷつんと文を切っていく文章が凄く僕好みで、ゆっくりゆっくり読んでいました。僕に一番合うリズムの文章でした。気持ちよかったです。
わたしというバケモノとアブソルというバケモノの冤罪の話がすごく浸み込んできて、すごくふに落ちた。Rという名の秋桜さんの言うモザイク意味で、自作をモザイクと言っていたけど、僕はそうは思わなかった。
「わたし」がアブソルに変わるところも、これは僕の勝手な解釈なのだけど、冤罪でバケモノとして虐げられた「わたし」が記憶の少女の言葉によってすくわれるような、そんな精神世界のようなものなのかと思いました。
いや、まさか普通にアブソルになるわけはないだろうと思ったのですが、これが普通にアブソルになっただけなら僕の評価は凄く変わる気がします。だってそうしたらRという名の秋桜さんの言うモザイクに本当になる気がするし、個人的にそのオチは嫌ですw
だから多分そうじゃないことを祈って、この作品を評価したいと思いました。

>>32kageroさん Unknown village
うまい。うまいんだけど、ここまで直球とは思いませんでした。今回のほかのkageroさんの作品を知っていて読んだだけに、尚更それを感じたのかもしれません。
正に探検で、綺麗に探検になっていて本当にTHE探検で、もう明朝体になっちゃうくらい探検だったんで、そこに文句はありません。
突き抜けたものにうだうだ言うのは嫌いです。文句言うなよ探検だろ素直に読めよばかって、そんなごり押しが通っちゃうくらいで素敵。
全体から見て直球すぎると埋もれてしまいそうな印象だけど、ちょっと最後物足りないところはあったけど、僕個人からすると「よかった」の一言で終わりたい。

>>33でんぐりがえりさん [ユーアンドアイ、愛]
家族の話は固いですね。綺麗です。それだけでもう印象がよくなっちゃうんで、魔術です。
でも、感想としてまったく言うことがないと言ったら嘘で、別に言わなくてもいいんですが、せっかくなんで書きます。何いってんですかね今更。
お父さんへのお弁当の話までもっていくのに、とくに不自然さを感じなかったというのはすごく+だと思いました。
それと、最後の手紙の部分以降が僕には書きすぎな気がしてなりませんでした。
おとうさん おしごとがんばってね みなと
この十八文字だけで、十分すぎるほどの意味がこめられていると思うんです。後に書くなら一行。そこにも渾身の一文を潜ませ、すんと終わらせる。
この作品は、さいごの手紙以降が余分だった気がします。いや、余分は言いすぎですけど、少なくともカットできたと思います。
僕はそれくらい、このかわいげのある十八文字の意味って大事に大事にした方がいいと思いました。
どうにかリョウ君にも横になるミナトとの二人きりのシーンでも作ってワンクッションおいてあげて、意味を強めるための「書かない」をすれば、この作品はさらに輝くと思いました。
あと、最初の方の地の分がどうしても一動作一動作かっちりしすぎてて、かたい印象を受けました。

>>35モソソクルッペェ!「帰る場所」
自作です。モザイクらしいです。その意味を初めて知りました。あめさん強いです。




【Bコース】

>>1うぱぁさん 「マサゴの灯台」
これは来る。誰か絶対書くと思ってたら、一発目でした。御三家をもらって旅立った三人が集まるっていうのは、もの凄くストーリーが想像しやすい。
展開が読める。心情的展開が読めるって結構致命傷なんじゃないのか? とか思ってましたがそんなことはありませんでした。
大きくなる二人を、変わっていく二人を見ながら感じる主人公の気持ち、なんでしょうが、全体的に軽い印象。もっとボリュームが欲しかったです。
>>私はいよいよ本日の目的であるマサゴ祭りの灯が見え始めると、そのまま煩わしい下駄を脱ぎ捨てて全てに背を向けて駆けだしてしまいたくなるのだった。
絞めかたは上手かった。綺麗。
しかし一つやっぱり残念なのは、軽かったかなあという印象が拭えなかったこと。どこかをもっと引っ張れればなあ、とそう感じずにはいられませんでした。
続きが気になるか、と言われればちょっと微妙ですけどこの際それは気にしない。


>>2乃響じゅんさん 「星にまつわるエトセトラ」
うわあ、文章綺麗。丁寧さが伝わってくるというか、推敲されているというか、読んでいてつっかえた場所はなかった気がします。
正直言いますと、読み終わったときは、「あれ?」と思いました。普通にうまいなあと思って読んでいたばっかりに、爆発力のなさが気になりました。
なんで? なんで? と自分で気になったんで、再読しました。
佳代ちゃんと山本君が友達を保っているんだか付き合っているんだか、そういうむずかゆい関係が、会話の中で垣間見えていたと思います。
幼稚園の話とかエーダマの件は友達にも見えるし、西田君とか牧原さんなんてのが出てくると、対比されているようで二人がちゃんとカップルに見える。
その辺の微妙な立ち位置が絶妙。佳代ちゃんがどっちの気持ちに比重を置いていたか、と言われれば、それは友達としての比重が多かった。と言わざるを得ないというか、その後の悪口女の登場があるので、どうしてもそう言わなきゃいけないような気がします。
ってそんな解釈をしてたのですが、テーマどおりじゅんさんは続きが気になるで終わらせていらっしゃるので、その気持ちの転換があったのかないのかとか、本当に明確なものがないので、その辺続きを気にさせるのがうまいなあと思いました。
佳代ちゃんと山本君の会話もっとカットしてもいいだろとか読んでて思ってましたが、読み終わってみるとあった方がいいんだなあと思いました。
結局悪口女が出てくるところで物語が盛り上がり始めてくるのかと思えば、そうじゃない。でもそれは盛り上がらないから悪いっていう話じゃなくて、盛り上がらないところがいい。
悪口女は佳代ちゃんと気持ちの変化を手伝っただけで、物語の装置に過ぎない。盛り上がってないようで、静かな盛り上がりを見せている。
静かに静かに佳代ちゃんと描く書き方は、本当に見習いたいと思いました。盛り上がればいいってもんじゃない。そう言われた気がします。
結局、ラストで山本に了解をとったほうがいいと考えた佳代ちゃんは、最初からあった二つの感情の一つに比重を置いたってことでいいのでしょうか。
だとすると、それってすなわち山本を恋愛対象として見始めるまさに恋愛小説の冒頭のような、そんなテーマ「祭り」の続きが気になる作品。
いい意味で軽いようで、盛り上がっていないようで、ちゃんと読むと味わえる。ああ、うまいなあ。
これ、続きが気になるじゃなかったら、もっとメリハリをつけていたのでしょうか。その辺も気になるところ

>>5夏花火ロリコン仕立てさん 『あなたのおなまえなんですか?』
掛け合い大好き。文章の書き方も嫌いじゃない。だからこそ、掛け合いをやるならもっともっと突き抜けてほしかった!
お兄ちゃんがいなくなって、代わりに変な人が来て会話して終わる。話としては、もの凄く単調。最後までお兄ちゃんが出で来なくてこっちが「おにいちゃああああん」って言いたくなりました。
話としてのメリハリが少ない文、もっともっとはっちゃけた掛け合いが欲しかったです。なんかもう一万文字ぎりぎりまで掛け合いやるくらいの勢いで。
これじゃあ優しいロリコンお兄ちゃんがなんで出てきたのか正直なんとも微妙で、実のお兄ちゃんは一体どこへ消えたのよおおおおおお。
やっぱり掛け合いのはっちゃけが欲しかったです。

>>6円さん「哀色の魂」
まず着眼点がかっこいい。「あいいろのたま」の話を読むとは思ってませんでした。
しかも現人神としてたまに封印された人の話とか、なんかもう話の作りだけで圧倒された感じです。
それだけに、それだけにこの短さと展開の少なさが惜しい。もっといくらでも話の肉をつけたせたんだろうなあ、と読んでて思いました。
余力を残しすぎというか、あえて本気だしてないというか、うーん……やっぱりもったいない!

>>10ギルガメッシュ月光さん 『上辺とやる気は反比例』
読んだー面白かったーって感想です。
キャラがめちゃくちゃラノベラノベしていると思いました。いや、企画作品はけっこう皆ラノベラノベしているんですけど、中でも一番ラノベラノベしていたかと思います。
キャラの掛け合いとか、口調とか、もろにラノベって感じべっとりって感じです。
って一体何が言いたいのかと言うと、ラノベラノベするならもっと爆発的なものが欲しかったように思ったからで、あの展開の仕方にするならもっと落ち着いた書き方が適当かなあなんて思いました。
もちろんあの展開とあの会話の流れで何にも違和感がないのですが、人物が浮いている気がしました。
最後の好きな女の子に欲しがっているモノをあげたいという流れに繋げるなら、何かもう一つエピソードがほしかった気がします。
やっぱり字数気にしすぎていたというのが惜しかったところ。
それと一つ思ったのが、キャラクターを主とする?キャラクター小説っていうんですかね、そういうのって、短編でやるには相当うまくやらないと成り立たないと思いました。
たくさんの物語と人との繋がりみたいのがあって、初めてキャラクター小説が成り立つ気がしたんで、こういうのってもっともっとボリュームがないとぐっとこない気がします。
これは今回の企画作品に総じていえることではないかなと思いました。

>>12ちぎっては投げちぎって鼻毛さん「身も震えるほど」
いやもう本当、ここで言ってもどうしようもないんですが、これは僕が悪かったと思います。
無茶なテーマを振りすぎた感じです。
でもしかし、このテーマであえて全文会話でコミカルにくるとは思ってませんでした。中途半端にギャグするんではなく、全力でギャグをして終わらせる感じ大好きです。
今回この突き抜けた感じがなかったんでちょっと寂しかったんですが、ここにきて登場。ひっじょうに順位はつけにくいのですが、この試みはやっぱりいいなあと思います。
はっちゃけたのってどうしても浮くんですが、嵌れば強い。嵌らなければ(ry
諸刃の剣な作品なだけに、扱い方が難しい。

>>13タニシになりたいさん 『祭りとポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』
うーん。テーマと続きが気になるにとらわれすぎている感じがしました。
「続きがきになる」ってガッツリオチつけて後は読者の想像で、みたいなのを自分は想像してたので、その辺の食い違いがあるのかもしれませんが、それでもなんとなくどっちも中途半端な感じが否めませんでした。
放り投げるなら思いっきり放り投げて欲しいし、ガッツリオチつけるならつけて欲しい。
あと、最初がちょっと息つまります。
>>突然おもむろにそんなことを言い始めた黒いノースリーブにハーフパンツの少年に、その隣にいた水色で金魚がプリントしてある浴衣を着ている少女は彼に目を向けた。
そして彼女は何を言っているの、と言った感じの視線を彼に向けて、こういった。
最初っからアップアップしちゃうのがちょっとイメージダウンでした。

