番外編 ( No.279 ) |
- 日時: 2011/01/16 12:33
- 名前: 桜庭 ID:IWlL.HV2
- 番外編。みんなの知らないマイの物語り
雪。 靴底は歩くたびに疲れ果てた指先に振動と共に伝わって、痛む。 何をするためにこのメンバーといるのかさえも"忘れて"しまいそうで怖い。
「あれですよね」 「ん? どうした」 「煙って煙草とか吸わなくても出るんですね」
私の前で話している、アヤノとソラ兄ちゃん。 口を開くたびに白い煙が宙に放たれてる、白いって怖い。
「大人って雪好きじゃないよね」
ぎゅー、ってキューくんを抱きしめると暖かさが伝わってきて、顔が緩んじゃう。 コウちゃんいわく「バカ面」らしいけど、これが私なんだもんなあ。 あー大人に限らず年上とかって雪嫌い多いよね。ゴールドもクリスさんもシルバーさんも。
「寒いな、ちくしょう……」
コウちゃんは腕で体温上げてる、それに機嫌悪そう。 同年代でも嫌いなひとは嫌いなんだね。わたしは、今は嫌いじゃないけど。
「なんていうかね」
追いかけなきゃいけないのに。
「もしわたしが、さ」
もしもなんて、考えたくないのに。
「――居なくなったら」
誰にも聞こえないように言うけど、白い煙が目の前を通った。 まあ、聞こえてなければいいけどさ。
「うわ。どーしよ」
心的外傷。うん、トラウマ的な? わたしは知ってるよ、冷えた指先すら動かせない、自分で身体を動かせなくなったことあるから。 コウちゃんはぬくぬく育ってきた子、なんかあったみたいだけど。 アヤノはアヤノで家族と上手くやってたみたい、表面上だけ。 ソラ兄ちゃんは――わかんないし、わかりたくないや。 ゴールドは? 今ここにいないけど、ゴールドって……
「ほっぺた、あったかい」
ああ、そっか。 涙流れてるんだ、ばっかみたい。自分で自分泣かせてどーするっつーの……
「ごー……駄目駄目っ」
わたしを救ってくれた太陽は、今ここにはいなかった。 シルバーさんとクリスさん、否ジョウト組とカントー組で鍋囲んでるらしい。 わたしも行きたかったなぁ。ちぇ……熱さえなければ まー家から、抜け出してきたわたしもわたしだけど……
『マイ、オレお前と一緒にいるよ。シルバーに言っといてもらうからさ』 『いいよ。わたしのせいでゴールドがお鍋食べれないなんて、嫌だよ』 『でもよ――』
「あ」 「どうしたの、コウ」 「マイがいない」
あ、コウちゃん気づいたみたい。 やっばいっ急いで走らなきゃ――ってうそ
「マイ? 誰それ」 「何言ってんだアヤ? マイだって」
えー。そんなに嫌われてた? あれ? まじ? 演技じゃ――ない?
「ほら! ここにいるだろ!」 「よ、よっアヤノ!」
走ってアヤノの近くに行ったら、あいつひでぇの。
「初対面よね?」 「は?」
あ、やば。いつものくせが……
「誰だ? その子」 「そ、ソラ兄ちゃん?」
え? なんで? ソラ兄ちゃんまで、わたしを"忘れた"の? この白い息みたいに消えた? わたしが?
「ね、コウちゃん。おかしいよね?」 「ああ。どうしたんだよ――」
コウちゃんだけ覚えてるってことは、記憶喪失? ありえないっしょ……歩いてただけで
もしも、ゴールドがわたしを忘れていたら いやだ。追いかけて追いかけて、ようやくここまで来たのに 振り出しに戻るなんて、そんなの嫌だっ まって、追いかけた? わたしが、ゴールドを? いつも追いかけてくれたのはゴールドだよ?
「嫌だ、そんなの」
コウちゃんが、泣きそう。 ごめんね、今だけは、今だけは"本当の自分でいさせて"
「こんなの悲しい以外ないってば! うそだうそだうそだっ! わたしはさっきまでみんなの中でいたよ! それはっ」
――それは?
「ゴールドがいてくれたからッ だから、わたしは……」
――マイ? なーに泣いてんだよ?
