わたしとあなた ( No.285 ) |
- 日時: 2011/01/26 22:38
- 名前: 桜庭 ID:pdt1r5os
- 第174話 ひとつの街のよう
「うっわ〜ぁ」 「どうだマイ? すっげぇだろ」 「うん! すっごい!」
船体の中に入ったら入ったで凄いのなんの。例えるならひとつの街のようだった。 先頭をきって歩いているナイトの後ろのゴールド、その後ろに目を輝かせて歩いているマイの姿。 船の中はゴミはもちろんホコリすら見当たらないほど清潔で、靴を脱いで歩いた方が気持ちがよさそうだ。
「僕たちはこの部屋を"メインルーム"と呼んでいて、右手をごらんください。こちらは世界でも5本の指に入るといわれている料理人たちが作っているレストラン街。左手はお子様……マイさまにもピッタリだと思われる遊園地です」
どうやらここがメインルームらしい。 中央には木々が生えていて、それを囲むように大理石が床を埋め尽くしていて、レストラン街と遊園地側には三メートルくらいの幅の赤絨毯<じゅうたん>が敷かれていて、道のようになっていた。 お子様と呼ばれてしまったマイは内心、これがアメリカンジョークか。と思っている。これはアメリカンジョークではない。ただの茶目っ気を見せてくれただけだ。
「上をごらんください」 「上? わっ――」
真上を見上げたマイは言葉を失う。太陽の光に負けないくらいのシャンデリアがこれまた威風堂々と輝き放っている。天井はないと思う。 あるとしてもかなり階数を登らないとサブルームみたいな場所には着かないだろう。 そして真上ではなく壁側の上を見れば、何階あるの? と疑問を持つくらいの階数に部屋数。 本当に顔パスで入ってきちゃったんだ、とマイはただただ驚くだけで、ゴールドは慣れているのかナイトに、あれはどうなっただの、あれはあーなったんだな。と言っていた。
「こちらがゴールドさまとマイさまのお部屋となっております」 「おう。ありがとな、何かあったら呼ぶから、もう戻っていいぞ」 「はい、では船での旅を満喫くださいませ」
エレベータで5階まで上がり、降りてすぐの所でナイトが手で、こちらです、と示した。 カギを受け取り、ゴールドが扉を開けたらナイトがまた会釈。 マイが部屋を見て夢中になっている途中でナイトはまた仕事へ戻っていった。
「わー! すっご〜い! 海が全部見えるっ」 「全部じゃねーだろ……でもま、退屈はしねーだろうな」
ここで部屋を紹介しておこう。 広さは縦に百二十メートル、横に四十メートル、バルコニーやミニバー、シャワールーム、ダブルベット、テレビ、電話……どこぞの家か、とツッコミを入れたくなるほど完璧完備された部屋だった。
「バーって酒飲めぇし。いやマイなら`あ。お水ある、飲ーもう`とか言って飲む可能性が十分にありえる。よく言っておくか……おーいっマイ」 「なぁーに?」
バルコニーに出ていたマイがガラス製の扉を開けっ放しで出てきた、寒い風がいっきに入ってきた。 目で「閉めろ」と訴えかければ顔が蒼白になってマイがシュバッと"足"で閉めた。
「ま、いっか。あのなマイ」 「う、うん」
バー用の椅子に座りながらゴールドが"ジョウト酒"と書かれたボトルを手に取ってマイに渡した
「え、くれるの? お水?」 「やっぱり……ほら貸せって……ここ読んでみ?」
フタを開けようとしたマイを阻止したゴールドがそのままの手でボルトの注意書きを見せた
「20歳未満は飲まないでください? ふーん、バレなければいいんだよね?」 「ちっがーう! どうやったらそうゆう性格になっちまうんだよ!」 (ゴールドの影響だよ、なんて言ったらどうなるかな。リューくん出しておけばいいかな)
心のうちに黒い思考が舞い込んできたのを吐き出すようにエンジェルスマイルで「冗談だよ〜」と笑いながら言えば、あまり納得いかないようなゴールドの顔がある。
「あ、そういえば。ここオレらみたいな格好の奴等いないから着替えようぜ。着替えならナイトがなんとかしてくれるはずだしな」
椅子から降りるとベットの脇に設置してある電話でナイトの携帯にかける。 一秒も立たないうちにナイトが出てくれた。
『はい。こちらナイトでございます――あ、ゴールドさまですか』 「ああ。悪いんだけどよ、着替えくれねぇか」 『着替え、ですね。少々お待ちください』
その少々が少々ではないほど早かった。 受話器を置き、マイがゴールドのところまで歩み寄っている間に扉の外側から音がする。
「お待たせしました。こちらでよろしいでしょうか?」 「おうって……色々持ってきたな」
あはは、とナイトにしては珍しい苦笑いで数々の服をハンガーラックにぶら下げて部屋にはいってきた。 ゴールドに似合うかも分からない服や、マイに似合うわけもない服やら……
(こちらの中からお選びくださいませ) (マイはどれにする?) (んー……これ)
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