>>15ゲシュタポ「僕の防波堤」
自作。いじめだめだよこわいよー的な。

>>16Rという名の作者さん『お祭りワッショイ!!』
うーんうーんうーん。続きが気になるのとらえ方が本当に合わないです。
続きが気になるを意識して書かれたというのは大いにわかるのですが、冒頭から一言も出てこなかった「災難」を最後で出されても、え? と言わざるを得ないのが正直な感想です。
あと人間の一人称とポケモン一人称が混ざってるともの凄いちぐはぐしてる気がして、非常に違和感を感じました。
なんというか、世界が変わっちゃう気がします。

>>18南瓜さん 【STADIUM】
面白いです。これって僕が思う続きが気になるじゃないんですけど、それって譲れない部分であるはずなんですが、それでも続きが気になります。
文章的にも正攻法で、展開も正攻法。正拳突きをくらった感じで、素直に続きが欲しい。「あ、この先どうなるんだろう」と言わされる感じがあります。くやしい><
読点が少ない文章って僕苦手なんですが、それでもこれはあまり苦手な印象を受けませんでした。そこも+な印象です。
今回もうちょっと引っ張ってもいいんじゃないかなあ、と思うものが多い中で、この作品はそれを感じませんでした。
とってもスマート。でもやっぱり僕が思う続きが気になるじゃない!しかし気になる!くやしい!><

>>20がぶりすさん 【さよなら花火】
おおう、と言わされた話でした。
お化けの女の子かわいいいいいいいって読んでてかわいいいいいいいで終わるかと思ったら、あ、あれ? 
このギャップは大好き。続きが気になる云々は置いておいて、この落差にグっときました。子どもが主でしたし、尚更この落差が大きい。
オチが強いっていうのはやっぱり強み。でも「おお、いいオチ」で読んで流したら感想というかレビューにならないんで今回はあえてつっこみますが
どうせなら、お化けのふりしてた女の子が過去を思い出すシーンに辿りつくまでをもっと引っ張って重くすれば、その分ただでさえこの落差のオチがさらにきつい落差になると思いました。
この作品ってラストのオチを狙ったものだと思う(勝手な解釈ですが)ので、どうせオトすならドカンと落とされたほうが気持ちいい。

>>22あいうえおちあいくん 「ポカブ、ツタージャ、そしてミジュマル」
自作。レイコさんからネタをひったくって書きました。ミジュマルかわいいよミジュマル。

>>24Rという名の勇者さん 『楽しめ、四回目の花火大会』
あれ? Rさん書き方変えたの? なんか違くない? と思ったらトラップでした。思いっきりはまりました。巧妙です。
作品はあれですねエンドレs(ry普通に楽しめました。
あとがきにもありますが、確かに雑な印象は受けました。()が多すぎて読みにくい部分があったことも確か。
なぜ勇者さんもっと本気出さないんだと、ひたすらそればかり思ってました。

>>25Rという名の作者さん『時間の気紛れ、空間の悪戯』
なんだろう、僕はこういうのにもの凄く違和感を感じてしまうようです。気付いてなんだかびっくりしました。
冒頭の五行と全体の雰囲気がずれすぎ。ディアルガとパルキアがのノリが四コマ漫画みたいで、これをやるなら地の分だってもっとはっちゃけていいと思いました。
あと、Rという名の作者さんに総じていえることだと思ったのですが、全体的にフワフワと軽い気がしてなりません。何を書こうとしているのかわからない。
テーマってそのまま使えばいいものではなくて、そこにメッセージ性のあるものをのっけたり、綺麗にだったり醜くだったり装飾したり、装置として物語を爆発させたりするものだと思っているのですが、Rさんはどれでもないと思いました。
ただテーマを使っただけだと、今回気合の入ったものというか腰が据わったものというか、しっかりしているものが多いので、どうしても埋もれてしまう。

>>26ノルスタルジー将軍伍長さん 『君は死人に何を見るか』
おー、面白い。さーっと本当に滑るように読み終わりました。
会話が流れるようで読みやすくて、今回その点では一番だったかもしれません。
掛け合いって言っていいのかわかりませんが、掛け合いがほとんど物語からそれなかったのでそこが尚更滑るように読める要因だったのかもしれません。
僕も書いたことありますし、死神ネタってわりとある気がするので、結構読んだことある感が強かったのですが、それでもやっぱり面白い。
妙にリアルな死後の世界がいい味出してて、なかなか好印象でした。
でも、何か物語りに起伏がないと若干物足りない気もしました。すべり台をサーーっと滑ってそのまま終わった感があるので、そこだけ残念。
続きはとくに気になりませんでした。

>>31Rという名の牛丼さん【反抗期計画】
世にも奇妙な物語的な。
起伏が少しわからなくなるほどスムーズでした。
某あずにゃんにゃんがめちゃくちゃ浮いている気がして気になったりはしましたが、このスムーズさに滑って忘れてました。
書いた小説が現実とかぶるっていうそこに登りつめるのに一生懸命でなんとなく他が足りないような気もしましたが、穴がなかったのでそれも特に気にならない。
ですが、話をぶつぎりにしすぎなところがもったいなかったと思います。こんなに息継ぎが必要なのでしょうか。つなげられるところは十分つなげられると思いました。
おいしいおいしいゼリーを一回だけ噛んで飲んじゃったって感じでした。ご馳走様でした。

>>34きぃぺさん『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』
うまーい。続きも気になった。つええ。
ラノベを読んでいる感がもの凄くありました。短編でやるのがもったない気がします。
中編長編にしてじっくりやるのもいいかもなんて思いました。
たしかにうまくてスッキリしててオチもいいんですが、でも綺麗すぎな気がします。
岸田さんに裏切られ、波多野に裏切られるっていうのに、鳥坂の言葉が「グルだったってわけか」だけではなんとも軽い。
本当にうまくて展開は最高なんですが、どうしてもその辺の心情表現を不自然に感じてしまうところがありました。
もっとドロドロと書いてもいいんじゃないかなあと思いました。
月さんのところでも書いたけど、キャラクター小説は短編よりも長いものに合うんだと感じます。
キャラが立つだけの文量と、感情移入させるストーリーがもうちょっと欲しかった。

>>36こんにちはさん【君へ伝えたい、でも、】
今回本当に似たり寄ったりで皆うまくて困ります。木原さんかわいいよ木原さん。
終始かわいい話で終わった気がしました。殺人なのにかわいい話なんておかしいですが、かわいい話でした。僕これ好きです。
好きな人が生き返ったら嬉しいですし、一緒に祭りいけたら最高。最高だけど、やっぱ死んだ人は死んでいるんだと思います。
好きな人が出来たら天国にいっちゃうっていうのは確かに綺麗だけど、美しいけど、日浦君の告白したいけど出来ないというその気持ちはわかるんだけど、その方が話として面白いっていうのも凄くわかるんだけど、それでも僕にあの理由づけは不自然に思えてしまう。
お前の考えなど聞いていないといわれたらごめんなさいとしか言えないんですが、やっぱり木原さんの天国行きの条件が、僕には綺麗すぎる気がします。
とかなんとか文句ばかり言っているみたいですが、綺麗な話は綺麗としてすんと僕の中に入ってきたんで面白いことは間違いなかったです。


>>37きゃんでぃーさん 「わたし、わたし、わたし」
A(お年頃な私)→A´(お年頃な私の具体例)→A(お年頃な私)と、なんだかくっきりしているようで、面白かった。そしてうまかった。
終始このホワっとした空気を守り、それをやりきって書ききって落ち着かせたところが凄くよく伝わってきて、文章をひたすら削っていたのを知っているのも手伝って、凄くまとまった綺麗な文章だと思いました。
ソフトテニスの試合に応援に来てくれたのが嬉しくて恥ずかしくて緊張して負けちゃうところとか、その他いろいろ、ひたすらお年頃な少女をしっかりしたストーリーで書いて書いて書いて、しっかり「私はお年頃」で再び終わらせるところが流石。
このがっしりした構成は、他では見られなかった。書き慣れている風な印象を受けました。
このふんわりした雰囲気に飲まれたら最後。がっしりした構成で成っている空間をシャボン玉の中に入っているかのようにフワフワと浮かぶしかない。〜〜たの。にのみこまれた人は多いはずw
>ねえ、お父さん。私、好きな人がいるの。って。
最後の部分も綺麗。直球で私はお年頃、で終わらせるんじゃなくて、こういう綺麗な文で、「ね? お年頃でしょ?」っていう感じがたまりません。この辺から、雰囲気を最後まで守りきったきゃんでぃさんの力が垣間見えてきます。
これは何小説と言えばいいのでしょうかね。僕には今回多く見られたキャラ小説ではないとだけは言える気がして、キャラ小説ってどうも短編には合わない気がしてきた今回のラストでこれが来たもんだから、というかあえてラストにしてみたのですが、やっぱりやっぱりでした。
短いとキャラ小説の良さが半減する傾向にありますが、こういう少女の内面、お年頃、という一点をただ一直線に書ききった作品にはどうしてもおっつかない気がします。
良さが滲みでるのはやっぱりこっちで、そこにきゃんでぃさんの雰囲気を書く技術とがっしりした構成と綺麗な終わらせ方が合わされば、今回これに追いつくものは本当にわずかだったと思いました。
僕の好みを入れるとおっつけおいこせな感じがありますが、好みを引くと本当にトップレベル。書き慣れている感が凄い。
最後なんで総括みたいな感想になっちゃいますが、今回はテーマをそのまま使った作品や、構成ががっしりしていないもの、どこかに特化していないものは弱かった。
やっぱり一本筋の通った作品、丁寧に作りこまれて推敲された作品が当然のように強い。後は好みの問題。
きゃんでぃさんのは筋が通ってたし、物語として完成していましたし、最後にこれを落とすとこもにくい^^^わかっててやってるのか、狙ってる感満載^^^^
褒めちぎってばっかりでケチつけるとこないのですが、あとやっぱりこれは好みの問題になるのかなと。
技術的なものや作りこみも大事ですが、今回たくさんのお話、爽快なものだったり沈むものだったり熱いものだったり不思議なものだったりいろいろあるので、そういう部分で誰がどこに投票するかがわからないところがポイントなんですかね。
爆発してるものが大好きな人にとってこの作品がどう映るのか気になるところ。


