番外編! 多数のお子様お借りしてます^^;勝手にすいません ( No.265 )
日時: 2010/12/28 02:36
名前: 桜庭 ID:/aExc9CY

          足跡―雪―
<過去の話が入ったりしてるので混乱するかもしれません>

クリスマスが終わり、次は年末大掃除に追われるこの時期。
マイは何をするわけでもなくベットに転がり右へ左へ。
暇で仕方ない、そんな時だ――ベット付近の床に置かれたポケギアが鳴り出した

「だれだろ……うわ、アヤノ」

口は悪いが顔は嬉しそうに緩んでいた。
ピッと気持ちの良い音を立てて出てみると何やら音楽の音がした。
コウの持っているベースの音だ、コウもそこにいることがわかった。

「もしもーし」
『あ! マイ?』
「他にだれが出るんだっつーの……で、なに?」

本当に人が変わるマイである。いやここは否定しない。

『今から鍋しない? コウが鍋持ってきてくれたの!』
「え〜!? 今からァ!? 6時だし、雪降ってるし……」
『な〜に言ってるの? こんな日だからよ! それじゃ家で待ってるから!』

言い終わるなり、プチッと切られてしまったではないか。
アヤノの家はサニー地方、そう遠くはないが――

「雪……」

寝転がりながら窓を見るマイの目はどこか寂しそうに見えた。


――9年前、マイはサニー地方のとあるお寺に預けられていた。
ちょうど今と同じ時期で、坊主も走る師走……だからだれも幼いマイを見る者もいなくて、ただ一人部屋にいるだけだった。
空は曇り空。しかし雨とかそうゆう気はなくて。

(寒い……あ、雪)

ちらちら、ちらちら。空からの届け物。
雪だ――普通の子供ならはしゃいで外に出るものの、マイは違った。
立ち上がり、窓を開け外を見るだけ。目に輝きはなかい。
何色にも染まってない、雪が怖かった。

(怖いくらいに静か。わたしだけが取り残されたみたい)

独特の捉え方で雪を眺める。坊主たちは寺仕事でだれも外にはいなかった。
はあ、と息を吐いて、白い吐息がマイに寂しさを見せる。

(ひとり。またひとり)



「って! なに考えてるの! わたしのばかばか!」

はっと我に返り勢いよくベットから床にジャンプする。
器用にモンスターボール6個を腰に下げながら階段を心地よいリズムで下りていき、キッチン周りを掃除する母に一言「いってきます!」と告げ家を飛び出した。

「う〜さっむい! 雪めぇ〜わたしを殺す気かっリューくん`空を飛ぶ`」

玄関を出て一歩もついていないのに、叫びながらリューを出し、サニー地方に向かわせるのだった。


――6年前はソラとあの場所にいた。
友達も少し出来たけど打ち解けてはいなくて……
人の良いソラはマイだけを相手をする。そして、またこんな時期だ。

「あ! マイ、雪だ!」
「雪……」

広くないし狭くないマイの部屋で絵本を読んでいたソラがふと顔を上げ、大きな窓を見る。
ちらちら、ちらちら。また空からの贈り物。

「マイ、外行こうか」
「わたし、いい……」
「あー。寒いの駄目だよな、ごめんな」

窓まで近寄っていたソラに寄り添うようにマイも近寄る。
それでもやっぱり目は輝いていなかった。
外には数人の幼児が出ていて、足跡が何個も何個も出来た。

そう、寺にいた頃マイは外にこっそり出てみた。雪はやんでいたけれど。
足跡はマイの足跡だけで、小さな足跡がまたマイを小さく見せる。

そして今はひとりじゃないのに、出たくはなかった。
やっぱり雪は怖かった。何にもとらわれていないから。





「でも、雪に関してはゴールドに感謝しなきゃね」

マイがリューの背中に乗りながらリューに言うとリューも嬉しそうに返事を返した。

「あれは、2年くらい前だよね」

うーん、と雪で薄暗い空を見上げながら




――2年前。旅に出る一年前のこと。
雪が降った。お泊りにきていたマイにとってはただの寒さの敵でしかない。
ゴールドはもちろんはしゃいだ。ワカバに降るのは珍しいとか

「マイ! 外行くぞ! ほらマフラーと耳当てと手袋!」
「え、えぇ!? 強制、なんですか」
「ああ! 雪なんてめったに降らねぇんだ! うおっさみぃ!」

夕食を食べている途中なのに手をひっぱり外へ連れて行く際にひょいひょいと3点セットをもってマイに渡す、そしてそのまま玄関を開けて飛び出る。

「うっわ〜! すっげ〜積もってんな!」
「う、うん」

庭に出ると既に積もっている雪、マイは玄関マットから動かないでゴールドのつけた足跡を見ていた。
黙って突っ立っているにしか見えないゴールドは掌に収まらないくらい大きな雪球を作って――

「おらよ!」
「はう!」

顔面に投げつけた。
何事!? とあわあわと動いているマイがおかしいのか笑いこけていた。

「ごーるど、さん」
「ん? って冷ッ!」

思わず投げてしまった雪の塊。雪球ではなかったけど、ゴールドの顔面にぶつけてやった。
その際、玄関マットの上から出ることになるわけで――




「ついたー! アヤノー! あけてー!」
「あら、早かったわね。鍋が煮えるまで雪だるまつくってるんだけど、マイもやらな――ッこの! なに雪ぶつけて――っん!」

マイがアヤノ宅の庭につく。庭にはアヤノとこそこそと小さな雪だるまをつくるコウの姿が。
足跡がいくつも、いくつもあった。

「わたしは雪合戦したい……っな!」

そう言いながら雪球を投げるマイ。
足元にはたくさんの足跡。




「マイ! ってんめぇ〜! おりゃ〜!!」
「ふわ!? つ、つめたっよーしっ」

足跡の種類が2つ。
それだけで嬉しかったのに、今では


「オレも雪合戦したい!」
「コウちゃんも? よーし! くらえ!」
「私もする! マイっさっきはよくも!」

仲良く3人で遊んでいるうちにもっと呼ぼうよ!
そうゆう話になった。

「ゴールドとか呼ぼう!」
「クリスさんも忘れずに!」
「シルバーさんも……」
「レッド先輩にグリーン先輩、ブルー先輩!」
「イエローさんに、ルビーくん、サファイアさん!」
「エメラルドくん!」
「ユウナお姉ちゃんに、ブラウンお姉ちゃん、」
「ユウトさんに、クウトさん、」
「パープルさん、ピンクさん、アリスちゃんに!」
「クウちゃんも!」

名前が挙がれば挙がるほど増えていくそれ<足跡>は、いつしか笑い声に消えていき、また増えて――
そんなエンドレスの中の足跡。

「マイ! ボーとしてないで!」
「クリスさん、オレ楽しいです!」
「ほんと? よかった! 私も楽しいわ!」
「クリスさんが楽しいなら私も……!」
「コウ、鼻赤いぞ!」
「え?」
「あやのん! かっわいい〜!」
「雪ったい!」
「見ればわかるだろ?」
「オレ、雪はじめてみたかも」
「私は何回か見たことある!」
「うるさいぞ……」
「コウちゃん!? 何倒れてるの!?」
「大丈夫か……」
「だ、大丈夫?」
「アヤ! そんなに大きな球どうするの!?」
「雪合戦楽しいね!」
「そうね! ってわけでくらいなさい!」
「マイちゃん、うしろから球が……」
「レッドにあたった!?」
「いや、あれはあたりにいっただけだ!」
「先輩! なに言ってるんスか! さっきこけてましたよね!」



――わたしの足跡はたくさんのうちのひとつになった