「わたしは、もうッ」
――仕方ねえなぁ……ほら、オレがおんぶしてやるよ
「今度はわたしがッ」
――泣き止んだか? たく、おめぇはよお
「ゴールドをずっと追いかけるのッ」
光、だ。 光が、まぶしい。 え? 光? あれ? ん? あれれ? ここって
「わたしの部屋ァ!?」 「よ、よう……」
気がついたら、そこはわたしの部屋のベットの上で。 背丈のないベットだからゴールドはあぐらで座っていてもわたしとピッタリ目があるんだけど その顔が信じられないほど、真っ赤で。
「お、鍋食べに行ったんじゃ……」 「行くわけねーだろ! お前が寝込んでるのに、それにオレが話してる途中で意識なくすし――」
あれは、夢?
「大体なあ、お前!」 「な、なぁに?」
さっきより顔が赤いよ、ゴーくん。あ、まちがえたゴールドくん。
「何恥ずかしいこと叫んでるんだよ、バカ」 「え? わたし、なんていっ……あ、もしかして」
――ゴールドをずっと追いかけるの
「あ、あはは。あはっあはは」 「棒読みで笑うなよ! 何オレより先に告白してんだよ!」
後半、ゴールドがなんて言ったかわからなかったけど、またゴールドの顔が赤い。 えへへ、おかしい。
「おーすマイ!」 「あ、レッドさんに、ブルーさん? あ、グリーンさんも、それにイエローさん!?」
ずかずかとカントー組のメンバーがわたしの部屋にはいってくる。 それにしてもイエローさんの顔が赤い、ゴールド並みに。
「ちょっとマイ〜? あんた夜凄いわね」 「え? も、もしかして……」 「そのもしかだよ!」
ブルーさんのニヤついた顔が迫ってくる、その奥ではわたしの言葉に反応してレッドさんが近寄ってきて――
「お前の告白、聞いたぞ」 「す、すいません」
最後の最後でグリーンさんとイエローさんでしめられた! こ、告白なの? てゆーか、夢の中だったから今一つかめてない……
「オレたちだけじゃないぞ、シルバーやクリスも!」 「ええッ!?」
ああ、わたしどうしよ。 よかった、コウちゃんとアヤノがいなくて。 いや、夢の中にはいたから、同じか……
「熱下がったみてぇだな」 「あ、うん」
ゴールドの手、つめたい。きもちいや。 そういえば、開けっ放しの扉の奥になにか見える
「あ、わかった? マイが来ないからアタシたちが来たのよ!」 「まじっすか……」
あ、あのお鍋うちのだ…… イエローさん何気テーブルの上片付けてる。
「お肉もありますよ! マイちゃん食べましょう!」 「そ、そうですね」
あわわっ転びそうになった…… 身体がもたないなあ、これは
お鍋の会(ブルーさんが名づけの親)はあっという間で 今の時刻は11時。親いないし、ゴールド泊めてもいいかな、泊めたいし……
「でもさ、何でわたし忘れられちゃったのかなあ?」 「さぁな。でもオレは」
さっきの夢を自分なりに整理して考えてみて、ゴールドに言ったの。 あ、今の体制はゴールドとおんなじおふとんに入ってぬくぬく中。
「そんな時でもちゃんと覚えてるかんな」 「ふわ」
ごちゃぐちゃーって髪撫でられた。 うー顔あつ
(思えば、キューくんロコンのまんまだったし) (いや、気づくの遅くね?) (ですよねー……キューくん、ボールの中で背を向けるのはやめようね)
その日はキューくんもおふとんの中で眠りました。 狭かったせいか、キューくんはおふとんから抜け出して床で寝てました。 朝起きてきづいた。ごめん、踏んじゃって――
―あとがき― 長い番外編でした。とりあえず解説いきます。 夢の中では自分の思ったことが叶ってしまうらしいのです。 これをインターネットで知った時に「あ、これマイでいけんじゃね?」という軽はずみなネタから始まりました。 マイが「もしもいなくなったら」は「相手の中からマイの存在が消える」という解釈でお願いします。 コウちゃんが覚えたのは、そうゆう子だから←
んで、マイの変な告白で現実世界に帰れたわけです。 あ、でも雪の中で歩いてたら足痛くなる? わからないから、寒い日の雨の中帰ったことを思い出して、こんな冒頭になりました。
あとがき書いてもきりがなさそうなのでここまでです。 ありがとうございました
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