[全体]
じゅんさんが言っていた通り、良作多しと言えど投票するとなると大分しぼれてくると思いました。
面白い面白くない以前に、やっぱり作品と向き合っているものや丁寧なものに投票したくなるのは当然で、今回はそれがくっきり出たんじゃないかなと思います。
あめさんは投稿タイミングも投稿作品も渾身でしたし、とびさんのやつも自分で自信ないと言っておきながら文章は丁寧で相当なものでしたし、じゅんさんは言うまでもなく綺麗で掃除されていて丁寧。あちゃもとあらいさんだって負けてない。
これら四作品はあくまで一例として上げました(他にも丁寧だなあと思うものは当然ありました)が、後は、ちょっと雑でもこういう作品に思いっきりつっこんでくる強烈なオチ。爆発的に面白い会話やストーリー展開。こういうものがどう絡んでくるのかが見どころな気がします。
直球勝負は今回相当うまくやらないと難しいという印象でした。というと僕のポカブツタージャ、そしてミジュマルなんて直球のつもりだったんで自分で自爆している感じがありますがこの際気にしない。直球を投げるなら本当に本当に思いっきり投げないと上までくい込んでいくのは難しい。
やっぱり作りこまれたもの、丁寧なもの、筋が一本通ってるか通ってないかとか、そういうのって大事だなって、あとタイトル。これは僕の永遠の課題になりそうです。

最後になりますが、一号さんお疲れ様でした。まだ集計残っているかと思いますががんばってください><
大変楽しい企画に参加させていただいてとっても満足です。次は微妙ですが、またいつか機会があったら参加しようかと思っているのでよろしくお願いします。
メンテ
感想。 ( No.46 )
日時: 2010/09/06 23:24
名前: きゃんでぃ@感想9作品分

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感想。結構がつがつ書いています。投票の際6作品。今回で9作品感想を投稿しています。
作品数が多すぎて全部は無理です。でも投票が止まっているようだし流れを変える意味で。
反論受け付けます。ここに書いてください。レスポンスいたします。



>>1【Bコース】『マサゴの灯』 うぱぁ
これはテーマから逸れているのではないかと思ったけれど、確かにこれは祭りなんだな。とも思いました。再会した三人がポケモンバトルをしようとする。確かにそれは祭だ。
でも一行目がもったいない感じがしました。大事な書きだしなのに。台詞に魅力が無い。ここでもっと引き付ける事の出来る文章は他にもあったんじゃないのかな。と思いました。
それから文字数も時間も余っているのだから、過去と比べてのそれぞれの手持ちのポケモンを振り返る場面はもっと字数を使っても良いと思いました。一行だけでは一年間と言う時間の重さは伝わらない。僕はそう思っています。
それから僕はゲームのポケモンに詳しくは無いので、タワークイーンのお父さんの下りは本当に何を言っているのかが分かりませんでした。これは読み手側の僕の問題でもあるのですが。まあ要するに説明が欲しかったです。素材は良いものを持っていると思います。もう少し細かいところまで描写を行えばもっと良くなる作品だと思いました。

>>5【Bコース】『あなたのおなまえなんですか?』 夏花火ロリコン仕立て
リズムが良い。さくさく読める。でもそれだけの印象しか残りませんでした。
恐らくはこの物語の売りが幼女性愛者という文章の中でもひときわ目立つこの文字列が拠り所になっているからだと思います。
ごめんなさいそれ以上の感想が出てきません。ただワン・シーンの切り抜きの作品としては良いと思います。
一応投票としての候補には上がっていたけれど「ワカバの風」を僕は切っているのでこの作品には投票できませんでした。

>>10【Bコース】『上辺とやる気は反比例』 ギルガメッシュ月光
もったいないなあ。文字数をかなり意識している感じが受け取れるけれど、これ実際は3000文字程度しかないんだよね。
登場人物の心理は分かるのだけれどもっと膨らませる事が出来たのではないのかと思います。
削らなかった文章が読んでみたいです。これも投票の時候補に残ったけれど上積みがある点を考慮すると投票には至りませんでした。

>>15【Bコース】『僕の防波堤』 ゲシュタポ (b-3)
頑張っている。主人公が凄く頑張っている。本当は銅賞に推しても良かったです。
ただ外れた理由を言うならば、やっぱりこれは物語の最後の切り取りであるだけで自殺するまでのプロセス。二人の人間関係なんていうものはもっと膨らませる事が出来た筈です。
そしてこの作品が祭りである必要がどこにあるのか見いだせなかった。という点にあります。僕の読解力不足かもしれませんが僕には祭りなんていうのは強引にテーマを消化するための物にしか見えませんでした。
正直なところテーマをかするだけの作品を書くならばもっとテーマから逸れた部分で勝負した方が面白かったのではないかと思います。
まあこれは企画者が黙っちゃいないだろうけれど『マサゴの灯』がテーマとして成立するならば少女の自殺だって少女にしてみればある種の狂気じみた祭りとして通る筈です。

>>22【Bコース】『ポカブツタージャ、そしてミジュマル』 あいうえおちあいくん(b-4)
タイトルがブラック&ホワイトの新しいポケモンだってことを最初僕は知らなかった。これは僕の知識不足なんだけれど。
いや、普通にいい話なんです。でもそのお話が僕の届かない所にいる。見えない所にいる。ふわふわとどこか別の次元でやっている印象を受ける。なめらかに物語が進みすぎて読者が入り込む余地がないように思えました。
恐らくは会話で父親と息子の関係について紐解いているからなのでしょうが、僕はどうもそこが上滑りしている感があるように感じました。
いや、良い話なんです。僕が気になったのもそこだけなんです。でもそこがこの物語の感動を消してしまっているような印象を受けました。

>>23【Aコース】『あの夏をもう一度』 雑食仕様
ハッピーエンドに向かっていくという点ではescape "シュー"と一緒で凄く評価しています。そしてこの二つの作品はなんだか似ているような印象を受けました。
それで評価の差がどこになるのかと言うとロケット団の研究として扱われていたコラッタを主役にした事と逆に男の子を主役にした等の発想の差。それとこれからの内容になります。
そしてセレビィ。僕は以前チャットで話していた時にセレビィが出てくる意味が分からないって言ったけれど納得しました。僕の読解力不足でした。すみません。
>そうだ、今のおれに無いのはこういう野性的なモノと根性だ。いつの間にか勝つことだけにこだわるようになっていたため、勝負をより安定に勝つことを求めるようになっていたから本来の自分が出せなかったんだ!
ここがいまいち説得力がない気がします。言いたい事は分かります。野性的。というのはセレビィが見せてくれた幼少時代の場面。そこでとっさに繰り出したパンチ。確かにポケモンを持ったばかりの子供が相手の間合いに入るなんてことをするのは危険だし、確実に倒せるなんて算段もどこにもない。でも成功した。主人公とエレキッドの思惑は上手くいった。これが今の主人公に足りないものだと分かります。少し物足りないと言えば物足りないんですけれどこれだけでも分かります。でも今の主人公が安定感を求めているなんて表現が見つからなかったのが残念です。書き足す例を出すならばこれは少しあからさまなんですけれど、リングマとの間合いを思うように詰められずに負けてしまった。なんて表現があればこの一文にもっと大きな意味をもつと思います。でも今のままだと肝心なリングマに負けてしまうバトルシーンが抜けてしまっていて主人公に足りないものが見えてこない。過去の上手くいっていた自分との対比が出来ない。この対比というのがセレビィを用いて伝えたかった事だとは思います。スランプの主人公が抜け出すきっかけになるというシーンなのですから。でもそれが見えない。一番美味しいところなのに見えてこないっていうのが凄くもったいなかったです。
それから方言が出鱈目っていうのは最後まで黙っておいた方が良かったと思います。出鱈目だと分かって読むとどうしてもひとつひとつの台詞に違和感が生まれてきてしまうので。言っちゃうなら最後に言っちゃえばよかったのに。と思いました。これは評価にあんまり関係ない所なのですけれど。
感想が長めなのはちょっと読みが浅いのに適当な事を言ってしまったお詫びです。

>>25【Bコース】『時間の気紛れ、空間の悪戯』 Rという名の作者 (b-2)
ああ。これいいなと思いました。Rという名の作者さんは一回の企画で絶対一個は当たりを出すイメージがあります。ただ良い作品と悪い作品の差も大きいです。
だからもっと一作品に集中すればもっとよりよい作品を書くことができると僕は思っています。
それから作品の感想。これは続きが気になるなあ。二つの神が祭りに紛れ込む。という発想。Bで一番良い発想だったんじゃないかなと思います。
それから恋愛でもない死んでもいないっていうのも良かったです。正直食傷状態だったから。
こっち銅賞推しとけばよかったかなあ。とか今更の後悔。まあそれでもじゅんさんのイケメンが勝っているんだけど。

>>29【Aコース】『子ども発大人行き終点はありません』 コップ
意思の塊だな。と僕は思いました。話は面白い。でもその意思が強く出すぎていて僕は好きになれない。

>>36【Bコース】『君へ伝えたい、でも、』 こんにちは
素材はいい。でも生かせていないし、同じような作品が沢山ありすぎて目立たないです。例を出すならば>>20>>31。根本的な部分はこことなんら変わりがない。ヒロインと結ばれない。死んでしまう。正直飽きています。
それにこの物語は少し都合がよすぎる。木原翔子が死ぬ。これはまだ良いのです。けれどどうしてこう都合よく主人公の前に現れるのか。別段二人は付き合っていたというわけではない。印象的な出来事があったわけではない。それに年頃の女の子なんだから好きな人ぐらいはいるだろう。どうしてその人の元では無く主人公の前に現れたのか。それがないんです。それにそこを書くというのがこの物語では面白くなる一つのポイントになると思うんです。
>「私が誰かを好きになったら、また天国に戻るんだって」
ここは物語の中で一番重要なポイントなんですがタイミングがタイミングなのでこの物語も強引に終わらせようとしている感を受けました。僕の中では。確かに「神様は、私に一人でいてほしいってことかな」なんて台詞でカバーしていますが全然足りない。死ぬ時はそんな感情なんて微塵も残さないような唐突な死に方だったのに再び死ぬ時はそんなノスタルジックで心ときめくような理由で死ぬなんてことは絶対にないと思う。
生き返るという発想はいいんです。ただ他人の目から見て明らかに物語を終わらせたいと分かるように白旗を揚げるのはどうかと思います。



これから投票されようと思っていらっしゃる方には申し訳ないのですが、作品を投稿するだけして投票をしないのは企画者に対しても他の参加者に対しても迷惑だと思います。複数作品を投稿された方は特に。
自分の作品だけは提出して投票をしない。と言うのは自分の作品をただ読んでもらうだけ。それで感想まで欲しいと来たらあまりにも都合が良すぎます。
僕は誰が何作品出したなどはあまり詳しくないので実際には何人作品を投稿された方がいるか分かりませんが、少なくても10人以上はいた筈です。現状はどうでしょうか。
別に投票する際の感想だなんて求めていません。これまで全ての作品の感想も付加して投票されたかたもいらっしゃいます。ですが真似する必要なんてどこにあるのでしょうか。
沢山作品を投稿して企画を盛り上げるのは結構なことだと思います。しかしながら投稿するだけで感想を提出しないというのはいかがなものでしょうか。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.47 )
日時: 2010/09/06 23:24
名前: 早蕨

