来るべき災厄 ( No.334 ) |
- 日時: 2011/04/05 22:47
- 名前: 桜庭 ID:EDvF6c1o
- 第189話 来るべき災厄
「なんかあっという間に着いちゃったねーサファリ」 「そうですね!」 「てゆーかさ、ちゃんとポケモン捕まえるんだよ? そうじゃないとまた苛められちゃうし」
ラキはポケモンを持っていない。それでいて色んなジャンルのオタクで、周りから浮いているから苛めにあう。 だったら、そのひとつの内の、ポケモンを持ってないを変えなきゃ、とマイが提案してやるとラキは眼鏡をキラリと無駄に光らせ「そうですね若の言う通りです!」と意気込んだ。
「おふたりさまですか?」 「ごー……あ、はい」 「ごー? GO! ですね、流石若! 意気込んでるゥ!」 (テンション高……)
受付のひとに言われ、思わず「ゴールドもいるから3にん」と言おうとしたが、ハッとしてなんでもないフリをした。ラキは勘違いをしているが。
「では、バッチをお持ちでしょうか?」 「ばっち?」 「はい。ジムリーダーと……あ、はいそれです」
パーカーをじー、と開け中にきているTシャツについているバッチを指差し首を傾げると、受付は、言葉の意味通りの返事をした。 そして、ラキを見て、あなたは? ときくが
「あ、僕は持ってないです」 「そうですか……なら、あなたはこちら。バッチを持ってる方はこちらで」
右と左の扉を左右それぞれの手で示された。 マイは右。ラキは左。ここでお別れのようだ。
「じゃー頑張ってポケモン捕まえてね」 「〜〜若!」 「な、なんすか」
いざ参る! と気合をこめてドアノブに手をつけてのだが、隣のラキが思いっきり溜め込んでから名前を呼ぶ。 ビックリしてラキを見ると、ポケギアが。
「あー番号?」 「は、はい! ぜひ交換しましょう!」 「うん、いいよ」
ゴールドもいないしね、と理由つけて簡単に交換してしまった。 まあラキなら悪用はしないだろう。悪用と言っても、夜中に連絡をかけるとかだが。 涙なしのお別れを済ますとマイは何事もなかったかのようにサファリの地へと足を踏みしめた。 どうやら、バッチを持っているひとは捕獲、バトルOKらしい。持っていないひとは捕獲、閲覧だけだそうだ。
「とりあえずーアルファを育てなきゃね」
ぽーん、と軽く投げて出てきたのはラプラスのアルファ。ゴールドがはじめて孵化させたポケモンだ。 嬉しそうに駆け寄ってきたアルファの頭を「よーしよし」と満面の笑みでマイが撫でていると、目にまぶしい光が入ってきた。
「わー! 海まであるんだー!」
真昼の太陽によってキラキラとまぶしく光る海があった。 断崖絶壁なのには流石のマイも引いたが。 そういえば、ここ(サファリ)に来る途中に崖や海があったなあーと呑気に思い出していたら目の前を、す〜と紫の煙のようなものが通った。 慌てて、臨時用のリュックから図鑑を取り出してみると
「ムウマ? ほえーひゃわ! 手がすり抜ける!!」
逃げないムウマに触ってみようとするが、スルっと手が煙を突き通ってしまったではないか。 海をバックに見るムウマの色はなんとも奇妙な色合いだった。
「あれっ急に空がくら――嘘」
ふっと太陽に雲が被さったように真っ暗になった。 しかしおかしい、マイがしゃがみこんでいる周りの場所だけが暗い。 じゃがんだまま首だけ向けるとそこにいたのは、ギャラドスがうじゃうじゃいた湖の時に、コウとアヤと一緒に襲われたあの黒い物体が。
全身が恐怖から悲鳴をあげる。アルファだけでも助かろうとボールに手を伸ばしなんとか入れるが、黒い物体はマイから視線を逃さない。 しかし逃げようと後ずさりをすると、一緒になって後をついてくるではないか。
(やだやだどうしようこわい――! あ、がけが)
どんどん後ろに下がると同時に迫ってくるのは、断崖絶壁。海に落ちるだけだ。 運よく砂浜に落ちたとしても怪我は免れないだろう。
(でも、この前みたいトリップしたらもう会えないかもしれない)
ぐるぐるとさまざまな思考が混じる中、黒の物体が動いた。 さっきよりも早いスピードで寄ってきた。
「こ、来ないでよッこここここわくないんだからあ!」
足の振るえが止まらないし声が震えて弱弱しい。 首には赤い、人間でいうマフラーを巻いているようなものがマイの首元にツン、と当てられた。
「っ」 「――怖いか」 「へ!? しゃべった!?」 「この先は危険だ。ひとりで来るんじゃない。」
青色の瞳がマイを捕らえて離さない。しかし口が見えないのにしゃべりかけてくるのはおかしい。 しかし、この感覚。どこかで
(あ。これってミュウの時と同じ感覚) 「そうだ。我の名はダークライ」 「ダーッ暗い!? でいいの?」 「違う! ダークライだ。全く……」
急に雰囲気が和んだのもつかの間。 マフラーに腰の辺りを掴まれるマイ。
「我は今に自我を無くすであろう。昼間はどうも苦手だ」 「はい?」 「いやなんでもない。とりあえず海に落とすから」 「はい?」
そのまま、先ほどマイがボールを投げた時と同じように軽く投げてやった。
(ええっ――)
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