わたしとあなた ( No.289 ) |
- 日時: 2011/01/30 13:33
- 名前: 桜庭 ID:LEJQxzVY
- 第178話 知らない、知られてはいけない物語り
バルコニーにいるマイの頬に当たる風が冷たい、秋なのだ。 船に乗っているから突き抜けるような風邪が刃物のような感じがする。
(あのおじさん)
あのおじさんとは"R"のことだろう。 今日、今は日付が変わってしまったが、未だに心残りがあるというか、何か引っかかる。 大切な思い出のような――
(どこかで会った)
ちらっと部屋の中を見ると、バルコニーに出る際、寝ているか確認したゴールドがぐっすりと寝ている。 それをみて安心したのか、夜空に輝く満月を見上げる。 マイの瞳が光と反射して、何かあると危ないだろうと、腰につけていたポケモンたちはまぶしそうに目を閉じた。
「たいようとひまわり、ねぇ」
誰にも聞かれないように呟いたその言葉は、海にぽつりと置かれたように思えたが……
「ねえ、出てきたら」
バルコニーに背を預けるように振り向くのはゴールドではない、隣の部屋とこのバルコニーを繋げるための板。 その板が180度回転して出てきたのは、マイにとっては"おじさん"の"R"だった。 余裕な顔でお出ましだ。
「おじさんさあ、わたしが旅に出てから」 「ん?」 「ううん、わたしが旅に出る前から、ずっとずっと見てるよね」
間髪いれずにマイはいう。 綺麗に手入れされて髪が夜風に弄ばれるのも気にせずにいい続ける。
「おじさん、だれ?」 「おじさんはおじさんさ」 「ふざけないでよ。こんなことできるおじさんいる?」
真剣な眼差しが一転、"R"の言葉に苦笑いをしながらマイはさらに問うが応えは同じだった。 そんな"R"に不愉快そうな。今のマイをしるものには、信じられない険悪の表情
「名前、教えてよ」
一瞥<いちべつ>しマイは短く吐き捨てるだけ
「ポケモンバトルで勝ったら、ね」 「上等じゃん」
二人の会話はそれだけ。"R"が指を軽快に鳴らすとバルコニーが一転。 暗い部屋になった。
「ここ、どこ」 「"メインルーム"さ」
先ほどとはうってかわって不安そうな表情。 やはり、まだ子供か、そんな風にため息をつけば、"R"はこういい放つ。
「ブレイクトレーナの"マイ"」 「ぶれ、いく?」
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