もの凄く悩みました。どれにもこれにも票を入れたい。

【金賞】:乃響じゅんさん「星にまつわるエトセトラ」
こんなこというのもあれですが、正直、金賞も銀賞もほとんど変わりません。僕の中では非常に甲乙つけがたいものでした。
しかしそれでも、どこが決めてとなったのかは書かないといけない。じゃあそれって何? と言われて答えられるものは一つでした。
続きを気にさせる、続きをぼやかし想像の余地を与える、という技術を、Bコースの中で僕は今回非常に高評価しました。
いったいどっちに転ぶのかわからない、宙ぶらりんな、周りから見たら不自然に見えてしまうかも知れない少女を書ききり、想像の余地を残し、しかし予想が出来るように終わらせるやり方は、僕には出来ないものです。
他の作品だって続きが気にならなかったとは言いません。しかし、二つの感情を書いてそれをぼやかして終わらせたような書き方は、間違いなく今回の中で一番「続きがきになる」というものが僕には書けているように思いました。

【銀賞】:きゃんでぃーさん「わたし、わたし、わたし」
作品の世界観や雰囲気に対して、今回一番徹底され、意識され、力が入っていたと思います。
可愛げのある文章で読者を引き込んでそのまま取り込む、というより、読んでいたらいつの間にかプカプカと浮かんでいる感じ。
これはほかにはなかった。読まされている感がある作品もある中、これは一番自分から読みにいってしまう作品でした。
しかし、どこで金との差をつけたかと言うと、やはり「続きがきになる」の部分です。
僕は、ちひろがお父さんに「わたし好きな人がいるの」っていう場面を書かないで、そこをああいう形で終わらせるというのがこの作品の続きが気になる部分だと思っています。
それって当然気になるシーンですし、是非見てみたい部分でもある。
でもそこって要するにちひろがお父さんに「わたし好きな人がいるの」って言うシーンでしかない。と、ここで気付いたのですが、僕がこの作品のどこに続きがきになるのかって、それはこの可愛げのある雰囲気をもう一息味わいたかったんだと思います。
だって、ちひろがお父さんに「わたし好きな人がいるの」なんて言うシーンは、今作品のどのシーンよりも一番暖かそうな気がします。
そこを読んでみたい、そのシーンの雰囲気を味わってみたい=「続きがきになる」
この図式は、続きが気になるの書き方としては非常に美しい。
でも、僕の思う続きが気になるには、じゅんさんの思考を投げるというような手法の方が合っていると感じました。それ故の銀賞です。
正直、技術の方では感服しました。

【銅賞】[1]Rという名の秋桜さん「バケモノ、それは冤罪につき」
冒頭が良すぎる。今回冒頭部分が一番よかったのはこれだと、僕は思っています。
もう本当に迷いました。金と銀とこの作品に差をつけなければならない作業が非常に嫌でした。
もしかしてこれ、「ポケモンがなんで出ているのかわからない」っていう作品のなっちゃうの? なんて読んでいる最中に感じていましたが、読み進めると、とんでもない。
ポケモンをしっかり使って、「バケモノ」というものを書いていると思います。
でも、テーマの使い方が少し上二作品と比べて雑な気がしたので、そこだけマイナスということで、この位置です。

【銅賞】[2]でんぐりがえしさん「ユーアンド、アイ、愛」
最後の手紙の十八文字が全て。ただやっぱり、その後書きすぎている感が僕にはある。そこだけマイナスで、この位置です。

【銅賞】[3]きぃぺさん『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』
最後の不自然さは確かにある。でも、この展開のうまさとぐいっと引っ張り込まれる感じはほかにない。
上のでんぐりがえしさんとの差はないと思いました。


次点
JDMAさん『escape "シュー"』
この展開が本当に大好き。大好きすぎてそれだけで上位にくいこんでくる。これはポケモンだけど、虐げられている者が奮起するという作風は非常に強いものを感じます。
でも、僕には何故最後にトレーナーが出てきたのかがわからなかった。
チップの関係でああいう展開になったというのはわかります。でも、生まれてからずっと人間にいじめられ続けてきたコラッタが、外に出てすぐ人間に助けられて一緒に冒険するってあまりに皮肉っぽい展開だと思ってしまいます。
そこだけどうしてもひっかかったので、次点とさせていただきました。

非常に読み応えがあって楽しいものばかりで、勉強になるものも、他に投票したい作品もたくさんあった。
五つしか投票できないのが残念。
僕は今企画で五つ書きましたが、自分の中ではいろんなものに挑戦したと思っています。
ケーシイの奴は僕が書くポケモン短編のいつも通りのもので、自殺のやつは初めての試みで、コップは主張をたたきつけるやつで、お面は熱さを狙って、クルッペェ!はリズムを心がけました。
いろんなことが出来たんで、小説に関しては、小説に関しては!(ここ重要!)非常に充実した夏を送れたと思っています。
ああ楽しかった。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.48 )
日時: 2010/09/06 23:25
名前: レイコ

こんばんは、レイコです。

今回力作揃いで本当に骨が折れました。もちろん良い意味で。
○=良かったや印象的だった点、●=やや辛口な感想、☆=勝手に個人賞
それぞれ一文ほど付けさせて頂きました。私で良ければもっと長い感想を聞きたいという方は個人的にお尋ねください。


>>2【Bコース】『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅんさん
○お祭りよ〜ん。ゆるーい雰囲気が良かったです。
●山場がないので全体的にやや物足りない感じがしました。後半の空気を中盤で持ってきてもおもしろかったかもしれません。
☆私も友達と祭りに行きたくなったで賞

>>3【Aコース】『暗闇は人を……』 挽きたて珈琲豆さん
○緊張感があってどきどきしました。読んでいて心霊スポットに行く人を止める側のような気分になりました。
●もっと明白な締め方をしても良かったような。余韻よりもハテナを誘われた感が。
☆こんな洞穴には絶対入りたくないで賞

>>4【Aコース】『とある秘境での出会い』 Rという名の作者さん
○作者らしさが出ているというのは素晴らしいことだと思います。
●もう少し捻りのあるストーリーだとなお良かったですかね。
☆ミュウが可愛いで賞

>>5【Bコース】『あなたのおなまえなんですか?』 夏花火ロリコン仕立てさん
○この短さでキャラ立ちがはっきりしているというのはお見事です。ロリコンの流れだけで話を成立できる技量がすんごい。
●タイトルが微妙な気が。
☆バナナ乙で賞

>>6【Bコース】『哀色の魂』 円さん
○まさにプロローグ。いかにも物語の始まりという雰囲気がしてぞくぞくしました。詩のようで綺麗です。
●これから始まるものをやや語りすぎている感があるのが勿体ないです。
☆陰惨ぽいけど惹き付けられるで賞

>>7【Aコース】『旅立ちは潮風と共に』 Rという名の作者さん
○ストレートですね。わくわくされられます。
●高揚感だけでは語れないものがあるとなおよし、ですかね。
☆イッシュのイーブイはいいっしゅで賞

>>8【Aコース】『未開見たいテレポート』 ささささん
○いーなあ、ポケモンらしい。自分の中で何かが変わっていく過程がじーんときます。
●後書きでも良いのでタイトルの由来が知りたかったです。
☆ポケモン視点が興味深いで賞

>>9【Aコース】『リスタート』 ギルガメッシュ月光さん
○解放された主人公の姿がこれから何かやってくれそうで楽しみです。
●はかいこうせんのあの人よりナギサのニートを思い浮かべてしまうのがなんとも。
☆フリーザーとサンダーの出番はどこで賞

>>10【Bコース】『上辺とやる気は反比例』 ギルガメッシュ月光さん
○主人公に勝利フラグ立ちまくってヤバイです。鳥肌です。
●尺不足? 魅力が今一つ伝わってこないシェイナにエルクが惚れてることに共感できなかったのが残念。
☆イールと色イーブイが恋に落ちるで賞

>>12【Bコース】『身も震えるほど』 ちぎっては投げちぎって鼻毛さん
○HNはMVP。台詞だけというのもなかなか。
●何人いて誰が何を話してるのかもう少しわかりやすければ。
☆やっぱりHNがMVPで賞

>>13【Bコース】『祭りとポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』 タニシになりたいさん
○お祭りとポケモンを見事に絡める手法がナイスです。淡いロマンスにやにや。
●ポケモンバトル!の引きはド直球なのでもう少し意外性があっても良いような。
☆ドジョッチをつかみ取りしたいで賞

>>15【Bコース】『僕の防波堤』 ゲシュタポさん
○読みやすい一人称ですね。描かれた内面がリアルです。
●全体的に暗いですよね……明るいものを書けという意味ではありませんが。
☆暗いけど…もっと読みたくなる不思議があるで賞

>>16【Bコース】『お祭りワッショイ!!』 Rという名の作者さん
○テンション高いのいいですよね〜。お祭りはやはり楽しいものですからね。
●どうせならもっとキャラを描いて欲しかったですね。
☆キャラワッショイ!で賞

>>17【Aコース】『escape "シュー"』 JDMさん
○キャラも物語の流れもいいです。気ままな空気やただの一致団結じゃないところがいいです。
●嫌いじゃないですがトレーナーの登場オチはやはり強引でしょうか。
☆脱出モノはやはりわくわくさせられるで賞

>>19【Aコース】『ソングフォーマイファーザー』 あちゃもとあらいさん
○総合的に非常にバランスが取れていると思います。
●前半にワンクッションあればもっと深まったかも。
☆強弱のある流れがとてもスムーズに頭に入ったで賞

>>20【Bコース】『さよなら花火』 がぶりすさん
○意外性がいいです。楽しく読ませて頂きました。
●要の会話をネタバレ防止的にももっとスリムだとなお良かったかも。
☆幽霊を幽霊で終わらせないところがナイスで賞

>>21【Aコース】『鎮霊祭と小さな夜の冒険』 紅蓮さん
○自身の作品を利用する手法もいいですね。
●完全オリジナル作も見てみたかった気がします。
☆タイトルが気に入ったで賞

>>22【Bコース】『ポカブツタージャ、そしてミジュマル』 あいうえおちあいくんさん
○BW御三家=漂う哀愁。ああなんという構図。親子対決が熱い。
●ミジュマルを特別扱いはいかんぜよw
☆ツタージャのお面はきっと超立体的で賞

>>23【Aコース】『あの夏をもう一度』 雑食仕様さん
○これもポケモンらしい作品ですね。タイトルも直球ですが好みです。
●もう少し話の速度を落としてより作り込んだ作品にしても良かったと思います。
☆ポケモンのセレクトがいいで賞

>>24【Bコース】『楽しめ、四回目の花火大会』 Rという名の勇者さん
○こういうのもいいですね。何が何だかわからず予測できない感じが出ていて。
●難解そうな印象を受けたのでもう少しフランクな方が興味をそそられるかもしれません。
☆謎めいているで賞

>>25【Bコース】『時間の気紛れ、空間の悪戯』 Rという名の作者さん
○ぱるぱるぅ!
●グギュグバァ!
☆ビシャーン!で賞

>>26【Bコース】『君は死人に何を見るか』 ノルスタルジー将軍伍長さん
○ブラックなネタを軽いノリで仕上げているところが好印象。楽しめました。
●幽霊なのに足はあるのね
☆色々おもしろそうで賞


>>28【Aコース】『今日から頑張る』 とあるRの白黒神話さん
○王道という感じがしました。シンプルなのもいいですね。
●もう少し描写があった方が物語りらしさがあったかもしれません。
☆ほのぼのしていていいで賞

>>29【Aコース】『子ども発大人行き終点はありません』 コップさん
○ああ、なんかわかるような気がします。
●もっとタイトルと関連性があればなおのこと良かったでしょうか。
☆タイトルがイカスで賞

>>30【Aコース】『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜さん
○すごい。圧倒的でした。
●探検というお題に沿っているかと言えば…微妙かも。
☆すごい迫力だったで賞

>>31【Bコース】『反抗期計画』 Rという名の牛丼さん
○おもしろかったです。続きが気になります。
●最後の、と言い切る理由がいまひとつ。
☆これは最後まで読みたいで賞

>>32【Aコース】『Unknown village』 kageroさん
○きちんと〆があるのが心地よいです。内容も良かったです。
●一人称の割に心理描写がもう一歩でしたかな…
☆アンノーンといえば遺跡で賞

>>33【Aコース】『ユーアンドアイ、愛』 でんぐりがえりさん
○読み切りとして必要なものが全て詰まっている印象です。
●もっとガッツリいっても良かったかもしれませんね。
☆爽やかさと切なさとで読後浸れるで賞

>>34【Bコース】『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 きぃぺさん
○妖怪モノ! いいですね〜、ゾロアもいいです。
●盛り上がるところはもっと盛り上げても良かったかもしれません。
☆私なら速攻シルフスコープで賞

>>35【Aコース】『帰る場所』 モソソクルッペェ!さん
○テンポよく読めました。いい長所だと思います。
●余白を…
☆主人公は結果的に負けて良かったで賞

>>36【Bコース】『君へ伝えたい、でも、』 こんにちはさん
○何、この切ないのは……涙腺が無条件で刺激されるのですが。
●最後の台詞が…うーん。
☆もしこの後お笑いコメディ化したら別の意味で泣きそうで賞

>>37【Bコース】『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃーさん
○主人公の気持ちの流れが丁寧かつ不自然でないのでとても綺麗な印象を受けました。
●日記を読んでいるような気分でした。一人称とはいえもう少し息を抜いても良かったかも。
☆字数制限によく耐えたで賞



じゃ〜ん!

☆ 金賞 ☆

【Aコース】『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜さん

◇ 銀賞 ◇

【Bコース】『反抗期計画』 Rという名の牛丼さん

( 銅賞 )


【Bコース】『君は死人に何を見るか』 ノルスタルジー将軍伍長さん
【Bコース】『君へ伝えたい、でも、』 こんにちはさん
【Aコース】『ソングフォーマイファーザー』 あちゃもとあらいさん


残念ながら金銀銅賞から漏れてしまった作品は多々あります。代わりと言っては本当に面目ないのですが、個人賞をお送りします。今回は本当に楽しく読ませて頂きました。
企画者様も参加者様も皆様お疲れ様でした。

というか今回全部すごいで賞!
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.49 )
日時: 2010/09/06 23:44
名前: 夢柩

>>3『暗闇は人を……』
パニック系のホラーを文で読むこと自体が、と言うか、良く考えればホラー映画自体あまり見ませんね。
緊迫感はあるのにハラハラしない、これがポケモン小説だからでしょうか、未知への恐怖よりもポケモンの予測へ走ってしまう、結果、緊迫感は蚊帳の外、でした。
ポケモンてわかってるからこそ未知ではない、て感じです。

>>4『とある秘境での出会い』
ポケダン未プレイ者に不親切、マスターランクて最上級? 取って付けた設定でもいいから解説が欲しかったかも。
そしてミュウの行動がいまいちわかりにくい感じです。
何がしたいのかよくわからん。

>>7『旅立ちは潮風と共に』
テーマ的に探検て言えるのか? 人のことは言えないが。
そしてイーブイが都合良いな、新しい進化だから見に行くで乗り気なイーブイ、昔の企画を思い出しました。
まぁいいか、で済ませる辺りがイーブイに本当に愛着があるのか、進化させた、これないわ、まぁいいか、ポイ、の流れにしか思えない感じです。

>>8『未開見たいテレポート』
前評判が良かったが、これは納得の出来栄え。
ケーシィの変化、ヤミカラスとの再会、あの短い中に良くストーリーを詰め込めたこと、それも綺麗に纏めて。
ケーシィが助太刀に入って逃げの一手テレポート、の流れも、これまでの展開とうまく噛み合っている気がして好印象でした。

>>9『リスタート』
英雄王クオリティ発動。
目覚めろなんとか、的な主人公がやる気ない時点で邪道っぽいけど、俺活きてるよ見たいな主人公が無くした物を取り戻すのは王道でいいと思う。
迷わず応えたのに「ん?」て入るのがイマイチ締まらない感じでした。

>>11『ワカバの風』
これはいいニヨニヨ。
コトネのテンションがアレで逃げてるのかと思いきや、そういう事でしたか。
つーか虫除けスプレーて雑巾臭なのか? 売れないだろうに、それじゃぁ。

>>17『escape“シュー”』
アーボが神。
でもいきなり過ぎる気がしました。
前半にアーボの演技の伏線があれば良かったのでは? 私が気付かずスルーしてたらごめんなさい。

>>19『ソングフォーマイファーザー』
金銀ライバル改心ネタ……と言うか、元々そんなに悪い奴には見えないけど。
素直にポケモンと話すライバルに萌えた、あのツンデレがこんなに素直にデレるなんて……もうちょいひねくれててくれれば良かったなぁ、夢的に。
ライチュウ……誰だ?

>>21『鎮霊祭と小さな夜の冒険』
オリジナルな街や地方くらいなら別に問題は無いと思いますが、オリジナルのポケモンを出されると置いてきぼり。
番外編的な扱いと聞いた気がしますが、説明が足りなすぎる、本編を読んでいなければ、まったくついていけません。

>>23『あの夏をもう一度』どこぞの英雄王月光の時も言ったけど、無くした何かを取り戻すのは好きだ。
セレビィが表れた理由が良くわからなかったのがもったいないが、それを書くと詰め込み過ぎになりそう。
上手く纏めれれば凄い良くなりそうだけれど、と現状ではもう一つ欲しい感じでした。

>>27『残り物には毒がある』
途中誤字ってません?誤字って言うか、鈍いフシギダネ……アナタフシギダネジャナインデスカ?。
まぁそれは置いておいて、選ばれなかったポケモン、フシギダネ、短絡的過ぎやしませんか?
嫌いなネタではないですが、太鼓判を押すようなネタではないと言いますか……そりゃ好みで選んでますがなにか?

>>28『今日から頑張る』
頑張ってねーけどな!
あまりストーリーとか考えずに書いてみた、ノリと勢い、つーか、今日はここまで!がやりたかった。
アホの子とウザキャラの掛け合い……アホの子好きなのに書いたことはあまりなかったのでやってみたかった、反省している。

>>29『子ども発大人行き終着はありません』
ニヨニヨパート2、いや、真面目な話だけど。
なんか死にたくなった。
なんか死にたくなった、二回言ってみました、なんで二回言ったのか予想してもらおうと思って、わかった奴、記憶を亡くす程度の殴打をプレゼント♪

>>30『バケモノ、それは冤罪につき』
擬人化? いや、人間がポケモンになった?
前半のストーリーとかは秋桜クオリティでやっぱり好みな感じで良かったんですが、ラストシーンだけハテナ。
ヒロインの彼女が実はアブソルで主人公もアブソル?よくわからん。

>>32『』
探検らしい探検が来た、王道の探検。
盗賊の村であった必要ってあったのかな?とか思いました。
女……の子?

>>33『ユーアンドアイ、愛』
なんとなくポケモンのジャンルだとありがちな話のイメージ。
それでも好きな物は好きですが、手紙の辺りとか。
アブソルの出番が悲しい。
>>35『帰る場所』
完全に好みの問題になりますが、あまり好きではないなぁ……
勝利に固執する、勝利こそが存在意義、そんな主人公があまり好きにはなれないです。
今後の成長次第ではまた変わってくるでしょうが、この主人公好みじゃねぇ、だから感情移入とかしにくかった。


>>1『マサゴの灯』
ダイパ三人組は相変わらず……と思いきや、なんだか色々成長しているご様子。
上手く続きが気になるように終わらせているはず何ですが、今までの統計上、謎を残してくれた方が気になるようで、面白そうではありますが、続きが気になる!ってほどでは。
でも三人の雰囲気は好きです。

>>2『星のまつわるエトセトラ』
例によって例の如く綺麗なじゅんさん節。
なにやら恋愛絡みの黒い展開が待っていそうで。
あまりドロドロとしたのは苦手なので、続きが気にならない訳ではないのですが、続きを読むのは怖いかな、と。

>>4『あなたのおなまえなんですか?』
ロリコンでした、ごめんなさい。
ロリコンでした、だが後悔はしない。
ロリコンでした、とてもバナナです、サーセン。

>>6『哀色の魂』
プロローグらしいプロローグだと思います。
ラストが結末はわかってしまってるからこそ、どう盛り上げて行くのか、気になりました。
それはバッドエンドなのか、それともハッピーエンドなのか……

>>10『上辺とやる気は反比例』
イーブイモードです、とてもイーブイです、ツンデレです。
安心の英雄王はイーブイ無双と言う万人受けの萌え要素に手を染めました、ブイズハァハァ。
個人的にラストの台詞がイマイチな気分。

>>12『身も震えるほど』
これが実は全部実話。
渦巻く恐怖と陰謀に力無き少年少女は否応なしに巻き込まれていく。
『私も混ぜて』、その言葉と共に一人増え、祭の終幕と共に二人消える、誰かが消える、巻き込まれて消える、ここからいなくなる、ツレテイカレル……
帰れるのは二人のうち一人、どちらか一人、生け贄は一人、ヒトリダケ……
自ら生け贄になるか、生け贄に捧げるか、二つに一つ……
サァアナタハドウシマスカ?
とか言うまさかの展開なら読みたい。

>>13『祭とポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』
ロマンスは突然にどこかへ行ってしまいました。
そしてポケモンバトル大会が終わる頃には祭りも終わるそうです。
ポイントより皿商品にしたほうが早いだろうに、もしくはメロンパン30個。

>>15『僕の防波堤』
繰り返すが、すべて好みで採点する、それで良いと思うし、それしかしないし、できない。
重いよ、重いよえーりん。
あと、この僕がなんか気に食わない。

>>16『お祭りワッショイ!!』
まだ始まってなさすぎて、なんとも言えない感じです。
想像するヒントがないから続きに興味が持ちにくい、だから気にならない。
何もやらないを、テーマにした私が言えることではないですが。

>>18『STADIUM』
プロローグらしいプロローグだと思います二回目。
これから始まるポケモンバトルと、同時に進行して行くであろう四天王襲撃、その黒幕は一体!?
非常にわかりやすい形、それを裏切ろうか期待に沿おうが展開次第、どちらにしろ予想した展開がないとどちらもできないから、展開を予想出来ると言うのは大切だと思います。

>>20『さよなら花火』
やはり泥棒か。
なるほど、と思わされるけど、続きが気になるとまでは。
正体が何かは気になったが、それも明かされちゃったし。

>>22『ポカブツタージャそしてミジュマル』
ミジュマルはない、あのお面はない、まだドガースのが良い。
男と男の殴り合い、男だったら拳で語れ。
ところで、続くのか?

>>24『楽しめ、四回目の花火大会』
良く見るとRぢゃねぇ、Rだけど、わりと好み。
ただ、祭の内容が繰り返すまでも無いような気がしました、最後だけ深夜3時なこととか、書きたいことがあるのに書かなかったことが問題になってくるのでしょうが、主人公はもう少しそこに触れても良いと思います。
これ系は凝るに越したことはない。

>>25『時間の気紛れ、空間の悪戯』
ディアルガもパルキアもノリが軽過ぎでは。
お調子者のパルキアはともかく、厳格な神として書かれるディアルガまで簡単に誘惑に負けるようでは……まぁ神話の神様はけっこう人間味あったりしますが。
嫉妬から人を化け物に変えてみたり、怨みからお前の子を食べるとか言ってみたり、孫に殺されると予言されたから娘を軟禁してみたり。

>>26『君は死人に何を見るか』
これいいな、ミカミさん、そしてサトコとも読まないし、リカコとも読まないだろと思った理子さん。
生死を選ばせるのが、今死んだほうが幸せよ?と言っているように見えて……なにかあるのだろうか?
つーか結局何者なんだミカミさん。

>>31『反抗期計画』
これ良いなぁ。
現実を書き替えろぉぉぉ、じゃなくて、うん、これ作者あの人か、現実を創作する話ってホント難しいよなぁ、書いた通りに現実が進むなら自分の願いを叶え放題。
でもだ、相手の気持ちはどうなるよ、とかなんとか、その好きだと言う想いすら本物なのかどうか。
続きが気になる、と言う点では今回一位。

>>34『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』
まず気になったのがタイトル……その後の話?
それは置いておいて、よくできた話だと思います。
こんな展開で持ってくるとは予想外、そして結末を引くことできちんと続きを気にならせる、なるほど、上手い。

>>36『君へ伝えたい、でも、』
生き返りネタか。
人を好きになったら死ぬってのはたぶん王道、それを自分の事も好きではないと解釈に繋げたのはちょっと意外でした。
愛したら死ぬ物語にハッピーエンドのピリオドを打つのは不可能です。

>>37『わたし、わたし、わたし。』
納得の高評価、いや高評価に納得。
携帯からだと文字が細かくてつまり過ぎて読みにくいとか引かなくても十分面白い……面白い?いや切ないが正しいか?良い話でした。
ラストの展開とかマジヤバイ、惜しむべきはオチが付いてるので、続きは全く気にならないこと。



今回は力作が多かったので、申し訳ない。
言い訳になりますが、今回は時間がなかった。
やってみたいことをやった結果、とも言えますが、ストーリー性は皆無、力入れて書いてた人にはネタで参加しててごめんなさい


もう好みで決める!

金賞『未開見たいテレポート』

銀賞『反抗期計画』

銅賞『STADIUM』
  『ワカバの風』
  『子供発大人行き終着はありません』


#8は涙を飲んで切ろう。
『STADIUM』までの三つは気分の差でどれも一位になってもおかしくなかった。
四位から六位がまた僅差、読む順番次第で逆転しててもおかしくなかった……
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.50 )
日時: 2010/09/06 23:44
名前: 早斬風牙

企画にも参加したかったのですが色々あって出来ず><
そういう訳で投票のみの参加失礼します。

敬称略

【金賞】
Bコース
>>36『君へ伝えたい、でも、』 こんにちは

【銀賞】
Bコース
>>26『君は死人に何を見るか』 ノルスタルジー将軍伍長

【銅賞】
Aコース >>17『escape "シュー"』 JDM
Aコース >>19『ソングフォーマイファーザー』 あちゃもとあらい
Bコース >>6『哀色の魂』 円



細かい感想は割愛させていただきます、すみません。
全体的に今回はおもしろいのが多かったという印象でした。
企画、楽しませていただきました^^

それでは。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.51 )
日時: 2010/09/06 23:45
名前: tekito



 ども、おはこんにちこんばんは……テキトーです。
投票&感想ってね。まあ、テキトーに読んで適当に書いただけだから、感想は読まなくていいかも。
下に行けば行くほど、感想が短くなっているのは仕様だから気にしないでね!



【Aコース】


題:『暗闇は人を……』 作:挽きたて珈琲豆
なんというか、『探検』という題から外れているような……
   ずいぶん暗い内容ですね。ホラーというよりはスプラッタでは?
   ひんやりした感じを出したいのであれば、もう少し何かほしかったですね。
   誤字がありますね。常態ではなく状態では?


題:『とある秘境での出会い』  作:Rという名の作者
ポケダンかぁ〜、ずいぶんと懐かしい題材ですね。
   ミュウのいたずら好きな性格もよく出てるし、ポケダンのアイテムの説明もあっていいと
   思いますよ。


題:『旅立ちは潮風と共に』  作:Rという名の作者
う〜ん。Aコースの題材って「探検」ですよね。
   これでは、題名どおり「旅の始まり」を題材にしているような……、少し残念です。


題:『未開見たいテレポート』  作:さささ
テンポがすごくいいと思いますよ。ただ、なんか読みにくかったです。
   ……一つ気になったのですが、スリープの口調が途中で変わるのは仕様ですか?


題:『リスタート』  作:ギルガメッシュ月光
『冒険』そして『冒険の始まり』……ですか。
    全体文から察するに、「倦怠期を迎えていたチャンピオンが、久しぶりの強敵の出現から新たな冒険に旅立った」
    と言ったところでしょうか?
読みやすくていいと思いますよ。


題:『ワカバの風』  作:TOM
起承転結があって、面白いと思いました。
   ただ、もう少し物語りに膨らみというか、大きな展開がほしかったです。


題:『escape "シュー"』  作:TOM
捕らわれていたポケモンが仲間を得て、そして始まる探検……ですか。
   最後までわからなかったんですが、題名にある”シュー”って何のことですか?


題:『ソングフォーマイファーザー』  作:あちゃもとあらい
こういうテンポやバトル描写、私は好きだなぁ。
   話も面白くてすごくいいと思います。


題:『鎮霊祭と小さな夜の冒険』  作:紅蓮
最年少のアイは5歳、ズリとザロクは6歳、最年長のオボンは7歳という割には話し方に
   まったく幼さを感じない……残念です。冒頭での設定がまるで役に立ってませんね。
あと、ノーム・ケセランとかカムロといったポケモン(?)が出ていますが、描写が無いので
   何を使っているのかまったく判りません。初見の方もいるわけですし、きちっとした描写を書いてください。


題:『あの夏をもう一度』  作:雑食仕様
いい話だなー。この一言に尽きますね。
   勝てなくなってしまった原因は、『勝利への渇望を失い。安定した戦いを望むようになってしまっていたからだ』
・・・・深いですねぇ。


題:『残りものには毒がある』  作:ターケーシ
お題とかなり逸脱していますが、まあ本人に自覚があるようなので深くは突っ込みません。
   最初から反抗的な態度をとっているため、せっかくの『脱走して最強トレーナーを見つける』
   という転機が成り立っていないのではないのでしょうか?
最初は純情そうな形で表し、選ばれなかったことへフラストレーションをためていき……爆発した。
   という形の方が、起承転結のまとまりが良かったかもしれませんね。


題:『今日から頑張る』  作:とあるRの白黒神話
Aコースの御題は(ry
会話分が多いですね (^^;


題:『子ども発大人行き終点はありません』  作:コップ
よくわからないな。いったいどういう探検をするつもりなんだい?
   そこん所、kwskたのむよ。


題:『バケモノ、それは冤罪につき』  作:Rという名の秋桜
恐怖の描写いいですね。面白かったです。


題:『Unknown village』  作:kagero
ポケモンの技の描写や細かな風景の描写。話の進め方のテンポ良かったです!
   これぞ探検!という感じが、すっごい面白かったです。
終わらせ方もHappy Endで、言うことないですね!!


題:『ユーアンドアイ、愛』   作:でんぐりがえり
文全体がまとまっていて、いいと思いますよ。


題:『帰る場所』  作:モソソクルッペェ!
読みにくぅ!!
レッドが強いのはわかった……で?



【Bコース】



題:『マサゴの灯』 作:うぱぁ
ずいぶんとあっさりしているというか……、何か物足りない?
   なんか、心理描写にいちいちキューンと来る・・・・・


題:『星にまつわるエトセトラ』 作:乃響じゅん
いいですね。コミカルな面もあってすごく面白いです。
   

題:『あなたのおなまえなんですか?』 作:夏花火ロリコン仕立て
なんか、面白かったです。

題:『哀色の魂』 作:円
ふむぅ、荒々しさがあって舞の臨場感が引き出されていてよかったと思います。


題:『上辺とやる気は反比例』 作:ギルガメッシュ月光
いや〜、青春ですねw


題:『身も震えるほど』 作:ちぎっては投げちぎって鼻毛
会話文オンリーとは、珍しいですね。


題:『祭りとポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』 作:タニシになりたい
正直言って、あまり気になりませんね……続き。


題:『僕の防波堤』 作:ゲシュタポ
祭りらしさが、感じられない作品ですね。祭りがテーマなのに残念です。


題:『お祭りワッショイ!!』 作:Rという名の作者
お祭りが楽しみ!……みたいな感じが、よく表現できていると思います。

題:『STADIUM』 作:南瓜
もう少し、書いても良かったのでは?
犯人の影くらいは、見せた方がよかったですね。


題:『さよなら花火』 作:がぶりす
なんということでしょう……実は泥棒だったなんて、驚きです!


題:『ポカブツタージャ、そしてミジュマル』 作:あいうえおちあいくん
いい話ですね。


題:『楽しめ、四回目の花火大会』 作:Rという名の勇者
祭りのまの字も見えないな……がっかりだ。


題:『時間の気紛れ、空間の悪戯』 作:Rという名の作者
もう少し、祭りの楽しさが出せたらよかったですね。


題:『君は死人に何を見るか』 作:ノルスタルジー将軍伍長
ぶっちゃけ、祭り関係ないですね。


題:『反抗期計画』 作:Rという名の牛丼
ちょいとホラーが入っていて、良かったと思います。


題:『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 作:きぃぺ
以外や以外。ファンタジーなのかホラーなのかちょっと良く判らないですねw
   でもこういう話は嫌いじゃないです。


題:『君へ伝えたい、でも、』 作:こんにちは
悲劇ですね。この後の展開で、この悲劇がどう回収されるのか気になります。


題:『わたし、わたし、わたし。』  作:きゃんでぃー
よ……読み難い。だけどまあ、話は大体わかりました。
黒々した雰囲気でしたが、最後の最後にこのつなぎ方……うぅ、このじらせ上手!!



― 賞状でしょう ―


・銅賞 3作品
『バケモノ、それは冤罪につき』
『さよなら花火』
『星にまつわるエトセトラ』

・銀賞
『わたし、わたし、わたし。』

・金賞
『Unknown village』


まあ、こんな感じかな。
じゃあこの辺が、適当っぽいんでこんなテキトーな人間は切り上げるとします。
では……
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.52 )
日時: 2010/09/06 23:45
名前: 蓮華草

時間ないのでとっとと投票!!


金賞

『未開見たいテレポート』ささささん

一番つぼにはまった、気がした。
多分フィーリングが合ってたんだと思う。なげぇなぁと思ったけどじっくり見てたらすっげぇ良かった。

銀賞

『リスタート』ギルガメッシュ月光さん

やはりというか不動というか、上手っすねー。
でも僅差でこちらに。本当に僅差っす。……別に面倒だから順番どうりにしたとかそういうのではないです、本当に僅差です。

銅賞

『祭りとポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』タニシになりたいさん
『ワカバの風』TOMさん
『さよなら花火』がぶりすさん

もうめんどくさいんで以下省略!!(ひでぇなおい!?)


後日た作品の感想、この事を覚えていてそんで書く気力があったらかくかもです……。
自分はあまりのふがいなさにがっくりとなったので、別サイトにて修行してきます……とりあえずまずは恋愛系から始めようかな……;;
でわ、またいつかお会いできる日まで……

〜訂正〜
名前変えとくのわすれてたぁぁぁぁぁぁ!!!
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.53 )
日時: 2010/09/06 23:45
名前:

こんにちは。海です。
今回も参加させていただきました。私は今回今までと違ってなかなか内容が思い浮かばず大変でしたが^^;
なんか皆1位を狙ってるんだろうなーとか思わされました。

なんかもう、最初は全員分感想書くつもりじゃ全く無かったんですけど、なんかかるーく書こうかな、と。
正直ちゃんと指摘するような気力は今の私にちょっと無いんで、他の方がけっこうそこらへんはしてくださってますし、ほんと思ったことをちょこちょこ書いていくだけにします。
感想が軽くてもちゃんと読みました。多少感想の量に差はあります。


【Aコース】

>>3『暗闇は人を……』 挽きたて珈琲豆さん
この速い感じ好きです。けっこうぞくぞくしました。
最後にポケモンの正体を出す必要は無かったのではないのでしょうか。そういうのをばらしたい気持ちがあったのかもしれませんが少なくとも私はそれらが何か分かりましたし、謎にしておくままの方が不気味に仕上がりますよ。

>>4『とある秘境での出会い』 Rという名の作者さん
最初イーブイがリーダーかと思った。内容は嫌いじゃないです。
リオルの一人称が変わっているのは仕様?

>>7『旅立ちは潮風と共に』 Rという名の作者さん
ああイーブイかわいい。真似する所とか想像しただけでにやける。例え重かろうと私の頭にも乗ってきてほしいです。
最後のセレビィディアルガとかそういう部分はいらないような気がする。何かよくわからないけど違和感を感じた。

>>8『未開見たいテレポート』 ささささん
ああこれ好き。爽快感があるね。
このポケモン達の姿を読んでると人間臭いポケモン達で、いい意味ですごく不思議な感じがしました。うまく言葉にできないんだけど。
他の方でタイトルがよく分からないっていう感想が多いんですけど、私はこのタイトル好きですよ。韻を踏んでてリズムがあるとことか。

>>9『リスタート』 ギルガメッシュ月光さん
かっこいいかっこいい。すごくイケメンって感じがする。
頂点のトレーナーの話は基本的に無条件にかっこよく思えちゃうんですけど、この作品は特に冒頭で複雑な思いを抱き迷っていながらもその後ふっきれるところがすごく好き。

>>11『ワカバの風』 TOMさん
オチがすばらしいと思う。オチに命かけたんじゃないのってくらい。
欲をいえばどうせならその前にももう少し力を注いでほしかったです。

>>17『escape "シュー"』 JDMさん
これも好き。冒頭のコラッタの思いとかなんか切なくてやるせなかった。
一番最後の方とかもっと力を入れてほしかったです。なんかあっさりしすぎてるように感じました。

>>19『ソングフォーマイファーザー』 あちゃもとあらいさん
本当にあなたはライチュウのあの技は好きなんですね。というか研究されてる段階なのかな。
ホレスの一気に畳みかけてメタモンを倒す所は速くて好き。本当に一瞬の出来事だったっていうのが分かりました。私もこんな戦闘シーンが書きたいです。

>>21『鎮霊祭と小さな夜の冒険』 紅蓮さん
申し訳ありませんが私はあなたの小説を読んでいないので、分からないことがいっぱい出てきすぎてちょっと……。
今度はあなたの企画用のオリジナルの短編を読みたいです。あと、できたら文章の途中で改行している理由をぜひ教えてほしいです。

>>23『あの夏をもう一度』 雑食仕様さん
あーもう田舎が嫌いなところとかすごく共感できる。ほんと何も無いとこは何も無いんですよね。いいとこもいっぱいあるんですけどね。
ただの想像なんですけど、きっとセレビィは小さなころから彼等を見ていたんだろうな。それで悩んでる姿を見て手助けをしてあげたかったんだろうな。セレビィかわいくてすき。

>>27『残りものには毒がある』 ターケーシさん
なんかポケスペのキモリを思い出した。全然違うんですけどなぜか。
致命的なミスがもったいないなあと本当に思う。こういう話は嫌いじゃないですよ。

>>28『今日から頑張る』 とあるRの白黒神話さん
なにこの男の子のうざさ半端無いという感じでした。狙ってるんだろうけど。よくこんな子と夏樹は付き合えるな、と。
掛け合いのテンポはけっこう好きですよ。

>>29『子ども発大人行き終点はありません』 コップさん
探検に無理矢理結びつけた感じがあって正直うーんという感じです。探検に結びつけなければ素直におもしろいと言えるかも。
男の子二人で話しているところは好き。ああいうくだらないけど仲がいいからこそできるくだらない会話ってすごく好き。

>>30『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜さん
ああこれもかっこいい!うまいなって思いました。謎めいていて、不思議な感覚。おもしろかったです。
後半のアブソルになるシーンは、個人的なことになるんですが中島敦の三月記を思い出していました。アブソルになった理由とか文章とか全然違うんですけど、獣になったっていうところが。

>>32『Unknown village』 kageroさん
けっこう好きでした。すごく力入れて書いたんだろうなって思う。
いかにも探検っていう感じの印象を受けました。ダイノーズの磁力を使うとは考えましたね。でもこれでどうして彼等の像が作られたのかあまり理解できませんでした。

>>35『帰る場所』 モソソクルッペェ!さん
だめだこのレッドは私の中の常識を覆す性格でもうなんか、すごいですね。無口な人のはずなのに……!
リズム感が良くて好き。この主人公に感情を移入することはできなかったけど、でも彼の思いというかこだわり?に近い執念みたいなのは感じた。人を変えるのはちょっとした言葉で十分なんだろうな。


【Bコース】


>>1『マサゴの灯』 うぱぁさん
ああああこういう話すごく好き。女の子って男の子の成長にびっくりするんだよね、先に女の子の方が成長しちゃうから。後で一気に追い越されるから。
それで一気に自分達は大人になっているってことを思い知るんだよね。
すごくかわいくて抱きしめてあげたくなりました。

>>2『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅんさん
女ってこわいですね。私にもこんな女性みたいな知り合いがいましたよ。
会話が自然ですごいなって思う。こういうの書いてみたいです。She name……と言うところはわざとのミスですよね、そういうの私はなかなか思いつかないから羨ましい。
丁寧な文章で圧倒されました。じゅんさんの文章は読んでてすごく安心できるので好きです。

>>5『あなたのおなまえなんですか?』 夏花火ロリコン仕立てさん
おおおこういうノリは嫌いじゃないですよ。でもこんな8歳の女の子はいてほしくないなあ^^^
テンポがあって良かったです。もっと膨らませても良かったですよ。

>>6『哀色の魂』 円さん
これはやられたなって思いました。あいいろのたまを題材にするとは。こういう神事的な祭りはきっとくるだろうなと予想していましたが、あいいろのたまとくるとは。
あいいろは恐らく「藍色」なのにタイトルは「哀色」ってなってるところが凝ってますね。
でも短さ故に題材は良いと思うんですが正直微妙です。膨らませようがあるのに。もっと煮詰めて密度のある物語にできると思うので、残念。

>>10『上辺とやる気は反比例』 ギルガメッシュ月光さん
エルクかっこええええイールかわいいいいい
月さんの会話の部分好きです。これ続きが読みたいなあ。ああほんと、エルクがかっこよすぎて鼻血が出そうです。

>>12『身も震えるほど』 ちぎっては投げちぎって鼻毛さん
出たー会話文のみww私もいつだったかこれやりましたよ。難しいですよね。
男の子かわいいですね。彼が話してる内容はホラーなのに女の子のおかげでギャグになりかわる。好きですよこういう流れ。

>>13『祭りとポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』 タニシになりたいさん
普通にかっこいい台詞を言える男の子はきゅんとします。きゅんとするけどなんだかこの男の子はちょっと好きになれない。
ロマンスは……ないですね。

>>15『僕の防波堤』 ゲシュタポさん
うおわー暗いですね。今回で一番暗いですよねこれ。読んでる方が鬱になりそう。オチがついちゃってますね。
でもそれ以外になんともいえない。ごめんなさい、私とこの作品の相性はあんまり良くないようです。

>>16『お祭りワッショイ!!』 Rという名の作者さん
うーん微妙。正直言うと、あんまり好きじゃない、かな。
ポケモンの鳴き声をそのまま文章に表現するっていうのを私が好かないせいかもしれないんですけどね。
もっと膨らませる事ができたと思うので勿体ないと思います。

>>18『STADIUM』 南瓜さん
これ続きが気になります。どういう風に今後展開されていくのかなとわくわくさせられました。
それにしてもこういう系の仕事をしているのに金髪っていいんでしょうか。

>>20『さよなら花火』 がぶりすさん
ラストの展開が何となく読めちゃったのがちょっと残念。
会話をもっとさりげなくそして自然にすることと、もっと要所要所を引っ張るというか膨らませることを意識してほしかったです。

>>22『ポカブツタージャ、そしてミジュマル』 あいうえおちあいくんさん
ツタージャのあのとんがった感じの顔をお面でどうやって表現するんだろう……
途中が急すぎていろいろとついていけなかったです。

>>24『楽しめ、四回目の花火大会』 Rという名の勇者さん
日付を見る限りもう少し時間に余裕はあったので、何も1日で仕上げようと思わなくても。忙しかったのでしょうか。
でもなかなか考えてあっておもしろかったです。雑なのがやはり痛いので勿体ないと思いました。

>>25『時間の気紛れ、空間の悪戯』 Rという名の作者さん
こんなパルキアは予想していませんでした。
それがどうしても引っかかってあんまり好きになれませんでした。ただの好みの問題ですのであまり気になさらずに。

>>26『君は死人に何を見るか』 ノルスタルジー将軍伍長さん
最後の辺りになると大分落ち着いたんですけど、前半から中盤にかけてちょっとついていけなかったです。
でも普通に面白かったです。お祭りって始まる前に花火が打ち上げられるものなんですか。花火が打ち上げられた時に普通に夜だと思っていたので夕方だったことに衝撃でした。

>>31『反抗期計画』 Rという名の牛丼さん
自分の考えたことが実際にリアルになるっていうのはけっこうある話なんですが、好きなんですよね私。
横山君の小説の内容が意外で良かったです。かわいいです。小説書いたこと無くてそれほど本に親しんでいたわけでもないのに伏線とか暗喩とかすごく気にしているあたり彼のこの作品にかける思いは本当に強いんだなあと思わされました。

>>34『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 きぃぺさん
おあー最後の方やられたって感じした。普通に続きが気になりました。今回のBコースの作品の中で一番続きが読みたいと思わされた作品でした。
射的で人間が景品でその人間を取りたい場合、どこを当てるべきなんでしょうね。打ちどころが悪かったら死んじゃうので一層怖いと思いました。

>>37『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃーさん
うまいですねーこれ。あと主人公にすごく共感できる部分があった。お母さんに色んな意味でいらっとした。でも全体にかわええええって感じでした。
祭りに着物を着ていく人ってあんまりいないと思うんですけどこれは仕様でしょうか。
ああでもすごく、なんだろう、黒いのにすっと入ってくる作品でした。ほんの少しのことをこれだけ書き込めるのはすごいと思う。短編としてはとても良いと思いますが、テーマを気にするとオチがついてるのが残念でした。



投票
金 >>2『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅんさん
銀 >>9『リスタート』 ギルガメッシュ月光さん
銅 >>34『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 きぃぺさん
  >>30『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜さん
  >>8『未開見たいテレポート』 ささささん

投票理由
基本的に好みで選んでます。何故ならやばいうまいっていう作品が多かったから。
だけどそれより大前提に私はテーマ性を重視しているのでこのような結果になりました。Bコースはうまい作品は多くてもオチがついていたりあまり続きが気にならなかったらそれはテーマに沿えなかったということだと思うんです。沿えなかったのかそれともあえて沿わなかったのかそれは分かりませんが。
金は私の理想というか、正に私はこんな会話をさせたいと思っていて、心にじーんときたので。続きが気になるという点では決して一番では無いですがそれは比べてそうだっただけであって、普通に続きが読みたいと思わされました。
銀はかっこよすぎて投票。これすごく好きでした。私の中では金とはさほど差は無いです。
銅は、まずきぃぺさん。一番続きが気になったので金でも銀でも銅でもいいからどれかには入れざるを得ないと思って迷った末この位置になりました。おもしろかったです。
次にRという名の秋桜さん。この謎めいた感じがなんともいえない、好きでした。文章も好みでしたので投票。
最後にささささん。ケーシィの心が変わるさまが綺麗で話も綺麗な話で、さわやかな感じが好きでした。

なんか理由すら適当っぽくてすいません。正直番付なんてしたくないほど優れた作品ばかりでした。申し訳ないのですが完全に好みです。


最後に、参加してみての感想というか少し意見です。
ちゃんと完成させた短編のテーマと続きが気になるのテーマを並立させて企画を立てたのは、少しまずかったのかもしれないな、と思いました。
私自身は続きが気になるというテーマは好きです。しかし完成された作品と未完成の作品は、同じ土俵上で比べるべきものではないと思うのです。
今後この続きが気になるをまたやるのであれば、「続きが気になる」を大きなテーマとしてまたそこからA、Bと小さなテーマを並べたり、完成させる短編の企画と続きが気になるをテーマとした企画を別スレッドで建てたりなどしたらいかがでしょうか。
ただの一意見なのですが、少しでも考えてくださればありがたいです。


では、今回もレベルの高い企画、ありがとうございました。企画主さんには本当に感謝です。
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.54 )
日時: 2010/09/06 23:46
名前: 秋桜

投票。
 金:>>30『バケモノ、それは冤罪につき』
 銀:>>8『未開見たいテレポート』
 銅:>>4『とある秘境での出会い』
   >>6『哀色の魂』
   >>10『上辺とやる気は反比例』
メンテ
Re: ポケノベ2010夏企画 移転中につきコメント禁止 ( No.55 )
日時: 2010/09/06 23:46
名前: 一号

 投稿、投票、感想お疲れ様です。それでは運命の結果発表!
 今回はいつもの総合、コース別順位に加え、いろいろ表彰してみることにしました。

☆総合
1位・>>8『未開見たいテレポート』 さささ  14票

2位・>>30『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜  9票

同率3位・>>2『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅん  8票
    ・>>37『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃー  8票

○4位以降はコース別TOP3発表後

☆Aコース別TOP3
1位・>>8『未開見たいテレポート』 さささ  14票
2位・>>30『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜  9票
3位・>>9『リスタート』 ギルガメッシュ月光  6票

☆Bコース別TOP3
同率1位・>>2『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅん  8票
  1位・>>37『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃー  8票
3位・>>36『君へ伝えたい、でも、』 こんにちは  7票

☆総合4位以下
5位・>>36『君へ伝えたい、でも、』 こんにちは  7票

同率6位・>>9『リスタート』 ギルガメッシュ月光  6票
  6位・>>34『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 きぃぺ  6票

同率8位・>>33『ユーアンドアイ、愛』 でんぐりがえり  5票
    ・>>20『さよなら花火』 がぶりす  5票
    ・>>26『君は死人に何を見るか』 ノルスタルジー将軍伍長  5票

同率11位・>>31『反抗期計画』 Rという名の牛丼  4票

同率12位・>>19『ソングフォーマイファーザー』 あちゃもとあらい  3票
     ・>>32『Unknown village』 kagero  3票
     ・>>35『帰る場所』 モソソクルッペェ!  3票

同率15位・>>11『ワカバの風』 TOM  2票
     ・>>17『escape "シュー"』 JDM  2票
     ・>>5『あなたのおなまえなんですか?』 夏花火ロリコン仕立て  2票
     ・>>6『哀色の魂』 円  2票
     ・>>10『上辺とやる気は反比例』 ギルガメッシュ月光  2票
     ・>>29『子ども発大人行き終点はありません』 コップ  2票

同率21位・>>4『とある秘境での出会い』 Rという名の作者  1票
     ・>>23『あの夏をもう一度』 雑食仕様  1票
     ・>>27『残りものには毒がある』 ターケーシ  1票
     ・>>13『祭りとポケモン方程式〜ロマンスは突然に〜』 タニシになりたい  1票
     ・>>18『STADIUM』 南瓜  1票
     ・>>24『楽しめ、四回目の花火大会』 Rという名の勇者  1票


☆金賞獲得数TOP
獲得金賞2つ
 ・>>8『未開見たいテレポート』 さささ
 ・>>30『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜
 ・>>2『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅん
 ・>>36『君へ伝えたい、でも、』 こんにちは

☆銀賞獲得数TOP
獲得金賞3つ
 ・>>9『リスタート』 ギルガメッシュ月光

☆銅賞獲得数TOP
獲得銅賞4つ
 >>8『未開見たいテレポート』 さささ

☆被投票数(点数にかかわらず、票を入れてもらった回数)TOP3
1位・>>8『未開見たいテレポート』 さささ  8回
2位・>>30『バケモノ、それは冤罪につき』 Rという名の秋桜  5回
同率3位・>>2『星にまつわるエトセトラ』 乃響じゅん  4回
    ・>>34『#8 その後の話、御祭騒ぎと神隠し』 きぃぺ  4回
    ・>>37『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃー  4回

☆金銀銅賞コンプリート作品
>>8【Aコース】『未開見たいテレポート』 さささ   金金銀銀銅銅銅銅
>>37【Bコース】『わたし、わたし、わたし。』  きゃんでぃー   金銀銀銅

☆おまけ
Aコースの得票数 52票 被投票数 33回
Bコースの得票数 52票 被投票数 32回

☆総評
 今回の夏企画も非常に盛り上がり、最後まで楽しませていただきました。
 さて、ここで業務連絡ですが、次回の秋企画、冬企画は私一号ではなく二号が運営を勤めることになっています。
 そこで二号君から挨拶をいただきました。
 ……と、言いたいところだが。どうしても連絡がつかなかったので、二号君の紹介をちょっとしようかなと思います。
 なかなか心が広くて面白みがあって、小説もメチャクチャ上手くて面白くてもちろんポケノベの住人で、某ドラゴンポケモンが好きでポケモンセンターに行った際にそのポケモンのポケドールを買うくらいそのポケモンが好きな人。
 そして責任感があって熱意のある人だなと思って二号君に後任を任せました。
 二号君が次回の秋企画どうしようと言っているのを聞きましたが、今までわたしがやっていたのとはだいぶ変わると思います。
 それでも二号君は企画を盛り上げよう、としているので皆さん次回以降の企画の参加と応援、あと投稿と投票をお願いします。
メンテ

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